総務省が行った2021年度の労働力調査によると、日本における派遣社員の数は140万人で、役員を除く雇用者全体に占める割合はおよそ2.5%でした。

なお、正社員が3,565万人、パート・バイトが1,455万人、契約社員が275万人となっており、派遣社員は雇用形態のなかでも最小数となっています。

ここ数年で働き方も多様化してきているとはいえ、全体に占める派遣社員はそれほど多いわけではないといえるでしょう。

※参考：総務省「労働力調査（基本集計）2021年（令和3年）平均結果の要約」

2023年の日本人材派遣協会のアンケート調査によると、派遣社員として勤務している方のうち50代の割合は30.2%でした。そのほかの年代における派遣社員の割合は以下のとおりです。

さらに細かく見ていくと、年齢層で最も多いのは50歳～55歳未満で19.2%、次いで45歳～50歳未満の18.1%となっており、40代～50代で全体の6割以上を占めています。30歳未満の割合は10%程度で、全体の平均年齢は43.9歳でした。

調査結果から、50代でも派遣社員として働く人は一定数いることがわかります。
※参考：一般社団法人 日本人材派遣協会「派遣社員WEBアンケート調査」

令和5年賃金構造基本統計調査によると、正社員・正職員の平均年収が約336万円であるのに対し、正社員・正職員以外の平均年収は約227万円となっています。正社員・正職員以外のうち50歳～54歳は222.2万円、55歳～59歳は221.7万円です。

また、派遣社員の9割は時給制のため、地域別の平均時給を見てみましょう。東京都・愛知県・大阪府の平均時給は1,697円、それ以外の地域の平均時給は1,371円でした。

最も多い時給額は、東京都・愛知県・大阪府で「1,500円～1750円未満」で4割超、それ以外の地域では「1,250円～1,500円未満」で4割となっています。

※参考：厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況
※参考：一般社団法人 日本人材派遣協会 派遣社員WEBアンケート調査

50代は一般的に年齢的にも体力が衰えてくるため、採用する側はどうしても若年層の応募者を優先しがちです。また、日本では多くの場合定年を65歳としているため、50代と聞くと企業は「長期的雇用が難しい」と判断する傾向にあります。

派遣社員には年齢制限がないため実際には働き続けられますが、登録型の派遣雇用では契約期間を満3年と定めているケースが大半です。そのため、働きたくても契約満了といわれれば失職することになります。

50代という年齢になるとこれまでの仕事で多くの経験を積み、さまざまなスキルを習得していることを前提にされるケースも少なくありません。

しかし、これまで長く働いてきた経験や、仕事に活かせるスキルを活かそうと思っても、応募できる求人そのものが少ないというのも事実です。

なかには「年齢不問」という派遣求人も少なからずあるため、そのなかから自分の経験・スキルに見合ったものを探すのがよいでしょう。

50代で転職すると、職場の社員のほとんどが年下ということも少なくないでしょう。そのため、20代～30代の社員が多い会社では、「環境に馴染めないのではないか」「コミュニケーションできるか不安」という理由で50代の採用を敬遠する場合もあります。

また、直属の上司が年下になるケースも多く、「ひと回り以上も年上で教育や指導がしづらい」と感じる社員もいるかもしれません。できるだけ年齢が近い従業員が多い仕事・職場を選ぶようにすれば、採用してもらえる可能性は高くなるかもしれません。

バイトルでは「50代活躍中」の条件を設定して、求人を検索できます。効率的に求人を探したい方は、ぜひバイトルで派遣の求人を見つけてみてはいかがでしょうか。

正社員と異なり、派遣社員という雇用形態は希望する時間や曜日で働きやすい傾向にあります。そのため、自分のペースやライフスタイルに合った働き方ができる点がメリットです。

50代という年齢になると、家族の介護や持病による通院などで、時短勤務や早退などが必要になる場合も少なくありません。そういった際も、フルタイムではない派遣社員であれば勤務時間の都合をつけやすいといえます。

また、基本的に残業や転勤、部署移動などもないため、家族がいて転居が難しい場合などでも安心です。

50代はある程度人生経験を積んでいる年齢にあたるため、これまで培ってきたスキルや経験を活かせるケースも多いといえます。そのため、そのスキルや経験に応じた高時給を期待できる点もメリットです。

