2023.10.10

車に使われるシャーシとは?役割から種類までくわしく解説!

車に使われるシャーシとは?役割から種類までくわしく解説!

自動車を製造するうえで欠かせない「シャーシ」について知っていますか?
実はシャーシには乗用車やトラックに使われるもの以外にも様々な種類があり、それによって役割も異なります。
シャーシと混同されがちな部品があるので、その違いについてもみていきましょう。
この記事ではシャーシについて徹底的に解説していきます。
自動車業界や製造業に興味のある人の参考になれば幸いです。

そもそもシャーシって?

そもそも「シャーシ」とは何でしょうか。
聞き馴染みがなかったり、その基本的な役割を知らなかったりといった人も多いのではないでしょうか。
以下では「シャーシ」の語源から一般的な役割を紹介します。

シャーシの語源

シャーシはフランス語で「骨組み」や「枠組み」を意味する単語で「シャシ」と呼びます。
「châssis」と綴り、英語でもおなじ綴りで、「シャシー」と呼ばれることが多いですが、日本では一般的に「シャーシ」と呼びます。
ただし、業界によっても呼び方が異なる場合があるので、紹介した3つの呼び方は覚えておくと良いでしょう。

シャーシの役割

シャーシは、乗用車やトラックなどの自動車において、重要な役割を果たしています。

乗用車では、車体を支える部分として使用され、エンジンを含まない車体以外の部分を指します。トラックでは、ボディ(荷台)を載せる車輪がついた骨組みの部分を指し、シャーシの強度や耐久性が荷物の運搬に影響します。

このように、シャーシは、車体の安定性や強度を保つために必要な部品であり、荷物の運搬を支える大きな役割をもっています。

シャーシは何に使用されている?

シャーシは乗用車やトラックだけに使用されているものではありません。
自動車以外にも多くのもので使用されています。
ここでは、シャーシが一体何に使用されているのか整理して確認していきます。
簡単に「車両」と「車両以外」でまとめているので、まずは大枠を理解していきましょう。

車両

シャーシは乗用車やトラックで主に使用されていますが、それぞれシャーシが指し示す部分は異なります。
乗用車の場合は外側のボディを除いた骨格部分で、主に「モノコック」がそれにあたります。
「モノコック」については次のパートで詳しく説明します。

一方で、トラックのシャーシは主にコンテナや貨物を載せて運搬する役割を担います。シャーシは、車体の骨格となり、エンジン、トランスミッション、サスペンション、ブレーキなどの重要な部品を支えるための部分になります。

また、おもちゃのミニ四駆でも乗用車と同じようにモノコックとしてシャーシが使われているなど、身近なところにもシャーシに触れる機会があります。

車両以外

シャーシは車両以外にも使用されています。
例えば、飛行機がその代表例であり、着陸時の衝撃を吸収する降着装置の中でも、胴体や翼を除いた部分を指します。これは安全かつ頑丈な構造を作り出すために設計されているからです。

また、コンピュータにも使用されています。
マザーボードや磁気ディスクといった精密機器を収納している枠組みの部分を指し、シャーシは、これらの機器を保護するために必要な重要な役割を担っています。

このように、乗用車やトラック以外にもシャーシが使用されている機械は多くあります。

乗用車のシャーシの種類とそれぞれの役割について

乗用車におけるシャーシには様々な種類があります。
ここでは代表的な3種類を紹介します。
どれも指し示す部分や役割が異なっているので、それぞれの違いを理解しましょう。

モノコック

モノコックボディとは、現代の乗用車において主流となっている車体構造の1つです。この構造は、ボディとシャーシが一体構造となっているため、車両が頑丈になり、安定性が増します。
また、モノコックボディは、車両の軽量化にもつながります。この軽量化により、燃費の向上や加速性能の向上が期待できます。
他にも、モノコックボディは衝撃を吸収する構造になっており、衝突時に車内の人々への衝撃を和らげるという重要な役割を果たしています。

ラダーフレーム

モノコックボディとは異なり、ラダーフレームボディは、フレームとボディが別々になっていて、フレームによって車体が支えられている構造を持つ車体です。ラダーフレームと呼ばれる理由は、上から見ると梯子(ラダー)のような形状をしているからです。
ちなみに、ラダーフレームボディは、大型車やSUVなど、重い荷物を積載する必要がある車種に採用されることが多いです。
車体全体をしっかりと支えることができ、耐久性に優れており、悪路などでも安定した走行が可能なのが特徴です。

トラックのシャーシの種類とそれぞれの役割について

トラックに使用されるシャーシにもいくつか種類があります。
以下では代表的な3つのシャーシについて紹介します。
乗用車との違いに注意しながら、それぞれの特徴をみていきましょう。

MG付シャーシ

トラックで使用されるシャーシには、MG付シャーシがあります。このシャーシは、定温輸送コンテナ(リーファーコンテナ)の陸上輸送に用いられるトレーラーの車体です。MG付シャーシには、モータージェネレーター(MG)が搭載されており、電力発電機の役割を担います。

