フリーターとは?正社員との違いや知っておきたいポイントを解説

フリーターとは?正社員との違いや知っておきたいポイントを解説

フリーターという言葉は、一般に広く使われているものの、アルバイターやパートタイマー、ニートなどと混同されてしまいがちです。フリーターは正社員と比べて自由に働けるなどのメリットもありますが、仕事のキャリアや将来性を考えた場合、正社員を目指したほうがよいでしょう。

この記事では、フリーターの概要や正社員と比べたメリット・デメリットなどについて解説します。フリーターから正社員になる方法などもお伝えしますので、正社員を目指している人もぜひご覧ください。

フリーターとは?

フリーターは、非正規雇用で生計を立てている人を指す「フリー・アルバイター」からきた言葉です。

ただし、総務省統計局が実施する「労働力調査」では、便宜上フリーターを次のように決めて調査しています。

若年のパート・アルバイト及びその希望者
年齢が15~34歳で、男性は卒業者、女性は卒業者で未婚の者のうち次の者をいう。

  1. 雇用者のうち勤め先における呼称がパート・アルバイトの者
  2. 完全失業者のうち探している仕事の形態がパート・アルバイトの者
  3. 非労働力人口で、家事も通学のしていないその他の者のうち、就業内定しておらず、希望する仕事の形態がパート・アルバイトの者

(参考:総務省統計局「フリーターの人数」

フリーターという言葉に法律的な定義はありませんが、おおむね上記のような条件に当てはまる人がフリーターと呼ばれます。

とはいえ、人によってフリーターという言葉の認識はさまざまです。例えば上記では年齢を「15~34歳以上」としていますが、年齢にかかわらずアルバイトをする人をフリーターと呼ぶ人もいます。
また、3. に「希望する仕事形態がパート・アルバイトの者」とありますが、全く働いていない人は別の呼び方で呼ばれることのほうが多いかもしれません。

3つのタイプに分類される

フリーターには大きく分けて、夢追型・モラトリアム型・やむを得ず型の3タイプがあるとされています。

夢追型

夢追型は、音楽家や俳優、漫画家など特定の仕事をしたいという明確な目標があり、目標のために制約の少ないアルバイトをして日々の糧を稼いでいるタイプです。

モラトリアム型

モラトリアム型は、将来や職業に関する展望がないまま、なんとなくアルバイトを続けているタイプです。
学校を卒業して、正社員や契約社員として就職することなくそのままアルバイトを続けるケースや、いったんは就職したものの、職場が合わないなどの理由から離職して、再就職の見通しが立たずにアルバイトをしているケースなどがあります。

やむを得ず型

やむを得ず型は、外的な原因によって仕方なくフリーターになったというタイプです。
例えば、正社員を目指したものの就職活動がうまくいかずにフリーターになったり、勤務先の倒産、本人や家族の病気などのトラブルによってフリーターになったりするケースがあります。

すべてのフリーターが必ずこれらの3つに分けられるわけではありませんが、多くの方はこの3つのいずれかに該当するでしょう。

人数は減少しているが100万人以上いる

内閣府のホームページを見ると、2021年のフリーター数は137万人でした。2011年には184万人いましたが、年々減少傾向にあります。これは、少子化などにより企業の人手不足が顕著になってきたことなどが理由として考えられます。
(参考:内閣府「平成27年版子供・若者白書(全体版)」)

一方でフリーターの高齢化が懸念されています。フリーターのうち、15~24歳と25~34歳を比べると、かつては15~24歳のほうが多数でしたが、現在は逆転しています。高齢になるほど正社員としての就職が難しい現状を表している、といえるでしょう。

ニートやアルバイターとは違う?

