ゲームテスターの仕事は主に次の3つに分類されます。

それぞれの工程でどんな業務を行うのか、詳しく解説していきます。

仕様のチェック

ゲームの仕様書とは、ゲームに入れたい機能や起こさせたいアクションなど、ゲームの動作を定義した設計書にあたるものです。

ゲームテスターのバイトは、仕様書に記載されている内容が実際のゲーム内で正しく反映されているかを確認する役割を担います。

プレイヤーが特定のスコアや成績を達成した場合、その結果に応じた報酬やアイテムが正しく支給されるか、ゲーム内のアイテムや武器が設定された性能を発揮しているかをチェックします。

また、BGMや効果音が意図されたタイミングで再生されているかといった視覚・聴覚に関わる要素を細かく検証するケースもあります。

操作性のチェック

操作性のチェックもゲームテスターの重要な仕事です。どれだけグラフィックやストーリーが優れていても、操作性が悪ければゲームプレイの満足度は下がってしまうでしょう。

ゲームテスターは、プレイヤーの視点から操作が直感的であるか、ボタンの反応や操作と画面表示のタイミングがスムーズかなど、ユーザー体験を左右する操作感を検証します。

また、コントローラーやタッチスクリーンなどでの操作が快適かどうかもチェックし、ユーザーがストレスなくゲームを楽しめるように改善点を報告します。

不具合の報告・再テスト

ゲームの開発段階では、バグや不具合が頻繁に発生します。例えば、特定の操作を行うと画面がフリーズしてしまったり、キャラクターが予期せぬ動きをしたり、BGMが停止したりすることも少なくありません。

こうした不具合に遭遇した際は、発生時の状況や不具合の内容をなるべく詳細にまとめて報告し、修正後に再テストします。

また、修正後には再度テストを行い、同じ問題が解決されたかを確認します。このプロセスでは、バグが再現可能かどうかを確認するために同じシチュエーションを何度も繰り返しテストすることが求められ、粘り強さと注意深さが必要です。

不具合の原因を特定し、適切に対処するための報告スキルも重要ですよ。

ゲームテスターのほかにゲームデバッガーと呼ばれる仕事もあります。よく似ている仕事ではあるものの、両者には明確な違いが存在します。

ゲームテスターの仕事内容は、開発途中のゲームをテストしたり検証したりしてバグを見つけることです。一方でゲームデバッガーは、ゲームテスターが見つけたバグを修正するのがおもな業務とされています。

ただし、企業によってはゲームテスターが行う業務をゲームデバッガーが行うことも少なくありません。そのため、ゲームテスターを探しているのであれば、同時にゲームデバッガーの募集もチェックしておくとよいでしょう。

2024年9月時点、バイトルの求人サイトに掲載されている「ゲームクリエイター・デバッグ/デバッガー・テスター」の求人の平均時給（関東地方）は1,216円です。

求人によっては、時給制ではなく1プレイいくらといったように歩合制や出来高制を採用している場合もあるようです。夜勤の場合、日勤よりも単価を上げて募集されているケースもあり、効率的に稼ぎたい人にも向いています。

専門的なスキルや経験を着実に積んでいけば正社員登用につながる場合もあり、好きな分野でキャリアのステップアップも目指せるでしょう。

ゲームのテスト・デバッグは、8時間のフルタイム勤務もあれば、短時間で働ける求人もあります。シフト制で決まった時間に働けるバイトなら、大学生やダブルワークを希望する人でも働きやすいでしょう。

勤務時間は企業によってさまざまなので、希望に合う勤務時間の募集を探してみましょう。

ゲームテスターのバイトは、同じゲームの同じ場面を何度も繰り返しプレイし、チェックする作業を含みます。特にバグが修正されているかを見たり、仕様通りに動作しているかを確認するために、非常に細かい部分まで集中してチェックする必要があります。