特に、専門的な知識・スキルが求められる職種であれば、高時給も期待できるでしょう。条件の良い仕事を紹介してもらえる可能性があるため、持っているスキルや資格があれば派遣会社の担当者に伝えてみましょう。

派遣の仕事は非常に幅広いため、さまざまな仕事にチャレンジできる点もメリットです。正社員で働く場合、仕事の種類は限定されるケースがほとんどです。一方、派遣社員は契約期間で見ると、継続的に同じ職場で勤務するのは最長でも3年となります。

また、派遣社員としての契約であれば、未経験の職種でも採用してもらえる可能性が高い傾向にあります。やってみたい仕事がある場合は、派遣会社の担当者へ気軽に伝えてみましょう。

特に研修制度が充実している職場であれば、未経験でも安心して仕事を進められるのでおすすめです。

日本には多くの派遣会社があり、それぞれ保有している求人や得意としている業界・分野が異なります。

派遣会社には、「IT系に強い」「介護・看護など専門職に強い」といった業種特化型のほかに、「40代～50代の求人多数」というように年代別に強みを持っている派遣会社も少なくありません。エルダー・シニア層に特化した派遣会社に登録すれば、求人の探しやすさが大きく変わってくるでしょう。

また、派遣会社は1社だけでなく複数社登録しておくのがおすすめです。それだけ求人の選択肢が広がり、希望の求人を見つけやすくなります。3～5社を目安にシニア層に強い派遣会社をピックアップし、比較・検討しながら仕事を探すのがよいでしょう。

業務内容、勤務時間、時給など希望条件は、挙げるとたくさん出てくるものです。しかし、希望条件が多くなるほど、求人数もそれだけ絞られていきます。20代や30代の求人と同じように条件を指定しても、50代では合致する仕事がまったくないということも少なくありません。

業種・職種などを絞り込みすぎず、どうしても譲れない条件だけ決めておき、あとは紹介してもらった求人を見ながら柔軟に対応するのが得策です。また、特定の仕事にこだわりすぎず、未経験の業界・職種に目を向けてみるのもよいでしょう。

急募の求人はすぐにでも人手を必要としている状況のため、年齢を問わず採用してもらえる可能性が高い傾向にあります。特に短期の派遣は、年齢やスキルなどの条件をほとんど問わないこともしばしばです。

ただし、そういった職場は「退職者が多い」「待遇が悪い」といった理由で常に人手が足りなくなっていることも考えられます。思っていたより仕事量が多く、体力的についていけないというケースもあるため、募集要項をよく確認し、働きやすい職場かどうかを見極めるようにしましょう。

慢性的に人が足りていない業界は、年齢問わず採用される確率が高い傾向にあります。例えば、以下のような業界が挙げられるでしょう。

また、工場や清掃業など若年層の働き手が少ない傾向にある業界も狙い目です。

ただし、人手が足りていないということはそれだけ少人数で運営している可能性も高く、思いのほか仕事量が多くハードワークを強いられるケースもあります。体力にあまり自信がない場合は注意しておきましょう。

コミュニケーションはどの業界でも必要なスキルですが、派遣社員は特に重視される傾向にあります。派遣会社からさまざまな企業に派遣されて勤務するため、派遣先と円滑にコミュニケーションできなければ仕事を進められないからです。

派遣社員は、毎回顔を合わせて仕事をする社員が違うことも少なくありません。また、違う年代ともうまく接していく必要があります。そのような場合でも、すぐに雰囲気に馴染めるコミュニケーション能力があれば仕事もしやすくなるでしょう。

協調性・柔軟性も、コミュニケーションに付随する能力としてアピールできるポイントです。

50代で転職すると、これまでの経験や仕事の仕方にとらわれすぎるがゆえ、職場で孤立してしまうケースも珍しくありません。実際に、ほかの若手社員とうまくコミュニケーションができるのかと心配を抱えている企業は多いため、協調性・柔軟性はアピールポイントになります。

面接の際には、自分の主張ばかりをするのではなく会社全体のことを考えて行動できる協調性と、年齢に関わらず分け隔てなく付き合える柔軟性をアピールしてみましょう。

50代派遣社員として仕事をする際は、謙虚さ・素直さを持って勤務できるという点もアピールポイントになります。

50代の場合、派遣先企業の社員が年下であることも少なくありません。上司が20代～30代というケースも多いでしょう。上司が年下であっても、仕事上では先輩として年齢問わず相手の立場を尊重する姿勢が重要です。

