求人が多い、少ないは時期によって変わる

企業の採用活動は、経済状況や業界動向、求職者の動きなどさまざまな要因に左右されます。そのため、求人数が時期によって増減することはいわば当然のことです。冒頭でも述べたように、それを把握することが、効果的な採用戦略を立てる上で肝になります。もちろん、“多いからといって”あるいは“少ないからといって”一概に同じ結果が付いてくるものでもありません。が、ただ何とはなしに求人を出すのと、季節要素という裏付けがあるなかで動くのとでは、成功につながる可能性や期待値は変わってくるはずです。次章より、その辺りを具体的に紐解いていきます。
求人が多い時期に影響している要素

求人が多い時期に影響している要素として、主に次の3つが挙げられます。
- 経済動向
- 業界動向
- 求職者動向
以下、それぞれ詳述します。
経済動向
景気の状態は、企業の採用意欲に直結します。好景気の時は、業績拡大に伴う人材需要の高まりから、求人は増加傾向です。反対に不景気になると、コスト削減のために採用を控える企業が多くなり、求人は減少します。
業界動向
業界ごとに採用の波があります。たとえば、物流や医療福祉などの業界では、ほとんどの会社、施設が、人手不足に悩んでいるような状況です。ITに代表される成長産業もそういえるかもしれません。もちろん、業績次第ではなかなか採用に踏み出せない事業所もあるでしょう。それでも業界の動向は一つの指針です。把握するのに越したことはありません。
求職者動向
求職者の動きも、求人数に影響を与える大きな要素です。典型的な例を挙げると、新卒採用では、学生の就職活動に合わせて(あるいは選考解禁になればすぐに)求人を出す企業が集中します。また、転職希望者が増える時期にも注目です。賞与の支給時期が過ぎた頃を狙って求人を出すなど、人材確保の動きを見せる企業が少なからず出てきます。
ずばり、求人が多い時期は?

繰り返しお伝えしているように、求人数は季節によって変動します。したがって、求人が多い時期を知るにも、季節性が大事です。
年間でみる求人状況の傾向
では、求人市況の季節性について具体的に解説しましょう。以下、(雇用形態を問わない)3ヶ月ごとの傾向です。
1月~3月
一般的に、1月~3月は春採用に向けて求人数がもっとも伸びる季節といってもよいかもしれません。その背景には年度末という一つの区切りがあります。このタイミングで退職予定者が増えると見越して求人を出す企業もあれば、期末を迎えるにあたり採用予算を使い切りたいケースも当てはまるでしょう。もちろん、新年度に新体制を築くために人材確保が活発化することも考えられます。いずれにしても、この季節は求人数が顕著に増える時期です。
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4月~6月
新卒者の入社や人事異動が一段落する季節とはいえ、業界によっては4月末から5月にかけての長期休暇(ゴールデンウィーク)に向けて、慌ただしく求人を出す動きも見られます。また、新年度ゆえに新たな事業計画やプロジェクトをスタートさせるにはもってこいのタイミングとあって、人員増強に乗り出す企業も決して少なくありません。さらにこの期間は、新生活を始める学生アルバイトをターゲットにした求人も多く出てきます。
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7月~9月
7月~9月は、夏休みで忙しくなることを考慮してか、業界によってはアルバイト・パートの募集が増える時期です。また、9月が決算期の企業のなかには、新たな事業計画を遂行すべく採用に注力されるところも多く見られます。
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10月~12月
クリスマスや年の瀬のいわゆる年末商戦に向けて、アルバイトやパートの求人が再び増加します。また、年内を目途に退職する(転職に向けて動く)方をターゲットに、正社員の採用活動が活発化するのもこの時期です。と、案外知られていませんが、すでに来春の進路が決まった高校生(新大学生)の採用に注力する企業も一定数、存在します。
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アルバイト・パートの求人が多い時期

