個人事業主向け|フリーランス新法とは?知っておきたいポイントをわかりやすく解説

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2024年11月1日から施行された「フリーランス新法」。フリーランスが働きやすい環境をつくるために、いくつかの新しいルールが設けられているのをご存じでしたか?
この記事では、フリーランス新法が制定された背景や、新しく定められた7つの義務事項について詳しく解説します。フリーランスとして働いている方や、独立を検討している人はぜひチェックしてみてくださいね。
目次
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フリーランス新法とは?わかりやすく解説
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フリーランス新法とは、フリーランスの働き方を保護するために制定された法律です。
2024年11月1日から施行されており、合計7つの義務項目を制定しています。たとえば、以下のような内容が定められました。- 契約内容の書面化
- 60日以内の報酬支払い
- 労働環境整備の努力義務
- ハラスメント対策
フリーランス人口が増えている今、働きやすい環境づくりの一環として制定されました。この記事では、フリーランス新法が制定される前と後での変化や、制定されるに至った背景を紐解いたうえで、フリーランス新法について詳しく解説します。
※参考:公正取引委員会「公正取引委員会フリーランス法特設サイト」
※参考:中小企業庁「フリーランスの取引に関する 新しい法律が11⽉にスタート︕」フリーランス新法が制定された背景
これまでフリーランスと依頼主との取引には、民法や独占禁止法などの一般的な法律が適用されていました。しかし、これらの法律ではフリーランス特有の課題に十分に対応できず、トラブル発生時の保護が不十分な場合がありました。たとえば、以下のようなトラブルが例として挙げられます。
- 報酬の未払いが発生する
- 契約内容が曖昧で契約後に条件を変更される
- ハラスメントといった問題が発生しても、どこに相談するべきかわからない
- 発注者側の都合で一方的に契約を解除される
「フリーランス」という働き方が広がる一方で、フリーランスが不利益を被る場面が問題になり、顕在化していたのです。
2022年に公正取引委員会が実施した調査によると、取引条件が契約前後で変わった経験がある人は約20%に上るとわかりました。また、取引条件が明示されていなかった人は23%、ハラスメントを受けたことがある人は約10%という結果になっています。
このような背景から、フリーランスと依頼主との間で行われる取引を適正化する必要性が高まっていきました。フリーランス新法は、こうした背景を踏まえ、適切なルール整備を進める目的で制定されたのです。
※参考:公正取引委員会「公正取引委員会フリーランス法特設サイト」
※参考:総務省統計局統計調査部労働力人口統計室長 奥野 重徳「基幹統計として初めて把握したフリーランスの働き方~令和4年就業構造基本調査の結果から~」
※参考:公正取引員会「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律と独占禁止法及び下請法との適用関係等の考え方」フリーランスと発注事業者の定義
フリーランス新法における「フリーランス」とは、業務委託の相手方であり、従業員を使用しない事業者のことです。
従業員を使用しないことが条件であるため、個人事業主や小規模な法人も含まれますが、従業員を使用する場合は対象外となります。ここでいう従業員とは、週20時間以上働き、かつ31日以上雇用の見込みがある人を指します。
一方、「発注事業者」とは、フリーランスに業務委託を行う事業者で、従業員を使用している法人または個人事業主のことです。発注事業者はフリーランスに対し、一時的または継続的な業務を委託する立場にあります。
この法律は、フリーランスと発注事業者間のBtoB取引を対象としており、たとえば企業がフリーランスにホームページ制作を依頼する場合などが含まれます。ただし、個人消費者からの依頼や成果物の単なる売買は対象外です。
世間一般での「フリーランス」とは異なる法的な定義であるため、注意が必要です。また、本記事では、フリーランスと記載する場合の定義を上記の前提で話を進めます。
※参考:中小企業庁「フリーランスの取引に関する 新しい法律が11⽉にスタート︕」
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フリーランス新法で定められた7つの義務事項を徹底解説!