ニートやアルバイターとの違いも確認しておきましょう。ニートとは、厚生労働省の定義で「15~34歳で、働いておらず家事や通学もしていない者」です。
フリーターとの大きな違いは「働く意思の有無」です。フリーターは「パートまたはアルバイトとして働いている人」もくは「働いていないが、パートまたはアルバイトとして働くことを希望している人」を指します。
(参考:厚生労働省「ニートの状態にある若年者の実態及び支援策に関する調査研究報告書」)

一方、ニートは働いていない人のなかでも「求職活動をする気がない人」と「求職活動をする気はあるが実際には行動していない人」を指します。

次にアルバイターとの違いです。アルバイターとはアルバイトやパートで働く人のことです。フリーターと似ていますが、違いは年齢です。
フリーターは15~34歳の若者をおもに指しますが、アルバイターは特定の年齢をイメージした言葉ではありません。

フリーターもアルバイターも法律で区分されたものではなく、法律上はどちらもパートタイム労働者にあたります。
ただし、求人の際はフリーターを「アルバイトで生計を立てている者」、アルバイターは「学生をメインとした若者」として使い分けられていることもあります。

正社員と比べたフリーターのメリット・デメリット

正社員と比べたフリーターのメリット・デメリット

 

正社員と比べた場合に、フリーターにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。それぞれについて詳しく説明します。

メリット

フリーターのメリットは、働く時間をある程度自分で決められることです。正社員は多くの場合、働く時間や曜日が決まっており、1日8時間・週40時間というフルタイム勤務です。それに対して、フリーターはフルタイムでシフトに入っても構いませんし、週3日、1日4時間など、生活に合わせて労働時間を選びやすい利点があります。

正社員のように責任を負わされることが少ない点もメリットといえます。

デメリット

フリーターは収入面で正社員と大きく差がつくことがほとんどです。月給に差があるだけでなく、正社員のように賞与がでなかったり、昇給がしづらかったりするためです。企業によっては、正社員につく福利厚生がアルバイトにはつかないこともあります。

正社員に比べて簡単な業務が中心で楽な傾向がある反面、経験やスキルが積みにくい点も人によってはデメリットかもしれません。

有期雇用であることと、収入の低さから社会的な信用にやや欠けるため、賃貸住宅の審査やローンの審査などで会社員よりも審査が通りにくいこともあります。

フリーターにおすすめのアルバイト

フリーターにとっておすすめのアルバイトを5つ紹介します。

フードデリバリー

フードデリバリーとは、ピザや弁当などの配達を行なう仕事です。一人の時間が多い点や、シフトの融通もききやすい点などがメリットでしょう。以前はデリバリー専門店によるものがほとんどでしたが、Uber Eatsや出前館などが登場したことで、専門店以外の飲食店でもフードデリバリーが利用されるケースが増えています。

Uber Eatsなどでは、自分の都合の良いタイミングで働けます。自分の働きたいペースに合わせて仕事を探したい人におすすめですが、バイクや車を使う場合は、運転免許が必須です。

飲食店

飲食店のアルバイトは、接客を担当するホールスタッフと調理などを担当するキッチンスタッフに分けられます。飲食店は人手不足の店舗が多いため、採用されやすい点がポイントです。また、まかないがついているお店だと食費を節約できる点もメリットです。

キッチンスタッフでは、未経験でも調理補助から経験を積めるお店もあります。

コンビニ

コンビニは、接客、レジ打ち、清掃、商品の陳列、在庫の整理など幅広い仕事をこなす必要があります。対応する業務が幅広いため、臨機応変な対応が求められます。

客層も幅広く、人と接することが好きな人やコミュニケーション能力を高めたいという人におすすめです。効率良く働きたい場合は、時給が25%アップする深夜勤務がおすすめです。

スーパー

スーパーのアルバイトは、商品の陳列やレジ打ちなど表の仕事と、惣菜や精肉、鮮魚の調理などを担当する裏方仕事に分けられます。コンビニと似ていますが、担当業務は絞られているため、アルバイト初心者であっても仕事を覚えやすいでしょう。

ただし、勤めている人は年齢層がやや高めの傾向があります。34歳以下のフリーターの方で、同世代の交流も大事にしたい人は注意したほうがいいかもしれません。

警備員

警備員は、工事現場やイベント会場、ショッピングモール、ビルなどで、交通誘導や施設の警備などを行ない、トラブルの発生を防ぎます。拘束時間は長めで、長時間立ち続けるケースも多くあります。屋外の場合は暑さや寒さにも耐える必要がある仕事です。

トラブルなどに対応することもあるため、状況に応じた冷静な判断力が求められる仕事でもあります。その分、時給はほかのアルバイトよりも高い傾向があり、夜勤であればさらに高い時給が得られます。