前項でお伝えした傾向が全体観だとすると、雇用形態別に見た場合、いわば局所的な特徴が浮かび上がってきます。というわけで本章はまず、アルバイト・パートの求人にフォーカス。ここ最近の有効求人数がどう推移しているかについても言及します。
アルバイト・パート募集が増える時期
募集が増える時期の筆頭に挙げたいのが2月そして3月です。全体の傾向をなぞるように、新年度に向けたいわゆる春採用が活発化します。バレンタインデーやホワイトデーといったイベント関連で人を欲する企業も多いでしょう。春休みも同様。加えて、新生活を迎える学生アルバイトをターゲットにした動きも顕著です。さらには、確定申告の時期でもあり、事務アシスタントを大量に募集する税務署も目立ちます。
ゴールデンウィーク前後(4月下旬~5月上旬)、夏休み(7月下旬~8月)など大型連休に備えて求人を出す企業も少なくありません。飲食業や小売業もそうですが、とりわけ観光業では繁忙期を控えて人材確保が急務です。
なお、年末年始、特に12月は落ち着く傾向にあります。
そうはいってもやはり、世相に注視することも大切です。上記を念頭におきつつ、最新の情報について把握することも欠かせません。コロナ禍以前と5類移行後の動き、物価高の影響……等々、人件費をどう割り当てていくか、どういった趨勢にあるのか常に目配りするようにしましょう。
▶求人市況をチェック:最新!アルバイト・パートの有効求人倍率(エリア・職種別あり)
アルバイト・パート募集が増える理由
なぜ、アルバイト・パートの求人が増える時期には偏りがあるのでしょうか。一つは、当たり前ですが、企業側が人を必要としているからだといえます。せっかくの繁忙期にもかかわらず人手が足らずに店を開けることができなければ大きな機会損失です。それを回避すべく、この時期は求人を出す企業がいつもよりも多く出てくるようになります。とはいえ、お仕事探しをされる方がいなければ、思うように応募にはつながらないでしょう。が、春休みや夏休みにバイトを入れたい学生、入学式終わりや夏休み明けにパートに時間を当てたい主婦の方など、ニーズはそれなりにあるのも確かです。ゆえに、求職者が増えるタイミングであることも加味して募集が増えるのだと考えられます。
アルバイト・パート募集に適したタイミング
求職者が増える時期に募集を行えば、より多くの応募が期待できます。一方で、求職者が少ない時期でも、他社求人が減っているタイミングであれば、競争率が下がる分、優秀な人材を確保できるチャンスかもしれません。いずれも、絶対的なものではありませんが、戦略として視野に入れておくことは大事です。タイミングを見計らうという意味では、人が必要になる時期を前もって想定し、他社より一足先に求人を出すやり方も有効かと考えます。
正社員・中途採用の求人が多い時期

続いては、正社員・中途採用の求人が多くなる時期について言及します。
4月は多くの企業で人事異動が行われます。それに向けて2月、3月は中途採用が活発化するところがほとんどです。ただ、ここからもなお増える傾向にあるのが社員求人だといえます。これはアルバイト・パートと違う動きかもしれません。たとえば5月のゴールデンウィーク明けはミスマッチで早期離職する新入社員が一定数出てきます。また、6月~7月は夏の賞与が支給されるタイミングです。そこまで待ってから転職する方が一定数いることを踏まえて求人を出す企業も多いように見受けられます。他方、年末に向けてはトーンダウンする企業も少なくありません。ただし、ここ数年はコロナや物価高といった外的要因に振り回され、予算の消化も含めて、やや掴みどころのない動きになっているのも確かです。やはり、従来の傾向だけでなく、最新の情報とセットで見定めることが必要かと考えます。
▶求人市況をチェック:最新!社員の有効求人倍率(エリア・職種別あり)
中途採用が増える理由
前述のとおり、春に向けては、人事異動や予算消化を理由に中途採用で社員を募集する企業が増える傾向にあります。そこに加えて、賞与を支給されたタイミングや第二新卒の方々の転職意欲を狙って夏まで注力し続ける企業も見受けられます。と、最近では労働力人口が減り続ける世相を危惧し、一年中積極的に採用活動を行う企業も少なくない状況です。こうしたなかで正直、今後の動きについては未知数な部分が多いことも否めません。AIの台頭なども相まって、中途採用が増える時期や理由も、これまでとは違った動きになることが大いに考えられます。
▶関連記事:中途採用の求人が多い時期はいつ?市況傾向とあわせて採用戦略も解説
正社員採用に適したタイミング
アルバイト・パート募集と同様に、正社員採用においても絶対的に適したタイミングはありません。求人が多い時期は転職市場が活性化し、求める人材に出会う機会も増えるでしょう。一方、求人が少ない時期は掲載媒体の料金が下がりやすい点も含めて、費用対効果が高まる期待も持てます。と、念頭におきたいのは、中途採用の場合、採用までのステップが長いことです。いつ採用するかは、スケジュール管理の段階から綿密に計画していく必要があります。
求人に関する検索が多くなる時期

