正社員登用制度とは、非正規雇用であるアルバイト・パートから正規雇用である正社員へ登用する制度のことをいいます。この制度はすべての企業で採用されているわけではありません。また、採用している企業によって条件や基準が異なります。

正社員登用制度を採用していない企業でもアルバイト・パートから正社員となるケースが絶対にないわけではありませんが、制度を採用している企業では、比較的多く見られます。将来的に正社員として働きたいという希望でアルバイトを選ぶ場合、正社員登用制度を採用する企業で働く方が可能性は高いでしょう。

しかしながら、アルバイト・パートから正社員をめざす場合に「正社員登用制度あり」と求人情報に書かれている企業を選べば必ず正社員になれるというわけではありません。アルバイト・パートとして働き、その働きぶりがよく、企業の内部基準を満たしている場合は「登用のチャンスがある」という程度と考えておきましょう。

アルバイト・パート時期が長いとしても、企業にとって正社員としてほしい人材でなければ登用は難しいといえます。どのような人が登用されやすいでしょうか。 魅力的にうつるのは、下記のようなポイントです。

・コミュニケーション能力が高い
・社会人としての基本的なマナー（あいさつや無遅刻無欠勤、身だしなみ）が備わっている
・業務の報告・連絡・相談が確実にできている
・上司や同僚と人間関係が良好である

そして、仕事における知識の豊富さと技術の高さも重要なポイントです。仕事をきちんと覚えて自分のものにし、ミスが少なく、なおかつ的確で迅速な判断ができる人は企業にとって即戦力です。

正社員登用へのプロセスは企業ごとに異なります。昇格試験と面接が必要なケースもあれば、面接のみであったり、社員の推薦が必須となる場合、筆記試験があるパターンなどさまざまです。人手が足りない企業では正社員希望の意思のみで採用されるケースもあります。

非正規雇用から正社員登用は昇格扱いとなることが一般的なため、条件を満たさず、試験に落ちてしまった場合も、そのままアルバイト・パートとして働くことができます。次の機会に再度挑戦できる企業もあるでしょう。

正社員登用制度を実施している企業でも、雇用形態や社内規程が決まっていると、それに当てはまらない場合は登用が難しいといえます。例えば、正社員は「大卒以上・新卒のみ」という規定や、「年齢に制限」といった、絶対条件と自分が当てはまらないケースです。将来的に正社員として働きたいと思っている人は、早めに雇用形態と社内規程を確認しておく方がいいでしょう。

アルバイト・パートに比べ、正社員の場合は固定給や昇格・ボーナスと、収入的に安定します。アルバイト・パートは時給もしくは日給制であり、仕事をした時間分のみ給料として支払われます。正社員の場合は月給・年俸制で多く、毎月給料が支払われ、企業によってはボーナスが付き、昇格によって基本給が上がったり、手当が付いたりもします。

正社員となることのメリットの2つめは、社会的な信用が高まるということです。クレジットカードを作りたい時や、ローンを組みたい時、部屋を借りたい時など、さまざまなシーンにおいて、正社員雇用だと「支払い能力がある」と認められやすくなります。。 アルバイト・パートであるために、支払い能力に疑問を持たれて審査が通らないといったケースが考えられます。

アルバイト・パートである場合、一定の勤務時間を満たさないと厚生年金や社会保険には加入できず、国民年金・国民健康保険に加入することになります。正社員は年金・保険ともに負担が軽くなり、将来年金をもらう立場となった時に受給する額が国民年金・国民健康保険の加入者よりも高くなります。

退職金制度のある企業で正社員として働いていた場合、退職時にまとまった額の手当が「退職金」として支払われます。退職後でも金銭面で多少の余裕は持てますね。

ただし以上のメリットは、個々の企業の考え方や正社員としての契約を結ぶ際の雇用契約条件による面もあります。雇用契約内容での、給与制度・社会保険・退職金の有無等を確認する必要があるでしょう。

正社員登用制度を採用している業界は多岐にわたりますが、特に医療・福祉（介護施設など）・製造・警備・販売・飲食は比較的多いといえます。どの職種も現場経験が重要と考えられるな職種です。中でもアパレルに関しては、アルバイトから正社員という流れが一般的です。どの職種もそれぞれの仕事内容に特化した職種であるため、経験の有無は正社員採用の大きな鍵となるのでしょう。

アルバイト・パートから、将来的には正社員になりたい！という希望を持ってアルバイト先を探す場合、できるだけ早い時期に正社員登用制度があるのかを企業や店舗に確認しておくと安心です。「アルバイトの面接時に聞くなんてちょっと早すぎるかも…」という心配をする人もいるかもしれませんが、それは取り越し苦労です。

将来的に正社員をめざすのであれば、「アルバイト・パートから正社員になった人がどのくらいの割合でいるのか？」「雇用形態と社内規程について」など、質問をしてもいいですね。。雇用される側はさまざまな不安がありますが、店舗や企業にとってもアルバイト・パートとして採用する期間は仕事ぶりや熱意やコミュニケーション能力を判断できる期間となります。双方にとってリスク回避ができ、アルバイト・パート時期に得た経験で、互いによい判断ができるといえるでしょう。

今回は、正社員登用制度や正社員のメリット、知っておきたいポイントについて詳しく解説しました。長期的にアルバイト・パートを経験することで、店舗や企業側だけでなく、雇用される側にも信頼関係やコミュニケーションが生まれます。もし、アルバイトから正社員になりたいのであれば、ぜひこの記事を参考に、日頃の働き方や押さえるべきポイントを実践してみましょう。

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