40代になると管理職に就いて部下を育てる人も多く、責任がこれまで以上に重くなるといったように任される業務が変わります。チームや部下、組織間のコミュニケーションに疲れて、大きなストレスがたまることも。

仕事内容の変化に伴い「向いていない・適性がない」「求められる業務レベルが高い・低い」「やりたいことが今の会社では実現できない」といった不満を抱える場面も出てきやすくなります。

40代でキャリアの岐路に立つことも多く、「このまま同じ会社で働き続けてよいものか」と気持ちが揺らぎ、仕事を辞めることを考える人が多くなるのです。

職場の良好な人間関係は、スムーズに仕事を行ううえで大切な要素です。人間関係に不満があると、本来の能力が十分に発揮できなくなる可能性もあります。

同僚や上司、部下とうまくコミュニケーションが取れない、性格が合わないなどでストレスを感じる状況が続けば、業務パフォーマンスが思うように発揮できなくなるかもしれません。

単に周囲とのコミュニケーションがうまくいかないだけでなく、社内の雰囲気の悪さやいじめ、パワハラ、セクハラなどが常態化している職場にいる人であれば、立場上改善のために動くことを求められるケースも多く、精神的に大きな負担を感じて転職を考えるようになるのはごく自然なことです。

40代になるとさまざまな人と関わる機会が多くなるだけではなく、立場上指導する役割を担うケースも増えてきます。

こうした40代に求められる人間関係にまつわる役割の重さから、人間関係における不満が募りやすく、「仕事を辞めたい」と思う人が増えやすいといえます。

賃金への不満も、40代が仕事を辞めたい理由の一つです。40代で家庭を持っている場合は子どもの教育費や住宅ローンなどで生活費がかさむ人が多くなります。

さらに親の介護が重なると、体力的・経済的な負担の大きさから「疲れた」と感じる人も多いのではないでしょうか。

仕事量や責任は概ね増えるのに、給与は比例して上がらないというケースも。給与がなかなか上がらなかったり、仕事内容に見合わなかったりすると、仕事へのモチベーションが低下しやすく、転職を考える人も出やすくなります。

40代になると体力的にも若いころと同じようにはいかず、「疲れた」と感じるシーンも多くなるかもしれません。30代までは多少の無理がきいていた人でも、年齢を重ねるにつれて長時間の残業や徹夜などができなくなるなどの体力面での変化が訪れやすくなります。

また、育児や介護などでプライベートの比重が大きくなると、残業や休日出勤に対応できなくなることもあるでしょう。

労働条件が合わなくなったり、体力的なつらさを感じたりするなど、これまでの職場の待遇や環境に不満を抱え、よりよい職場環境を求めて転職を考える人も出てきます。

さまざまな経験を積んできた40代のなかには、仕事に自身の能力や経歴などを活かせない職場に不満を感じる人もいます。自己成長ができない、あるいはスキルアップの機会がない職場だとモチベーションが低下し、「新たな環境で挑戦したい」と転職を考えるようになる人も多いでしょう。

また、会社や事業・自身のキャリアの将来性への不安から仕事を辞めようと考える人も少なくありません。

次の仕事が決まる前に仕事を辞めるリスクとして真っ先に挙げられるのが、経済的な問題です。新たな収入がないと貯金を取り崩す必要があり、精神的にも不安が大きくなります。生活費や子どもの養育費などの心配から、仕事を辞めること自体を家族が反対するケースもあるでしょう。

転職先が決まらないうちに辞める可能性があるなら、あらかじめ貯金をしておき、経済的基盤を整えておきましょう。転職活動は3か月ほどかかるため、3か月分の手取りを最低でも備えたいものです。扶養家族がいる場合は、半年分の手取り額に相当する貯金があると安心です。

仕事がなかなか決まらない状況では、焦りが出てストレスがたまりやすくなります。次の仕事が決まらないまま辞めた場合、経済的余裕がなくなったり、仕事がみつからないことへの不安が募ったりして、焦って仕事を決めてしまい、後悔するケースも出てきます。

焦りから妥協して決めた仕事に就くと、結果的に転職先に満足できず、離職と転職を繰り返す悪循環に陥る可能性も。後悔しないためにも、しっかりと準備をして転職活動を進めることをおすすめします。

40代は次の仕事が決まってから仕事を辞めるのがおすすめ

次の仕事が決まってから仕事を辞めると、経済的な不安を抱えないで済むのがメリットです。経済的に余裕があると、納得のいく選択ができるまで転職活動に専念できるでしょう。

また、次が決まってから辞めると、職歴に空白期間ができない点もメリットです。無職の期間が長引くと「計画性がない」「何か問題があるのでは」など、転職先の企業に与える印象が悪くなる可能性があります。

どうしても無職期間が長くなるようであれば、その間に何をしていたかを明確に説明できるようにしておくとよいでしょう。仕事に活かせる資格を取得した、スキルを身につけたなどはアピールポイントになり得ます。無職期間は未来に向けて行動する期間として、活用してみてください。

まずは現状の不満を分析し、解決できる場合は会社に留まる選択肢もあります。たとえば、人間関係や仕事内容が合わないなどの悩みは、部署移動することで解決できることもあり得ます。仕事を辞めてから後悔しないためにも、なぜ辞めたいのかを明確にすることが重要です。

仕事の忙しさに追われてストレスがたまると、冷静な判断ができなくなる可能性があります。過度に疲れやストレスを感じる場合は、数日間の有給を取って気持ちを落ち着かせ、考えを整理してみるとよいでしょう。

