2024.10.02

看護師からケアマネジャーになるには?資格取得方法・ダブルライセンスのメリットなどを紹介!

看護師からケアマネジャーになるには?資格取得方法・ダブルライセンスのメリットなどを紹介!

ケアマネジャー(介護支援専門員)は、高齢者や障がい者が適切な介護サービスを受けられるよう支援する専門職です。看護師がケアマネジャーの資格を取得することで、より幅広い知識とスキルを活かし、利用者の生活の質を向上させることができます。

この記事では、ケアマネジャーの仕事内容や資格取得の条件、さらには看護師がケアマネジャーに転職するメリットとデメリット、ダブルライセンスの利点について詳しく解説します。

ケアマネジャー(介護支援専門員)の役割・条件・仕事内容

ケアマネジャーとは、高齢者や障害を持つ方々が、自宅や地域で安心して生活できるよう支援する専門職です。 ケアマネジャーの役割は、個々のニーズに合わせたケアやサポートを通じて生活の質を高めること。

日本のような高齢社会においては、ケアマネジャーが個々の自立を促し、家族の負担を軽減することで、社会全体の支えとなる存在です。

ケアマネジャー資格の取得と要件

ケアマネジャーの資格は国家資格であり、取得するには都道府県の認定が必要です。
試験は全国統一されており、看護師がケアマネジャーとして資格を取得する過程には、明確な要件と手順が設けられています。
この資格を持つことで、看護師は介護の分野でより専門的な役割を果たし、利用者に対して高品質のケアを提供することが期待されています。

ケアマネジャーの主な仕事内容

以下のような業務を通じて、利用者一人ひとりが地域で安心して暮らし続けられるよう手助けするのがケアマネジャーの仕事です。

■ケアマネジャーの仕事内容

項目 内容
利用者との相談対応 ・要介護者や要支援者の人の相談を受け、ケアプランを作成
・利用者やその家族が抱える問題や疑問を明確にして、情報やアドバイスを提供
行政手続きのサポート ・介護サービスに必要な手続きを代行し、スムーズな利用を支援
人間関係のサポート ・利用者、家族、介護スタッフ間のコミュニケーションを促進し、問題解決を助ける
要介護認定の手続き ・利用者の自宅を訪問して状態を評価し、必要な申請手続きを行う
介護保険の管理 ・利用者が介護保険を通じて受けるサービスが正しく提供されるよう管理

参考:厚生労働省 介護支援専門員(ケアマネジャー)

無料登録&相談する

看護師がケアマネジャーになるには?

看護師がケアマネジャーの資格を取得するためには、特定の条件を満たし、一連のプロセスを経る必要があります。
ここでは、ケアマネジャーになるための具体的な条件、資格取得までの流れ、必要な実務研修や試験について解説します。

  1. ケアマネジャーに必要な資格と実務経験を得る
  2. 介護支援専門員実務研修受講試験に合格する
  3. 合格後に実務研修を受講し、ケアマネジャーとして登録

ケアマネジャーに必要な資格と実務経験を得る

ケアマネジャー(介護支援専門員)になるためには、以下の条件を満たしている必要があります。

■医療福祉系の国家資格の保有

  • 看護師、准看護師、介護福祉士、社会福祉士、理学療法士、作業療法士など

■実務経験

  • 医療福祉系の職種としての実務経験が5年以上
  • 実際に従事した日数が900日以上

これらの条件をクリアすることで、ケアマネジャー資格を取得するための試験を受けることができます。看護師や准看護師の場合も、5年以上の実務経験があれば条件を満たすため、受験が可能となります。

合格した看護師は、さらなる研修を受ける義務があります。この研修でケアマネジャーとしての専門知識と技術を深め、看護師はケアマネジャーの資格を手に入れることができます。そしてこの資格を持つことで、より専門的な介護を提供し、利用者の生活の質を向上させる責任ある役割を担うことになるのです。

介護支援専門員実務研修受講試験に合格する

ケアマネジャーの試験の申し込みは毎年6月ごろに行われ、その後、10月上旬に介護支援専門員実務研修受講試験が実施されます。試験の結果は12月上旬に発表され、合格者はその後約二ヶ月間、実際の介護現場で必要とされるスキルと知識を深めるための実務研修を受けることになります。

■申し込み~合格までの流れ

6月 試験の申込
10月 介護支援専門員実務研修受講試験
12月 合格発表

介護支援専門員実務研修受講試験の概要

■受験申込方法
ケアマネジャーの試験は各都道府県ごとに行われます。受験案内や提出が必要な書類など、詳細な申込方法については、各都道府県の公式サイトや広報資料を確認してください。

