2024.01.22

例文あり!「周知」の意味とは?ビジネスでの使い方や類語・誤用表現も詳しく解説

例文あり!「周知」の意味とは?ビジネスでの使い方や類語・誤用表現も詳しく解説

「変更点を周知します」「周知徹底に努めてください」といった表現は、ビジネスの現場でよく聞くフレーズかもしれません。

この記事では「周知」とはどのような意味なのか、どんな場面で使うのが適切なのかを詳しく解説します。

「お知らせ」「伝達」など「周知」と似ている意味を持つ言い換え表現と、それらの微妙なニュアンスの違いについてもご紹介するので、ぜひ参考にしてくださいね。

「周知」とはどのような意味?

「周知」の語源

  • 「周」 ...行き渡る/行き届く
  • 「知」 ...知らせる/知らしめる

上記の語源をふまえ「周知」は、主に以下の2つの意味で使われる言葉です。

【周知の意味①】 情報を広く知らせること

まだ一般的に知られていない情報を多くの人に伝えるときに「周知」を使います。周知される内容は、主に新しい情報や変更事項、重要なお知らせなどです。

情報が「周知」される場面の例
職場で新しい規則を導入するとき/学校でのイベントの告知をするとき/コミュニティでの安全情報の共有をするとき など

【周知の意味②】 ある情報がすでに広く知れ渡っていること

「周知」は、すでに多くの人に知られている情報や事実に言及するときにも使います。意図的に情報を広げることではないので、こちらの意味も知っておくとよいでしょう。

「周知」を使える状況の例

  • 地球温暖化など、社会の一般常識としてみんなが知っている情報・知識
  • 職場での共通認識として、職場の人全員が当たり前に知っているルール など

間違えやすい「衆知」「承知」との違いは?

「周知」と似ている言葉で「衆知」や「承知」がありますが、どれも意味が異なります。それぞれの意味の違いを理解して、正しく使い分けられるようにしましょう!

衆知(しゅうち) 多くの人の知恵(ひらめき/アイデア)
例)「衆知を集める」「衆知を結集する」
承知(しょうち) ・事情などを知ること/知っていること
・相手の願いや要求を聞き入れること
例)「承知いたしました」「無理を承知で」

「衆知」も「承知」も「周知」の「広く知らせる/広く知れ渡っている」という意味は持っていません。漢字が似ていて使い分けに迷うかもしれませんが、それぞれの意味をしっかり押さえておくとよいですよ。

「周知」を英語に訳すと?

「周知」を英語にすると「disseminating」や「well-known」に言い換えられます。

■ 「disseminating」…(情報や思想などを)広める
「周知の意味①情報を広く知らせること」の文脈で使う

■ 「well-known」...よく知られている/誰もが知る
「周知の意味②ある情報がすでに広く知れ渡っていること」の文脈で使う

動詞「周知する」の場合は、英語で「make public」や「disseminate」と表現できます。英語のときは、使う文章や会話の文脈によって適切な表現を使い分けるのが適切ですよ。

よく使う「周知」のフレーズ

「周知」を会話や文章の中で使うときによく出るフレーズをご紹介します。「周知」をどのように活用するか分からない方は、こちらを参考にしてみてくださいね。

「周知する」「周知させる」

「周知する」と「周知させる」は、文法的なニュアンスに違いがあります。

周知する 自分自身が直接情報を広める行為を指す
⇒情報を広める主体は自分
周知させる 他の人に情報を広めるように、指示または依頼することを意味する
⇒情報を広める主体は自分ではなく、指示または依頼を受けた他者

「周知する」は誤用と解釈されている場合もありますが、状況や文脈によって適切に使用すれば間違いではありません。

■「周知する」を使った例文

1. 「会社の新しい方針を全従業員に周知するため、メールで詳細を送信しました。」
2. 「部下にプロジェクトの変更点を周知させるため、プレゼンの準備を依頼した。」

「周知のとおり」

「周知のとおり」という表現は、聞き手がすでに知っていると思われる情報を前提として使います。

関係者に一度情報を共有していることや、前提を先出ししていたことを共通認識として、改めてお知らせする際によく使われる言葉です。

「周知事項」は周囲に知らせる内容のことを指すので、併せて覚えておくとよいでしょう。1度正式に周知したことをもう一度繰り返す場合は「再周知」とも言います。

■「周知のとおり」を使った例文

1. 周知のとおり、来月から新しい勤務体系が実施されます。それに伴い、各自のシフトを調整してください。」
2. 周知のとおり、プロジェクトの次のフェーズは来週から始まります。全員が期日までに準備を整えておいてください。」

