厚生労働省の「平成30年若年者雇用実態調査の概況」によると、在学中ではない若年労働者（15～34歳の労働者）のうち、中卒・高卒・大卒の正社員の割合は以下のとおりです。

※参考：平成30年若年者雇用実態調査の概況｜厚生労働省

また、中卒者の正社員割合が低いのは、中卒で応募できる求人数が高卒や大卒に比べて少ないことが原因のひとつと考えられます。

令和5年度の厚生労働省の公表によると、ハローワーク求人における中卒・高卒の求人数は以下のとおりでした。

※参考：厚生労働省「令和５年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る 求人・求職・就職内定状況」取りまとめ（９月末現在）」

中卒は正社員採用率が低く求人数も少ないのが現状ですが、中卒で正社員として働いている人がいるのも事実です。適切に仕事探しや職種選びを行うことで、正社員として働くことは十分可能でしょう。

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厚生労働省の｢平成18年賃金構造基本統計調査(全国)結果の概況｣によると、中卒者の平均年収は272.7万円です（※1）。この水準が一般的にどのくらいを推移するのか、学歴別の平均年収を見てみましょう。

※参考：厚生労働省「令和5年年賃金構造基本統計調査(全国)結果の概況｣

大卒正社員の平均年収と比較すると、約170万円もの差があるとわかります。とはいえ、高校卒や高専・短大卒と比較した場合、平均年収の差は小さくなるようです。

※参考：厚生労働省｢平成18年賃金構造基本統計調査(全国)結果の概況｣
※1：上記の参考リンクは厚生労働省における中卒者の賃金データの最新
※参考：厚生労働省「令和5年年賃金構造基本統計調査(全国)結果の概況｣

前述したとおり、高卒や大卒に比べると中卒で正社員になることはやや難しいのが現実です。正社員の求人に応募することが難しいと感じた場合は、正社員登用制度のあるアルバイト求人へ応募してみることをおすすめします。

正社員登用制度とは、既に働いているアルバイトやパートなどを正社員として雇用する制度のこと。企業が独自に導入する制度のため、同じ職種でも企業により正社員登用制度の有無は異なります。

厚生労働省の「労働経済動向調査（令和６年２月）の概況」によると、調査対象企業のうち、76％の企業が正社員登用制度を導入しているとわかりました。また、実際に正社員登用制度を利用している企業は、50％にも及ぶのです。

このように、アルバイトやパートからでも正社員を目指せる企業は多いため、求人情報を見る際は正社員登用制度の有無についてもよく確認しておきましょう。

※参考：厚生労働省「労働経済動向調査（令和６年２月）の概況 」

厚生労働省の調査によると、正社員登用制度が多い業界や正社員登用実績の多い業界には、以下があります。

※参考：厚生労働省「労働経済動向調査（令和６年２月）の概況」

上記のような業界では、多くの企業が人手不足の問題を抱えており、人材の確保に力が注がれています。多くの人材を確保するためにアルバイトなどの非正規労働者も雇用が進められ、将来のキャリアとして正社員登用という選択肢が用意されているケースも多いでしょう。

現場での戦力や実用的なスキルが重視されるような仕事は、学歴よりも経験が重視される傾向にあります。そのため、正社員登用制度を利用せず、アルバイトから経験を積むことでも正社員を目指すことが可能です。

正社員として就職したい業界や職種が決まっている場合は、同じ業界や職種のほか、関連する業務で働けるアルバイトを選んでみましょう。アルバイトでの経歴を実務経験としてアピールできれば、正社員採用への道が開かれるかもしれません。

「中卒でもできる仕事はほとんどない」と学歴を理由に就活を諦めていたとしても、経験として活かせるアルバイトがないか探してみてくださいね。

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飲食スタッフは、学歴が重視されにくく中卒でもできる仕事のひとつです。仕事内容としては、お客さまの注文を受けて料理を提供するホールスタッフと、調理を担当するキッチンスタッフの2種類があります。

キッチンスタッフは調理師免許（国家資格）が必要となる場合もありますが、調理師免許の取得自体に学歴は問われません。そのため、未経験から挑戦しやすい仕事といえます。

料理が好きな人はもちろん、将来的に自分で飲食店を開業したい人も飲食スタッフの実務を通じてスキルを身につけると、今後のキャリアにつながる経験となるでしょう。

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接客業も学歴に左右されにくい仕事です。接客業のジャンルは、小売店や宿泊施設など、多岐にわたります。いずれにおいても、店舗で扱う商品やサービスに関する知識や、お客さまとコミュニケーションを取る力が必要です。