なお、ほかにもフリーターにおすすめのアルバイトを下記の記事で紹介しています。興味のある方はぜひご覧ください。

フリーターになるなら知っておきたい5つのポイント

フリーターになるなら知っておきたい5つのポイント

 

フリーターになるのであれば、事前に以下の5つのポイントは押さえておきましょう。

収入は正社員のほうが多いことがほとんど

フリーターのメリット・デメリットでも紹介しましたが、収入は正社員のほうが多いことがほとんどです。
実際にどのくらい差があるのか、厚生労働省による雇用形態別の賃金調査を確認すると、正社員の賃金は32万3,400円でしたが、正社員以外の賃金は21万6,700円と、労働日数などの要件が等しくても約11万円もの差があります。
(参考:厚生労働省「雇用形態別にみた賃金」)

また、毎月の賃金以外にも、正社員は住宅手当や各種休暇制度、資格取得の補助など、様々な福利厚生が用意されている場合があります。しかし、フリーターは福利厚生が正社員ほど充実していないことも多いでしょう。

また、正社員は退職金がもらえる企業もありますが、フリーターは退職金制度がないケースがほとんどです。

税金や保険料を自分で払う必要があることも

フリーターでも、収入や働き方によっては税金や保険料を支払う必要があります。例えば、所得が103万円以上の場合は所得税を納めなければなりません。
さらに、勤務先が1ヵ所の場合、所得税は源泉徴収されるため会社に任せることができますが、勤務先が複数ある場合や、短期アルバイトが多く勤務先で年末調整ができない場合などは自分で確定申告が必要になるケースもあります。
ほかにも、住民税や国民健康保険、国民年金なども支払わなければなりません。

一人暮らしはできるが、賃貸の審査で不利になることも

フリーターの場合、賃貸住宅を借りる際の審査で不利になることもあります。
先ほども説明したようにフリーター人口は100万人を超えており、フリーターだからというだけで入居を拒否されるケースは減っています。
しかし、貸主からすると会社員と比べて家賃の支払いに不安があることも確かです。そのため、会社員と比べると審査は厳しい側面があります。

また、アルバイトの場合に限りませんが、多くの物件は連帯保証人が必要になる点にも注意しましょう。

正社員と同じ業務を任される職場もある

フリーターは正社員と比べて仕事の負担が少ないと説明しましたが、なかには正社員と同じ業務を任されるところもあります。それでも給料は、正社員のほうが良いと感じることがあるかもしれません。

部署の管理やノルマが課されているなど、正社員と同じ成果を求められている場合は、パートタイム・有期雇用労働法違反の可能性があります。こうした場合は、正社員との賃金の違いの根拠を事業主に確認してみましょう。
それに対し納得できる説明がされなければ、労働基準監督署へ相談するか、早めに離職したほうが良いかもしれません。

30歳以上だと就職が難しくなる

フリーターは30歳以上だと就職が難しくなる傾向があります。この傾向は年齢が上がるほど顕著です。現在は企業の人手不足が目立ち始めており、フリーター人口は減少しつつありますが、少なくとも年齢が有利になることはほとんどありません。

正社員への転職を目指す場合は、なるべく早く行動することをおすすめします。

フリーターが正社員として就職するのは難しい?

フリーターが正社員として就職する方法は、大きく「アルバイト先で就職する」「求人サイトの利用」「ハローワークの利用」の3つです。

アルバイト先に就職する場合

企業によっては、アルバイトから正社員へ登用する制度があります。
アルバイトで一定期間働いている職場であれば、ミスマッチが起きにくい点などが双方のメリットです。しかし、この制度は法律で定められているわけではないため、制度の有無や登用される条件などは企業によってまちまちです。

アルバイト先での正社員登用も視野に入れている場合は、アルバイトを選ぶ段階で登用制度の有無を確認しておくとよいでしょう。
また、正社員への登用制度があったとしても、必ず登用されるわけではありません。正社員に登用されるには少なくとも、仕事で周りが納得するだけの成果を上げることや円滑なコミュニケーションなどが必要です。

