2023.06.26

【社労士監修】フリーターは年末調整と確定申告どちらが必要?やり方を解説!

【社労士監修】フリーターは年末調整と確定申告どちらが必要?やり方を解説!

年末調整は企業側の手続きとなるため、ルールや仕組みを理解していない人も多いでしょう。簡単にいえば、年末調整とはその年の所得税を計算・調整する手続きです。
正社員や契約社員はもちろん、フリーターも対象となります。しかし、人によっては年末調整の対象にならず、自身で確定申告をしなくてはならないため注意が必要です。

この記事では、年末調整の仕組みをはじめ、年末調整が必要なフリーターと不要なフリーター、確定申告の方法について解説します。フリーターといえども納税の義務はあるため、年末調整や確定申告の仕組みをしっかりと理解しておきましょう。

そもそも年末調整とは?

年末調整とは、従業員が納めるべき所得税の過不足を企業が精算することをいいます。企業は従業員に代わって所得税を納税しており、その分が毎月の給与から天引きされます。
しかし、毎月天引きされる金額はあくまでも概算で、正確な額ではありません。そのため、年間の所得が確定した時点で正しい税額を計算し、徴収した所得税の過不足を調整するのです。

年末調整の時期

年末調整は基本的には12月に行なわれるものです。1年間の収入は毎年1月1日から12月31日までで計算され、年末調整はその年の収入が確定した時点で実施されます。

<12月の年末調整の対象となる人>

  • 企業などに1年を通じて勤務している人
  • 年の途中で就業し、年末まで勤務している人

ただし、1年の途中でアルバイトを辞めた場合は、年の途中で手続きを行なうことがあります。

<年の途中で年末調整が対象となる人>

  • 海外支店等に転勤したことなどの理由により非居住者となった人
  • 死亡によって退職した人
  • 著しい心身の障害のために退職した人(退職した後に再就職し給与を受け取る見込みのある人は除く)
  • 12月に支給されるべき給与等の支払を受けた後に退職した人
  • いわゆるパートタイマーとして働いている人などが退職した場合で、本年中に支払いを受ける給与の総額が103万円以下である人(退職後その年に他の勤務先から給与の支払を受ける見込みのある人は除く)

(参考:国税庁「年末調整の対象となる人」)

確定申告との違い

確定申告も納税額を申請する手続きですが、申請方法や手続きの時期が異なります。
年末調整は企業が手続きを行なうもので、企業から指定された日までに「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出すればそれで終わりです。
一方、確定申告は自分で必要書類などをそろえ、自分で申請・手続きを行なう必要があります。また、年末調整の時期は12月ですが、確定申告の時期は基本的に2月16日から3月15日となります。

  年末調整 確定申告
申請の対象 その企業の給与 すべての給与・所得
申請する人 企業 個人
手続きの時期 年末 2月16日から3月15日

フリーターも年末調整の対象になる?

フリーターも年末調整の対象になる?

 

アルバイトであるフリーターも、企業から給与をもらっていれば年末調整の対象となります。ただし、条件によっては対象にならず、別途確定申告が必要なケースもあるため注意しましょう。

年末調整が必要なフリーター

年末調整の対象となるフリーターは、下記の条件をすべて満たした人です。

<年末調整の対象となるフリーター>

  • 12月31日まで勤務先に在籍している
  • 年末調整を行う日までに申告書を企業へ提出している
  • 1つの企業だけで働いている

家族の扶養内で働いている場合も、上記の条件を満たせば年末調整の対象です。

年末調整が必要ない(確定申告が必要)フリーター

年末調整の対象とならないフリーターの条件は以下のとおりです。該当する方は、別途確定申告が必要です。

<年末調整が対象にならないフリーター>

  • 年の途中で退職し、年内に再就職する予定がない
  • 複数の企業を掛け持ちしている
  • 勤務先で年末調整をしていない

以下で詳しく解説します。

年の途中で退職し、年内に再就職する予定がない

年の途中で退職した場合、勤務先で年末調整をしてもらえないため、自分で確定申告する必要があります。
なお、掛け持ちをしていて1社のみ辞めた場合は、もう一方の企業にまとめて手続きしてもらえないか確認してみましょう。まとめて手続きしてもらえない、2社とも退職している場合は、自分で確定申告を行なう必要があります。

複数の企業を掛け持ちしている

アルバイトの掛け持ちをしていて合計の年収が103万円を超える場合は、確定申告が必要です。また、正社員で副業をしている場合は、副収入が20万円を超えると確定申告が必要になります。

勤務先で年末調整をしていない

年末調整の対象であっても、書類の提出が間に合わなかったり、書類に不備があって申請できなかったりした場合は、自分で確定申告する必要があります。
また、企業によってはパート・アルバイトの年末調整を行なっていないところもあるため、自分が対象になるか事前に確認しておくと安心です。

年末調整が必要ないフリーターの確定申告の方法

年末調整が必要ないフリーターの確定申告の方法

 

確定申告は時期ややり方に決まりがあるため、正しい方法で手続きすることが大切です。ここでは、確定申告の基本知識をご紹介します。

確定申告の時期

確定申告の時期は、通常2月16日から3月15日までの1ヵ月間です。この期間に、管轄の税務署へ確定申告書および必要書類を提出します。ただし、日程がずれたり、申告期間が延長されたりすることもあるため、毎年必ず確認しましょう。

