<例文1>
がん患者さんを多く受け持たせていただく中で、がん看護をもっと専門的に学んでいきたいと考える様になりました。今後は、認定看護師の資格取得も視野に入れてがん専門病院への転職を考えているため、退職させていただきたいと考えています。
現在の職場で働く中で「辞めたい」「もっと違う環境で働いてみたい」と考え、転職を検討したことのある方は多いでしょう。
しかし、いざ転職を決意した時に悩ましいのが、現在の職場に退職理由を伝えることです。
どうすれば円満に退職を納得してもらえるのか、そして退職を伝えてから退職日まで気持ちよく働けるように退職を進められるのでしょうか。
この記事では、退職を考えている看護師の方々に向けて、看護師の主な退職理由と円満に退職するコツ、そして退職理由の上手な伝え方を例文付きで解説していきます。
目次
日本看護協会の「2023年病院看護実態調査」によると2022年度の看護師(正規雇用)の退職率は11.8%となっており、1年間で9人に1人以上の看護師が退職していることが分かります。看護師の退職理由は、以下のようなものがあります。
ライフイベントや生活の変化、人間関係の問題、過酷な労働条件、給与や待遇面の不満、そして休暇が取りにくい状況など、これらの要因が重なることが看護師の退職理由となっているようです。
参考:日本看護協会「2023年病院看護実態調査」
退職を伝えてから退職日まで、トラブルなく円満に過ごしたいと思う方は多いでしょう。ここでは、円満に退職まで働けるための、退職の伝え方を解説します。
看護師は、退職を伝えてから退職するまでの期間が長くなりやすい職種です。
退職は退職希望日の14日前までに伝えれば法律上問題ないとされていますが、看護師の場合はシフトや人員配置の調整が必要であったり、業務の引き継ぎに時間がかかったりすることもあるため、早めに退職を伝えるのが理想とされます。就業先によっては、規則で2ヶ月、3ヶ月など早めの時期が設定されていることもあります。
退職理由はネガティブな内容になりやすいです。しかし、不平不満をそのままストレートに伝えると職場環境への不満として受け取られ、上司への印象はあまりよくありません。
また、職場内に同じ不平不満を持つ看護師がいた場合、その看護師に退職理由が伝わることで退職に対して不満を持たれてしまう可能性もあります。
そのため、退職理由がネガティブな理由となる場合はポジティブに言い換えることを意識しましょう。自分なりに今後やりたいことや力を入れたことを退職理由に入れ込み、前向きな退職をすることが上司にも感じられるような理由を伝えられると良いでしょう。
転職回数が複数ある人の場合は、いっときの気の迷いや些細な理由で退職を決めたのではないかと疑念を持たれ、退職を引き止められる可能性があります。
これまでの経歴や退職理由も踏まえ、退職することに一貫性がある理由を伝えることで上司も納得し、退職をスムーズかつ円満に進められます。
これまでの経歴と、これからの転職先が1つのストーリーでつながっていると理想的でしょう。
ポジティブな退職理由であったとしても、勤務形態の変更や部署異動など職場環境の調整をすることで解決可能な理由だと判断されると、職場が退職を引き止める場合があります。
特に、人手が不足している職場の場合は、一旦退職を思いとどまるように説得される可能性が高いです。
退職理由を上司に伝える際には、今の環境ではできないことに挑戦したい思いや、退職の意思が明確であることなど、退職以外の選択肢がないことをはっきり伝えることで退職をスムーズに進めることができるでしょう。
具体的な退職理由の伝え方については、次の『「理由別」退職理由の上手な伝え方・例文』でお伝えしていきます。
では具体的にどのように退職理由を伝えると、スムーズにかつ円満に退職をすすめることができるのでしょうか。
以下では、退職理由の上手な伝え方を、例文とそのポイントから紹介していきます。
スキルアップでの退職を希望する場合は、現在の職場で経験したことを踏まえた内容にすると、退職理由に説得力が増します。
現在の職場でもできることであると判断された場合、引き止めや異動の提案がされる可能性もあります。現在の職場では実現できないことを伝えるのが大切です。
がん患者さんを多く受け持たせていただく中で、がん看護をもっと専門的に学んでいきたいと考える様になりました。今後は、認定看護師の資格取得も視野に入れてがん専門病院への転職を考えているため、退職させていただきたいと考えています。
ここでは、脳梗塞の患者さんを多く受け持たせていただきました。
その中で、後遺症が残りながらも退院され自宅に戻られる患者さんをサポートしたいと思うようになり、訪問看護への転職を決めました。つきましては、〇月末日をもって退職させていただければと思います。
人間関係への不満を退職理由として伝えるのはマイナスな印象を持たれやすく、円満退職しにくくなる可能性があります。さらに、異動やチーム変更などを提案され引き止めにあうケースも。
人間関係を退職理由で触れる際は、人間関係を退職理由のひとつに挙げつつ、キャリアアップやポジティブな理由も一緒に伝えることで、円満に退職しやすくなります。
病棟内の人間関係により、チームでの仕事の難しさを感じる様になりました。そこで、今までの働き方を考えた際に、以前から興味があり現在の経験も活かせる緩和ケア病棟のある病院へ転職したいと考えましたので、退職させていただければと思います。
これまで病棟内の人間関係に思い悩むことが何度かあり、そのたびに私なりに努力しておりました。
しかし、今一度自分の今後について考えてみた際に、いつか取得したいと思っていた専門看護師を取得する良いタイミングではないかと思い、今回大学院受験準備のため退職を決めました。
病気や体調不良の場合はやむを得ない事情として、引き止められることは少ないです。
