2023.09.21

【2023年】最低賃金は全国平均で1,004円、最大で47円の引き上げ|最低賃金を下回っていた場合の対処法

【2023年最低賃金】全国加重平均で1,004円、最大で47円の引き上げ|最低賃金を下回っていた場合の対処法

アルバイトやパートの時給、正社員や派遣社員などの月給などには「最低賃金」というものがあるのをご存じでしょうか。
毎年、中央最低賃金審議会という議会で最低賃金が決まり、2023年の全国平均は過去最高額の「1,004円」となりました。地域によっては最大47円の引き上げとなり、こちらも過去最大の引き上げとなりました。

最低賃金に関しては最低賃金制度というものがあり、日々働くわたしたちにとってとても重要な制度です。
そこでこの記事では、2023年の全国の最低賃金を一覧にまとめ、時給アップの背景や、最低賃金制度、最低賃金の計算方法について解説。また「自分が働いている職場が最低賃金を下回っていた…」という場合の対処法も徹底解説しています。

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【2023年】全国の最低賃金引き上げ額一覧

令和5年7月28日に開催された第67回中央最低賃金審議会において、地域別最低賃金額改定の目安について答申が取りまとめられました。
その後、都道府県ごとの改定が正式に決定しましたので、以下に今年度の最低賃金をまとめます。

都道府県名 最低賃金額
2023年
最低賃金額
2022年
引き上げ額 発効年月日
北海道 960 920 40円 令和5年10月1日
青森 898 853 45円 令和5年10月7日
岩手 893 854 39円 令和5年10月4日
宮城 923 883 40円 令和5年10月1日
秋田 897 853 44円 令和5年10月1日
山形 900 854 46円 令和5年10月14日
福島 900 858 42円 令和5年10月1日
茨城 953 911 42円 令和5年10月1日
栃木 954 913 41円 令和5年10月1日
群馬 935 895 40円 令和5年10月5日
埼玉 1028 987 41円 令和5年10月1日
千葉 1026 984 42円 令和5年10月1日
東京 1113 1072 41円 令和5年10月1日
神奈川 1112 1071 41円 令和5年10月1日
新潟 931 890 41円 令和5年10月1日
富山 948 908 40円 令和5年10月1日
石川 933 891 42円 令和5年10月8日
福井 931 888 43円 令和5年10月1日
山梨 938 898 40円 令和5年10月1日
長野 948 908 40円 令和5年10月1日
岐阜 950 910 40円 令和5年10月1日
静岡 984 944 40円 令和5年10月1日
愛知 1027 986 41円 令和5年10月1日
三重 973 933 40円 令和5年10月1日
滋賀 967 927 40円 令和5年10月1日
京都 1008 968 40円 令和5年10月6日
大阪 1064 1023 41円 令和5年10月1日
兵庫 1001 960 41円 令和5年10月1日
奈良 936 896 40円 令和5年10月1日
和歌山 929 889 40円 令和5年10月1日
鳥取 900 854 46円 令和5年10月5日
島根 904 857 47円 令和5年10月6日
岡山 932 892 40円 令和5年10月1日
広島 970 930 40円 令和5年10月1日
山口 928 888 40円 令和5年10月1日
徳島 896 855 41円 令和5年10月1日
香川 918 878 40円 令和5年10月1日
愛媛 897 853 44円 令和5年10月6日
高知 897 853 44円 令和5年10月8日
福岡 941 900 41円 令和5年10月6日
佐賀 900 853 47円 令和5年10月14日
長崎 898 853 45円 令和5年10月13日
熊本 898 853 45円 令和5年10月8日
大分 899 854 45円 令和5年10月6日
宮崎 897 853 44円 令和5年10月6日
鹿児島 897 853 44円 令和5年10月6日
沖縄 896 853 43円 令和5年10月8日

(参考:厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」)

各都道府県での引上げの、全国加重平均は1,004円となりました。

最低賃金が引き上げられた際の影響や、企業側から見ての対策などに興味がある方は「2023年度の最低賃金引き上げはいつから?額は?影響、対策もあわせて解説」を参照下さい。

フルタイムやそれ以外で働いた場合の月収シミュレーション

時給1,004円とした場合に、フルタイム、週4勤務・時短(1日4時間)勤務の際の月収例をシミュレーションしてみました。

【フルタイムの場合】
(1,004円×8時間)×22日=176,704円

【週4勤務の場合】
(1,004円×8時間)×18日=144,576円

【時短(1日4時間)勤務の場合】
(1,004円×4時間)×22日=88,352円

最低賃金制度についてわかりやすく解説

最低賃金制度とは、最低賃金法に基づいて作られた制度で、企業などの「労働者に対して賃金を支払う者(使用者)」が、国が定めた最低限度の賃金である最低賃金以上の賃金を支払わなければならないという制度になります。

