2023.11.08

タクシー運転手の年収は高い?ほかのドライバーとの給与差や稼ぐコツを解説

タクシー運転手の年収は高い?ほかのドライバーとの給与差や稼ぐコツを解説

転職先を探すとき、気になるポイントのひとつに「年収」がありますよね。今よりも給与を上げてより安定した生活を送りたいと考えている人にとっては特に重要でしょう。

この記事では、タクシー運転手への転職を考えているけれど実際に稼げるのか知りたい方に向けて、タクシー運転手の年収をご紹介します。「他ドライバー職種との比較」「平均年収以上に稼ぐコツ」についても解説しているのでぜひ参考にしてください。

タクシー運転手の平均年収は約361万円

全国ハイヤー・タクシー連合会の「令和4年タクシー運転者の賃金・労働時間の現況」によると、タクシー運転手の平均年収は以下の通りです。

平均年収(全国) 361万3,300円
平均月収(全国) 29万4,100円
手取りの目安 22万5,000円~25万5,000円

※企業規模は従業員10人以上

ここからは、

  • タクシー運転手の平均年収の動向
  • エリアごとの平均年収の比較
  • ほかのドライバー職種や全産業労働者の年収との比較

についてそれぞれ詳しく見ていき「タクシー運転手の平均年収は高い」と言えるのかについて解説していきます。

1年前と比較して平均年収が約80万円アップ

タクシー運転手の平均年収 1年で年収が80万円UP!

過去5年のタクシー運転手の平均年収を見てみると、令和2~3年(2020~2021年)は新型コロナの影響を大きく受け年収が300万円を割りました。

徐々に行動制限が緩和された令和4年(2023年)、タクシーのニーズが回復すると共に平均年収も令和3年(2022年)と比較して約80万円高くなりました。

361万円という令和4年(2023年)の平均年収は新型コロナの流行前と比較しても高くなっています。今後はインバウンド客や高齢者の増加で需要がさらに高まるのでタクシー運転手の年収は上昇していくことが期待されるでしょう。

※参考:タクシー運転者の賃金・労働時間の現況(平成29年~令和4年 資料P.1)

働くエリアによって給与の差が激しい

▼都道府県別タクシー運転手の平均年収一覧

令和4年 タクシー運転手 都道府県別 年収一覧 画像をタップして拡大
令和4年 タクシー運転手 都道府県別 年収一覧 画像をタップして拡大

▼平均年収が高いエリア・低いエリア

都道府県 タクシー運転手の平均年収
大阪府 437万1,600円
東京都 425万9,800円
兵庫県 399万1,100円
沖縄県 232万6,900円
岩手県 215万400円
茨城県 208万4,100円

※参考:令和4年タクシー運転手の賃金・労働時間の現況(P.1)

タクシー運転手の平均年収は地域の人口に伴うタクシーの利用者数や観光地の有無などによって大きく変わるため、働くエリアによって給与の差が大きい傾向にあります。

平均年収が最も高かった東京都と最も低かった茨城県の平均年収の差は約189万円。また、東京都の平均年収約426万円は全国平均よりも約65万円高いです。

このことから、タクシー運転手は「どこで働くか」が稼げるかどうかに関わる重要なポイントになると言えます。

タクシー運転手の年収は高いと言える?

タクシー運転手の年収は上昇傾向で、なかでも人口が多いエリアや観光地のある都道府県の平均年収は高めであることが分かりました。

これをほかの職種と比較すると、タクシー運転手の平均年収は「高い」と言えるのか解説していきます。

他ドライバー職種や全産業と比較すると年収は低め

▼自動車運転者(男)の給与比較

職種 平均年収 タクシー運転手との差
タクシー運転手(男) 約364万円 -
全産業労働者(男) 約555万円 -191万円
営業用大型貨物自動車運転者(男) 約479万円 -115万円
営業用貨物自動車運転者(男)
(大型車を除く)
約441万円 -77万円
バス運転手(男) 約400万円 -36万円

※参考:令和4年タクシー運転者の賃金・労働時間の現況(P.6)

男性の場合、タクシー運転手の平均年収を全産業労働者・他ドライバー職種の平均年収と比較すると約30~190万円の収入差があります。

営業用大型貨物自動車運転者(トラック運転手)は長距離ドライバーの場合、都道府県をまたぐ長距離を半日以上かけて走り、決められた時間までに貨物を輸送することがあります。