このような繰り返しが人によっては単調に感じられるため、単純作業が苦手な人にとっては負担が大きくなりがちかもしれません。

ただし、不具合を見つけた時の達成感や、ゲームをよりよいものに改善できたという実感を得られる人にとっては、単純作業でもやりがいを感じられるでしょう。

プライベートで好きなゲームを自由にプレイする感覚とは異なり、ゲームテスターの仕事では指示された作業を集中して行わなければなりません。

長時間座って作業をすることに加え、終始ゲーム画面を見ていなければならないため、特に目・首・肩が疲れやすくなるでしょう。ゲームテスターは体を動かすタイプの仕事ではないものの、体力的な負担も考えて目の疲れや肩こりなどの対策が必要です。

チェックするゲームは案件次第となるため、自分の好きなタイトルやジャンルを選べるわけではありません。そのため、好きなジャンルが限られている、苦手なジャンルがあるといった場合、同じ作業を繰り返すと苦痛に感じることがあります。

募集している企業が作っているゲームを調べてから応募することで、ある程度好みのゲームに触れる確率は上がります。ただし、必ず狙ったゲームに携われるわけではないことは念頭に置いておきましょう。

ゲームテスターは、まだ世に出ていない開発段階のゲームを、一般のユーザーに先駆けてプレイできる点は、メリットの一つです。ゲームの開発に携わり、ゲームの改善に貢献しているという特別感や充実感も得られます。

また、テストプレイのため、通常はできない特別な設定でプレイできることも、ゲームが好きな人にとっては貴重な体験になるでしょう。

ゲームテスターのバイトをしていると、ほかのゲーム関連の仕事に接することができます。そのため、将来ゲーム業界で働きたい方にもおすすめです。

最初はゲームテスターとして経験を積み、のちにゲーム開発やデザイナーとしてキャリアを築いていくケースも少なくありません。積極的に勉強する姿勢で取り組めば、チームでの評価が上がり、よりレベルの高い仕事を任せてもらえる可能性もあります。

ゲーム業界でのキャリアアップを考えている方にとっては、ゲームテスターのバイトは将来を見据えられるやりがいのある仕事といえるでしょう。

企業によっては、在宅ワークを可能としているなど勤務地・勤務時間を自由に選べるケースもあります。

ゲームテスターの仕事は発売前のゲームをプレイするため、以前はセキュリティの観点から在宅ワークが許されるケースはほとんどありませんでした。しかし、コロナ禍で働き方が多様化したことをきっかけに、徐々に在宅ワークをOKとする企業が増えています。

在宅で作業ができれば、学生や副業としてバイトをする方でも空いた時間に取り組むことが可能です。また、職場であるゲームメーカーのオフィスが遠方にあっても勤務しやすく、交通費もかからないのは大きなメリットといえます。

ゲームテスターに興味を持つきっかけは「ゲーム好き」であることからつながるケースも少なくないでしょう。同じゲームを長時間プレイし、細かくチェックしていくゲームテスターの作業は、ゲーム好きだからこそ楽しみながらできるバイトかもしれません。

日頃から幅広くゲームを好んでプレイしている人は、プレイヤーとしての視点だけでなく開発する側の視点にも興味を持てるようになるはずです。そのため、ゲームテスターのバイトは魅力的に感じますよ。

ゲームテスターの仕事は長時間にわたって同じ作業を繰り返すことが多いため、高い集中力が求められます。単調な作業を続けながらも、不具合がないかどうか常にプレイ画面を見て意識を集中しておかなければなりません。

黙々と作業をするのが好きな方、ものごとに没頭できる方はゲームテスターのバイトに向いているといえるでしょう。

ゲームテスターの仕事は基本的に個人で行う仕事のため、「接客業は苦手」という方でも抵抗なく取り組めます。ただし、全くコミュニケーション能力が必要ないというわけではありません。仕事である以上、基本的な連絡は必要です。

また、ゲームテスターはチームで動くことが多く、ほかのスタッフやゲームメーカーの社員とやり取りする機会もあります。基本的には一人仕事であるものの、最低限のコミュニケーション能力は持ち合わせていなければなりません。

ゲームテスターのバイトは単純作業が多いので、根気強く取り組む姿勢が求められます。また、仕事によっては納期が間近に迫っていて急ピッチで進めなければいけないときもあるでしょう。

