福祉の現場では、そこかしこで人材・人手不足が問題視されています。市況を見てもそれは明らかです。そこで本記事では、福祉人材が確保できない理由、挙げられる課題に対する取り組み、事例……等々、幅広い切り口から、福祉業界を巡る求人・採用の実態を紐解いていきます。苦戦する現状を打開するヒントとして、ぜひお役立てください。

福祉現場の人材・人手不足問題を解消するには?課題の対策・成功事例も交えて解説

  • 2024.08.29
  • 2024.08.29

福祉の現場では、そこかしこで人材・人手不足が問題視されています。市況を見てもそれは明らかです。そこで本記事では、福祉人材が確保できない理由、挙げられる課題に対する取り組み、事例……等々、幅広い切り口から、福祉業界を巡る求人・採用の実態を紐解いていきます。苦戦する現状を打開するヒントとして、ぜひお役立てください。

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福祉人材とは?

車椅子に乗った高齢者を世話する介護スタッフ

福祉人材とは、端的に述べると社会福祉施設で働く職員を指します。主に介護職員、社会福祉士、心理カウンセラー、ケースワーカーなどが該当します。彼・彼女らに任されるのは、高齢者、障害者、児童といった方々を心身ともにサポートするお仕事です。

福祉人材は、専門的な知識と技術はもちろん、高いコミュニケーション能力や倫理観、深い共感力が求められます。これらを湛えているからこそ、実に貴重な存在です。それゆえ、業界全体で人手不足を食い止めていく必要があります。

福祉業界の現状

お婆さんをサポートする介護スタッフ

福祉業界は、高齢化が進むにつれてサービスの需要は高まる一方です。これは同時に、嘆かわしい労働力不足の問題も浮き彫りにしています。というわけで本章ではまず、福祉業界の現状にフォーカス。具体的に、就業者数や求人市況、離職率を取り上げます。

福祉業界の就業者数

医療業界も含めてその推移を辿ると、たとえば2015年は788万人(福祉業界を算出すると約半分の380万人~390万人前後)でした。そこから7年後の2022年。その数は908万人(福祉業界を算出すると約半分の450万人~460万人前後)と増加が見られます(※1)。では、65歳以上の高齢者の推移はどうなっていたのでしょう。まず、2015年は3387万人でした。そして2022年。その数は3627万人です(※2)。福祉業界の就業者数を優に超える増加幅です。福祉業界の健闘も確かに光りますが、高齢者はそれ以上のペースで増えているため、(どんどん離され)人が足りない感覚が強くなってしまうわけです。

※1 参照:労働力調査(基本集計)2023年(令和5年)平均結果の概要

※2 参照:統計局「高齢者の人口」

福祉業界の求人市況

中央福祉人材センターによると2024年6月は、有効求人数が62,107件、有効求職者数は13,528人でした。有効求人倍率は4.59倍です。全体の1.23倍に対して顕著に高いことがわかります(※2)。求人を出したところで熾烈な人材獲得競争が待ち受けているわけです。この傾向は久しく続き、今後もそう変わることはないと見られます。

※1 参照:福祉人材センター・バンク 職業紹介実績報告

※2 参照:一般職業紹介状況(令和6年6月分)について

福祉業界の離職率

厚生労働省が発表している「令和5年 雇用動向調査結果の概要」によると、2023年の医療・福祉業界における離職率は14.6%でした。なお、近年は2022年が15.3%、2021年が13.5%、2020年が14.2%です。14%から15%前後で推移しているこの傾向は、おそらく福祉業界だけを切り取っても(医療業界を除いても)、そう乖離はないと考えます。

福祉業界が人材・人手不足に陥りやすい主な理由

車椅子に乗った男性をケアしている女性介護福祉士

福祉業界がなぜ、人材・人手不足に陥りやすいのか。それは複数の要因が考えられます。ずばり、次のとおりです。

以下、それぞれ詳述します。

少子高齢化

少子化により労働力人口が減少し、かつ高齢化が介護の需要を増加させている現状において、人手不足が起きることは必然といっても過言ではありません。こうした状況下でいかに福祉人材を確保していくかは、もはや業界全体の課題です。

パブリックイメージによる採用難

福祉業界に対するパブリックイメージが採用の障壁になっている可能性も否めません。“福祉関係のお仕事は過酷な労働環境で肉体的に精神的にも負担がかかり、にもかかわらず報酬は割に合わない”といった見方をする向きも一定数あるように感じます。もちろん実際は、(すべてがそうとはいわないが)誤解も多々あるでしょう。したがって、この問題を払しょくするにもやはり、業界全体で取り組む必要があります。実態はもとより、イメージ改善に腐心することは大きな課題です。