■出題問題について
出題方式: 五肢複択方式(5つの選択肢から正しいものを選ぶ形式)
試験時間: 120分(原則10:00~12:00)

区分 問題数 試験時間
介護支援分野
  • 介護保険制度の基礎知識
  • 要介護認定等の基礎知識
  • 居宅・施設サービス計画の基礎知識等
25問 120分
保健医療福祉サービス分野
  • 保健医療サービスの知識等(基礎・総合)
  • 福祉サービスの知識等
35問

看護師の免除科目は廃止

以前は、看護師は医療関連の一部科目の受験が免除されていました。しかし2015年以降、ケアマネジャーとしての質と専門性をさらに高めるために、看護師がケアマネジャー試験を受ける際に利用できた免除科目制度が廃止されました。そのため、現在看護師からケアマネジャーを目指すために試験を受ける場合、他の受験者と同様に全科目を受験する必要があります。

この政策は、看護師が他の専門職と同じ水準の知識を有し、介護と支援に関するより広範な知識の習得を目的としています。結果として、ケアマネジメントの専門性が向上し、提供されるサービスの質が一層保証されるようになりました。利用者にとってもサービス提供者にとっても、より高い水準の介護サービスが実現するための基盤を築いています。

ここ数年の合格者数は?

介護支援専門員実務研修受講試験の合格者数と合格率の変動を見ると、毎年の試験が決して簡単ではないことが分かります。ここ数年のデータを見てみると、合格率はおおむね20%前後で推移しています。

■介護支援専門員実務研修受講試験(2018~2022年度合格者数および合格率)

受験年度 受験者数 合格者数 合格率
第22回(令和元年度/2018年度) 41,049 人 8,018 人 19.5 %
第23回(令和2年度/2019年度) 46,415 人 8,200 人 17.7 %
第24回(令和3年度/2020年度) 54,290 人 12,662 人 23.3 %
第25回(令和4年度/2021年度) 54,406人 10,328人 19.0%
第26回(令和5年度/2022年度) 56,494人 11,844人 21.0%

参考:「第26回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について

職業別合格率では、看護師および准看護師の受験者が全体の約16%を占め、他の職種の受験者と比較して明らかに高い合格率を維持していることが分かります。
これは、看護職が持つ広範な医療知識と対人ケアの経験が、試験の内容に深く関連しているためと考えられます。

合格後に実務研修を受講し、ケアマネジャーとして登録

試験合格後は、都道府県ごとに行われる「介護支援専門員実務研修」を受講・修了した後、所定の手続きを経て、介護支援専門員としての業務に就くことができます。実務研修は、自分で申し込み試験合格後1年以内に修了する必要があるので、留意しておきましょう。

実務研修は87時間の講義・演習と、居宅介護支援事業所での原則3日間の実習で構成されています。

■実務研修の内容

  内容 時間
前期課程 利用者の自立支援を図るため、ケアマネジメントを行う上で必要とされる視点や専門知識、技術について習得する 47時間
実習 概ね1か月の間に、都内の財団指定の事業所でアセスメント、ケアプラン作成などの体験を行う 3日間
後期課程 実習で得られた気づきや課題を振り返り、グループワークを中心とした演習を通して介護支援専門員として備えるべき知識や技術、倫理観の拡大を図る 40時間

参考:「東京都福祉保健財団ケアマネジャー専用サイト 実務研修

実務研修修了後は、各都道府県で介護支援専門員の「登録」を行います。登録申請後に「介護支援専門員証」が交付されて、はじめて介護支援専門員の業務を行うことができます。

無料登録&相談する

看護師がケアマネジャーに転職するメリットとデメリット

試験に合格し、研修も終えてケアマネジャーの資格を取得したら、看護師を辞めてケアマネジャーに転職すべきでしょうか。
この章では看護師を辞めてケアマネジャーに転職したときのメリットやデメリットについて詳しく解説します。

看護師からケアマネジャーに転職するメリット

看護師から資格を取得してケアマネジャーとして働くにあたり、どのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは看護師からケアマネジャーに転職する場合のメリットを紹介します。

看護師知識も活かしたケアマネジメントができる

医療知識とスキルを持っていることで、より質の高いケアプランを提供できるのは大きなメリットです。ケアマネジャーとして働くことで、看護師の経験を活かし、患者さんの相談に適切に対応できます。

看護師として培った経験を活かし、退院後の患者さんの生活を想像しながら、その状態を詳細に分析・評価します。さらに、介護保険に関する質問にも、専門知識を用いて明確に回答することができ、患者さんやその家族から信頼を得ることが可能です。

また、看護師業務で医師や他の医療スタッフとの連携の経験があるのは大きな強みです。チーム全体の連携や報連相がスムーズにとれ、患者さんへのより質の高いサポートを提供できます。