時間的に余裕がないときでも粘り強く着実に作業できる忍耐強さを持っている人は、ゲームテスターの適正が高いといえます。逆にいえば、うまくいかないとすぐに諦めてしまうタイプの方は長続きせず、ゲームテスターの仕事は向いていないことが多いでしょう。

ゲームテスターの仕事では、プログラミングスキルを使う場面はありません。ただし、プログラミングスキルを持っていると、不具合を発見した際、その原因を想像しやすくなるという利点があります。

また、不具合を修正するプログラマーの立場に立って作業を進められるので、コミュニケーションが円滑に進みやすく、重宝される場面もあるでしょう。仕事の効率を高めて結果を出したいと考えているのであれば、プログラミングスキルを習得しておいて損はありません。

ゲームテストの結果を報告する際は、WordやExcelなどを使うことがほとんどです。そのため、ある程度のOfficeソフトの操作スキルがあると役立つでしょう。

また、求人によっては最低限のOfficeソフトの操作スキルを応募条件にしている場合もあります。念のため、応募前に確認しておくとよいでしょう。

ゲームテスターのバイトは、顧客を相手にサービスをする仕事ではありません。ただし、チーム内や管理者との関わりがあるため、コミュニケーション能力が高い人材は歓迎されるでしょう。

特に報告の際は、テスト結果を正確かつわかりやすく相手に伝えることが重要です。そのため、コミュニケーション能力はもとより、感じたことをうまく言語化できる力も求められます。

コミュニケーションスキルがある方や文章を書くのが好き、言語化能力がある方はスキルを活かせるでしょう。

テストエンジニアという職種の資格試験の一つです。仕様確認やバグの確認テストを行うという点ではゲームテスターと共通している部分があります。ゲームテスターに限らずIT業界全般で活かせる資格のため持っていても損はないでしょう。

テストの難易度は7段階に分かれています。テストを実行し問題を報告する基礎的なレベル1から、業界に影響を与えられるような上級コンサルタントを想定したレベル7まで用意しているので、希望に合わせて試験を受けることが可能です。

ソフトウェアテスト技術者としての知識やスキルを証明するための資格です。ゲームに限らず幅広い業界で扱われているソフトウェアの知識を学ぶことができます。

合格すると、テスターとして一定のスキルを保持していることの証明が可能です。過去平均合格率はテスターとして基礎レベルを問われる「Foundation Level」60％前後で、ハイレベルな技術者に向けた「Advanced Level」は20％前後とされています。

ソフトウェアの品質向上を目的とした認定資格です。試験は初級・中級・上級の3段階になっていますが、初級でも合格率は30％と全体的に難易度が高い資格試験として知られています。

中級になると10％とさらに難易度が跳ね上がる難関試験です。受験する場合は、計画的に勉強する必要があるでしょう。

MOSとも呼ばれ、マイクロソフトのOffice製品に関する知識やスキルを証明できる資格です。WordやExcel、Power Pointなどソフトごとに試験があり、報告資料の作成時に役立つでしょう。

基本的な操作を問う一般レベルであれば合格率は80％とされています。それほど難易度は高くないので、きちんと準備しておけば十分に合格できるでしょう。

ゲームテスターのバイトは公開前のゲームをプレイするため、勤務を始める前に守秘義務契約を結びます。新しいゲームをプレイできれば周囲に話したくなってしまうこともあるかもしれませんが、ゲームの内容の口外はご法度です。

契約に違反して情報を漏らしてしまった場合、損害賠償を請求される可能性もあるため、家族や親しい友人にもうっかり口を滑らせないように注意しましょう。

ゲームをプレイしているため勘違いしがちですが、ゲームテスターは立派な仕事です。プライベートで好きなようにゲームをプレイする感覚とは違うと認識しておきましょう。

また、チームを組み複数人と協力して作業を行うこともあります。不具合やバグがないか見つけるためにも、目的意識や責任感を持って取り組むようにしましょう。