KPIとは?意味や設定手順、ビジネスの事例と管理ポイントをわかりやすく解説

2024.12.04

KPIとは?意味や設定手順、ビジネスの事例と管理ポイントをわかりやすく解説

KPIとは?意味や設定手順、ビジネスの事例と管理ポイントをわかりやすく解説

KPIはビジネスシーンでよく使われる言葉です。しかし、見聞きしたことはあるものの、意味や使い方があいまいという方もいるでしょう。

KPIは、目標達成のためにチームの課題を明確にするフレームワークであり、さまざまな業種で活用されています。

そこでこの記事では、KPIの基本的な意味や、KGIなどの関連用語、KPIのメリットと設定方法、そして具体例を解説します。

KPIを理解しておくと、就職先や転職先を探す際に、その企業がKPIとして重点的に取り組んでいることは何だろうという視点を持つことができ、企業理解に役立てることが可能です。

KPIとは何?KPIの意味とKPIツリーを解説

KPIは、「Key Performance Indicator」の略で、「重要業績評価指標」や「重要達成度指標」と訳されます。

具体的には、チームの最終的な目標を達成するためのプロセスについて、その達成状況を数値や数量で把握、管理するものです。また、KPI指標を数値化、可視化して、課題がどの程度達成されているかを管理することを、「KPIマネジメント」と呼びます。

KPIは、業績を正確に評価するために複数設定されるのが一般的です。KPIにどのような指標を設定しているのかを知ることで、業務において何を重視しているのか読み取ることが可能です。

KPIを可視化したものがKPIツリー

KPIツリーとは、KGI(重要目標達成指標)を達成するためのKPIの関係をツリー上で可視化したものです。

例えば、アパレル販売店で売上アップを最終目標とすると、以下のようなKPIツリーを作成できます。

KPIツリー

KGIである売上アップを達成するには、「利用者数を増やす」「客単価を上げる」といったKPIが考えられるでしょう。

そしてこれらのKPIを達成するためには、さらにKPIが必要です。上図の場合、「利用者数を増やす」に対して、「新規顧客を増やす」「リピート客を増やす」というKPIを設定しています。

このように、各KPIはつながりを持っており、ツリーが派生していくほどより細かな観測指標になっていきます。KPIを可視化することで、目的や課題がより明確になり、そのために何をすべきかが把握できるのです。

改善すべき点も浮き彫りになり、チーム内で問題意識をしっかりと共有できるようになるでしょう。

KPIとほかの指標との関連性

KPIの定義を考えるうえで切り離すことができない指標が、KGIとKSFです。

KGIとは「重要目標達成指標」を意味します。また、KSFは「重要成功要因」を意味し、一つの目標達成プロセスを考えるうえでこれらは密接につながっています。

KGIとKSFの意味や、KPIとの関連性、さらにKPIと混同しがちなOKRというフレームワークを解説します。

KGI(重要目標達成指標)

KGIは「Key Goal Indicator」の略で、「重要目標達成指標」または「経営目標達成指標」と訳されます。業務における最終目標のことですが、数値や数量で表している点がポイントです。

一方、KPIはKGIを達成するための中間指標を指し、目標達成に向けた進捗を管理、評価する役割を果たします。KGIは目標そのもの、KPIはKGIを達成するための具体的なプロセスや進捗を測る指標という関係性です。

KGIを設定する際には、目標が具体的かつ測定可能であることが重要です。KGIが抽象的だと、KPIによる成果の管理もあいまいになるため、明確なKGIを設定する必要があります。

※ここにH4が入る ※ここにH4が入る

KSF(重要成功要因

KSFは「Key Success Factor」の略で、「重要成功要因」を意味します。事業を成功に導くために欠かせない要素や条件のことです。

KPIが目標達成に向けた数値指標であるのに対し、KSFは目標を達成するために必要な要因であり、定量的である必要はありません。例えば、「技術力の向上」や「営業機会の増加」などの定性的なものが該当します。

KSFは、最終目標であるKGIと、そのプロセスであるKPIの間にあるイメージです。最終目標達成のための重要キーワード(KSF)のなかで、各KPIの成果を積み上げ、結果的に最終目標であるKGIも達成されます。

