現場に入ってくるトラックからアルミ鉄骨、石膏ボードやフローリング板などを荷揚げ搬入するのが僕の仕事。力仕事ですごくキツそう……なんていうイメージがあるかもしれませんが、そこまでハードじゃないですよ。力仕事なので多少の体力は必要ですが、休憩もしっかり取れるし、ちょっとした足場を組んだり、職人さんのお手伝いをしたりといった簡単な仕事も多い。重いものをずっと運び続ける、ということはありません。逆に、僕のようにパワーには自信あり！ という方には打ってつけ。僕の場合、平均の日給は1万2000円。月26日の稼働で31万2000円の月収になります。引越しアシスタントなどと比べると時給も高めで、ガンガン稼げるのが魅力なんです。

何といっても、建築現場バイトの魅力は「休みを自由に決められる」こと。公演が始まった時や稽古の集中ウィークなどはあまり働けなくなりますからね。あと、バイト時間が短いのもメリット。僕の現場のシフトは朝8時始動が基本で、～12時、～15時、～17時という3つのシフトから選べます。7時間労働の15時上がりが多いんですが、夕方から稽古がある時、ゆっくり休みたい時は12時上がりに。逆に、ガッツリ働きたい時は2現場をこなすなど、17時まで集中して働きます。メリハリをつけて働けるのがいいんです！

役者ってやっぱり体力勝負の世界。売れないうちから不摂生していては絶対に上には行けません。自分に厳しくできない僕の場合、朝7時集合、8時スタートが厳守の建築現場バイトで揉まれるうち、朝型生活が身につきました。夏場には日焼けして健康的に見えるし、筋肉がついてガッチリしたスタイルになれてジムいらず。先輩も気のいい人たちばかりで、現場の仕事のコツを教えてくれるんです。たま～にあるガラ出し（解体現場からコンクリート片を搬出すること）も、スピーディーに、それでいて力を使わずにできるようになりました。やればやるほど楽になる仕事です。

現場仕事を始める前は、下北沢の居酒屋で深夜バイトをやっていました。客として来店する後輩にはたかられるし、バイト上がりには飲みに行っちゃってお金も貯まらない。昼すぎに起きて、むくんだ顔で稽古に直行。今ひとつ体にもキレがないので、いい役も回ってきません（泣）。店にはトップ俳優も来るから、トークを聞いて業界のはしくれっぽい気持ちにはなれるんですけど、役者からは遠ざかるばかり……そう思って、ぬるま湯のバイトから離れることを決めました。