なお、正社員登用制度がないアルバイト先であっても、正社員登用の実績があるケースは多くあります。もしアルバイト先で正社員になりたいと考えているなら、一度上司などに質問してみましょう。

求人サイトから募集に応募する場合

インターネット上で求人情報を検索できる求人サイトは、家にいながら業種別、地域別などの条件で求人を探せます。多くのものは無料で使うことができるため、一度は利用してみるとよいでしょう。

なお、最近ではインターネットでしか求人を行なっていない企業も多くあります。

ハローワークを利用する場合

ハローワークも求人サイトと同様、求人情報を数多く扱っています。求人サイトとの違いは国が運営している点です。

ハローワークは利用者だけでなく、掲載する企業側も無料で利用できるため、求人サイトにはない求人情報が見つかることがあります。特に小規模の企業や予算が限られている企業は、ハローワークにしか求人を載せていないケースが多くあります。

地域の企業が多く求人を出しているため、全国的には知名度は低いものの、地域に密着した企業が見つかることもあるでしょう。自宅から近い範囲で仕事を探している場合は、ハローワークのほうが自分に合った企業が見つかるかもしれません。

また、ハローワークでは、職業訓練の相談や受付も行なっています。職業訓練のコースはパソコンに関するものから簿記、電気関係などさまざまです。スキルが不足していると感じる場合は、こうした職業訓練の利用もおすすめです。

ただし、なかには「無料だからとりあえず求人を出している」という企業もあります。そうした企業に応募すると、採用されるのはなかなか難しいかもしれません。

フリーターから正社員を目指すためのポイント

フリーターから正社員を目指すために心がけておくべきポイントを3つ紹介します。

フリーターだった理由をまとめておく

正社員になろうとした場合、面接でフリーターだった理由を聞かれることは多いでしょう。そのため、あらかじめフリーターをしていた理由をまとめておくことをおすすめします。

単純に「正社員になりたくなかった」という理由だけでは良い印象を持たれないことがほとんどです。かといって、嘘をついても見破られてしまえば、まず採用されないでしょう。

過去に反省するべきことがあった場合は反省し、そのうえで将来どのように仕事をしていきたいのかをまとめることが大切です。

魅力的な応募書類(履歴書・職務経歴書)を作る

フリーターとしての経歴は、履歴書や職務経歴書などの書類上で不利になることもあります。特に、書類選考では自分の言葉で経歴をアピールできないため、できるだけ魅力的な書類に仕上げておくことが必要です。

正社員経験がある場合、フリーターの経歴は職務経歴書に書かないことが一般的ですが、正社員経験がない場合はフリーター経歴も記載しましょう。特に応募企業でフリーターとしての経歴が活かせる場合には、積極的にアピールすることが必要です。

応募企業とフリーター経歴がそれほどマッチしない場合でも、フリーターの経験から今後の仕事への取り組み姿勢を伝えられるように工夫してみましょう。

自分のスキルや経験を活かせる業種・職種の求人を探す

フリーターだった理由をまとめたり、採用担当者の目をひくような応募書類を考えたりするなかで、フリーターの間に身についたスキルや経験がわかってくることもあります。

せっかく身についたスキルや経験を活かさない手はありません。もしスキルや経験を活かした仕事がしたいなら、職種や業種を絞って求人情報を探してみましょう。

まとめ:業種によってはフリーターからでも十分正社員が狙えます!

日本のフリーター人口は、近年減少傾向にありますが、いまだに100万人以上います。フリーターは若いうちであればデメリットが目立ちませんが、年齢を重ねるうちに正社員との格差が次第に広がりやすい面があります。

近年の日本の労働市場は、少子化などの影響により人手不足が深刻化していることから、フリーターから正社員を目指している方には有利な状況です。もしフリーターから正社員を目指すのであれば、フリーターとして何をしてきたか振り返ってみましょう。それまでの時間で得た経験やスキルを活かして、正社員として活躍できる職場が見つかるかもしれません。

バイトルでは、正社員への登用制度のあるアルバイトの紹介も行なっています。また、バイトルNEXTでは正社員の情報を検索できます。フリーターから正社員を目指しているのであれば、ぜひご活用ください。

 

特徴・勤務地から仕事を検索

検索

人気の検索

人気の検索

検索

カテゴリ一覧