しかし、場合によっては、日勤帯のみへの勤務変更や、体力的に楽な部署への移動、あるいは休職を勧められ、引き止められる可能性もあります。退職の気持ちが固まっているのであれば、「ご迷惑をおかけするので」とはっきり断り、退職の意思を伝えましょう。
体調がすぐれない日が続いていたため受診したところ、○○と診断されました。仕事をつづけながらの治療も考えましたが、まずは治療に専念したいと思いますので、退職させていただきたいと思います。
持病により体調不良が続いており、欠勤や早退などいただくことが増えておりました。
主治医と相談したところ、長期間の休養を取ることを勧められました。休職させていただくことも考えましたが、これ以上皆さんにご負担をお掛けするのも申し訳ないため退職させていただければと思います。
結婚による退職は、個人や家庭の事情として納得されやすい退職理由です。また、出産・育児・介護といった家庭の事情も同様に受け入れられやすいため、正直に伝えて良いでしょう。
現在の仕事を続けながら、環境が変化した家庭や生活を維持するのが難しいことを素直に伝えましょう。
夜勤免除や時短勤務などご配慮くださりありがとうございます。
仕事自体はやりがいがあり楽しく働いていたのですが、担当している案件が多く、残業が発生する日もあります。仕事も育児も両立したいのですがどうしても時間と体力が厳しく、実家も遠方で頼ることができないため、退職させていただきたいと思っています。
結婚に伴い、配偶者の勤務地へ引っ越すことになりました。現在の職場では通勤が困難になるため、退職をお願いしたく存じます。勤務退職日は、できれば○月○日を希望しておりますが、後任への引き継ぎもあるので、日程はご相談させてください。
給与への不満を退職理由にすると、上司への印象は悪くなり円満退職がしにくくなります。給与の不満を退職理由にするのは避けましょう。また、待遇面の不満もマイナスに捉えられやすく、他の看護師も同条件であることから説得力が弱くなってしまいます。
働き方を見直すきっかけとなったと前向きな理由を合わせたり、患者さんへの影響を考慮した上での決断であることや、自身の健康面、家庭内を踏まえた結果であることを伝えられると説得力が増すでしょう。
働き方を見直すきっかけとなったことや、患者さんへの影響を考慮した上での決断であること、自身の健康面や家庭内の事情を踏まえた結果であることを伝え、前向きな理由を合わせると説得力が増すでしょう。
超過勤務が多く、業務時間の長さやシフト勤務が大きな負担となってきました。休日に休んでも疲れが取れず、業務に集中できていないと感じることも増えてきました。そのような状況で勤務しミスを起こせば、患者さんに影響を与える可能性もあると思い、働き方を考え直した結果、夜勤やシフト勤務のない○○健診センターで働くことに決めましたので、退職させていただきたいです。
残業が多いだけでなく休日も勉強会やその準備のため十分な休みが取れず、家族に使える時間も取れない状況です。主人も残業が多く、家事も疎かになっており子どもにも申し訳なく思っています。そこで、残業や休日出勤が少ないクリニックへ転職しますので、退職させていただきます。
退職理由として、看護に対する考えや業務内容の不一致を挙げて正直に伝えるのは避けたほうが良いでしょう。
看護観が合わない、業務の内容ややり方が合わないと伝えることは「病棟の看護の仕方に納得できない」と思っていると捉えられてしまい、上司に悪い印象を与えやすいです。
看護観の違いは曖昧な話になりやすく「あなたの看護観が偏っている」と責められ、退職を取り下げるまで面談を繰り返すこともあります。
また、「退職後はどのような転職先を考えているのか」と聞かれる場合がありますが、その際に「自分の看護観や業務のやり方と合っている職場」を明確に答えるのは難しく、上司の納得する理由とはなりにくいでしょう。
どうしてもこれらを理由として伝えたい場合には、先に述べたような退職理由の中に組み込む形で伝えると良いかもしれません。
看護師の主な退職理由と職場を円満に辞めるコツ、退職理由を解説してきました。
看護師として働く中で「今の仕事を辞めたい」と思うことは、決して珍しいことではありません。退職を決めた場合は、現在の職場へどう退職理由を伝えるのが良いのか考えてみましょう。
上司が納得する理由なのか、こちらの印象が悪くならない伝え方なのか、その点を踏まえて退職理由を伝えることで、引き止められることなく、退職日を円満に迎えることができます。
ディップが運営する看護師求人サイト『ナースではたらこ』は、退職時のフォローから求人探し、面接対策まで、転職活動をキャリア・アドバイザーがサポートします。
施設形態や勤務形態など、細かな条件を絞り込んで検索できるため、自身のライフスタイルにぴったりな職場を見つけるのにご活用ください。
【関連記事】
■看護師×退職・転職
■看護師×きつい・辞めたい
■看護師×面接・履歴書・小論文
■看護師×病院見学
■看護師×夜勤
■看護師×育児
■看護師×仕事
■看護の日
クリニック看護師になりたい人の志望動機 | 書き方のコツ・状況別の例文を紹介
クリニックで働く看護師の仕事内容を徹底解説!給与や魅力、転職のコツは?
働く男性看護師のリアル!割合・年収・ニーズなど、実態を解説!
例文付き・好印象を与える看護師の志望動機|書き方のポイントや注意点
看護師の夜勤の働き方について解説!2交替制・3交替制の違い、メリットやデメリットは?
看護師に向いてない人の性格や特徴は?対処法や自分に合った職場の選び方
看護師3年目の転職は?キャリアへの影響と転職成功のポイント
看護師の仕事はどんなところがきつい?対処法も紹介!
看護師の転職なら「ナースではたらこ」!サービス内容や使い方ガイド、活用メリットをご紹介
【例文あり】看護師面接での自己紹介|面接官が評価する3つのポイントとNGパターン