焦って結論を出すと後悔することもあるので、気持ちに余裕を持たせてじっくり考えてみる必要があります。

現状への不満だけが辞める理由の場合は、転職をしても同じことを繰り返すおそれがあるので注意が必要です。まずは、仕事を辞めて何をしたいのかを明確にしましょう。5年後、10年後のキャリアパスを具体的に考えることで、次のアクションが起こしやすくなります。

自分がやりたいことを洗い出し、転職によって実現できるかを考えてみましょう。目的をもって転職をすると、次の職場でやりがいを感じやすくなり「仕事を辞めたい」と感じにくくなります。

一人で悩んで考えが堂々巡りになっている場合は、キャリアカウンセリングを活用してみる方法もあります。キャリアカウンセリングを通して自己理解を深めると「どんな仕事が向いているか」「どんな職場環境が合っているか」などに気づけることも。

第三者に相談することで、仕事を辞めることや新たな仕事へ挑戦する不安を軽くできるかもしれません。キャリアの方向性が明らかになれば、転職に失敗しにくくなるのもメリットです。

次の仕事が決まる前に仕事を辞める場合は、経済的な心配がストレスにならないよう、貯金をして生活費がまかなえるようにしておきましょう。十分な貯蓄がないと経済的な不安による焦りから、満足のいく転職活動ができなくなる可能性があります。

退職後の収入の見込みがないのであれば、3～4か月ほど過ごせるくらいの生活費を蓄えておくと安心です。貯金に加えて、退職金や失業手当の有無も確認しておくとよいでしょう。

仕事を辞める前に次の転職に繋がるアクションとして、気になる業界の人脈を広げておくとよいでしょう。人脈を活用すると、転職に必要な情報を得られたり、仕事の紹介を受けられたりすることも。

たとえば、セミナーや交流会、イベントなどに積極的に参加すると、共通の興味関心を持つ人材と知り合うことも可能です。また、退職する会社の上司や同僚とのつながりを維持しておけば、情報交換のためのネットワークを活用できるかもしれません。

会社を辞める準備として、求人サイトを活用して転職活動を進めておくのもおすすめです。「令和2年転職者実態調査の概況」によると、「転職者が現在の勤め先に就職するためにどのような方法で転職活動を行ったか」との質問に対し「求人サイト・求人情報専門誌・新聞・チラシ等」と答えた人が全体で39.4%、40～44歳では37.3%、45～49歳では39.4%との結果に。

たとえば、バイトルの求人サイト「バイトルNEXT」では、幅広い職種から自分にぴったりの仕事を探すことが可能です。「自身の持ち味」や「企業の社風」「働き方」などから検索もできるので、応募してみたいと思える求人に出会える可能性が高くなるでしょう。

※参考：厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況　3　転職について」

40代での転職で後悔しないためには、これまでの経験やスキルを活かせる企業を探すのがポイントです。40代の転職では、転職先で即戦力になれる以下のようなスキルや能力が求められます。

また、転職先でどのような業務に就きたいか、どのような働き方をしたいかなどを明確にしておくことも大切です。転職を成功させるためには、自身の希望と企業のニーズが合う転職先を選びましょう。

新しい仕事に挑戦したい場合は、仕事を辞める前に資格やスキルを取得しておくと可能性が広がるでしょう。

仕事を辞めたあと、これまで培ってきたスキルや経験、人脈を活かして起業するという選択肢もあります。起業はやりたい仕事ができる、働く時間を自由に決められる、定年がないなどの魅力も。

ただし見切り発車はせず、きちんと利益を生み出すことができるよう綿密な計画を立てる必要があります。起業する場合は、周囲の理解を得る、小さく始めるなども重要です。

「起業」とひと言でいっても、フリーランスや会社設立、フランチャイズなど、多様な働き方があります。数ある選択肢のなかから、自分に合った方法があるか検討してみてください。

経済的な余裕がある人は、思い切ってしばらく休みを取るのもよいでしょう。これまで忙しくてできなかった旅行や家族との時間、趣味に没頭する時間などを持つのもおすすめです。

「仕事に疲れた」「仕事を離れてリフレッシュしたい」と思う気持ちを癒す期間を設けてみてはいかがでしょうか。しっかりとリフレッシュできたら、また気持ち新たに仕事探しをスタートできるかもしれません。

退社の意思は、退職希望日から逆算して余裕を持って伝えるようにしましょう。民法では原則、退職の意思を「退職日の2週間前までに伝えること」と決められています。実際には後任を探したり引き継ぎを行ったりする必要があるため、会社にはできるだけ早く知らせるほうが親切です。

円満に退職したいのであれば、余裕を持って1～2か月前には伝えておきましょう。なかには就業規則に期限を明記されている場合もあるので、事前に確認しておくことをおすすめします。

万が一、退職理由が会社への不満であっても、円満に辞めたいのであれば不平不満を述べるのはなるべく避けましょう。会社を去って新たな環境へ移る人はよくても、残される側はよい気持ちはしません。

また、業務内容への不満を退職理由にすると「部署を移動したら残ることができるのか」など、引き止められる理由にもなり得ます。退職理由には「挑戦したい仕事がある」「別の環境でキャリアアップしたい」など、ポジティブな理由を用意しておくのが賢明です。

退職が決まったら「たまっている有給休暇を消化しよう」と考える人も多くいます。しかし、自分の都合しか考えずに休みを取るのは控えたほうがよいでしょう。まずは、後任者や取引先に迷惑がかからないよう、引き継ぎの期間をしっかりと設けることを考えてください。

後任者が決まっていない場合は、引き継ぎ内容を資料にまとめ、準備を進めておくと安心です。退職前は通常業務以外に引き継ぎ作業が発生します。