アップデートできていない価値観による定着難

前述したパブリックイメージとも重なりますが、福祉業界はどうしても時代にそぐわない古い習性が、働き方から何まで残っているように思われがちです。上下関係が厳しすぎる職場など、特に若年層は敬遠するのも無理はないでしょう。当然、採用だけでなく、定着にも影響します。既存のスタッフが、いつまでもアップデートされない文化、風土に対していよいよ見切りをつけ、別の業界に転職すると言い出しても何らおかしくありません。柔軟な働き方やワークライフバランスを重視するい今のニーズ、要望になるべく応えていかなければ、人材の流出は歯止めがきかなくなるでしょう。まさしく人手不足を食い止めるべく、時代の動きには敏感でいなければなりません。

人材・人手不足に陥りやすい福祉施設の主な特徴

福祉施設で使われている車椅子など

前述した福祉業界が人材・人手不足になりやすい理由もそうですが、採用難や定着難に苦労されている施設にはいくつか共通する特徴があります。主に次のとおりです。

以下、それぞれ詳述します。

求人広告での訴求が足りない

求人広告がただの募集要項になってしまっては、応募につなげるのは難しいでしょう。広告の内容が抽象的すぎては、職場の魅力や働くメリットが伝わらないため、求職者の関心を引き付けることができません。人手不足に困っている施設ほど、この傾向にあります。具体的な強みをしっかり打ち出さなければ、ただでさえ分が悪い福祉業界のなかでも、貴重な人材を競合に取られてしまうことになるでしょう。

教育体制が不十分

特に入ったばかりの新人の方が福祉の現場に一刻も早く慣れるには、研修の機会を定期的に設ける必要があります。逆に彼・彼女らを放置してしまうと、たちまち不安に陥り、離職を検討することになりかねません。施設のサービスをもっと良くしていくためにも、新人への教育投資は大事です。人手不足が深刻だと嘆く施設の多くは、これを疎かに、あるいは蔑ろにしているように思えます。そうした状況下で、スタッフに帰属意識を持ってもらうことは、どうしたって難しいでしょう。

キャリアパスが不明確

スタッフが将来的な成長や昇進の可能性を見出せなければ、モチベーションが低下するのもやむを得ないでしょう。福祉の現場(いうまでもなく自分たちの施設)に長くいてもらうには、個々のキャリアに対する具体的なロードマップと成長の機会を提供することが求められます。これが曖昧だと、たちまち見限られてしまうことになりかねません。

福利厚生や給与水準が他社より低い

福祉業界に限りませんが、待遇面の不満を理由に辞める方は多くいらっしゃいます。賃金の低さ、そして福利厚生の乏しさに愛想をつかすケースです。もちろん、いたずらに高水準の給与体系にする必要はありませんが、業界内で競合他社と比較したときに、著しく待遇面で劣っている場合は、相応の状況に見舞われるでしょう。応募は少なく、離職者は増えるといった悪循環を何とかしたければ、福利厚生や給与水準を見直してみてください。

組織風土が旧時代的

先にお伝えしたように、施設の価値観がアップデートされずにいると、求職者に選ばれない、そして既存スタッフに出ていかれるリスクは日に日に高まることになるでしょう。旧時代的で堅苦しい組織風土の施設が凋落していく様子は、しばしばお目にかかります。抜本的な改革とまではいかなくとも、いまの時代に見合った働き方や採用プロセスを提示できなければ、遅かれ早かれ業界内でも憂き目を見るポジションに取り残されてしまうはずです。

福祉現場の人材・人手不足問題に対する有効な取り組み

付箋で表現される社会福祉の文字

ここまでお伝えしてきた何らかの理由、あるいは特徴によって福祉の現場で人材・人手不足を招いていた場合、何か打つ手はあるのでしょうか。本章ではまさに、福祉現場の人材・人手不足問題に対する有効な取り組みをいくつか挙げていきます。ずばり、次のとおりです。

以下、これらについて詳述します。

業界に特化した求人サービスの導入

求人を掲載する媒体のなかには、当然ながら福祉業界に強いサービスもあります。まさに福祉人材としての経験やスキルを持った方々が集まりやすいプラットフォームです。一例を挙げましょう。dipが提供する『バイトルPRO』は、業界の即戦力人材が集まる代表的な求人サイトです。基本概要はサービスページ、詳細は資料をダウンロードしてご確認ください。

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昇給

職員の貢献と献身に対する報酬を確実に反映させることで、働くモチベーションを高められます。それゆえ昇給は有効です。福祉の世界でキャリアを積んでいくことに安心や自信を持てるように、納得感のある昇給制度を整えましょう。頑張った分だけ待遇がよくなれば、プロフェッショナル人材として成長するスピードも速くなるかもしれません。その意味でば、間接的に育成にもつながります。

▶関連記事:アルバイト・パートの昇給について時給アップの事例も交えて解説

柔軟な働き方の提示

多様な労働ニーズに応じた働き方を提示することで、特に家庭と仕事のバランスを求める方などに好印象を持ってもらえるはずです。福祉の現場ではなかなか導入が難しいかもしれませんが、場所や時間を問わない働き方が可能になれば、(福祉業界における)求人市況にも大きな変化をもたらすでしょう。できることからコツコツと。職員一人ひとりのライフスタイルに向き合い制度を整えることで、定着率の向上が見込めるようになると考えます。

