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アルバイトの時給を決める際に考慮したいルール、ポイント

アルバイトの時給を決める際に考慮したいルール、ポイントは大きく3つあります。一つ目は「支払い」です。労働基準法第24条では、賃金支払いのルールが定められています。俗にいう“賃金支払いの5原則”です。雇用側は従業員に賃金を「(1)通貨で、(2)直接労働者に、(3)その全額を、(4)毎月1回以上、(5)一定期日を定めて」支払わなくてはなりません。
通貨払いの原則は、現物給与が認められないことを意味します。これは、換金困難かつ価値が不安定であるケースが多いためです。
直接払いの原則は、仲介者(ブローカー)を介すことの禁止を意味します。これは、中間搾取につながらないようにするためです。
全額払いの原則は、会社が勝手に賃金の一部を天引きしてはいけないことを意味します。これは、労働者の生活資金を十分に確保するためです。
毎月1回以上の原則は、文字どおり毎月必ず賃金を支払う必要があることを意味します。これは、労働者の生活を安定させるためです。
一定期日払いの原則は、賃金の支給スパンを均等にすることを意味します。これもまた、労働者の生活を安定させるためです。
と、二つ目のポイントは、最低賃金の遵守です。日本では地域・産業別に最低賃金が定められています。したがって、これを下回る金額に設定することはできません(くわしくは「アルバイトの時給設定で注意すべきこと」の章で解説)。適切な時給を設定するうえで最低賃金を基に考えるのも一つの方法です。
最後、三つ目は相場です。同エリア、職種の平均時給などを把握できれば、それらは大いに参考になるでしょう。また、求職者、従業員側もチェックしている方は一定数いらっしゃいます。比較された際には、自社(求人)の印象に影響を及ぼすかもしれません。その辺りも加味して決められると、意味のある時給設定になると考えます。
▶関連記事:時給の決め方~アルバイト・パートの賃金支払いに関するルールやコツ~
アルバイトの時給設定で注意すべきこと

アルバイトの時給設定について、先に述べた意識したいポイントとも重なりますが、法的観点から特に注意したいことがあります。ずばり、「最低賃金」「税法上の扶養」です。以下、それぞれ詳述します。
最低賃金
最低賃金の遵守は法律で義務付けられています。そのうえで年々、引き上げ額が増えていることは気になるところです。2024年現在、前年から各地域一律で50円アップが目安として提示されました。基本的に、各地域の経済状況や労働市場の特性に応じて設定されるものですが、もはや47都道府県すべて1,000円を超える状況は、すぐそこまで来ているといえるでしょう(なお、2023年は全国平均で1,000円越え)。
繰り返しお伝えするとおり、地域別最低賃金を下回る給与を支払うことは法律違反に当たります。企業の信用問題だけでなく、最低賃金法で罰則(50万円以下の罰金)が定められていることも念頭におきつつ、毎年の改定時期には最新情報に対するアンテナをしっかり張るようにしましょう。
▶関連記事:2024年度の最低賃金(地域別、全国平均)~引き上げ額は?いつから適用?~
税法上の扶養
アルバイト・パートを雇う際には、税法上の扶養を正しく理解しておく必要があります。税法上の扶養とは、家計を支える納税者の配偶者・子ども・親などが、(納税者)の所得から一定金額の控除を受けられる(所得税や住民税が免除される)制度です。当然、扶養対象でない場合は、社会保険料や税金を負担します。が、これが増えて手取り収入が下がることを懸念される方も少なくありません。いわゆる年収の壁と呼ばれる「100万円」「103万円」「106万円」「130万円」「150万円」「201万円」を超えないようにシフトを調整される(仕事を入れない)方が出てくることは、あらかじめ想定したうえで時給を決めていきましょう。
▶関連記事:税法上の扶養とは?条件や手続き、社会保険上の扶養との違いなど解説
アルバイトの平均時給は?

前述したように、相場の把握は時給設定において重要です。そのうえで、アルバイトの平均時給はエリアや職種によって異なることも理解しておきましょう。以下、お伝えするのは、アルバイト・パート求人情報サイト『バイトル』はじめdipが提供するサービスに掲載されたデータです。
全国でみるアルバイトの平均時給
全国(大職種別)でみる2024年6月のアルバイト・パートの平均時給は1,345円でした。前年比では57円、前月比では12円、どちらも増加しています。
年/月 | 全国の平均時給 |
---|---|
2024年6月 | 1,345円 |
2024年5月 | 1,333円 |
2024年4月 | 1,359円 |
2024年3月 | 1,368円 |
2024年2月 | 1,375円 |
2024年1月 | 1,386円 |
エリア別にみるアルバイトの平均時給
次にエリア別です。2024年6月、関東エリアのアルバイト・パートの平均時給は1,431円でした(前年比130円増、前月比10円増)。また、東海エリアでは1,203円(前年比59円減、前月比12円増)、関西エリアでは1,290円(前年比2円増、前月8円増)、九州エリアでは1,397円(前年比141円増、前月比15円増)と算出されています。前年と比べて関東と九州のアップが顕著です。
エリア | 2024年6月の平均時給 |
---|---|
関東 | 1,431円 |
東海 | 1,203円 |
関西 | 1,290円 |
九州 | 1,397円 |
職種別にみるアルバイトの平均時給
最後に職種別です。2024年6月、事務的職業は1,299円(前年比58円減、前月比7円増)、専門的職業は1,804円(前年比282円増、前月比14円減)、飲食の職業は1,142円(前年比50円増、前月比1円増)、販売の職業は1,181円(前年比91円増、前月比6円増)、サービスの職業は1,304円(前年比70円増、前月比45円増)、運搬・清掃・包装等の職業は1,219円(前年比89円減、前月比19円減)、建設の職業は1,374円(前年比350円減、前月比2円増)、製造・技能の職業は1,295円(前年比129円減、前月比74円減)、教育の職業は1,509円(前年比129円減、前月比26円増)でした。特に人材確保に注力する傾向にあるのか、飲食、販売、サービスの職業は前年から上昇しています。
職種 | 2024年6月の平均時給 |
---|---|
事務的職業 | 1,299円 |
専門的職業 | 1,804円 |
飲食の職業 | 1,142円 |
販売の職業 | 1,181円 |
サービスの職業 | 1,304円 |
運搬・清掃・包装等の職業 | 1,219円 |
建設の職業 | 1,374円 |
製造・技能の職業 | 1,295円 |
教育の職業 | 1,509円 |
アルバイトの時給を上げることで期待できるメリット