KSFを考えるときには、同じ業界で成功している企業が何を強みとし、それをどう活用しているか分析することが効果的です。

また、KSFは市場ニーズの変化や新技術の登場などにより変化する可能性があります。そのため、ビジネス環境に応じて自社の強みや差別化のポイントを見直し、KSFを更新することが大切です。

OKRとの違い

OKR(Objectives and Key Results)は、目標と主要な結果を意味するビジネス用語で、目標設定や目標管理のためのフレームワークです。

定性的な目標(Objectives)と、定量的な主要結果(Key Results)という構成です。チームとメンバーの目標を統一して管理可能な手法として注目されています。

KPIとOKRはどちらも成果を観測する手法ですが、目指す目標達成率が異なります。KPIは基本的に達成率100%が目標です。対してOKRの達成率の理想は60~70%ほどにとどまります。

また、KPIはプロジェクトや業務の特性に応じて設定期間が異なりますが、OKRは1~3ヵ月の短期的目標を設定します。

KGIからKPIまでの設定手順

KPIを設定するには、KGIから段階を踏んで設定していく必要があります。KGIからKPIまでの設定手順は次の流れになります。

1.まずはKGIを決める

KPIは目標達成のためのプロセスを評価する指標です。そのため、まずはKGIが明確に設定されなくてはなりません。

KGIとは、簡単にいえば最終目標です。

そして数値を明確に示したKGIを設定するためには、チームのビジネスモデルや現状を再確認し、事業戦略を練ることが大切です。チームで意見を出し合い、ゴール地点をすり合わせていきます。

ビジネスシーンでは、売上アップや営業利益アップなどをKGIに設定することが一般的です。ただし、売上アップという曖昧な目標ではなく、「上半期売上高120%アップ」など、具体的な数値を盛り込むことが重要です。

2.KGIに基づいてKSFを決める

KGIを設定したら、その達成のために必要な要因、つまりKSFを洗い出します。KGIを達成するためのステップを確認し、逆算して鍵となる要因をピックアップするとよいでしょう。

KSFは、自社でコントロールできるものと、外的な影響が大きくコントロールが難しいものとに分けられます。また、目標達成に与える影響度も異なります。各KFSの特性や影響度を加味し、優先順位を考えることが大切です。

3.KGI、KSFを踏まえてKPIを決める

KSFを決めたら、達成するための取り組みを数値に落とし込んでいきます。KSFを設定する際にある程度数値化しておけば、KPIを設定しやすくなるでしょう。

具体的なKPIを決めるには、いつまでにどの程度達成しなければならないのか、具体的な期間と数値を盛り込むことが重要です。また、KPIは担当部署や業務範囲などに応じて複数設定するのが一般的です。

KPIの具体的な内容の考え方を、次のセクションでより詳しく解説します。

KPIの具体的な内容の考え方

KPIの設定には「SMART」というフレームワークがよく使われます。SMARTとは、目標設定ためのフレームワークで、目標を達成するための5つの要素(成功因子)で構成されています。

SMARTの法則を活用することで、より具体的かつ現実的な目標の設定が可能です。具体的な目標が作られることで、アクションにつながりやすいメリットがあります。

それぞれの要素の考え方も見ていきましょう。

S(Specific)=明確な

指標を設定する際には、誰が見ても理解できる明確な指標であることが大切です。逆にいえば、読む人によって解釈が変わる内容ではいけません。

例えば、「顧客訪問件数アップ」のみだと、どの程度件数を増やせば良いのか不明です。KGI設定の際にも述べたように、具体的な数値を盛り込むことが重要です。

M(Measurable)=測定可能な

指標設定の際に数値を盛り込むことは、測定可能な指標を作るという意味でも大切です。数値として測定できなければ、進捗管理の正確性に欠けてしまいます。

例えば、営業の仕事における「顧客との信頼関係を強化する」という課題の場合、一見すると数値化した指標は作りにくいように思われます。しかし、このような場合でも、「週に1回は訪問、架電する」「ヒアリングした課題に3つ以上改善案を出す」などとすれば、達成度合を測定可能です。

A(Achievable)=達成可能な

各指標は、現実的に達成可能な内容である必要があります。実現不可能な高い目標を設定しまうと、モチベーションが下がってしまったり、形式的な目標になってしまったりするためです。

