2023.10.13

半導体製造工場の仕事内容と工程を徹底解説!向いている人とは?

半導体製造工場の仕事内容と工程を徹底解説!向いている人とは?

半導体技術は市場規模が大きく、私たちの日常生活において欠かせない存在です。しかし、半導体を直接目にする機会が少ないことから、半導体製造工場での働き方や仕事内容についてイメージできない人は多いのではないでしょうか。

この記事では、半導体とは何か、その製造プロセスと仕事内容、工場での1日のスケジュール、年収、働くメリットとデメリットについて詳しく解説します。

半導体とは?何に使われているの?

「半導体」という単語を昨今よく耳にしますが、そもそも半導体とは何か、何に使われているのかわかりやすく解説します。

半導体とは、電気を通す「導体」と電気を通さない「絶縁体」の中間の性質を持つ物質のことを指します。シリコンやゲルマニウムなどの物質がこれに該当します。

これらの物質は、純粋な状態では電気をあまり通しませんが、特定の方法で処理することで、電気の通り方を制御することができるようになります。

この電気を通したり、通さなかったりする通電制御の性質が、半導体の最大の特徴です。この特性を活用して、電気の流れを細かく制御することで、情報の処理や伝送が可能となります。

このため、半導体はスマホやテレビ、エアコンといった家電製品から、銀行のATMや監視カメラなどのインフラに至るまで、多岐にわたる製品やシステムに組み込まれています。

現代社会において、情報技術や電子機器が日常のあらゆる場面で利用されていることを考えると、半導体の役割は非常に大きいと言えます。

半導体の仕事内容を工程ごとに解説!

社会に欠かせない存在である半導体ですが、半導体の製造総工程数は400~600に及びます。今回は、人が行う仕事内容と機械が行う業務を分けて工程ごとに説明します。

半導体の作業工程は大きく3つに分けることができます。

  • 設計:フォトマスクを作成する工程、回路パターン、レイアウト設計を行う工程
  • 前工程:シリコンウェーハ上に、半導体チップを作る工程
  • 後工程:ウェーハからチップを切断して、製品として組み立てる工程

3つの工程の中で、人が主に行う業務は以下の4つの作業になります。

  • マシンオペレーター
  • 組み立て
  • 検査・検品
  • 運搬・出荷作業

※厚生労働省「半導体製造

マシンオペレーター

マシンオペレーターは、半導体製造の中心となる役割を担います。その主な業務は、薄い円盤状の基板、ウェーハの製造と、そのウェーハに微細な回路パターンを描くための機械操作です。

ウェーハは、半導体の心臓部とも言える部分で、その品質が製品の性能に直接影響します。したがって、ウェーハの製造プロセスは極めて重要となります。オペレーターの役割は、このウェーハを均一に製造することです。

また、ウェーハ上にパターンを形成する技術、リソグラフィーは、半導体の微細な回路を正確に再現するための必須の工程です。このプロセスは、高度な技術を要求される部分であり、オペレーターがその機械を適切に操作することが求められます。

正確な操作が要求される一方、機械は使いやすい設計となっており、マニュアルを確認しながら初心者でも操作を習得することができます。

組み立て

半導体の組み立て工程では、微細な回路を形成するために、多数の部品を正確に配置する必要があります。

これには、高度な技術と精密な機器の操作が求められます。人が行う手作業とロボットの活用により、半導体の組み立てが行われます。

高度な技術や精密な機器の操作能力が必要ですが、現場では、経験豊富な先輩たちがしっかりとサポートしてくれます。さらに、ロボットを活用して効率的に作業を行う場面も多いため、初心者でも安心して技術を習得することができます。

検査・検品

半導体製品の品質は、実際の機能性や性能に大きく影響します。そのため、製造工程においての検査・検品は非常に重要です。

具体的には、各機能や信頼性に応じた試験が行われます。特に、微細な部分を確認するために、高度な機器や電子顕微鏡を用いることも少なくありません。

人の専門的な知識と機械の精密さが組み合わさって、高品質な半導体の製造をサポートしています。

運搬・出荷作業

半導体製品が完成したら次は運搬・出荷のステップです。

ここでの主な役割は、製品を確実に保護するための適切なパッケージング。大部分のパッケージングは機械で行われますが、最終チェックや微調整は人の手が必要です。

半導体は繊細なので、その取り扱いには特別な注意が必要になります。重労働ではないものの、細心の注意を要します。出荷前の最後のチェックや、特定の状況での手作業のパッケージングなど、人の目と手の緻密さが重要なポイントです。

応募の際には、各工場ごとに担当する作業が異なることもあるため、求人によって業務内容を選択できる可能性があります。ただ、特定の作業、「組み立てのみ」といった限定的な業務内容だけでなく、「検査と組み立て」といった複数の業務を兼務する求人が多いです。