上司から指導・注意を受けた場合も、理不尽な理由でなければ素直に受け入れて、自らを省みようとする姿勢を示すことができれば職場での信頼感も高まります。謙虚さ・素直さも面接の際には積極的にアピールしましょう。

50代になると体力が衰えてくるため、採用に消極的な企業も少なくありません。逆にいうと、若手社員に負けないような体力があれば、それだけ企業の目にとまる可能性も高くなります。

派遣の仕事には体力を使う業務も多く、さらに高時給であるケースが少なくありません。特に、体を使った仕事の経験がある場合や、普段から運動で体力づくりをしている場合は積極的にアピールしてみましょう。

事務の仕事は、50代の派遣社員でも多く募集されています。特に、書類作成や管理・データ入力をおもに行う一般事務の仕事は、時期を問わず求人が豊富です。

事務職の経験があり、電話応対や来客対応、雑務などの業務をこなせる能力があれば、「ブランク有OK」という求人も少なくありません。資格などは必要ないケースも多いため、スキルが活かせそうであれば積極的に応募してみましょう。

コールセンターは企業の窓口として、おもに顧客の電話応対を行う仕事です。一般的に、問い合わせを受ける「インバウンド」と、顧客へ架電して商品の紹介・セールスなどを行う「アウトバウンド」の2種類に分けられます。

コールセンターはほかの職種に比べて時給が高い傾向にあるため、デスクワークや電話応対が得意で、高収入を得たいと考えている方にはおすすめです。

工場・製造の仕事は、製品の製造ラインで材料の組立や加工などを行うほか、部品の検品や仕分けをする仕事もあります。50代向けの求人は比較的多く、資格・職歴不問で未経験歓迎の仕事も少なくありません。

マニュアルが整っていて誰でも行える業務が多いため、黙々と作業に没頭できる、単純作業も苦にならないという方には適した仕事だといえます。

また、体力仕事というイメージが強いですが、座って作業をできる軽作業などもあるため、体力に自信がない人も選択肢の一つとして考えておいてよいでしょう。

清掃業は、特定の場所で清掃業務を行う仕事です。商業施設やオフィスビルなど派遣先によってさまざまな清掃場所があります。工場・製造の仕事と同じく特別なスキルは必要ないため、年齢・経験不問のエルダー・シニア向け求人は豊富です。

体力を使う仕事ではありますが、朝の数時間だけといったように勤務時間や日数を自由に決められる場合も少なくありません。ライフスタイルや自分のペースに合わせて仕事をしたい方にはおすすめの仕事といえるでしょう。

家事代行サービスは、顧客の自宅を訪問し家事全般をサポートする仕事です。期間や1日の勤務時間は、顧客の要望に応じて変わります。日常的に訪問するケースもあれば、月に数回・大掃除が必要になるシーズンのみといった場合もあるなど勤務形態はさまざまです。

これまで仕事の経験があまりなく、これといったビジネススキルがない場合でも、家庭で家事を行ってきた女性や主婦（夫）の方であれば活躍できるおすすめの職種といえるでしょう。

警備関係の仕事は、商業ビルや病院・空港などの施設警備、工事現場やイベントなどの交通・雑踏警備などがあります。年齢不問で特別なスキルも特に必要ないため、エルダー・シニア層向けの派遣求人は豊富です。

警備する場所によっては一日中立ち仕事になる場合もあるので、ある程度体力は必要になります。最近では、カメラや人感センサーなどで警備を代替できるケースも増えてきているため、求人次第では負担軽減も可能です。

介護・福祉系の仕事は、ホームヘルパーや介護福祉士、ケアマネージャーなどさまざまな職種があります。介護・福祉業界は人手不足の傾向にあるため、50代派遣でも応募可能な求人は少なくありません。

介護・福祉系の仕事は資格が必要なものも多いですが、求人によっては資格を持っていなくても応募可能です。資格取得を支援してくれる派遣会社もあるため、介護・福祉の仕事を長く続けていこうと考えている場合は検討してみるのもよいでしょう。