サービス業に従事するスタッフにとって、「笑顔」は必須のスキルだが、ロボットレストランのパフォーマーにとってのそれは、「相手を不快にさせないための最低限のマナー」といった消極的なものではなく、「見ただけで人を感動させる表現力」という積極的なものだ。ダンスなどが未経験の場合、研修レッスンに参加して技術を身につけることになるのだが、だいたい1カ月くらいでステージデビューするという。研修中の時給は1000円。パフォーマーとしてステージに立つと、時給は3000円になる。

「当店がオープンしたのは、2012年7月。自身がダンサーとして活躍する社長の大澤奈美恵が、不況の中で希望を持てなくなった人を元気にしたいという理念のもと、日本一の歓楽街である歌舞伎町で開店しました」と説明するのは、同店の広報の伊藤由美さん。ロボットレストランはマスコミなどでも紹介され、歌舞伎町の有名スポットとなったが、最近では外国人のお客さまも多いという。

「言葉ではなく、見ただけで感動を伝えられるのがパフォーマンスの魅力。多くのお客さまの心を動かせるようになるため、パフォーマーはつねにレッスンや勉強は欠かさず努力しています。やがて、ショーの中でも重要な位置を占めるスターパフォーマーになることができれば、1回の公演について最大8000円のショー歩合を支給しています」

同店には、ウェイター・ウェイトレス、ロボットのメンテナンススタッフ、音楽制作・演出・美術スタッフなど、分野別にさまざまなスタッフがいるが、パフォーマーはお客さまを楽しませるいちばんの立役者なのだ。

「ショーの内容は新鮮さを心かげて、つねに新しいものを取り入れています。例えば、ワイヤーアクションができるがいれば、それを取り入れてみようとか、セリフを入れた演劇的なシーンを入れてみようとか、いろいろなアイデアを提案してくれるパフォーマーに来て欲しいですね」

便利屋スタッフの仕事内容をひとクチで説明するのはむずかしい。なぜならそれは、実に多岐にわたるからだ。

「つまり、日常生活の中で困ったことがあって、誰に頼んでいいかわからない、そんなお客さまのために私たちがいるのです」と説明するのは、便利屋！お助け本舗　全国本部の粕谷俊雄さん。全国に130店舗を展開し、東京杉並店はタレントの坂本一生さんが代表をつとめる業界大手の便利屋さんだ。

「ホームページには、不用品処分、片付けのお手伝い、引っ越しのお手伝い、家具や荷物の移動といった仕事を明記していますので、そうした依頼は多いです。最近では女性のお客さまから、『組み立て式の家具を買ったけど、やり方がわからない。代わりにやってほしい』という依頼も増えていますね」

約1500円の時給は、事務所を出発して戻ってくるまでの時間で計算される。1時間で終わる仕事でも、往復2時間かかれば4500円になる。7月を過ぎて陽気がよくなってくると、ひとり暮らしの女性などから「ゴキブリを退治して！」という依頼が1日10件におよぶほど忙しくなるというが、深夜の場合は約300円の深夜手当がつく。同じ3時間でも稼ぎは5400円になるわけだ。

「スタッフ登録をしたあと、その方のスキルに合わせた仕事を紹介することになります。字のうまい人なら代筆の仕事、パソコンにくわしい方ならセットアップやデータ修復の仕事、大型の自動車免許を持っている方なら大きな荷物を運搬する仕事など、さまざまな特技を生かせると思います。高度なスキルがあれば、時給はさらにアップします」

登録スタッフの中には、副業で働く会社員もいるそうだが、「たくさん仕事をください」と会社にアピールして朝から晩まで働き、月収が40万円になった人もいるという（専業で働く人の平均月収は約20万円）。便利屋業が高収入なのは、「誰に頼んでいいかわからない」というスキマ仕事が実はたくさんあり、つねにニーズが途切れないから。元手が少なく、自宅で始められるという利点もあることから、脱サラ開業するする人や自営業のかたわら副業で行う人も増えているという。