接客業で必要な知識やスキルは実践を通じて習得できるため、未経験はもちろん、中卒者でも実務を通して成長していけるでしょう。

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データ入力は、指示された内容に沿って必要なデータをパソコンで打ち込む仕事です。特別な資格やスキルは必要なく、学歴不問で働ける求人が多数存在します。

WordやExcelなどの基本的なパソコンスキルがあれば中卒者でもできる仕事です。データ入力の仕事は在宅で働ける場合もあります。自宅で仕事をしたい人や、プライベートと仕事の両立を重視したい人におすすめです。

効率的に正確なデータ入力を行うよう意識すれば、事務職のようなパソコン作業を中心とした異業種で活かせるスキルも身につくでしょう。

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物流や引越しなどの荷物を運ぶトラックドライバーや、お客さまを乗せるタクシードライバーも中卒者におすすめの仕事です。それぞれ運転する車に合った運転免許が必要ですが、運転免許の取得に学歴は問われません。

企業によっては必要な運転免許の取得支援（補助金）がある場合もあり、中卒者でも働き始めやすい環境といえるでしょう。長時間の運転が基本的な業務となるため、体力に自信がある人や運転が好きな人に向いている仕事です。

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商業施設や企業ビル、工場などの警備のほか、工事現場や駐車場などで交通誘導を行う仕事です。警備員は学歴不問で未経験から挑戦可能なため、中卒者でもできる仕事といえるでしょう。

警備員の仕事のなかには24時間体制のシフト制となる職場も。そのため、きちんと体調管理ができる人や体力のある人に向いています。

警備員の仕事はさまざまな現場で経験を積みながら継続的に働ける点で、長期的なキャリアを築きやすいです。実務に加えて、警備業務検定を取得することで業務の幅が広がり、給与アップも期待できるでしょう。

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工場作業員はマニュアルに沿って商品を製造する仕事です。扱う商品は自動車部品や精密機器、食品などさまざまで、いずれの工場でも学歴不問で未経験から知識を習得できる傾向にあります。

作業の質や効率を上げて仕事ぶりが評価されると、キャリアアップも目指せるでしょう。中卒者でも実務のなかで成長しながら、キャリア形成できるといえます。

自分なりの工夫を重ねることが好きな人や、普段から作業効率を考えるのが好きな人、黙々と作業に打ち込むことが好きな人は工場作業員に向いているのでおすすめです。

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オペレータースタッフは、コールセンターのような顧客対応窓口で電話の受信業務、または発信業務を行う仕事です。電話応対では情報を正しく聞き取り適切な案内を行う、声のトーンを工夫するなど、臨機応変な対応力が求められます。

基本的には座り仕事のため、体力に自信がない人も働きやすいでしょう。学歴を問われにくく未経験でも始められる仕事です。仕事柄、クレーム対応をする場面もあり精神的な疲労を感じることもありますが、経験を積むことで適切な対処方法を身につけられるでしょう。

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介護職は高齢者施設やデイサービス、訪問介護などで高齢者の生活補助を行う仕事です。具体的には、高齢者と会話をしたり、食事や掃除など身の回りの生活の補助を行ったりします。

介護業界は高齢化により人手が慢性的に不足している業界です。介護のスキルや知識を身につけることで、長く安定して働いていけるでしょう。「介護職員初任者研修」を取得すると収入アップも目指せます。

人の役に立つ仕事に就きたい人や、キャリアアップも図れる仕事を探している人に向いている仕事です。

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工事・建設現場作業員は学歴不問で、やる気や体力などが重視されやすい仕事です。そのため、中卒者でもできる仕事といえます。

工事・建設現場作業員には、大工やとび職をはじめ職種はさまざまです。器用さや体力、腕力など、自分の持ち味を活かせる職種を選ぶとやりがいが感じやすくなるでしょう。

経験を積むことで施工管理や現場の指揮を担うなど、キャリアアップも見込める仕事です。

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IT関連の代表的な職種には、システムエンジニアやプログラマーなどが挙げられます。IT技術やインターネットの発展によりITスキルを持った人材の需要が高まる一方で、IT業界全体は深刻な人材不足となっています。