最低賃金は年々引き上げられ、時給アップがやむを得ない状況になっている昨今。物価高、そして人件費が上がることから採用を控える企業、お店も少なくないように見受けられます。しかしながら、アルバイトの時給を上げること自体、捉えようによってはメリットをもたらすことも確かです。主に挙げられるのは次のとおり。
- 欲しい人材の獲得
- 従業員のモチベーションの向上
- 離職率の低下
以下、それぞれ簡単に説明します。
▶関連記事:アルバイト・パートの昇給について時給アップの事例も交えて解説
欲しい人材の獲得
アルバイトの時給次第で、求めるスキルや資格を持つ人材から応募が来ることがあります。報酬が魅力的であれば、それなりに求職者の気を引けるわけです。逆に考えると、特に専門性が求められる職種の場合は、市場価値が高い人材を最低賃金すれすれで雇うことは難しいでしょう。
従業員のモチベーションの向上
時給アップは、今いるスタッフのモチベーション向上にもつながります。彼・彼女らは、生活面でのプラスはもちろん、自身に対して評価してくれることを実感できれば、大きな励みになるでしょう。時給を上げたことをきっかけに、飛躍的に成長するケースは決して珍しくありません。一人ひとりのやる気が仕事の質、生産性にもよい影響を及ぼすことは、至極自然な話です。
離職率の低下
アルバイトへの時給アップからモチベーションが上がることで、離職率を下げられる期待も持てます。人が辞める理由のうち、待遇・報酬に対する不満はもはや定番です。常日頃から他社求人の時給をチェックする従業員は思いのほか多いと考えてよいでしょう。闇雲に高い時給を提供する必要こそありませんが、人手不足が危機的な状況であれば、強行するのも一つの手として有効です。
アルバイトの時給設定に関する主な取り組み事例

アルバイト採用が停滞している状況を打開するのに、時給の見直しは大いに役立ちます。本章では、そうした事例を集めました。以下、いくつかのエピソードを簡単に紹介します。
高校生時給の廃止で人材確保に成功
株式会社銚子丸様は、回転すしのお店『すし銚子丸』を多店舗展開しています。4年前、同社は高校生時給を廃止しました。結果、高校生はもちろんのこと、幅広い年代から応募が来るようになったといいます。
そもそも、なぜ高校生採用に注力するようになったのか。どうやら、店長経験のある担当者が「高校生は長く働いてくれるだけでなく、物覚えのスピードも早い」ことを実感する機会があったようです。実際、積極的に採用することで、新しいアイデアや活気を店舗にもたらしてくれた模様。
なお、時給の見直しのほか、同社は教育体制の整備や髪色自由化などの待遇改善にも力を入れています。こうした一つひとつの取り組みが相乗的にスタッフのモチベーションを上げているのでしょう。
時給の見直しもトライアンドエラーの一つ
株式会社WAKUWAKU様は、合宿免許の斡旋やWebコンサルティング・制作などを手掛けている会社です。採用活動には『バイトル』を利用されています。日々原稿の書き換えができるため、応募状況に合わせて時給を見直すことも多いようです。訴求ポイントの変更も含めて、トライアンドエラーを繰り返せることが、とても魅力的だという風に感じているといいます。
▶関連記事:株式会社WAKUWAKU様の事例
アルバイトの時給設定はデータも加味して慎重に!

アルバイトの時給設定は、いわば戦略的な意思決定です。このとき、最低賃金の推移を含めた経済状況や平均時給への目配りも疎かにせず、複数のデータを基に調整していく必要があります。結果、アルバイトスタッフ、はたまた求職者にとって魅力的な労働条件に映れば、人材確保もスムーズに行えるかもしれません。採用市場の相場は、たとえばコロナ禍以前と比べても大きく急騰しています。この趨勢に鈍感だと、人が集まらず、そして去っていく窮地に陥りかねません。くれぐれも慎重な判断が求められます。
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