半導体製造工場で働く1日のスケジュールイメージ

半導体製造工場では、通電状態を維持しなければならない装置があるため、ほとんどの場合24時間稼働しており、2~3交代のシフト制になることが多いです。

ここからは、半導体工場の1日のスケジュールイメージを紹介します。

日勤の場合

時間 スケジュール
7:45 朝礼
8:00 業務開始
10:30~10:40 休憩
10:40 業務再開
12:00~13:00 昼休憩
13:00 午後の業務開始
15:00~15:10 休憩
15:10 業務開始
17:00 片付け後退社

夜勤の場合

時間 スケジュール
19:45 朝礼
20:00 業務開始
22:30~20:45 休憩
20:45 業務再開
22:00~22:10 休憩
22:10 業務開始
1:30~1:45 休憩
1:45 業務開始
5:00 片付け後退社

神経を使う繊細な業務が多いため、昼休みのほかに午前と午後に短い休憩をとっている工場が多いのが特徴です。工場によって、オペレートするマシンが異なったり、午前と午後で勤務時間が分かれるなど、働き方も異なる場合があります。

シフトの組み方

休みは、工場によってシステムが異なり、日勤と夜勤の2交代、または夕勤をはさんだ3交代制や2勤2休や4勤2休などの形式が採用されています。勤務時間が毎回変わることもあり、日勤と夜勤がローテーションになっている場合もあります。

2交代制の場合は、1日の仕事時間が長くなるものの、その分休みも多くなるため、12時間勤務になります。

工場によっては、日勤メイン、夜勤メインのような場所があり夜勤メインなら年間の9割程度が夜勤となります。

1日12時間勤務形態の工場で働くと、1日の仕事時間が長くなりますが、その分年間休日が多くなります。反対に、1日8時間勤務のところは1日の仕事時間が短いですが、年間休日は一般的な会社員とほぼ同じ年間休日になります。

半導体製造工場の年収は?

半導体工場の平均年収は412.7万円です。求人平均月給は、21.5万円と一般的な製造工場より給与が高く、稼ぎやすいといわれています。

つまり、半導体工場での仕事は、高収入を得られるだけでなく、将来性もある仕事です。

半導体製造工場で働くメリット

ここからは、半導体工場で働く魅力について紹介します。

給料が高めで稼ぎやすい

半導体は需要が高いため、正社員の平均年収は700万~1000万円といわれており、平均年収が高い傾向があります。

また、正社員だけでなく派遣社員や期間従業員の時給も高い傾向にあります。バイトルNEXTの平均時給を見ると、エリア問わずどこでも1,500円超えと高時給となっています。

肉体労働が少なく身体的負担が少ない

半導体工場では、主に「機械の管理」と「製品の検査」の仕事が中心です。肉体労働はほとんどなく、部品を運ぶ作業もあるものの重いものを持つことはほとんどありません。

作業内容は、前の工程から送られてくる製品を機械にセットすることや、自動で運ぶ無人搬送車(AGV)に製品を乗せることが主な業務となるため、女性も安心して働ける環境が整っています。

半導体製造の現場では、力仕事ではなく、繊細な作業スキルと機械の操作といった知識が求められます。

未経験でも働きやすい

半導体工場では、多くの工程があるように思われますが、実際には機械の操作など、マニュアルに従って進める単純作業が多いです。

そのため、特別な資格が必要なく、誰でも働き始めることができます。ただし、資格を取得すれば、より専門的な業務に携わることができます。興味や能力に応じて、キャリアの方向性を選ぶことができます。

半導体工場によっては、技術者や作業員に必要な知識やスキルを身につけるための研修や資格取得制度もあるので、応募の前に求人詳細を確認しておきましょう。

▼取得することができる資格・試験一覧

  • 半導体製品製造技能士:半導体を作る技術のプロフェッショナル認定
  • 半導体技術者検定:半導体の作り方や構造に関する知識の試験
  • ディジタル技術検定:コンピュータやインターネットの基本知識の試験
  • CAD利用技術者試験:コンピュータで図面を描く技術の試験
  • 機械保全技能検定:機械を修理・保守する技術の試験

きれいな作業環境で快適に働きやすい

半導体工場は、チリやほこりが製品に入ってはいけないため、完全屋内&クリーンルームでの作業が行われます。クリーンルーム内は温度管理が厳重に行われ、冷暖房が完備されているため、快適な作業環境で作業を行うことができます。

工場の「汚い」という一般的なイメージとはかけ離れた、清潔感あふれる作業環境が特徴です。

将来性があり、雇用が安定している

半導体工場は、最新の技術と進化する製造プロセスが活用されていることから、最先端技術に興味がある人にとって、日々の作業にやりがいを感じられます。

半導体は、スマートフォンやコンピュータ、そして車や家電製品など、現代生活に欠かせない要素です。そのため、半導体の需要逼迫は未だ収まらず、人材確保がより必要です。国としても半導体技術発展に力をいれていることから、雇用が安定しており、時代の変化に影響されにくいです。