IT業界では、学歴よりも現場の即戦力となる技術を持った人が重宝される傾向にあるため、中卒者でもプログラミングの技術を持つ人は自分に合った仕事先を見つけるチャンスです。

実際に現場で経験を積み、プログラミング技術を磨いていくことで給与アップや転職によるキャリアアップも図れるでしょう。

※参考：経済産業省「参考資料 （ＩＴ人材育成の状況等について）」

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中卒の男性の場合、体力や力仕事などがメインとなる以下の仕事に人気があります。

これらの仕事は学歴不問で実際の働きぶりが評価されやすいため、努力次第で評価アップや収入アップを目指せる点で人気となっています。人手不足の業界では、特に採用に力が入れられているため、就職のしやすさも魅力といえるでしょう。

中卒の女性の場合、丁寧な接客や電話応対、コミュニケーションスキルなどを活かせる以下の仕事に人気があります。

これらの仕事は学歴や経験不問で未経験から始めやすく、働きながら知識やスキルを身につけられる点が魅力です。オペレータースタッフやデータ入力など体力を多く必要としない職種は、体力仕事に自信のない方にも応募しやすいでしょう。

中卒者の場合、「高卒以上」「大卒以上」などの学歴が問われる求人での採用は厳しいと思っておきましょう。応募自体はできたとしても、学歴情報から不採用となってしまう可能性があります。そのため、求人情報の応募条件はよく確認しておきましょう。

高卒認定を持つ中卒者の場合は、応募条件に「高卒」や「高卒と同程度の学力」と記載のある求人への採用確率が高まる傾向にあります。

正社員としての採用を目指すなら、求人応募に加えて資格取得も視野に入れながら、長期的な目線でキャリアを考えることが大切です。

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中卒で正社員を目指す選択肢として、アルバイトに応募して正社員登用制度を利用する方法があります。しかし、求人情報に「正社員登用あり」の記載があっても、必ず正社員になれるわけではない点に留意しておきましょう。

正社員登用制度により正社員になるには、アルバイトやパートで一定期間働き、職場が定める正社員登用要件や基準を満たす必要があります。正社員登用に関する規定は企業により異なり、なかには具体的な基準が整っていないケースも。

条件を確認せずに働き始めてから正社員登用制度が使用できないとなると、後悔してしまう恐れがあります。アルバイト応募時は、正社員登用制度ありの求人を探し、面接ややりとりを通して具体的な採用基準を事前に確認しておくと安心です。

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「学歴に自信がない」といった理由から応募時に虚偽の記載をしたり、内容をごまかしたりしてしまうと、採用後に不安な気持ちで働き続けることになります。最悪の場合、信頼関係が悪化してしまうようなリスクを伴うでしょう。

履歴書に学歴を書く際は「中学卒業」から書き始め、高校へ進学しなかった方や高校を卒業せずに中退した方は最終学歴を「中卒」とします。

また、最終学歴が中卒である理由や、高校を中退した理由などは履歴書に書かず、別の用紙に記載する、もしくは面接で伝えられるように準備しておくことが大切です。

中卒でもできる仕事の面接を受ける際は、面接で聞かれやすい質問を想定し、回答を考えておきましょう。また、面接当日の流れを把握しておき、面接対策を万全にしておくことをおすすめします。

中卒者の面接で、「なぜ中卒なのか」はよく聞かれる質問のひとつです。中卒である理由は人によってさまざまですが、面接ではあくまで事情の説明にとどめておきましょう。そして、今後どうなりたいのかといった、ポジティブな姿勢を見せるように心がけてください。

当日は丁寧な言葉遣いで仕事に対する熱意をアピールし、聞かれた質問に素直に答える姿勢が大切です。面接本番は緊張して本領発揮できないことも考えられます。少しでも不安な気持ちを留めておくためにも、しっかり準備しておくことが重要です。

正社員登用制度の利用を見越してアルバイト応募をする際は、正社員登用制度の要件や登用実績について確認しておきましょう。

また、正社員登用後の業務内容の違いや、給与や待遇についても確認しておくと安心です。勤務時間や休日の規定、社会保険など、働くうえで気になるポイントは漏れなく確認できるよう、あらかじめ質問をまとめておくとよいでしょう。

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