選考プロセスの迅速化

選考がスムーズになれば、他業界を含めて他社に取られるケースを抑えられるかもしれません。というのも求職者のほとんどは、採用選考が長引くことに対して少なからずマイナスの感情を持っています。オンライン面接の活用、迅速な案内、通知……等々を福祉業界でも意識的に取り組めれば、すんなりと内定承諾にこぎ着けられることもあるでしょう。

多様性に富んだ採用

人材要件をピンポイントに定義してしまったばかりに応募が集まらないことは、採用活動におけるよくある失敗です。これは、福祉人材を募集する際にも教訓になり得ます。事実、多様な背景を持つ方々を受け入れることで採用の幅はぐんと広がるでしょう。ミスマッチが不安かもしれませんが、たとえば、患者のなかにも異なる文化や属性の方がいるはずです。同じ境遇のスタッフを積極的に採用すれば、むしろこのうえなく最適な担当者になってくれるかもしれません。そのほか多様な人材の採用は、職場の活性化にもつながります。一人ひとりの個性が尊重されることで、生き生きと働いてくれる期待も持てるでしょう。そうなれば、おのずと定着率も上がっていくと思われます。

福祉業界での人材・人手不足を解消した事例

福祉業界で活躍する人材

では最後のトピックとして、福祉業界の人材・人手不足問題に対する解消事例を紹介します。どういった悩みや課題を抱え、それをどのように改善あるいは解決へと導いたのか。各事例、大いにヒントになるはずです。

発想の転換で経験者を多く獲得

株式会社ハートフルスタッフ様は、福祉業界のなかでも医療・介護領域に特化した人材派遣、人材紹介の会社です。同社は、(この業界に蔓延る)慢性的な採用難と高齢化する求職者層の問題に向き合い続けていました。そうしたなか、状況が好転したのは前述した『バイトルPRO』を導入してからです。経験者が集まるサイトゆえにミスマッチを回避できるようになったといいます。そしてキーとなったのはもう一つ、そう、年齢への考え方のアップデートです。応募者と話をしていると、年齢だけで採用に至らないケースが非常に多いように見受けられます。そこで私たちは、年齢よりもその方の培ってきたスキルや経験などを重視していくようにしました。いうなれば、シニア層が活躍できる職場の発掘です。これに成功し、福祉業界での効率的な人材マッチングを実現しています。 

株式会社ハートフルスタッフ様の取り組み事例

低コストでの採用に成功

社会福祉法人平成会グループ様は、特別養護老人ホームを運営しています。兵庫県は尼崎市に芦風荘と西長洲荘の2施設、大阪府は阿倍野区に大阪平成会(ふれ愛丸山荘)の計3施設です。同グループは、採用困難な業界ゆえに採用コストが高止まりすることに手を焼いていました。そこで取り組んだのが掲載媒体の変更です。Webの時代といえども、どの施設もこれまでは紙媒体に求人を掲載していました。また、人材紹介会社に依存していたきらいもあったとのことです。そして導入したWeb媒体。具体的には、dipが提供する『バイトル』『バイトルPRO』『はたらこねっと』といった求人サイトをチョイスします。加えて、自社運営の採用特化メディアを制作できる『採用ページコボット』まで利用(この判断こそ、その後の成功に非常に大きかった模様)。この思い切った方向転換が功を奏し、採用単価を劇的に減らせたといいます。利用するサービスでここまでコストパフォーマンスが変わることは、まさに目から鱗だったようです。

社会福祉法人平成会グループ様の取り組み事例

大型採用の実現から相乗効果が生まれる! 

社会福祉法人優光福祉会様が運営する高齢者施設「大国さわやか苑」では、介護福祉士を募集するも、なかなか応募が来ない状況に頭を悩ましていました。この問題に対処するため同法人が打った手は、求職者に直接オファーを出すスカウトメールの活用です。導入したのはdipが提供するサービス『バイトルNEXT』。結果、なんとわずかひと月で30名以上の応募が集まり、10名の新たなスタッフを仲間にすることに成功します。この大型採用によって、長らく人手不足により閉鎖していたワンフロアも3年ぶりにオープンが決定。いたるところで相乗効果を生み出せています。 

社会福祉法人優光福祉会様の取り組み事例

戦略的なアプローチで福祉人材を確保しよう!

スタッフと患者が手を取り合う様子

外的な要因も含めて福祉人材を確保していくのは、今後ますます困難が予想されます。そのなかでできることは何か。うまくいく施設は何が違うのか。試行錯誤を繰り返してもなお、なかなか思うような結果につながらないかもしれません。はたまたサービスやプランを変えるだけで大きな成果をもたらすことだってあるでしょう。いずれにせよ、真摯に向き合うことが肝要です。その姿勢を踏まえつつ、冒頭でも述べたとおり、拙稿でお伝えした内容をヒントに役立てていただけますと幸いです。


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