2023.06.19

ドライバー(運転手)の働き方改革「2024年問題」を知っていますか?

ドライバー(運転手)の働き方改革「2024年問題」を知っていますか?

トラックやバス・タクシーのドライバー(運転手)の働き方改革がいよいよ本格化し、2024年には残業時間の上限規制が設けられます。ほかの職種よりも働く時間が長かったドライバーの働く環境を改善し、健康や安全を確保する取り組みが加速するなか、話題になっているのが「2024年問題」です。

ドライバーの働き方改革の何が問題となっているのか、働き方がどう変わっていくのか解説します。

「2024年問題」って何?トラックもバスもタクシーも!ドライバー不足が深刻に

働き方改革で起こる、ドライバーの「2024年問題」

「2024年問題」という言葉を聞いたことはありますか。

働き方改革の一環で、長時間労働が多いドライバーの時間外労働(残業)に2024年4月1日から年間960時間までの上限規制が設けられることになりました。あわせて休息を取る時間や拘束時間の基準がこれまで以上に、働くドライバーの健康に配慮した内容に変更されます。

参考: 厚生労働省「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)
時間外労働の上限規制の適用猶予事業・業務

このようにドライバーの長時間労働が改善されるのは喜ばしいことです。

しかし規制が開始される以前から人手不足が続くドライバー業界にとって、長時間労働ができなくなった部分の仕事を支える新たなドライバーをどう確保していくのか、またドライバー不足によって起こる社会への影響が大きな問題となっており、こうした課題が「2024年問題」と呼ばれています。

「2024年問題」をさらに詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。

2024年問題とは?ドライバー不足の現状・原因・対策交えてわかりやすく解説

「2024年問題」で心配される社会への影響

ドライバー不足は決して運送会社やバス・タクシー会社だけの問題ではありません。ドライバー不足によって、一般の人の生活にも少なからぬ影響がでるでしょう。

たとえばネット通販で購入した品物の配送料が大きく値上がりしたり、希望する日程では届かなくなったりするかもしれません。タクシーがつかまらなくなったり、路線バスの廃止が進んだりするかもしれません。

これまで長時間働くことで稼いできたドライバーの皆さんも、働く時間が減った分だけ収入が減ってしまうかもしれません。収入が減れば、ドライバーを辞めてしまう人も増えるでしょう。稼げないからと辞める人が増えてドライバーがさらに不足する――。人手不足による悪循環が加速してしまいかねません。

「2024年問題」で解決すべきはドライバーの収入を増やすこと

「2024年問題」で焦点となっているのは、ドライバーの働く時間を減らし、いかにドライバーの収入を増やせるか、という点です。収入を増やすためには配送料や運賃を単純に値上げするだけなく、荷待ちや空車などの待機時間を減らして生産性を高めていくのが重要です。

運送には下請けの構造も多く、適正な価格設定となっているのか、フェアな取引関係となっているのかという点にも課題がありました。

これらの業界の課題が「2024年問題」でこれまでになく注目されていて、適正な取引関係・無理や無駄のない輸送を実現しようと、社会全体が取り組む機運が高まっています。

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トラックもバスもタクシーも!ドライバーが足りない理由

「2024年問題」で2024年以降のドライバー不足が心配されていますが、平成29年時点でもドライバーは全職種の有効求人倍率の2倍と、人手が圧倒的に足りていません。

ではなぜドライバーが不足しているのでしょうか。その理由は3つです。

【ドライバーが不足している理由】

  1. ①働く時間が長い(全職業平均より1~2割長く、時間外労働も2~3倍)
  2. ②給与が少なめ(全職業平均より1~2割少ない)
  3. ③高齢化の影響が大きい一方で、女性進出は進んでいない(全職業平均より平均年齢が3~17歳高く、女性比率は全職業平均の1割未満)

※参考:国土交通省「自動車運送事業の働き方改革について」(平成29年資料)

ドライバーが不足する背景に、働く時間や報酬の課題がありそうです。

そこで国は、長時間労働や報酬を改善する取り組みを進めています。

「働きやすい職場認証制度」で待遇改善が進むドライバーの職場

「働きやすい職場認証制度」とは、国土交通省が2020年から始めたトラック・バス・タクシードライバーの労働条件や労働環境を第三者機関が評価・認証する制度です。

以下の6つの分野で基本的な要件を満たしていると認定された企業が「働きやすい職場認証制度」のマークを取得できます。

【働きやすい職場認証制度】

  1. ①法令の遵守など
  2. ②労働時間・休日
  3. ③心身の健康
  4. ④安心・安定
  5. ⑤多様な人材の確保・育成
  6. ⑥自主性・先進性など
    ※⑥は二つ星のみ。一つ星では参考点として点数化。

認証マークには一つ星と二つ星があり、今後は三つ星の認証も行われる見通しです。星の数が増えるほど、高い水準で働きやすい職場づくりに取り組んでいると認定されていることになります。認証の有無をひとつの基準として職場を選ぶのがおすすめです。

認証されているかどうかは、以下のサイトで検索することができます。

運転者職場環境良好度認証制度 認証事業者一覧

こうした国や業界を挙げた働く環境や待遇改善が実を結びつつあり、各ドライバーが働く時間は減らしながら収入は増えているのが近年の統計からもうかがえます。

参考:厚生労働省「自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト

より効率的な業務が行えるよう、ドライバーの体制を工夫したり、待ち時間を減らしたり、ITを活用したりすることで、無理のない働き方の改善がはかられています。

まとめ:働きやすさが加速するドライバー。運転して社会を支えよう

2024年問題を控え、「働きやすい職場認証制度」で認証を受ける企業が増えています。業界全体で働き方や待遇の改善に本気で取り組んでおり、女性ドライバーも珍しくなくなってきました。

また企業や業界の努力だけでなく、利用する立場の業界や消費者がたとえば再配達や集荷待ちを減らし、デジタル技術を活用した効率的な配車に協力的になりつつあります。

ドライバーは日本の物流や交通を支える、なくてはならない重要な仕事。かつてのように無理な働き方をせずともしっかりと稼げ、男女の別なくやりがいをもって働ける職業です。

ドライバーとして働くなら、「働きやすい職場認証制度」で星のついている企業を検討してみてください。

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