「周知徹底」

「周知徹底」とは、特定の情報や方針を関係者全員が完全に理解し、認識している状態を目指すことです。

ビジネスシーンにおいて、職場で全員が知っておいてほしい変更点や注意事項があるときなどに使われます。

「周知徹底を図る」「周知徹底に努める」はよく使う表現

関係者全員に知っておいてほしい情報を隅々まで行き渡らせるために、

  • 何かしら計画し実行に移す(=図る)
  • 一生懸命に取り組む(=努める)

姿勢をを伝えるのに便利なフレーズです。

■「周知徹底」を使った例文

1. 「インフルエンザの予防策として、手洗いと咳エチケットの周知徹底を図ることが重要です。」
2. 「私たちは、ワークライフバランスの改善を目指す新しいポリシーの周知徹底に努めています。」

「周知徹底」と似た意味で使える四字熟語

「周知徹底」と似た意味を持つ四字熟語は以下の通りです。

  • 情報共有(じょうほうきょうゆう)
  • 情報拡散(じょうほうかくさん)
  • 意識徹底(いしきてってい)
  • 注意喚起(ちゅういかんき)

注意喚起は「不特定多数の人に幅広く」ではなく「特定の人に限って」注意を促す場合でも使えますよ。

四字熟語ではありませんが「ご案内します」「お知らせします」は「周知徹底」をもう少しやわらかくした表現になります。状況や伝える相手に合わせて使う言葉を変えてみてください。

「周知の事実」「周知のこと」

「周知の事実」や「周知のこと」は、多くの人が知っている事実や情報を指します。

「当たり前のように知っている」というニュアンスを含むので、文脈によってはその事柄を知らなかった人に対して皮肉に伝わってしまうケースもあります。

■「周知の事実」「周知のこと」を使った例文

1. 「運動が健康に良い影響を与えるのは周知の事実ですが、多くの人が日常的な運動を怠っています。」
2. 周知のことですが、来週の月曜日は祝日によりオフィスは閉まっています。」

【日常会話編】「周知」を使った例文

「周知」は日常的な会話の中でも使えます。少し硬い表現にはなりますが、正しい意味で使用すれば活用できる場面はたくさんありますよ。

日常生活でよくあるトピック別に、いくつか「周知」を使った例文をご紹介します。

トピック 「周知」を使った例文
地域のイベント 「来週のお祭りの日程が変更になったことは、周知の事実ですか?」
家族内での通知 「家族みんなに周知しておくけど、明日は6時に夕食をする予定だから。」
友人間の情報共有 「そのニュースはもう周知のことだよ。昨日、SNSで拡散されていたからね。」
学校の規則について 「新しい校則は生徒たちに周知されています。携帯電話の使用は休憩時間に限られました。」
近隣トラブルに関して 「この地域の騒音問題は周知の事実だが、具体的な解決策はまだ見つかっていない。」
健康に関するアドバイス 「砂糖の摂り過ぎが健康に悪影響を及ぼすのは周知のことだけど、甘いものを完全に避けるのも難しいよね。」
趣味や興味の共有 「彼がクラシック音楽の愛好家であることは、友人たちの間では周知の事実だ。」
コミュニティの変更事項 「団地のゴミ出し規則が変わったことは周知されていますか?火曜日はもうプラスチックごみの日ではありません。」
映画やテレビ番組について 「その映画が大ヒットしたのは周知の事実だよ。興行収入がすごいことになっているみたい。」
公共の安全について 「この地域では交通安全キャンペーンの周知徹底に努めており、事故率が大幅に減少した。」

【ビジネスシーン編】「周知」を使った例文

「ご周知」とすると、よりかしこまったていねいな表現になります。
以下のような場面では「ご周知」と使う方が適切なこともありますよ。

  • ビジネスシーンでフォーマルな文書で周知したいとき
  • 目上の方が周知する主体となるとき
  • 周知をほかの人にていねいにお願いしたいとき

ビジネスシーンで使える「周知」「ご周知」を用いた例文をトピック別にご紹介します。使えそうな例文がないか「周知」の意味を理解したうえで探してみてください!