それに比べると、限られたエリア内を走り、流し営業でお客さまを見つけたときに目的地まで送迎するタクシー運転手の仕事は体力的な負担が比較的少ないです。このような仕事内容の違いは他ドライバー職種との年収差が出ている要因のひとつかもしれません。

▼自動車運転者(女)の給与比較

職種 平均年収 タクシー運転手との差
タクシー運転手(女) 約320万円 -
全産業労働者(女) 約394万円 -74万円
営業用大型貨物自動車運転者(女) 約409万円 -89万円
営業用貨物自動車運転者(女)
(大型車を除く)
約378万円 -58万円
バス運転手(女) 約331万円 -11万円

※参考:令和4年タクシー運転者の賃金・労働時間の現況(P.11)

女性の場合、他のドライバー職種との年収差は約10万~90万円。男性よりは年収の差が小さいですが、ドライバー職種のなかで最も年収が低いです。

タクシー運転手には朝~夕方までの決まった時間に働く「昼日勤」という勤務形態があります。夜勤はお客さまとのトラブルが怖い、家庭と両立しながら働きたいという方におすすめの働き方で、プライベートとの両立がしやすいです。

また、トラック運転手よりも体力的な負担が少ないことから、タクシー運転手はほかのドライバー職種より働きやすいといえるでしょう。

それでもタクシー運転手を選ぶメリット

平均年収の高さだけで仕事を選んでしまうと、仕事にやりがいを感じられなくなってしまったり、自分には向いていないと思うようになってしまったりするかもしれません。

自分の仕事を誇りに思い、長く続けるためには、給与以外のところにも注目して仕事を選ぶ必要があります。タクシー運転手ならではの魅力を見ていきましょう。

ライフスタイルに合わせた働き方ができる

タクシー運転手には3種類の勤務形態があります。

  • 昼日勤…朝から夕方までの乗務
  • 夜日勤…夕方から翌深夜までの乗務
  • 隔日(かくじつ)勤務…朝から翌深夜までの乗務

タクシー会社によっては求人の募集がかかっている時点で勤務形態が決まっているケースもありますが、タクシー運転手は上記3種類から働き方を選ぶことができます。

プライベートと仕事のバランスを取りながら働きたい方や夜にガッツリ稼ぎたい方など、それぞれのライフスタイルに合った働き方を選べる点は他のドライバー職種にはないタクシー運転手ならではのメリットです。

さまざまな人との出会いを楽しめる

タクシー運転手は、トラック運転手やバス運転手よりも多くのお客さまとコミュニケーションを取る機会が多い仕事です。

人と話すのが好きな方や聞き上手な方は、乗車したお客さまとの会話を楽しむことができ、仕事を楽しいと感じることができるでしょう。

人・社会に貢献できている実感がある

日本の超高齢化にともない、ひとりでの移動が難しい方が増えています。このような現状からタクシーの需要は上昇しており、ドライバーにも注目が集まっています。

最近では利用者に特化したさまざまなタクシーが誕生しており、タクシー運転手は社会でとても求められている仕事です。

  • 観光タクシー…ドライバーが主要観光地をガイドする
  • 外国語対応タクシー…ドライバーが英語で主要観光地をガイドする
  • 福祉タクシー…高齢者や身体が不自由な方の送迎をする
  • 介護タクシー…要介護認定を受けた人の送迎をする
  • 陣痛タクシー…陣痛が来て病院に向かいたい人を送迎する
  • キッズタクシー…お子様を学校・塾・自宅に送迎する

上記で紹介したようなタクシーは、移動手段を必要としている特定の人の役に立てるので、とくに「人」や「社会」に貢献できている実感を感じながら働くことができます。

タクシー運転手の平均年収以上を稼ぐ方法

タクシー運転手の働き方によっては平均年収以上に稼げるかもしれません。ここでは大きく3つ、タクシー運転手になるにあたってチェックすべきポイントをご紹介します。

給与形態が歩合制のタクシー会社を選ぶ

給与形態 給与の内訳 歩合の考え方
A型賃金 固定給+歩合給+賞与 タクシー会社が決めた売上を超えた分に発生する
AB型賃金 固定給+賞与(歩合) 歩合の一部が賞与として積み立てられ、
年数回に分けて支給される
B型賃金 完全歩合 タクシー会社のすべての月間売上×歩合率
が給与に直結する

