失業保険(失業手当)受給中にアルバイトをする場合、働き方や賃金によって基本手当の減額が発生するケースがあります。失業保険を受け取るまでの流れや、失業保険受給中のアルバイトの注意点について解説します。

2019.05.27

【社労士監修】失業保険(失業手当)受給中にアルバイトをするには?

雇用保険の被保険者が個人的な理由で退職したり、リストラによって失業したりした場合、失業期間中に失業給付(正確には、雇用保険の失業等給付の基本手当。以下「失業保険」という)を受け取ることができます。この失業保険の給付待期期間や受給期間に、家計のためにアルバイトをしたいという方もいるでしょう。 失業保険は、失業中の生活を支えてくれる制度です。この期間にアルバイトをする際には、いくつかの注意点があります。働き方やアルバイトの賃金によって失業保険の減額が発生するケースもあるため、あらかじめ確認しておきたいところです。 ここでは、失業保険を受け取るまでの流れや、失業保険受給中のアルバイトの注意点について解説します。

失業保険とは

失業等給付は、「求職者給付」「就職業促進給付」「教育訓練給付」「雇用継続給付」の4種類があります。この中の「求職者給付」のひとつが「基本手当」であり、これを一般的に「失業保険」と呼びます。失業保険は、雇用保険の被保険者が失業中の生活を心配せずに新しい仕事を探し、再就職するために支給されるものです。
失業保険の給付日数や支給金額は、勤続年数や年齢、退職理由などによって変わってきます。手続きは、お住まいの地域のハローワークで行います。

離職者なら誰もが失業保険を受け取ることができるわけではありません。失業保険を受け取るためには、以下の2つの条件を満たす必要があります。

・ハローワークで求職の申込みを行っており、再就職の意思があるが、本人やハローワークの努力によっても職業に就くことができない「失業の状態」にあること
・離職の日以前の2年間に、被保険者期間が通算12ヵ月以上ある(ただし、特定受給資格者または特定理由離職者の場合は、離職の日以前の1年間に、被保険者期間が通算6ヵ月以上あれば可)

一般離職者が失業保険を受け取るための手続き

自己都合での離職など、一般離職者の場合、ハローワークで失業保険を受け取るための手続きを行う必要があります。失業保険受給までの流れを見ていきましょう。倒産など会社都合で離職した特定受給資格者や、病気や介護などの理由で離職した特定理由離職者の場合については、次章で解説します。

<失業保険受給までの流れ>
1. ハローワークで求職の申込みを行う。手続きをして受給資格が決定した日から7日間が待期期間となる
2. 初回手続きから1~3週間後に行われる雇用保険受給者初回説明会に出席する
3. 4週間のあいだに原則として2回以上の求職活動を行い、失業認定の日に初回認定を受ける
4. 初回認定日から90日後(※)に2回目の認定を受ける(ここで初めて、給付対象者としての認定を受けることができる)
5. 給付対象者として認定された日から、通常5営業日後に初回の失業保険が振り込まれる

※被保険者であった期間が10年以上20年未満の場合は120日、20年以上の場合は150日となります。

失業保険(失業手当)受給中のアルバイトはOK?

失業保険(失業手当)を受け取るまでには、7日間の待期期間が必要です。自己都合で離職した人の場合は、さらに3ヵ月間の給付制限期間が発生します。しかし、生活費を稼ぐために、この期間にアルバイトをしたいという方もいるでしょう。

失業保険受給者がアルバイトをすると、期間によっては給付無効になる可能性があります。ここからは、失業保険受給中にアルバイトをしてOKな期間と、禁止されている期間について見ていきます。

特定受給資格者・特定理由離職者の場合

倒産など会社都合で離職した「特定受給資格者」や、病気や介護などの理由で離職した「特定理由離職者」の場合、給付制限期間が発生せず、待期期間終了の翌日から給付対象者としての認定を受けることができます。

・待期期間中
求職申込み前のアルバイトは自由ですが、失業保険の手続きをし、受給資格が決定した日から7日間の待期期間は、雇用形態を問わず働くことができないため、アルバイトも不可となっています。この期間は、失業の状態でなければなりません。
この期間にアルバイトをした場合は、待期期間が延長になってしまいます。どうしてもアルバイトをしたい場合は、ハローワークへ事前に相談しましょう。

・失業保険受給中
待期期間終了後は、ハローワークに申告をした上で、アルバイトとして働くことが可能となります。勤務日数や収入額などを報告することで、支給金額から差し引かれた分の失業保険を受け取る形となります。差し引かれた分の金額は、給付期間が終了した後に受け取ることができます。

一般離職者の場合

自己都合による離職者の場合、3ヵ月間の給付制限期間が発生します。給付制限期間中のアルバイトには、一定の制限があるため、注意事項を確認した上で働くようにしましょう。

・待期期間中
一般の離職者の場合も、特定受給資格者・特定理由離職者と同様に、求職申込み前のアルバイトは自由です。しかし、求職申込み後の待期期間は、どのような雇用形態であっても労働が禁止されています。
どうしてもアルバイトをしたい場合は、ハローワークに申告し、待期期間を先送りする必要があります。

・給付制限期間中
失業保険の初回振込までの3ヵ月間が、給付制限期間となります。この期間にアルバイトとして働くことは可能ですが、一定の制限が設けられているため、必ず確認をとるようにしましょう。
この期間のアルバイトはあくまで家計の補助となるような、一時的なものであるということです。そのため、短期の仕事を選んだり、週の合計勤務時間を少なくしたりする必要があります。