確定申告の準備

確定申告をするには、まず必要書類を用意します。

アルバイト先からの給与を確定申告するだけであれば、必要なのは確定申告書源泉徴収票の2種類のみです。
そのほか、国民年金を支払っている場合は社会保険料(国民年金保険料)控除証明書、各種控除制度を受ける場合はそれぞれの添付書類が必要になります。アルバイト先が複数あり、確定申告書に記入しきれない場合は、所得の内訳書が別途必要です。

確定申告書は各税務署へ直接取りに行く、もしくは郵送で取り寄せることが可能です。また、国税庁のサイトにある確定申告書等作成コーナーを利用することもできます。

(参考:国税庁「確定申告書等作成コーナー」)

確定申告の手順

確定申告の流れは以下の通りです。

  1. 必要書類の準備
  2. 確定申告書の作成
  3. 確定申告書の提出

前述した必要書類を用意したら、確定申告書を作成していきます。収入がアルバイトの収入のみであれば確定申告書Aを、アルバイト以外にも事業所得がある場合は確定申告書Bを使用します。
確定申告書を作成するうえでマイナンバーと銀行口座の情報も必要になるため、前もって準備しておくとスムーズです。

確定申告書の提出方法は以下の3つがあり、自分が提出しやすい方法を選択できます。

<確定申告書の提出方法>

  • e-Tax
  • 税務署へ持参する
  • 税務署へ郵送する

ただし、e-Taxを利用する場合は事前に利用者識別番号や電子証明書の取得、利用環境の確認などが必要になるため注意しましょう。また、郵送の場合は提出までに時間がかかるため、余裕を持って投函する必要があります。

(参考:e-Tax「ご利用の流れ」)

フリーターが年末調整も確定申告もしないとどうなる?

何らかの理由で年末調整ができず、確定申告も行なわなかった場合は、罰則が科されるため注意しましょう。

申告をしないと無申告加算税が発生する

期限内に確定申告を行なわなかった場合は、納付すべき税額に加えて以下の無申告加算税が課されます。

条件 無申告加算税率
納付税額が50万円まで 15%
納付税額が50万円を超える部分 20%
税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告をした場合 5%

(参考:国税庁「確定申告を忘れたとき」)

納税が遅れると延滞税が発する

期限後に納税を行なう場合は延滞税が発生します。延滞税は法定納期限の翌日から完納する日までの日数で計算される仕組みです。
そのため期限に遅れてしまった場合は、一日でも早く納付することをおすすめします。

延滞税の税率は以下の通りです。

<延滞税の税率>

  • 納期限までの期間および納期限の翌日から2月を経過する日までの期間
    →年7.3%、もしくは延滞税特例基準割合+1%のいずれか低い割合
  • 納期限までの期間および納期限の翌日から2月を経過する日の翌日以降
    →年14.6%、もしくは延滞税特例基準割合+7.3%のいずれか低い割合

(参考:国税庁「延滞税の計算方法」)

未申告の所得はバレる?

税務調査の対象は前年度に税申告を行なった事業者であるため、未申告の個人が対象になることはありません。そのため「何年も申告していないけど何も起こらない」という人も実際にいます。

しかし、給与を支払った企業は自治体へ給与支払報告書を提出し、その情報は税務署へも届きます。税務署はあらゆる方法で無申告者を探し出すため、申告していない所得はバレる可能性が高いでしょう。
未申告のまま何の連絡もなかったとしても、実はすでにバレていて、本人の動きを伺っているだけという可能性も十分あり得ます。

納税を怠った場合の延滞処分(ペナルティ)はとても重く、もし税務調査が入れば資産や銀行口座が差し押さえられることもあります。そうならないためにも、所得の申告は必ず行ないましょう。

まとめ:フリーターでも納税の義務があるので期日までにしっかり対応しましょう

年末調整はフリーターも対象となり、12月の実施日までに給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を提出すれば企業側で手続きを行なってくれます。しかし、人によっては年末調整が対象外になることもあるため、勤務先に年末調整が対象になるかどうかを確認しておくと安心です。

年末調整が対象外であったり、何らかの理由で手続きが行なわれなかったりした場合は、自分で確定申告を行なう必要があります。確定申告は申告期間が決まっているほか、必要書類の準備や申告書の作成、提出まで自分で行なわなければなりません。
万が一期限内に申告ができなかったり、申告を行なわなかったりすれば、ペナルティとして無申告加算税および延滞税が課されます。

所得の未申請は高い確率でバレるため、年末調整と確定申告の仕組みを理解し、正しく納税を行ないましょう。

 
記事監修
荒武慎一

荒武 慎一(あらたけ しんいち)

社会保険労務士、中小企業診断士

昭和53年同志社大学卒業、富士ゼロックス株式会社を経て平成27年アラタケ社会保険労務士事務所を開設。助成金セミナーを各地で開催し、難解な助成金をわかりやすく解説することで高い評価を得ている。(連絡先:0422-90-9990)

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