仮に、企業と労働者の間で最低賃金額より低い賃金で契約があったとしても、それは法律によって無効になり、最低賃金額と同額になる「労働者を守る制度」となっています。

(最低賃金の効力)

第四条

  • 使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない。
  • 2 最低賃金の適用を受ける労働者と使用者との間の労働契約で最低賃金額に達しない賃金を定めるものは、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、最低賃金と同様の定をしたものとみなす。

(参考:e-Gov法令検索「最低賃金法 第四条」)

最低賃金は2種類ある

最低賃金には、

  • 地域別最低賃金
  • 特定(産業別)最低賃金

の2種類があります。

ニュース・新聞等でみる「今年の最低賃金は何円アップ」というのは、地域別最低賃金の事を指すことが多いです。

地域別最低賃金というのは、産業や職種に関係なく各都道府県内の事業場(工場、事務所、店舗などのこと)で働くすべての労働者とその使用者に対して適用される最低賃金のことです。
先に紹介した最低賃金ランキングにあるように、全国計47件、各都道府県に1つずつの最低賃金が定められています。

対して特定(産業別)最低賃金は、文字通り特定の産業に設定されている最低賃金のことです。関係している労働者と使用者が、基幹的労働者(その産業に特有または主要な業務に従事する労働者のこと)を対象として、地域別最低賃金よりも高い最低賃金を定めることが必要と認める産業について設定されています。2023年3月の時点で、全国で227件について定められています。

特定(産業別)最低賃金の対象になっている場合は、地域別最低賃金と特定(産業別)最低賃金のどちらか高い方が適用されます。

最低賃金ってどうやって決まるの?

地域別最低賃金が決まるまでの流れは、以下の通りです。
毎年、中央最低賃金審議会から地方最低賃金審議会に対し、最低賃金の金額改定のために「引上げ額の目安」というものが提示されます。
この目安を参考にしつつ、地域の実情に応じた審議が行われ決定しています。

最低賃金は「公益財団法人」「労働者」「使用者(企業など)」それぞれ同人数選ばれ、委員として構成されます。そして、最低賃金審議会という議会にて賃金の実態調査結果など、統計資料などを参考にしながら審議を行い決定されます。

決定は毎年7月末頃で、10月1日から新しくなった最低賃金が適用されます。

(参考:厚生労働省「中央最低賃金審議会(中央最低賃金審議会)」)

地域別最低賃金の決定までの流れ

地域別最低賃金は、

  1. 労働者の生計費
  2. 労働者の賃金
  3. 通常の事業の賃金支払能力

の3点を総合的に考え合わせて定められています。
労働者の生計費(日常生活を維持するための必要費用)に関しては「労働者が健康的で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護に係わる施策との整合性に配慮する」ことになっています。

特定(産業別)最低賃金の決定までの流れ

特定(産業別)最低賃金は、関係労使(労働者と使用者)の申出に基づいて、最低賃金審議会が必要だと認めた場合、調査審議を経て決定されます。

労働者または使用者が決定に異議を申し出る場合は、異議の内容と理由を記載した異議申出書を、公示のあった日から15日以内(審議会方式の場合)に、都道府県労働局長または厚生労働大臣に提出することで行うことになっています。

適用される対象者

地域別最低賃金はセーフティネットとして、パートタイマー、アルバイト、社員、契約社員、派遣社員など雇用形態や呼称に関係なく、全国の事業場で働くすべての労働者、使用者に適用されます。

対して、特定(産業別)最低賃金は、特定の産業の特有、主要な業務に従事する労働者と使用者に適用されます。例外として、18歳未満又は65歳以上の方、雇用後一定期間未満の技能習得中の方、その他該当する産業に特有の「軽易な業務」に従事する方などには適用されません。

対象となる賃金と除外される賃金について

最低賃金となるのは、月給などの毎月支払われている基本的な賃金です。残業代やボーナス、賞与などは含まれません。
以下、実際に支払われる賃金から除外しなければならないものを紹介します。

【除外される賃金】

  1. 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
  2. 1ケ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
  3. 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
  4. 所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
  5. 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
  6. 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当