ある程度の工夫や努力を重ねることで手が届きそうなKPIにすることで、意欲を高めながら継続して取り組めるでしょう。

R(Related)=関連性がある

一つひとつのKPIは、KGIとリンクしなければなりません。KGIの達成につながる適切なKPIを設けましょう。

例えば「顧客満足度を上げる」というKGIの場合、「クレームを月10件以下にする」というKPIはKGIとの関連性が高いため、適切なKPIといえます。一方で「顧客のリーチ件数を増やして売上アップを目指す」というKGIだった場合は、関連性が低く見直しが必要といえます。

T(Time-bound)=期限を定めた

具体的な数値が盛り込まれていても、期限が不明確では行動計画を立てられません。また、「素早く行なう」などの表現も、人によって解釈が変わるあいまいな表現のため、ふさわしくありません。

業務の遂行が先延ばしになることのないよう、各プロセスに適切な達成期限を設けることが大切です。期限の設定は業務のスピード感を維持できるだけでなく、優先順位や重点項目を明確にするのにも役立ちます。

KPIを活用するメリットは?

KPIの活用は、単に目標達成という成果を得るだけではなく、さまざまなメリットをもたらします。

目標達成までのプロセスを明確化できる

KPIを設定することにより、何をいつまでに、どの程度取り組まなくてはならないかが具体的に把握でき、チームやメンバー一人ひとりがアクションを起こしやすくなります。メンバーの主体性や積極性を高めるきっかけにもなるでしょう。

さらに、目標達成までのプロセスが可視化されることで、チーム内での協力が促進され、問題が発生した際にも迅速に助け合えるようになります。

組織全体のモチベーションが上がる

KPIの設定により、目標達成に向けた具体的な指標が明確になり、チーム内で共有されるため、メンバーは自分の役割を理解しやすくなります。また、課題やボトルネックがチーム全体で共有され、全員で解決に向け協力することで、結束力が高まるでしょう。

チームへの貢献度や課題解決の達成感などは、メンバー一人ひとりの意欲を高め、チーム全体のモチベーションアップを可能にします。

さらに、数値化された指標であれば、そのまま公平性のある評価基準ともなるため、メンバーは人事評価に対する納得感を得やすくなります。

業務の効率化や生産性向上につながる

KPI管理によって業務の目標が明確化され、何をすべきかが一人ひとりに伝わることで、すぐにアクションを起こせるようになります。時間や手間の無駄が省かれることで、効率的な業務運営が実現するでしょう。

また、業務の効率化をすれば、限られたリソースで成果を上げられるようになります。人材確保が昨今において適切なKPI管理は、限られた人員で目標を達成するための効果的なアプローチです。

上手く管理できるKPIの4つのポイント

KPIを管理するうえでは意識するポイントが4つあります。それぞれについて見ていきましょう。

KPIがシンプル

1つ目のポイントは、KPIがシンプルであることです。

目標達成の前には多くの課題が並んでいますが、KPIがシンプルであれば、スタッフがやるべきことを一目で理解できて混乱を防ぐことができます。課題解決に向けたアクションを迅速に起こせるため、達成率の上昇につながるでしょう。

複雑な指標を設定すると、そのぶん分析や管理に時間がかかってしまい、業務効率が低下してしまいます。また、KPIの数が多すぎると管理に時間がかかり、業務効率化や生産性アップにつながらなくなるので注意が必要です。

PDCAをまわし定期的な見直しが行われている

PDCAサイクルとは、「Plan(計画) → Do(実行) → Check(評価) → Action(改善)→ (再びPlanに戻る)」の一連の取り組みです。PDCAという名称は各フェーズの頭文字からきています。

PDCAサイクルは業務改善や品質向上、目標達成などの目的を達成するために用いられるフレームワークです。このPDCAサイクルを活用して、KPI管理では進捗状況や成果を定期的に振り返り、改善すべき点がないか検討することが大切です。

適切に設定されたKPIは、計画が明確で実行に移しやすく、数値による評価と改善もしやすいため、PDCAサイクルを回しやすいものです。

また、目標達成が難しい場合には、軌道修正をして目標を立て直すなどの柔軟な対応も大切です。

KPIがチーム全体で共有されている

KPIやKGIを達成するためには、チーム全員が同じ方向を向いていることが重要です。そのためには、KPIの指標や分析結果、進捗状況などをチーム全体で共有していることが欠かせません。

