企業が求職者の「強み」に注目するのは、新たに採用するメンバーが持っている強みが、チームにどのようなプラスの影響をもたらすかを把握したいからです。
企業は、個々のメンバーの強みが、チーム力を高め、プロジェクトを成功に導く力となると考えています。

また、求職者が「自分の強み」を理解し、アピールできるかどうかは、「自分のことを正しく認識できているか」「自分をアピールする能力があるか」を測る指標にもなります。
このことは、仕事を進める上でのコミュニケーションや、クライアントとの交渉など、多くの場面で大切です。

一方で、「強み」を知ることは、自分を深く理解することに繋がり、自分にとっても大切なことです。自分の得意なことやできることを理解することで、自信を持って行動することができます。また、仕事を見直し、効率化することにも繋がります。

さらに、将来どのようなキャリアパスを歩むべきか、どのポジションが自分に適しているのかを見極める手助けにもなりますし、他者とのスムーズなコミュニケーションに活かすこともできるでしょう。

強みを知る第一歩として、自己分析が不可欠です。就活における自己分析とは、自分の特性、価値観、興味、能力などを理解し、それをもとに企業へアピールするポイントを洗い出す重要なプロセスです。
深掘りすることで、本当の自分を知り、適切な自己PRができるようになります。

自分史

自分史は、これまでの人生の転機や印象に残っているエピソードを年表にして振り返る手法です。
人生の転機や印象に残っているエピソードを年表にして、その時何を感じ、どう成長したのかを書き出します。これを通して、自分がどのような経験を通じて何を学び、どのように成長してきたのかを理解しやすくなります。

モチベーショングラフ

モチベーショングラフは、特定の時間軸（例えば、過去1年間）における自分のモチベーションの変化を視覚化し、その背後にある要因を理解する方法です。何が自分を動かし、モチベーションを上げ下げするのかを理解することで、強みを見つけるヒントになります。

マインドマップ

マインドマップは、中心にあるテーマ（例えば「私の強み」「価値観」「好きなこと」）から派生するキーワードやアイデアを枝分かれさせていくことで、自分の中の様々な要素を視覚的に整理する手法です。
自由な発想で、自分が大切にしていることや興味をマッピングするなかで、新たな発見が得られます。

当たり前にできることから探す

自分にとって当たり前すぎて気づかないスキルや特性も、他の人から見れば立派な強みとなることがあります。日常の中でストレスなくこなせること、得意とすることから、自分の強みを見つける手がかりを得ましょう。
日常のルーティンやタスクをリストアップして、苦労せずにできていることを確認してみたり、他人から褒められたことや感謝されたことを思い出してみてください。

弱みを強みに言い換える

弱みを強みに言い換えるテクニックでは、自分の弱みや苦手をポジティブな視点から捉え直します。
例えば、「慎重すぎる」を「リスクを最小限に抑えることができる」とポジティブに表現し直すことで、強みに変えることができます。

自己分析ツールやキャリアカウンセリング

自己分析ツールやキャリアカウンセリングを利用して、自分を客観的に見つめ直し、自己理解を深めることができます。プロの視点からアドバイスをもらうことで、新たな発見があるかもしれません。

自己分析には、多くの人がハマってしまうポイントがあります。
1つ目は、十分なふり返りをせず、深掘りを始めてしまうこと。自己分析は、まずは「全体のふり返り」をし、「深掘りすべきポイントを整理」してから「深掘り」という手順で行います。深掘りしながらふり返るのは効率が悪いですし、より強みになるポイントを見落としかねません。

2つ目は、目的が明確でないために、明確なゴールがなく、自己分析がうまく進まないケースです。「皆がやっているから」ではなく、何のために自己分析を行っているのかを常に意識し、目標に対して最適な情報を得るよう心がけましょう。
面接の前であれば「自分の強みを見つけ出すため」や「面接官に自分を知ってもらうため」、「自己PRを作るため」のように目的を明確にしましょう。

3つ目は、志望企業のニーズに囚われすぎることです。もちろん企業の要求を理解することは大切ですが、それにこだわりすぎて自分を偽ってしまうことは避けるようにしましょう。

強みは実際の経験からも見つけることができます。
特に問題解決や目標達成した経験を振り返り、その過程でどのような行動をとったのか、どのようなスキルや特性が活かされたのかを考えることで、具体的な強みを見つけるヒントになります。

友人や家族から自分の客観的な評価をもらうこと（他己分析）で、自己分析では気づけなかった点や、改善点を知ることができます。
他己分析を行う際は、ある程度の信頼関係がある人からフィードバックをもらうことが大切です。また、一人の意見に偏らないよう、多くの意見を聞くことで、より広い視野で自分を知ることができます。