2024.01.15

「往々にして」の意味と使い方を例文付きで解説!ビジネスで使える敬語表現も

「往々にして」の意味と使い方を例文付きで解説!ビジネスで使える敬語表現も

会社や取引先での何気ない会話で「往々にしてあります」「往々にしてあり得ます」といった表現が使われることがあります。日常生活ではそこまで馴染みのない言葉なので「どういう意味なの?」と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。

この記事では「往々にして」という言葉の正しい意味と使い方を例文付きでご紹介します。どのようなシチュエーションで、どんな意味で使われるのかなど「往々にして」が持つ意味の違いにも注目してみてくださいね。

「往々にして」とは?

「往々にして」は日常生活においてあまり多用される言葉ではありませんが、どんな意味で使われる言葉なのでしょうか。

まずは「往々にして」の読み方や正しい意味、言葉の由来をチェックしておきましょう。

「往々にして」の読み方

「往々にして」の読み方は「おうおうにして」です。

「住」ではなく「往」なので「じゅうじゅうにして」と読み間違えないようにしましょう。

「往々にして」の正しい意味

【意味①】物事がよく起こる/何度も繰り返し起こる

「往々にして」は、物事がよく起こる/何度も繰り返し起こるという意味を持ちます。

人によって「よく起きる」「頻繁に起きる」「何度も起きる」の感じ方は異なるので、具体的に何回物事が発生したら「往々にして」を使えるのかの定義はありません。

以下のように「往々にして」の意味は、文脈やシチュエーションによって変わり、たまに(ときどき)という意味で使う場合もありますよ。

★文章によって「物事が起きる頻度」が変わる

【例文1】「私の部下は往々にして遅刻する。」
私の部下は非常に頻繁に遅刻する という意味。
部下が遅刻する回数がかなり多いことを強調。

【例文2】「私は往々にして祖母に手紙を書く。」
私はたまに(ときどき)祖母に手紙を書く という意味。
その行動が定期的ではあるが、非常に頻繁ではないことを強調。

【意味②】そうなりがち

「往々にして」は、意味①で解説した「物事がよく起こる」という頻度だけではなく「そのようになりがち」という傾向や流れを示す意味も持っています。

★「そうなりがち」の意味で使う「往々にして」

【例文1】「実際の作業は、往々にして計画よりも時間がかかるものだ。」
立てた計画よりも実際は作業にもっと時間がかかりがち という意味。

【例文2】「締め切りが迫ると、往々にして焦りが生じる。」
締め切りが近づくと、人々は焦りがちである という意味。

このように、特定の状況や行動が一般的に発生しがちな傾向を示したいときに使えます。

「往々にして」の言葉の由来

「往々にして」は、中国古典の「往往」に由来しています。漢文でも「往往」が登場することがあるので、学生時代の勉強でなんとなく記憶にある方もいるのではないでしょうか。

「往」とは...
①「(場所)に向かう/進む」
②「過去/過ぎ去った(時間)」

「場所」と「時間」の2つの意味を持つ「往」を2つ重ねて「往々」にすることで、同じ瞬間が何度も起きているという意味を持つようになりました。

「往々にして」を英語にすると?

「物事が起こる頻度が多い場合」と「そこまで頻度は高くないが、ときどき物事が起こる場合」とでは英語表現も変わります。

  • よくある/頻繁にある=「often」
  • たまにある/ときどき=「sometimes」

頻繁なのかどうかの感じ方は人それぞれですが、表したい頻度の多さによって使う英語が異なるので注意が必要ですよ。

「往々にして」の正しい使い方

「往々にして」の使い方には、いくつかの決まりがあります。ビジネスシーンで目上の人との対話で使用するときは特に「往々にして」の使い方に注意しましょう。

「往々にして」はネガティブな表現に使う

「往々にして」は、あまりポジティブなニュアンスでは使いません。ネガティブな物事が何度も起こる/頻繁に起こる傾向があるという意味で使うようにしましょう。

■【OK例文】ネガティブな文脈で使う

◎「新しいシステムの導入は、往々にして初期の段階で問題を引き起こすものだ。」
一般的に、新しいシステムの導入は初期段階で問題が起こりがちであることを示す。

■【NG例文】ポジティブな文脈で使う

✕「彼女の提案は、往々にしてチームに刺激を与える。」
「よく起こる傾向にある」という意味では使えているが、ポジティブな意味と組み合わせて使用しているためNG。

ポジティブな文脈で「往々にして」を使ってしまうと違和感のある言葉なので、問題が起きたときや失敗の出来事などと併せて使うのが正しいです。

ビジネスシーンで使うなら「往々にしてあります」

ビジネスシーンで目上の人と話すときは、よりていねいな敬語の「往々にしてあります」や「往々にしてございます」を使うのがよいでしょう。

■ビジネスシーンで使える「往々にしてあります」の例文

例文1 「大規模なイベントを計画する際には、予期せぬトラブルに直面することが往々にしてあります。」
例文2 「チームでの意思決定では、全員の意見が完全には反映されないことが往々にしてあります。」
例文3 「締め切りに追われるプロジェクトでは、品質が犠牲になることが往々にしてあります。」

仕事の問題や失敗などに関するネガティブな文脈で「往々にしてあります」「往々にしてございます」を使えば、ていねいな言葉で「よくあること」「頻繁に起こること」という意味を持たせられますよ。