求人に関するキーワードがどれぐらい検索されているかも、現況を知るのに有効な手掛かりです。たとえば、Googleトレンドを使って無料で気になるキーワードの人気度を調査するのもよいでしょう。これは時期だけでなく、何が求められているのか、ニーズもあわせて把握できます。具体的に列挙すると、次のような傾向も一つ参考になるはずです。
「春休み アルバイト」:2月~3月
「夏休み アルバイト」:6月~8月
「転職サイト」:1月~2月、5月~8月
「パート」関連:5月
そのほか、検索ボリュームが多いものやハッシュタグに使われやすいフレーズも知っておいて損はないでしょう。これらについては、以下の関連記事でくわしく説明しています。
▶関連記事:求人系キーワードについて採用担当者向けに解説!人気の検索ワードとは?
求人が多い時期に向けた採用戦略

求人が多い時期を把握するだけでなく、それを踏まえてどのようなアクションが効果的なのかまで考えることが大事です。すなわち、採用戦略を立てていく必要があります。具体的に挙げられる方針は次のとおりです。
- 求人掲載サービスのプランアップ
- 求人・採用サービスの併用
- 採用プロセスの効率化
以下、それぞれ詳述します。
求人掲載サービスのプランアップ
求人が多い時期は求職者の動きが活発化することがほとんどです。そのため、求人サイトの閲覧数も増加します。しかしながら、ユーザーの目に留まりにくい箇所に掲載されていた場合、接点機会を特に増やせないまま時間が過ぎてしまうかもしれません。逆にいうと、求人掲載サービスのプランを上げることで、露出回数が増えたり、掲載箇所の視認性が高まったりと求職者との接点につながりやすくなる期待が持てます。結果、応募数増加にも寄与してくれるでしょう。
求人・採用サービスの併用
求人・採用サービスは、複数組み合わせることで成果の最大化、最適化が図れます。これは決して求人掲載サービスに限ったことではありません。採用管理システムとの併用も含まれます。応募の取りこぼし防止やタイムリーな連絡対応などは、採用というゴールにこぎ着けるためにも大事な要素です。これらが求人サイトとうまく連携できれば、求人が多い時期ゆえに他社へと流れるリスクを低減できるものと考えます。
なお、dip株式会社が提供するサービスでは、バイトルとバイトルPRO、面接コボットを組み合わせることで、求人掲載から採用管理までの一元管理が可能です。セットサービスのため、お得に掲載ができます。費用対効果の向上や採用担当者の負担軽減が課題の企業様はぜひ、ご利用のほどご検討ください。
バイトルPROの料金プランのなかで組み合わせの一例を紹介しています。
▶セットプランについてもチェック:【企業向け/公式】バイトルPRO(プロ) – 掲載料金例あり!
採用プロセスの効率化
前述した採用管理システムの導入は、採用プロセスの効率化につながります。たとえ応募が殺到したとしても、書類選考や面接日程の調整、合否連絡などに手間取っていては、優秀な人材を逃しかねません。
たとえばdipでは、求人掲載サービスの一つとしてスピード採用や認知度の高さを強みに挙げられる「バイトル」があります。求人が集中する時期にも、第一想起あるいは検索結果から多くの求職者が訪問されるサイトですが、それゆえ応募管理の負担が懸念点です。しかしながら、応募者対応の自動化を実現する「面接コボット」をセットで導入することで、24時間365日、タイムリーに連絡を届けられるようになります。
応募は来るが採用に至らないと悩むケースにはうってつけです。プロセス効率化という採用戦略のなかで、一つの手札に加えておいて損はないでしょう。
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求人が多い時期への理解を深め、採用に生かそう!

採用活動において、求人が多い時期を把握することは大切です。しかし、ただ傾向を知るだけでは肝心の戦略や打ち手につなげるのは難しいでしょう。なぜ多いのか、その背景を知り、どう生かすかまでを考えていく必要があります。そうやって理解を深められれば、タイミングを図るだけでなく、媒体選定やプランの見直しにも意識を向けることができるはずです。新たに必要なツールも見えてくるかもしれません。
いずれにしても、求人が多い時期をいかに応用、実践していけるかが本質であり、課題です。当然ながら、採用競争に打ち勝つためには、求職者に選ばれなければなりません。とはいえコツがわからないなど、その辺りが漠然としているのであれば、求人広告をどのように出し、どうやって応募を集めていくか、網羅的に学ぶことも必要でしょう。
▶関連記事:求人広告の出し方~媒体や料金、一連の流れに応募の集め方まで解説~
▶関連記事:求人募集のコツを解説!応募・採用につながる求人を出すには?
求人が多い時期が何を表象あるいは示唆しているのか。捉え方一つでアクションも変わります。再三お伝えしているように、絶対的な見解に固執し勇み足にならないよう気を付けることが大切です。
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