最低賃金制度については「最低賃金制度って何?対象の賃金やQ&Aまで詳しく解説!」でも紹介していますので、参考にしてみてください。

すべての人が知っておきたい最低賃金のポイント

最低賃金はすべての働く人にとって知っておくべき重要な情報です。以下、知っておくべき大切なポイントについて解説します。

今の給料が最低賃金以上かを計算する方法

最低賃金額は時給単価で設定されているので、日給制や月給制、出来高制や請負制などの場合は分かりにくいです。そこで、最低賃金の計算方法についての計算方法を4つのパターンについて紹介します。

給料制 計算式
日給 日給 ÷ 1日の所定労働時間の金額※
月給 月給 ÷ 1ケ月の平均所定労働時間の金額
出来高払制
その他請負制
賃金の総額を、当該賃金算定期間において労働した総労働時間数で除いた金額
上記の組み合わせ それぞれ上の日給、月給の計算式により時間額に換算し、それらを合計した金額

※日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合、日給≧最低賃金額(日額)となる

月給で働いている人の例

基本給 250,000円 対象
職務手当 30,000円 対象
通勤手当 10,000円 除外
時間外手当(残業代) 40,000円 除外
合計 280,000円  
年間労働日数 250日  
1日の労働時間 8時間  
〇〇県最低賃金 1,000円  

この場合、時給換算は

(280,000円 × 12ケ月)÷(250日 × 8時間)= 1,680円 > 1,000円

で最低賃金を上回っていることが分かります。

日給と月給で働いている人の例

基本給(日給) 7,000円 対象
〇月の労働日数 20日 対象
職務手当 20,000円 対象
通勤手当 10,000円 除外
合計 160,000円  
年間労働日数 240日  
1日の労働時間 8時間  
〇〇県最低賃金 1,050円  

この場合、時給換算は

基本給の時給換算 :7,000円 ÷ 8時間= 875円
職務手当の時間換算:(20,000円 × 12ケ月)÷(240日 × 8時間)= 125円
合計の時給換算  : 1,000円

ということで、最低賃金を下回ってしまっていることが分かります。

自分の給料が最低賃金を下回っていたら?

これまで紹介してきた情報を元に、自身の時給が最低賃金を下回っていたと分かった場合、明らかな法律違反となりますので、使用者(雇用している側)に対して不足分を請求することができます。

まずは相談、話し合いをするという形で良いかと思いますが、話し合いでも使用者が賃上げをしてくれない場合は、自身が対象となる地域の労働基準監督署に相談しましょう。相談は電話でもメールでも可能です。

(参考:厚生労働省「全国労働基準監督署の所在案内」)

(参考:厚生労働省「都道府県労働局・労働基準監督署及び総合労働相談コーナー 」)

最低賃金を下回ることは法律違反

例えば、使用者が地域別最低賃金の設定に違反して、その差額を支払わなかった場合、罰則として50万円以下の罰金を支払います。

第四条 使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならい。
第四十条 第四条第一項の規定に違反した者(地域別最低賃金及び船員に適用される特定最低賃金に係るものに限る。)は、五十万円以下の罰金に処する。

(参考:e-Gov法令検索「最低賃金法 第四条、四十条」)

最低賃金を下回ることが認められている場合

基本的に最低賃金を下回っていた場合は違法ですが、例外もあります。例えば、労働者が試用期間中のときは、使用者が都道府県の労働局に許可を得ていれば、最低賃金を下回っていても法律違反にはなりません。

その他にも最低賃金を下回ることが認められるケースがあるので以下にまとめました。

  1. 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者
  2. 試の使用期間中の者
  3. 職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号)第二十四条第一項の認定を受けて行われる職業訓練のうち職業に必要な基礎的な技能及びこれに関する知識を習得させることを内容とするものを受ける者であつて厚生労働省令で定めるもの
  4. 軽易な業務に従事する者その他の厚生労働省令で定める者

(参考:e-Gov法令検索「最低賃金法 第七条」)

まとめ:自分の勤め先や求人の最低賃金をしっかりと把握して応募しよう!

2023年の最低賃金引き上げについて、私たちにどのような影響を及ぼすのか、また、最低賃金に関する基礎知識、そして最低賃金を下回った場合の具体的な対処法を解説してきました。
最低賃金は、私たち労働者にとってとても大切な制度ですから、常に情報をキャッチアップしておくことをおすすめします。特に、最低賃金は毎年見直しされてるものなので、必ず確認しましょう。
そして、自身の職場がもし最低賃金を下回っている場合はここまで紹介してきた内容と照らし合わせ、企業側が法律違反を犯していた場合は、しっかり交渉して下さい。
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