タクシー運転手の給与形態は3種類ありますが、平均年収以上を稼ぎたいなら完全歩合の「B型賃金」を選びましょう。基本給が定められていないためやや不安定な働き方ではありますが、お客さまをたくさん乗せるだけ収入に反映されるのでやりがいを感じながら働けます。

ちなみに多くのタクシー会社では「AB型賃金」を取り入れていることが多いです。固定給で安定して働きつつ「B型賃金」と同じ歩合率で歩合がつくので、一番バランスの取れた稼ぎ方ができます。

歩合制で給与が支払われる仕組み

タクシー会社によって歩合率が決められており、基本50~60%です。この歩合率が高くなるほどタクシー運転手の収入の取り分が高くなります。

▼完全歩合「B型賃金」の月給計算方法
1日の売上(客単価 × 1日の送迎回数) × 1ヵ月の乗務回数 × 歩合率=月給

たとえば以下の条件で勤務したとすると、月給は40万9,500円になります。

  • 客単価:1,500円
  • 1日の送迎回数:35回
  • 1か月の乗務回数:13回(隔日勤務)
  • 歩合率:60%

タクシーの給料はこのように、個人の売上を会社が定める歩合率で計算して算出します。収入を少しでも増やしたい!という方は以下のポイントを意識して働きましょう。

  • 深夜~早朝の割増料金が発生する時間に送迎することで客単価を高める
  • 人通りの多い場所やイベントがある場所を狙って1日の送迎回数を増やす
  • 乗務回数を増やし、その分お客さまの送迎回数も増やす

売上を伸ばすことで歩合率が変動する場合もある

タクシー運転手の仕事に慣れて徐々に稼げるようになってきたら、その成果に応じて歩合率を上げる取り組みをしているタクシー会社もあります。

歩合率が上がれば手取りの収入もアップするので、体調不良などで働けないときは大変ですが、稼ぐコツを身に着けていくことで売上の取り分を増やしていくことが可能ですよ。

働き方を「隔日(かくじつ)勤務」にする

タクシー運転手には「昼日勤」「夜日勤」「隔日(かくじつ)勤務」の3タイプの働き方がありますが、なるべく収入を増やしたいという方は「隔日勤務」を選んでください。

隔日勤務は「一気に働いて休む」働き方

■隔日勤務

  • 1日働き、次の日は休むという働き方
  • 早朝に出勤し、翌日の深夜まで1回の勤務で17時間ほど拘束
  • 休憩を除くと実際に働く時間は約14時間

1回の勤務時間が長いので隔日勤務の働き方はきつそうに見えるかもしれませんが、昼日勤・夜日勤と1か月で見たときの労働時間にほとんど差はありません。時間帯によって変わる人出の多い場所を狙い、効率よく稼げるように工夫するとよいでしょう。

1回の勤務時間が長い分、月の勤務回数は11~13回と少ないです。1か月のうち半分は休日ということになるので、仕事のオンオフの切り替えがしやすいのが魅力。

深夜~早朝は割増料金で稼ぎ時

タクシーは夜の22時から早朝の5時まで割増料金になるので客単価がよくなります。また、終電後は飲み会帰りのお客さまが増える時間でもあるため稼ぐチャンスといえます。

今まで仕事で夜勤を経験したことがある方は、隔日勤務のうち深夜~早朝の時間を狙うとより効率的に稼ぐことができるでしょう。

稼ぎやすいエリアで働ける営業所を選ぶ

タクシー運転手は会社が所在を置く営業エリア(交通圏)内でタクシーを走らせながらお客さまを探す「流し営業」を行います。営業エリア外でお客さまを乗せるのはNGです。

タクシー運転手になるなら、以下のようなエリアを含む営業所をかまえるタクシー会社を選ぶことをおすすめします。

  • 観光地が多いエリア
  • イベント会場近くのエリア
  • 公共交通機関のアクセスが悪いエリア
  • 空港や駅・宿泊施設が近いエリア

タクシーを必要としている人が集まりやすい場所が営業所に含まれていると、お客さまを送迎する回数が増えやすくなるため稼ぎやすい傾向にあるでしょう。

タクシーの利用者が増える時間帯を狙いつつ、イベント情報や観光地が混む時期をキャッチアップしておくこともタクシー運転手として収入を増やすコツです。

タクシー運転手にトラブルはつきもの?