こうしたチーム体制は、双方でフォローし合う環境作りにもつながります。KPIのなかで、自分が果たす役割を限定的にとらえず、チーム全体として達成するためにどう行動すべきか常にアンテナを張っていることが大切です。

KPI管理ツールが導入されている

KPIを上手に管理できる便利なツールは数多くあります。KPI管理で必要となるデータを効率的に集計、分析して目標達成をサポートするツールです。

円滑な管理のためには、業務内容に合ったKPE管理ツールを利用することが有効です。

例えば、マーケティング業務のKPI管理には、データ収集や進捗の可視化を効率化できるマーケティングオートメーション(MA)というツールが役立ちます。

また、ビジネス以外でも広く使われているExcelやGoogleスプレッドシートも管理ツールの一つです。

KPI管理ツールを導入することで、データの一括管理や情報共有が容易になり、業務がスムーズに進みやすくなります。プロセスの全体像も把握しやすくなり、トラブル対応も迅速に、かつ的確にできるようになるでしょう。

各分野でのKPIの設定例と活用事例

ビジネスシーンで注目されているKPI管理ですが、営業や人事など各分野では実際どのように活用されているのでしょうか。KPIの具体的な設定例と、企業での活用事例を紹介します。

人事でのKPI設定例・活用事例

人事の業務は、採用人事や人材育成など多岐にわたるのが特徴です。各業務内容におけるKPIの設定例には次のような指標が挙げられます。

採用

  • 採用人数
  • 選考応募者数
  • 面接数
  • 内定承諾率など

人材管理

  • 平均残業時間
  • 有給休暇消化率
  • 産休休暇利用率
  • 従業員満足度など

人材育成

  • 研修実施数
  • 研修受講者数
  • 平均研修時間数
  • 研修の満足度
  • 新規資格取得数など

【KPI活用事例】
「人の成長=企業の成長」を理念とする丸井グループでは、「女性イキイキ指数」をKPIに設定しました。

「女性イキイキ指数」とは男女の多様性を示す同グループの独自の指標で、「育休1ヵ月以上の取得率」や「男性の産休取得率」などから算出されます。このKPIによって問題意識を共有した結果、男性社員の育休取得率が5年連続100%となるなどの効果が得られました。

この事例からは、KPIを設定し関係各所に共有・浸透させることの重要性がわかるでしょう。

参考:株式会社 丸井グループ「「多様性」を活かす組織づくり」

製造でのKPI設定例・活用事例

製造業で多く設定されるKPIの例は次のとおりです。

  • 稼働率
  • 労働生産性
  • 製造原価率
  • 事故発生件数など

【KPI活用事例】
日本を代表する自動車メーカーのトヨタ自動車でも、KPIが導入されています。

トヨタ自動車では、KPI管理を利用して稼働率や不良率などを可視化し、必要な改善を実施。「必要なものを、必要なときに必要な量だけ造る」という効率性を追求しています。

これはKPIを活用して業務効率化を推進している事例です。

参考:トヨタ自動車株式会社「トヨタ生産方式」

まとめ|KPIを正しく理解しよう

KPI(重要業績評価指標)を設定すると、目標達成までのプロセスが明確になり、何をすべきか、どこを改善すべきかなどが迅速に把握できるようになります。結果として、組織全体の意欲や生産性の向上、業務効率化につながるでしょう。

KPIを設定する際は、「KGI(重要目標達成指標)を明確にする」「KSF(重要成功要因)を洗い出す)」など、丁寧に手順を踏むことが大切です。また、KPIの設定にフレームワークの一つである「SMART」を用いると、より具体的で効果的なKPIを設定しやすくなります。

KPIの理解は、チームの一員として貢献するときだけでなく、就職や転職時の企業理解にも役立つはずです。具体例を参考に、自分であればどういうKPIを設定するかも考えながら情報収集をすれば、新たな企業の魅力を発見できるかもしれません。

5つのSTEPでキミのバイト応募をサポート!バイトGET完全マニュアル

特徴・勤務地から仕事を検索

検索

人気の検索

人気の検索

検索

カテゴリ一覧