・失業保険受給中
給付制限期間が終了した後の失業保険受給中は、特定受給資格者・特定理由離職者と同じように、ハローワークに申告をした上でアルバイトが可能となります。勤務日数や収入などを報告することで、差し引かれた金額が給付され、差し引かれた分は給付期間終了後に受け取ることができます。

失業保険(失業手当)受給中のアルバイトで注意したい3つのポイント

失業保険受給中にアルバイトとして働く場合、ハローワークに申告をしなかったり、一定の勤務時間を超えたりすると、不正受給となってしまう可能性があります。
ここからは、受給期間にアルバイトをする場合の3つの注意点を確認していきましょう。

1.必ずハローワークに申告する
失業保険を受給する際は、毎月「失業認定申告書」を提出します。失業保険受給中にアルバイトをした場合、この申告書にアルバイトをした旨とその勤務時間、収入額などを記入する必要があります。
基本的には1日4時間以上働いた場合の「就職または就労」と、1日4時間未満働いた場合の「内職または手伝い」の2つに分けられます。


2.勤務時間は週20時間以内
失業保険を受け取りながらアルバイトをするためには、「雇用保険」に加入しない範囲で働く必要があります。アルバイト先であったとしても、雇用保険に加入すると就職したとみなされ、失業保険は受け取れません。そのため、雇用保険に加入せずに済む勤務時間内でアルバイトをする必要があるのです。
雇用保険の適用条件は「労働契約期間が31日以上」および「所定勤務時間が週20時間以上」であることです。アルバイトを選ぶ際は、勤務時間が週20時間未満に収まるように注意して探しましょう。


3.内職や手伝いでも勤務に含まれる
アルバイト以外に、内職や手伝いをした場合も労働したとみなされます。内職や手伝いで得た収入や勤務日を失業認定申告書に記入しなかった場合、不正受給の対象となってしまうため注意しましょう。
また、報酬が発生しないボランティア活動などの場合も、失業認定申告書を提出する義務があります。

失業保険(失業手当)の減額のしくみ

失業保険受給期間にアルバイト収入が発生した場合、給付金が減額されたり、支給が先送りされたりするケースがあります。
減額対象となるかどうかは、失業保険とアルバイト収入の合計額によって決まります。どのような場合に「全額支給」「減額されて支給」「支給なし」となるのか、見ていきましょう。

(1)失業保険日額+1日分のアルバイト収入(アルバイトや内職等による1日分の収入金額-控除額)
(2)前職での賃金日額×80%

(1)が(2)よりも少ない、あるいは(1)と(2)が同じ金額の場合は、全額支給となります。
(1)が(2)よりも多い場合、差額が減額されて支給されます。
1日分のアルバイト収入が(2)よりも多い場合は、支給なしとなります。

失業保険が減額される具体的なケース

失業保険が減額対象となるケースについて、例を2つ挙げてご紹介します。

【ケース1】収入の合計額が前職の賃金日額80%を超えた場合
減額対象となるケースを見てみましょう。先程解説したように、失業保険の日額と1日分のアルバイト収入の合計が、前職の賃金日額の80%を超えた場合、減額となります。
例えば、前職の賃金日額が10,000円だった場合は、失業保険日額と1日分のアルバイト収入が、上限の8,000円を超過した場合に減額対象となります。

【ケース2】1日の勤務時間が4時間未満の場合
アルバイトをした際の1日の勤務時間が4時間未満の場合、支給される失業保険の減額対象となる可能性が高くなります。
一方で、1日4時間以上働いた場合は支給が先送りとなり、先送りとなった分は、後日全額受け取ることができます。ただし、失業保険の受給期間は、原則として離職した日の翌日から1年間です。短期のアルバイトを繰り返すなどして、1年以上受給が先送りになると、失業保険を受け取れなくなってしまうため注意しましょう。

アルバイトしていることを申請しないとどうなる?

アルバイトとして働く申請をせずに失業保険を受給した場合、不正受給と見なされ、罰則を科されることになります。最後に、不正受給が発覚した場合の罰則について見ていきましょう。

・支給停止
不正受給と判断された日から支給停止となり、失業保険を受け取ることができなくなります。

・返還命令
返還命令を受けた場合、失業保険の支給停止に加えて、これまでに受け取った分をすべて返還しなければなりません。

・納付命令
納付命令を受けた場合、返還命令で返金するお金とは別に、それまでに受け取った失業保険の2倍の金額を納付しなければなりません。

返還命令や納付命令を受けた場合、すぐに支払う必要があり、さらに不正受給と見なされた日からの延滞金も発生します。このように不正受給は厳重に処罰されるため、アルバイトや内職、手伝いなどをする際は、ハローワークにきちんと申告しておくことが大切です。

1日4時間以上の短期アルバイトが安心!

失業保険を受け取りながらアルバイトをしたい場合は、1日4時間以上の短期アルバイトが安心といえそうです。また、アルバイトや内職などをしたい場合は、必ず事前にハローワークへ行き、申告を済ませるようにしましょう。
バイトルでは、1日4時間以上の短期アルバイト案件も数多く取り扱っています。ぜひ、失業中のアルバイト探しにお役立てください。

【監修】井戸 美枝(いど・みえ)
ファイナンシャルプランナー/社会保険労務士/キャリアカウンセラー
お金にかかわる複雑な動きを簡単に読み解く経済エッセイストとして活動中。
近著に『届け出だけでもらえるお金』(プレジデント社)などがある。

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