輸送業務において、リーファーコンテナの適切な温度管理が求められるため、MG付シャーシの役割は非常に重要になってきます。

よって、その発電機能で長距離輸送が可能な点が強みといえるでしょう。

トラック運送業界において重要な役割を果たしており、多くの運送会社が利用している構造です。

2軸シャーシ

2軸シャーシとは、シャーシ部分の後輪のタイヤ部分の軸が2本あるものであり、3軸シャーシよりも積載重量が軽く、燃費が良いという利点があります。また、2軸シャーシは小回りが利くため、都市部の配送に向いています。
3軸シャーシとの違いを考慮したうえで、扱う荷物や配達条件に沿い、上手く選択して運用されています。

3軸シャーシ

トラックで使用されるシャーシの中で、後輪部分の軸が2本ある2軸シャーシに対し、3本の軸があるのが3軸シャーシと呼ばれます。3軸シャーシは、より大きな積載量を可能にし、車両の安定性や耐荷重性を向上させ、長距離輸送に適しています。

また、3軸シャーシは様々な用途にも使用されます。例えば、建設現場での土砂運搬や、大量の荷物を積載する移動販売車などにも適しています。
さらに、3軸シャーシは燃費面でも優れているのが特徴です。

このように、基本的には2軸シャーシよりも重い荷物を長距離運ぶことに適している構造です。

その他のシャーシの種類は何がある?

前述したように、飛行機や電子機器、コンピュータなど、自動車以外にもシャーシは使われています。
以下では、それぞれのシャーシの役割について簡単に説明していきます。

飛行機のシャーシ

飛行機のシャーシは胴体や翼を含まない、降着装置を指して「シャーシ」と呼ばれることがありますが、日本では車両以外、特に飛行機については「シャーシ」の呼称には馴染みがないです。
シャーシ(降着装置)は、着陸や離陸時に機体を支える役割を果たしており、シャーシがなければ飛行機は着陸や離陸ができなくなってしまいます。
また、シャーシは降着の役割だけでなく、機体の安定性や操縦性にも影響を与える重要な装置です。
このように、シャーシは飛行機においても必須といえる重要な部分を担っています。

電子機器のシャーシ

電子機器におけるシャーシとは、主にメタルフレームで基盤やその他の電子部品が付けられている部分を指しています。つまり、電子機器においては、シャーシは装置の骨格のようなものであり、基盤やその他の電子部品が装着される場所として機能します。
他にも、シャーシの役割として本体の安定性を確保するだけでなく、配線の整理や冷却機能といったものもあります。

コンピュータのシャーシ

コンピュータ、主にPCにおいては、シャーシは、マザーボードやハードディスク、電源などの部品を収納するための基盤となる重要な部品です。
また、コンピューターの内部コンポーネントを固定し、保護するだけでなく、冷却するためのファンやヒートシンクを取り付ける部分でもあります。

他にも、単に筐体(コンピュータの外側のはこ)を指す場合もあります。

シャーシと混同されがちな部品について

シャーシはよくフレーム、コンテナ、トレーラーと混同されます。
しかし、これらは全くの別物なので、しっかりとそれらの区別を理解しておきましょう。以下では、よく混同される3つについて、シャーシとの違いを解説していきます。

フレームとの違い

フレームとシャーシは自動車の構造において異なる役割を担っています。フレームは自動車を組み立て成形していく際の骨格部分として、車体を支える重要な部分です。
そのフレームにエンジン・タイヤなどの各パーツを取り付け、走行可能な状態のものをシャーシと呼びます。
シャーシは、フレームに取り付けられたエンジンやタイヤなどの部品が載っている上に、足回りやブレーキ、ステアリングなどの装置も備わっており、自動車の安全性や快適性にとって欠かせない部分です。

コンテナとの違い

コンテナとは、主に荷物などを保管・運搬するために作られた鉄製の容器であり、船舶やトラック、鉄道などのさまざまな交通手段で使用され、荷物の効率的な輸送に欠かせないものとなっています。
一方、シャーシは、コンテナを乗せることができる鉄製の枠組みのことです。コンテナとシャーシは、セットで使用されることが多く、コンテナを安全かつ効率的に輸送するために欠かせない存在となっています。

トレーラーとの違い

シャーシの上にコンテナを載せたものを「トラクター」と呼び、車輪がなく、トラックに引っ張られて輸送される部分を指します。トラックとトレーラーを合わせて「トレーラー」と表現されることが一般的です。

まとめ

ここまで、乗用車やトラックを中心に身近なものに使われているシャーシについて詳しく解説してきました。

自動車のシャーシには、様々な種類があります。例えば、モノコック、ラダーフレーム、MG付シャーシなどです。それぞれに役割があり、特徴も異なります。
また、シャーシは自動車の安全性にも関わっています。シャーシの種類や役割についての知識を持つことで、自動車の安全性について理解することができます。

加えて、自動車以外にも様々な機械にシャーシと呼ばれる部分があることも分かりました。

シャーシについて知ることで、自動車や飛行機、コンピュータなどの構造について理解を深めることができます。ぜひ、より一層知識を身につけて、仕事や就活に役立ててください。

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