タクシー運転手は乗客とのトラブルや事故のリスクがあり「大変そう」というイメージや、時間を問わず働いていて「きつい」というイメージを持っている方も多いかもしれません。

タクシー運転手の安全性や働き方に対する最近のタクシー業界の動向から、そのイメージの実態を解説します。

ドライブレコーダーの導入で安全対策が強化されている

法人タクシーの99%にはドライブレコーダーが導入されています。ドライブレコーダーが付いていれば事故発生時の確認ができたり乗客とのトラブル時の対応に使うことができたりするので、乗客だけではなくドライバーの安全を守ることにも役立ちます。

また、ハイヤー・タクシーの交通事故防止対策や交通事故削減目標、運行管理の向上などによってタクシー運転手の仕事中のリスクは少しずつ軽減されています。

実際、タクシー・ハイヤーによる人身事故発生件数の推移は10年前の約4,700件と比較して半数以下の約2,000件まで減少しています。

東京のタクシー2023 TAXICABS IN TOKYO

タクシー運転手は働き方改革により労働環境が改善されている

1か月の
拘束時間
日勤:299時間
隔日勤務:原則262時間(最大270時間)
日勤:288時間
隔日勤務:現行通り
1日の
休息期間
日勤:継続8時間
隔日勤務:継続20時間
日勤:継続11時間(下限9時間)
隔日勤務:継続24間(下限22時間)

2024年の働き方改革関連法でタクシー運転手の労働時間に厳しい制限が設けられ、過重労働を防ぐ措置がとられます。タクシー運転手は長時間労働がきついというイメージは、この改正によって改善される見込みです。

タクシー運転手はドライバー未経験からでもなれる?

タクシー運転手はドライバー未経験でもなることができます。

  • タクシー運転手に必要な資格
  • タクシー運転手の平均年齢
  • タクシー運転手に向いている人
  • 未経験でも稼げるのか

について解説します。

二種免許を持っていなくてもタクシー会社への入社は可能

タクシー運転手として働くには「普通自動車第二種免許」の取得が必須ですが、タクシー業界は深刻な人手不足によりドライバー未経験OKの求人募集が増えています。

「普通自動車第二種免許」を持っていなくても、まずはタクシー会社に入社し会社のサポートを受けながら資格を取得することができるので、タクシー運転手は初心者に優しい職種です。

タクシー運転手の平均年齢は高め!いつでもチャレンジできる

タクシー運転手の平均年齢は58歳です。全産業労働者の平均年齢は44歳なので比較的遅めの転職でも、運転が得意でドライバーがしてみたいという意欲があればチャレンジしやすい職種と言えるでしょう。

タクシー運転手はこんな人に向いている

  • 運転が好き
    ・長時間の運転にも慣れていて苦ではない
    ・立ち仕事でずっと動いているより座っていた方が楽
  • おしゃべりが好き
    ・接客業の仕事をしたことがありお客さまへの対応に慣れている
    ・色々な人の話を聞けることが楽しいと感じる
  • 気遣いができる
    ・人の役に立てた瞬間に喜びを感じる
    ・周りが良く見えていて人の気持ちに敏感に気づくことができる
  • 頑張り屋さん
    ・数字が成果に出る方がやる気が湧くタイプ
    ・自分が頑張った分が給与に反映されると仕事にやりがい感じる

ドライバー未経験はタクシー会社選びを慎重に

ドライバー経験がなく、これからタクシー運転手になることを検討している方はタクシー会社を慎重に選ぶことで稼ぎやすくなるかもしれません。

  • 「大手」と言われるタクシー会社を選ぶ
    今までの実績やブランド力により集客力があったり、資本金が大きかったりするため安定した売上と収入が見込めます。
  • 最新技術を採用しているタクシー会社を選ぶ
    人の動きや天気をもとにタクシーの需要が予測が表示される「AI需要予測サービス」を導入しているタクシー会社に入社すれば、AIに頼りながら稼ぐコツをつかみやすいかもしれません。
  • 稼ぎやすいエリアを含む営業所で働く
    人出が多い場所・観光地・イベント会場がある場所など、タクシーの需要が高いエリアを含む営業所で働きましょう。需要が高まる時間帯・時期を狙うことでドライバー未経験でも効率的に稼ぐコツをつかみやすいです。

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