マンダラチャートは、野球選手が高校時代に活用していたことをきっかけに注目を集めました。当時掲げていた「8球団からドラフト1位指名」を目標にマンダラチャートに沿って要素に分割し、それぞれの課題を細分化して書き出したといわれています。

たとえば、体力強化やメンタルトレーニング、人間性の向上など8つの枠に目標達成に必要な要素を書いていたそうです。実際に野球界で大活躍する姿から、「マンダラチャートは目標達成に活用できるシートだ」と認知されるようになりました。

マンダラチャートを活用すると、大きな目標に紐づく課題が洗い出され、優先度や手順を視覚的に整理できます。そのため、次に何をするべきかが自然と見えてくるメリットがあります。

たとえば、語学学習で資格取得を目指す場合、中央に「合格」などのゴールを設定し、周囲に「単語暗記」「リスニング練習」「模擬試験の対策」など細かいタスクを書き込むと、学習プランが立てやすいのが特徴です。

何から始めるべきか明確になると、迷わず行動を起こせます。まずは着手しやすいタスクから実践し、自分のペースで進捗を積み重ねると、途中で挫折するリスクも減らせるでしょう。

マンダラチャートは、メインテーマに紐づくアイデアを思考する時間が生まれます。たとえば「売上を2倍に伸ばす」というテーマなら「新商品」「広告戦略」「オンライン展開」など、周辺の要素を思いつくまま書き込むうちに新しい着想が得られることがあるでしょう。

アイデアが浮かばない場合は質問形式にしておくと、後日見返したときにひらめきやヒントを得やすいです。81ものマスを埋める作業には多少手間がかかりますが、その分だけ思考が広がり、思わぬ角度から解決策や改善策を発見できるのが魅力です。

マンダラチャートで記載した要素を達成するごとにチェックを入れていくと、「今どの作業が終わっていて、何がまだ残っているか」を直感的に把握できます。複数人でプロジェクトを進める場合は、遅れが生じているタスクをすぐに見つけられるため、チーム内での情報共有やフォローアップもしやすくなるでしょう。

個人でも、ビンゴカード感覚で完了したマスを埋めていけば、どれほど進んだかが一目瞭然です。書き込んだタスクの状況をこまめにチェックし、必要に応じて軌道修正や再計画を行うことが、目標到達をより確実にするポイントになります。

最初に、合計81マス（縦9×横9）の表を用意し、その中央に達成したい目標を記入します。具体的で測定可能な内容にするのがポイントです。たとえば「ダイエットで5kg減量」「資格試験に合格」など、達成後の状態がイメージしやすいものを挙げてみましょう。

目標が抽象的だと、周囲に書き込む要素もあいまいになりがちです。逆に中心を明確にすることで、必要な行動を発想しやすくなります。まずは紙とペンを手元に用意し、思い切り理想のゴールを書き込んでみると、次のステップへの準備が整うでしょう。

マンダラチャートの中央を囲む8マスには、目標の達成に欠かせない要素をそれぞれ1つずつ書き込みましょう。たとえば「資格試験に合格」というゴールを設定したなら、以下のような要素が候補にあがります。

• 教材の選定
• 学習計画の立案
• 試験傾向の分析
• 模試の受験
• 苦手分野の克服
• 暗記対策
• モチベーション管理
• 復習サイクルの徹底

もし8つ以上浮かんだ場合は、より優先度の高いものから並べると、後のステップで混乱しにくくなります。

このステップでは、ステップ②で書いた8要素に対して、それぞれ8つの具体的な行動を付け加えます。たとえば「資格試験に合格」という目標の要素の1つとして「暗記対策」を設定したとします。具体的な行動は以下のように設定できるでしょう。

• 6月までの単語帳を1周する
• 通学時間（30分）に暗記する
• 朝・昼・夜の3回単語帳を開く

数字や期限を意識したタスクを設定しておくと、実行に移しやすくなります。こうして合計64個の行動をリストアップすれば、どのタイミングで何をすべきか明確になり、確実に目標へ近づけるはずです。

マンダラチャートを完成させたら、具体的な行動目標のなかから、今日から実行できることをいくつかピックアップしてみましょう。やるべきことが明確になると、学習スケジュールが立てやすくなります。

1つずつクリアできたら印を付けるなど進捗を見える化し、自分の努力を客観的に確認しながら着実に進めていきましょう。

マンダラチャートに書き込む要素は、最も重要なものから順に左上を始点にして時計回りに埋めると見やすくなるでしょう。たとえば「資格試験に合格」という目標に向けて、まずは最優先の科目や単語暗記といったタスクを左上に書き、その後に苦手分野の克服や模擬試験の実施などを順番に配置してみてください。

優先度がはっきりし、どのタスクから取りかかるべきか判断しやすくなります。最終的に全体像を俯瞰しやすくなるので、学習計画や進捗管理がスムーズになり、より効率的に目標へ近づくことが期待できるでしょう。

マンダラチャートの81マスを埋め切ることは、思考の幅を最大限に広げるための鍵といえます。書き込む内容は必ずしも単語に限らず、疑問文や抽象的な表現でもかまいません。頭の中に浮かんだキーワードやアイデアをなるべく残さず載せていくうちに、当初は思いつかなかったヒントが自然と見えてくることがあります。

全部埋められないからと途中であきらめず、空欄があればとりあえず仮の言葉や質問形式で記入しておくと、後から読み返した際にアイデアが生まれるきっかけになるでしょう。少しずつでもマスを埋め続ける姿勢が、次のステップへとつながります。

マンダラチャートを作成している途中で思考が停滞し、マスが埋まらなくなるケースは珍しくありません。その場合は、一旦そのチャートを横に置き、新しいマンダラチャートを一から始めてみましょう。

以前のチャートを無理に参照し続けると、同じ発想のループに陥りやすく、新しいアイデアを得るきっかけを逃してしまうからです。まったく別のテーマや切り口でマンダラチャートを作ることで頭の中がリセットされ、行き詰まったポイントを解決するヒントが思い浮かぶこともあります。

途中で放棄することに抵抗を感じるかもしれませんが、思考の停滞を打破する有効な手段として次のチャートを立ち上げる方法を試してみるとよいでしょう。

マンダラチャートは一度完成させたら終わりではなく、数カ月から1年ごとに書き直しを行うのが望ましいとされています。たとえば、目標の達成度や学習状況に進捗が出てきたら、その都度マスの内容を修正することで、今の自分に合ったプランにアップデートできます。

新しい発見や別の課題が出てきた場合も、そのまま放置していると計画全体が古いままになりがちです。定期的な見直しによって、これまでの行動を客観的に振り返ると同時に、次のアクションを具体化できるため、目標達成へ近づく確率も高まるでしょう。

マンダラチャートのマスにすべての情報を詰め込みすぎると、視覚的に把握しづらくなることがあります。たとえば、数値目標や具体的な資料など、詳細にわたる情報は別紙へ整理しておくと便利です。リスト形式や表にまとめることで読みやすくなり、後から見返しやすくなります。

複数の候補を比較検討したい場合も、別紙に書いておけばマンダラチャート本体をすっきり保てるでしょう。こうした工夫により、不必要な混乱を避けながら柔軟に見直せるのがメリットです。