ストレスの軽減とワークライフバランスの向上

看護師からケアマネジャーへの転職は、ワークライフバランスを向上させる可能性があります。
看護師としての勤務はストレスの高さと不規則な勤務時間で知られており、これが精神的、肉体的な負担を大きくしています。しかし、ケアマネジャーの仕事は通常定時で終わり、夜間勤務や緊急時の呼び出しもほとんどないため、ワークライフバランスにおける負担が大幅に軽減されます。

ケアマネジャーの主な職務は、利用者に合わせたケアプランの策定と、その実行をサポートするサービス提供者との連携です。直接的な医療行為から距離を置くことになるため、人によっては命にすぐ関わる業務のプレッシャーから解放されてストレスが軽減されるでしょう。

看護師からケアマネジャーに転職するデメリット

看護師からケアマネジャーに転職するデメリットには、給与の減少、専門性の活用制限、看護技術の使用機会減少があります。また、全く異なる職種への適応には時間と労力が必要であることは念頭においておきましょう。

給与に差がある

看護師からケアマネジャーへの転職は、給与が下がるというデメリットがあります。具体的には、看護師の平均年収が約508.2万円であるのに対しケアマネジャーのそれは約421.6万円で、差額は約80万円ほどになります。

■ケアマネジャー・看護師の年収・給与

  平均年収 平均給与※
ケアマネジャー
(介護支援専門員)
421.6万円 29.7万
看護師 508.2万円 35.2万

※賃金構造基本統計調査における「きまって支給する現金給与額」
参考:厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査

看護師の業務は、高度な医療技術スキルと、夜勤や長時間勤務など不規則な勤務を要求されます。それに対して、ケアマネジャーの仕事は夜勤がなく平日の日勤が基本です。さらに、看護師として培った専門技術に対する直接的な報酬がなくなるため、看護師と比較するとケアマネジャーは基本給が低めに設定されることが多いです。

給与の変動は生活スタイルや将来の計画に大きな影響を及ぼすことがあります。看護師がケアマネジャーへの転職を考える際には、この給与面での変化を十分に理解し、慎重に検討したうえで選択する必要があります。

ケアマネジャー業務以外の負担が大きくなる

看護師資格を持つケアマネジャーは、ケアマネの業務に加えて医療関連の責任も負うことがあります。看護師としての専門知識とスキルが求められるため、医療的なケアはできませんが緊急時には看護師の知識を用いて対応するケースも。これが医療判断や緊急対応の場面を増やして業務負担となることがあります。

このような状況は、特に病院や介護施設など、医療と介護が密接に連携する環境でより顕著になります。ケアマネジャーとしての主要業務に加え、看護師としての要求にも応じることは、業務の範囲と複雑さを増すことにとなります。ケアマネジャーの日常業務がより多く高度なものとなり、ストレスを感じる場面が多くなるかもしれません。

ケアマネジャーの資格は、看護師としてのスキルアップにつながる!

看護師とケアマネジャーの資格を同時に持つダブルライセンスの取得で、専門的なスキルが向上し、医療と介護の両方でより高水準のサービス提供が可能になります。ケアマネジメントの視点を持つことで、患者やその家族へのより効果的な支援が実現できるでしょう。

この二重の専門知識により、キャリアの柔軟性が高まり、医療・介護施設での就職の選択肢を広げることができます。

無料登録&相談する

まとめ

この記事では、看護師がケアマネジャー資格を取得する方法、看護師からケアマネジャーに転職する際のメリットとデメリットについて解説しました。

ダブルライセンスは、看護師にとって医療と介護の両面で活躍できる可能性を広げ、より多くの職場での需要が見込まれます。看護師もケアマネジャーも人手不足の傾向にあるので、キャリアップのための転職や、産休・育休といった長期休暇からの復帰も比較的容易いと考えられます。
一方で、看護師からケアマネジャーへの転職には給与減少や業務負担増加の可能性もあるため、メリット・デメリットをしっかり把握したうえでの慎重な検討が必要です。

「ナースではたらこ」では、看護師の転職をプロが全力でサポートします。転職を検討している人やキャリアアップを考えている人、それぞれの看護師の状況や希望にマッチした仕事を専属のキャリア・アドバイザーと一緒に探しませんか?ぜひ「ナースではたらこ」であなたにあった職場を探してみましょう!

ナースではたらこに無料登録 非公開求人ひっそり教えます もっと快適に、お仕事探しナースではたらこアプリ かんたん7問あなたはどのタイプ?ナースの仕事場診断

特徴・勤務地から仕事を検索

検索

人気の検索

人気の検索

検索

カテゴリ一覧