「往々にしてよくある」は間違った表現

「往々にして」は文末で「往々にしてある」と使われることがあります。「往々にしてよくある」と使われることが多いようですが、実はこれは間違いです。

「往々にしてある」だけで「こういうことがよくありますよね」と「よく」の意味が含まれています。そのため「往々にしてよくある」と言うと、二重表現になってしまうので注意しましょう。

「往々にして」を使った例文をご紹介

「往々にして」「往々にしてある」「往々にして起こり得る」の3パターンの表現を使った例文をご紹介します。

どんな場面で使うのか、どんな文法で使うのかの参考にしてくださいね。

「往々にして」を使った例文

「往々にして」は一般的に文中に使います。

「成功者は、往々にして多くの失敗を経験しているものだ。」
「大規模な変更は、往々にして抵抗に遭遇する。」
「初めての挑戦は、往々にして失敗に終わる。」
「経験豊富なマネージャーでさえ、往々にして困難な決断に直面する。」
「新入社員は、往々にして業務に慣れるのに時間がかかる。」

「往々にしてある」を使った例文

「往々にしてある」は一般的に文末に使います。

「日々の通勤において、予期せぬ遅延は往々にしてある。」
「家族の中での意見の不一致は、往々にしてある。」
「大人数での会議では、意見の衝突が往々にしてある。」
「旅行計画では、予期せぬ変更が往々にしてある。」
「子供たちの学校生活における友達とのトラブルは往々にしてある。」

「往々にして起こり得る」を使った例文

「往々にして」は、よく「往々にして起こり得る」でも使われます。「そうなる可能性が高い」という意味にあたり、以下のような文脈で使うことが多いです。

「交通渋滞は往々にして起こり得る。」
「大規模プロジェクトではスケジュールの遅延は往々にして起こり得る。」
「健康維持の計画における挫折は往々にして起こり得る。」
「市場の急激な変動は往々にして起こり得る。」
「効果的なコミュニケーションの欠如によるミスは往々にして起こり得る。」

「往々にして」を言い換えた表現

「往々にして」と似た意味を持つ言葉をご紹介します。「往々にして」よりも聞き覚えのある、より使いやすい表現もあるのでぜひ参考にしてみてくださいね。

「度々(たびたび)」「しばしば」

「度々(たびたび)」は「何度も何度も」という意味で、物事が繰り返し起きることを表すときに使います。「しばしば」も「度々」と同じ意味で使われる言い換えの表現です。

■「度々(たびたび)」の例文

  • 「彼女は度々、同僚にアドバイスを求める。」

■「しばしば」の例文

  • 「そのプロジェクトマネージャーは、しばしばミーティングで意見を変える。」

「頻繁(ひんぱん)に」

「頻繁に」は「往々にして」と同様に、何かが非常に頻繁に起こることを意味しますが、より一般的で直接的な用法です。

■「頻繁(ひんぱん)に」の例文

  • 「彼は頻繁に出張に行く。」

「ときどき」「ときとして」

「往々にして」は文脈によっては「ときどき(たまに)」という意味で使われることもあると解説しました。「ときどき(たまに)」とは、ある程度の長い期間をあけて物事が起きることなので「頻繁に」「度々(たびたび)」とはニュアンスが異なります。

「たまに」に具体的な回数の決まりはありませんが「あまり起こらないが、ふと発生するくらいの間隔」を示すときに使われます。

■「ときどき」「ときとして」の例文

  • 「彼女はときどき学生時代の友人とランチをする。」
  • ときとして、最も単純なアイデアが最大の影響をもたらす。」

「稀(まれ)」や「滅多にない」という表現になると「たまに」の域を越えて「ほとんどない/非常に少ない」になるので「往々にして」とは対義語になります。

「間々(間間/まま)ある」

「ときどき」「ときとして」と同じ意味で「頻繁ではないが、たまに起こること」を指します。ほかの言葉と同じように、頻度は人それぞれの感覚で考えて使われます。

■「間々ある」の例文

  • 「彼は忙しいが、休日には家族と過ごす時間が間々ある。」

「ややもすれば」「ややもすると」

「ややもすれば」や「ややもすると」は「なにかと」「なにかにつけて」「そうなってしまいがち」という意味を持ちます。

「往々にして」と同じように、予期せぬ/望ましくない結果を暗示することによく使われる表現です。

■「ややもすれば」「ややもすると」の例文

  • 「彼は詳細に注意を払わないと、ややもすれば重要な点を見逃すことがある。」
  • 「プロジェクトの締め切りが近づくと、ややもすると品質よりも速さを優先してしまうことがある。」

「得てして」

「往々にして」の「そうなりがち」という意味に近い類語に「得てして」があります。「ややもすれば」「ややもすると」も同じ意味で使われます。

■「得てして」の例文

  • 「時間がないときに限って、得てして家に忘れ物をするものです。」

まとめ

「往々にして」の正しい意味と使い方をご紹介しました。なかなか使う機会がない方も、知っておくとビジネスシーンでの会話で役立つことがあるかもしませんよ。

「往々にしてあります」「往々にしてございます」とすれば、さらにていねいな言い回しになるので、実際の会話に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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