※経済産業省「半導体・デジタル産業戦略

半導体製造工場で働くデメリット

ここまで、半導体工場で働く魅力について紹介してきました。ここからは、反対に働く前に知っておきたい注意点について紹介します。

勤務時間が不規則になる

半導体製造工場は24時間稼働しているため、シフト制の勤務となり、初めは勤務時間の不規則さに慣れる必要があります。しかし、多くの工場では、従業員の健康とワークライフバランスを考慮し、適切な休憩時間や休日を設け、ローテーションを定期的に行うことで体調管理をサポートしています。

立ち仕事が中心となる工程もありますが、それによる足腰の負担を軽減するための工夫やサポート、適切な靴やマットの提供などが行われています。また、検査工程などでは座っての作業も多く、体の負担を分散させることができます。

単純作業が多い

半導体製造工場では、工程ごとに担当が決められ、特定の作業に集中することが一般的です。

そのため、仕事自体は簡単なものが多く、初めての人でもすぐに慣れることができます。しかし、作業が簡単な分、人によっては単純作業の繰り返しが負担になることもあります。

よりやりがいを感じたいという人には、資格取得を目指すことがおすすめです。例えば、半導体技術者検定やCAD利用技術者試験などの資格を持っていると、設計やプロセス開発、品質管理など、より高度な技術が求められる部署での作業にも携わることができるようになります。

資格を取得することで、技術者としてのキャリアを築くことができるでしょう。

半導体工場での仕事は、単純作業の繰り返しであることもあれば、専門的な技術を追求する道もあるので、自分に合った働き方を見つけましょう。

勤務中におしゃれはできない

半導体工場での作業には、製品に影響を及ぼす微細なチリやほこりを防ぐために、厳格なルールがあります。例えば、ピアスやネックレスの着用は通常禁止され、化粧もNGの場合があります。

化粧ができないことに抵抗を感じる方もいるかもしれませんが、クリーンルームでの作業時の服装は、防塵服、マスク、ゴーグルを着用するため顔のほとんどが覆われており化粧をしていないことが目立ちません。

なかには、化粧をしないことで朝の準備が楽という声もあるようです。

また、クリーンルームに入る前では、髪型や服装に関しては自由な場所が多いのでそこまで縛られることはありません。

半導体製造工場で働くのに向いている人は?

続いて、半導体勤務に向いている人について紹介します。

長時間作業をすることが苦痛ではない人

半導体工場で働く場合、場所によってはノルマがある場合があります。このノルマは、製造プロセスの効率と品質を維持するために必要なもので、注意力が切れたり、手を休めたり、ミスをした場合には達成できないこともあります。

しかし、慣れると手順の流れや作業のリズムを掴むことができ、その中で小さな達成感や楽しみを見つけることもできます。

経験を積むにつれて、効率的な作業方法を見つけ出せるようになり、ノルマへのプレッシャーも少しずつ軽減されるでしょう。

責任感のある人

半導体工場では、機械操作に加えて検査も行います。 半導体の検査は微細で、専用の顕微鏡を使って外観に違いがないかチェックしていかなければなりません。

検査の際に異常を見落とすと、損失につながるため、責任感を持って検査を行う必要があります。 責任感を持って取り組める方は、半導体工場での勤務に向いています。

細かい作業が好きな人

業務のひとつである「組み立て」を行う際には、小さな部品を扱うため非常に繊細な作業になります。そのため、大雑把な方や手先が不器用な方だと、仕事を思うように進められない可能性があります。

しかし、業務に慣れてくると大雑把な性格の方や、初めての方でも、マニュアルを元に部品の組み合わせや配置のコツをつかむことができます。そして、正確に組み上げられた時の達成感や、次第に自分なりの工夫を取り入れて効率的に作業を進める楽しみを見つけられるはずです。

もくもくと作業をするのが好きな人

自分が担当する工程を繰り返し行うことになります。作業は流れ作業ですが、自分の担当箇所をこなしていれば、他の人に迷惑をかけることなくコミュニケーションをとる必要もありません。

最低限の挨拶などのコミュニケーションが必要ですが、人付き合いやおしゃべりが苦手な人に向いているといわれています。

まとめ

半導体は、現代の多岐にわたる技術と製品に欠かせない存在で、私たちの生活に深く根付いています。工程自体は精密で難しく感じるかもしれませんが、近年では徹底した機械化とマニュアル化が進んでおり、未経験者でも働きやすい環境が整っています。

時給も比較的高く、安定しているため、働きやすさも魅力の一つです。

特に2022年の世界的な半導体不足は、需要の更なる加速化をもたらしました。工場での人材ニーズも高まると予測されているので、条件がどんどん改善されていくことが期待できます。関心があれば、求人内容を確認してみるのがおすすめです。

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