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フリーランス新法では、フリーランスの労働環境を整備するべく、以下7つの義務項目を設けています。
義務項目 概要 ①契約の書面化 業務委託内容を書面に記載する ②60日以内の報酬支払 報酬の支払い期限を60日以内と規定する ③労働環境の整備を目的とした禁⽌⾏為 報酬の減額などフリーランスの利益を不当に扱う行為等を禁止する ④募集情報の的確表⽰ 発注者が受注者を募集する際は、求人媒体や募集要項に虚偽の内容は掲載せず、最新情報を明記する ⑤育児介護等と業務の両⽴に対する配慮 フリーランスが育児や介護と仕事の両立ができるよう、事業者側が必要に応じて配慮する ⑥ハラスメント対策 相談窓口を開設するなどハラスメント防止のための措置を行う ⑦中途解除等の事前予告・理由開⽰ - 6か月以上の業務委託契約でフリーランスを中途解約する場合、30日以上前に予告する必要がある
- フリーランスから中途解約の理由開示について申出があった場合は、明確に理由を伝える義務がある
※参考:中小企業庁「フリーランスの取引に関する 新しい法律が11⽉にスタート︕」
また、取引対象により義務項目の適用範囲が以下のように異なります。
▼適用範囲フリーランスに業務を発注する側の条件 適用される義務事項 従業員を使用している(フリーランス含む) ① 従業員を使用している ①、②、④、⑥ 従業員を使用している、 かつ継続的に業務委託している ①、②、③、④、⑤、⑥、⑦ 取引する際にどの項目が当てはまるのか、それぞれの項目にはどんな決まりがあるのかを把握しておく必要があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
契約内容の書面化
フリーランス新法では、業務委託契約の内容を明確化するために、書面または電磁的方法(メールやチャットツール等)で契約内容を提示することが義務付けられています。
この措置は、取引条件を曖昧にしたまま進行することで発生するトラブルを防ぐ目的で制定されました。
具体的に明示すべき項目は、以下の通りです。- 業務の内容
- 報酬の額
- ⽀払期⽇
- 発注事業者・フリーランスの名称
- 業務委託をした⽇
- 給付を受領/役務提供を受ける⽇
- 給付を受領/役務提供を受ける場所
- (検査を⾏う場合)検査完了⽇
- (現⾦以外の⽅法で⽀払う場合)報酬の⽀払⽅法に関する必要事項
契約内容の提示によって双方の認識を統一し、取引をスムーズに進めることを目的としています。契約内容の書面化は、フリーランスが安心して働ける環境を整える重要な事項です。
60日以内の報酬支払い
フリーランス新法では、発注事業者がフリーランスから成果物や役務を受け取った場合、報酬の支払い期日を60日以内に設定し、期日までにできるだけ早く支払うことが義務付けられています。
このルールは、報酬の未払い・遅延を防ぐことを目的として制定されました。たとえば、4月5日に成果物を受け取った場合、6月4日までに報酬を支払わなければなりません。
さらに、再委託案件の場合、発注元からの支払い日から30日以内にフリーランスへ報酬を支払うことが求められるため、上記と条件が異なる点に注意が必要です。労働環境の整備を目的とした禁⽌⾏為
フリーランス新法では、発注事業者がフリーランスに対して不当な要求や行為を行うことを禁じています。具体的には、以下7つの項目が禁止されています。
- 受領拒否
- 報酬の減額
- 返品
- 買いたたき
- 購⼊・利⽤強制
- 不当な経済上の利益の提供要請
- 不当な給付内容の変更・やり直し
基本的に、フリーランスの利益を不当に損なうことは禁止事項にあたります。禁止行為を定めたことにより、発注事業者とフリーランスの取引環境がより公平で透明なものとなることを目指しているのです。
募集情報の的確表⽰
フリーランス新法では、発注事業者が業務の募集情報を提供する際に、内容を正確かつ最新のものにし、虚偽や誤解を招く表示をしないことが義務付けられました。
この義務事項は、広告や求人情報を通じてフリーランスを募集する場合に適用されます。たとえば、実際の報酬額や仕事内容と異なる条件を提示する行為は禁止されました。育児介護等と業務の両⽴に対する配慮
フリーランス新法では、継続的な業務委託を行う場合、フリーランスが育児や介護と業務を両立できるよう配慮することが義務付けられました。具体的には、以下のような対応が求められます。
- 「⼦の急病により予定していた作業時間の確保が難しくなったため、納期を短期間繰り下げたい」との申出に対し、納期を変更すること
- 「介護のために特定の曜⽇についてはオンラインで就業したい」との申出に対し、⼀部業務をオンラインに切り替えられるよう調整すること など
フリーランスとして働く人にとって、家庭と仕事のバランスを取りやすい環境が整うことを目的として定められました。
ハラスメント対策
フリーランス新法では、発注事業者がフリーランスに対するハラスメントを防ぐための措置を講じることが義務付けられています。具体的には、以下のような措置が必要になりました。
- ハラスメントを⾏ってはならない旨の⽅針の明確化、⽅針の周知・啓発
- 相談や苦情に応じ、 適切に対応するために必要な体制の整備
- ハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応 など
ハラスメント対策の規定により、発注事業者が優越的な立場を利用して不当な言動を行うことや、精神的苦痛を与える行為を防止しています。
また、フリーランスがハラスメントを相談した際、不利益な扱いを受けることを禁止し、迅速かつ適切な対応を行う義務も定められています。中途解除等の事前予告・理由開⽰
フリーランス新法では、継続的な業務委託契約を中途解除する場合、原則として30日前までに解除の予告を行うことが義務付けられています。また、解除の理由についてもフリーランスから開示の要求があった場合には明確に理由を開示する必要があります。
この義務事項が定められたことにより、フリーランスが業務計画や収入面での対応を事前に準備できるよう配慮されています。
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【Q&A】フリーランス新法にまつわるよくある質問
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フリーランス新法に関するよくある質問をまとめました。
疑問点の解消にお役立てください。それぞれ詳しく見ていきましょう。
契約書が発行されない場合はどうする?