トピック 「周知」を使った例文
会議のスケジュール変更 「来週の全体会議が金曜日に延期されたことを、皆さんに周知します。」
新しいプロジェクトの開始 「新しいマーケティングプロジェクトが始まることを、部署内で周知させてください。」
安全規則の更新 「工場の安全規則が今日更新されました。従業員に対して周知徹底を図ってください。」
組織内の人事異動 「次の四半期からの人事異動をご周知いたします。詳細は添付の文書をご覧ください。」
会社の新ポリシー 「新しいテレワークポリシーが導入されました。これを社員全員にご周知いただきたいと思います。」
緊急連絡網の再確認 「万が一の事態に備えて緊急連絡網を再度確認し、周知させることが重要です。」
顧客へのサービス変更通知 「来月からのサービス変更点を、各担当者からすべての顧客に周知させる必要があります。」
社内イベントの告知 「来週末に開催される社内イベントの詳細を、全社員にご周知ください。」
コンプライアンスの強化 「最新のコンプライアンス規定を部門ごとに周知させ、遵守をお願いします。」
メンテナンスの通知 「今週末のシステムメンテナンスについて、関連部署に周知させてください。」

「周知」の類語と使い分け

「周知」にはいくつかの類語がありますが、それぞれが含むニュアンスや言葉が使用される場面が違うことがあります。「周知」との使い分けポイントにも注目して、言い換えの表現を確認してみましょう。

お知らせ

「お知らせ」とは、人にある事実や情報を伝えるときに使うていねいな表現です。

学校・職場・コミュニティなどのイベントを開催するときや、知っておいてほしい変更事項があるときなどに使います。

比較的重要度が低く、認識しておいてほしい事柄を伝える際に便利な言葉です。

例文
「市民の皆様へお知らせです。来月から図書館の開館時間が変更になりますので、ご注意ください。」

報告

「報告」とは、任務を任された人がその任務の進行状況や結果を伝えることです。

「周知」のように不特定多数の人に広く知らせるというよりかは、特定の関係者に向けて必要な情報を一方的に伝えるときに使うのが適切です。

業務や研究の進捗状況を伝えたり、トラブルが起きたときにその状況や一連の流れ、原因などを伝えたりする際にもよく使われます。

例文
「今週のプロジェクト進捗についてご報告させていただきます。現在、計画通りに進んでおり、主要なマイルストーンはすべて予定通りに完了しています。」

連絡

「連絡」とは、特定の関係者に情報を知らせることです。「報告」と同様に、不特定多数の人に情報を知らせるのではなく、自分と関係している人に対して伝えるときに使います。

例文
「明日のプレゼン資料は現在作成中です。資料の準備が整い次第、今日中に連絡します。」

伝達

「伝達」には、指示や情報、命令を次々に伝えるという意味が含まれています。口頭で直接伝えるよりも、文書で何かを伝えるときに使うことが多い言葉です。

「〇〇に~~についての決定事項を伝達する」といったように、伝える対象が明確であるときに使用するのが適切ですよ。

例文
「昨日の会議での決定事項を各部門に伝達するための文書を準備中です。」

共有

「情報を共有する」とよく使われるように、物事を2人以上で分かち合うという意味を持つのが「共有」です。英語では「share(シェア)」と訳されます。「周知」よりも双方向で情報交換するニュアンスが強い言葉です。

ビジネスシーンでは、情報だけではなくツールや文書を一緒に使える状態にすることを「共有」と言うこともあります。

例文
「昨日の旅行で撮った写真をみんなで共有したいと思います。」

通知

相手に情報を知らせるという意味では「周知」と似ていますが、その情報を浸透させる強制力がない点で少しニュアンスが違います。

「合格発表の通知」や「アプリからの通知」といったように、一方的に情報を伝えるときに使うことが多い言葉です。

例文
「次のバージョンアップデートに関する通知が公式ウェブサイトに掲載されました。」

告知

「告知」は漢字の通り、告げ、知らせることという意味を持っています。「通知」と意味が似ていますが、より重要度が高い事柄を一方的に伝えるときに使います。

「周知」のように、広く知らせる意味は含まないため、特定の人に必要な情報を伝える場面で使用する言葉です。

例文
「医師は患者に対して、深刻な病状と限られた余命を告知した。」

公知

「公知」とは「不特定多数の人に知られている」という意味です。

「周知」が持つ意味のひとつである「すでに多くの人に知られている」と似ており、一般的に知られていることを示すときに使います。

ビジネスシーンではなく、特許関連での文脈で使用されることが多い言葉です。

例文
「特許審査の過程で、私たちの申請した方法が公知の技術に基づいていることが明らかになりました。」

まとめ

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