取引先に契約書の作成が可能か、一度打診してみましょう。依頼が難しい場合は、トラブル防止のためにも、自分で契約書を作成し、契約内容を明記することをおすすめします。
契約書の作成には時間を要しますが、テンプレートや型をうまく活用すると、効率よく作成できるでしょう。
たとえば、フリーランス協会が提供する「契約書メーカー」は弁護士監修のテンプレートで、初めて契約書を作成する方でも比較的簡単に作成できます。無料で使用できるので、もしものときに活用できるよう一度目を通しておくとよいでしょう。契約書には何を記載すれば良い?
契約書には、業務内容や報酬額、契約期間などを明確に記載することが重要です。具体的には、フリーランスが提供するサービスの詳細、納期、報酬の支払い方法と期日、契約解除の条件を含みます。
たとえば、Webライターとして記事制作の依頼を受けた場合、以下のように記載するとよいでしょう。項目 内容 業務内容 - キャリアをテーマにした原稿執筆
- 1記事5,000文字を想定
- Wordファイルにて納品
納期 依頼日を基準として依頼日を含む7日後 報酬 15,000円(+税) 支払い期限 Wordファイル納品月の月末を締め日とし、
翌々月の月末まで著作権 納品後、クライアントに譲渡(または使用許諾) 上記のように必要項目を明確に記載することで、後のトラブルを未然に防げるでしょう。
義務事項を違反された場合はどうする?
フリーランス新法に基づき、義務事項に違反する行為があった場合は、行政機関に申出ができます。具体的には、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省が対応窓口となっており、オンラインや郵送での相談が可能です。
オンラインでは、厚生労働省の申出受付フォームに必要事項を入力してネット上で提出できます。郵送の場合は、申出受付事前確認表で要件を確認したうえで、申出書を記入して最寄りの事務所に送付する流れです。要領や例は、公正取引委員会の公式サイトで確認できます。
※参考:公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法の違反被疑事実についての申出窓口」フリーランス同士の受発注も法律の対象?
フリーランス新法が適用されるのは、フリーランスと、フリーランスへ業務を依頼する発注者による取引です。フリーランス同士の受注に関しても、BtoB取引にあたる場合はフリーランス新法の対象となります。法律上、以下のように表現されている二者間での取引が対象です。
- 特定受託事業者(=フリーランス)
- 特定業務委託事業者(=フリーランスへ業務を依頼する側)
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フリーランスとして働く方はガイドラインもチェック!
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フリーランスが適正な取引を行うためには、「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」もチェックしておきましょう。ガイドラインには、依頼主との取引時に気をつけたいポイントや、法令違反に当たるケーススタディが紹介されています。
「このケースは法令を基準にするとどうなるの?」と不安に感じたら、ガイドラインを参考にしてみるのもおすすめです。
※参考:内閣官房 公正取引委員会 中小企業庁 厚生労働省「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン(概要版)」
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困ったらフリーランス・トラブル110番に相談しよう!
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フリーランス新法制定に伴い、「フリーランス・トラブル110番」が開設されました。「フリーランス・トラブル110番」とは、第二東京弁護士会が各種省庁と連携して運営する相談窓口のことです。
フリーランスや個人事業主が取引上のトラブルやお悩みを気軽に相談できる窓口のため、受注した仕事でトラブルがあった場合は活用してみてください。
※参考:フリーランス・トラブル110番 公式サイト
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まとめ|フリーランス新法を理解して適正な取引で心地よく働こう!
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フリーランス新法は、フリーランスの数が増えたことや不当な取引の横行が背景となり、制定された法律です。
働き方の多様化により労働のあり方がさまざまになったことで、それぞれが働きやすい環境づくりが必要なため、時代の変化に応じてこうした法律の制定がなされたのです。
副業やフリーランスとして個人で仕事を受注する方は、トラブルが発生しないためにも、フリーランス新法を正しく理解しておきましょう。万が一、トラブルが発生した場合は、専門窓口への相談をおすすめします。
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