2021.01.08

【税理士監修】勤労学生控除で所得税や住民税の負担減!控除の仕組みや条件とは?

勤労学生控除で所得税や住民税の負担減!
控除の仕組みや条件とは?
勤労学生控除で所得税や住民税の負担減!控除の仕組みや条件とは?

バイチュー 労働などで収入を得た場合、収入から経費や控除を差し引いた所得に対して、税金がかかります。これは、学生であっても同じです。ただし、一定の条件を満たす学生の場合は、「勤労学生控除」を受けて税金を抑えられることがあります。
勤労学生控除とはどのようなものなのか、受けられる条件や申請方法などを注意点と併せて解説します。

勤労学生控除の仕組み

勤労学生控除とは、学費や生活費などのための労働で収入を得ている学生が、一定の条件を満たすことで受けられる所得控除のことです。勤労学生控除により、年間収入から所得税は27万円、住民税は26万円が給与所得から控除されます。

所得税の場合、確定申告や年末調整では、合計所得金額が2400万円以下で48万円(2019年分以前は合計所得にかかわらず38万円)の基礎控除が受けられます。また、給与所得者は55万円(2019年分以前は65万円)の控除も受けられるので、103万円の収入までは所得税がかかりません。勤労学生控除を受けると、さらに27万円が控除され、税金が課税されない給与額は130万円までに上がります。

住民税(所得割)の場合、基礎控除は43万円(2019年分以前は33万円)、給与所得控除は55万円(2019年分以前は65万円)ですので、勤労学生控除の26万円を合わせると、124万円まで非課税となります。
つまり、勤労学生控除の対象となる学生は、給与収入が124万円までであれば、所得税と住民税が非課税になるということです。

勤労学生控除を受けられる条件

勤労学生控除を受けるためには、申告する年の12月31日時点で、下記に挙げる3つの条件全てを満たしている必要があります。

給与などの勤労による所得がある

アルバイトなどの給与所得が、勤労学生控除の対象となります。
投資やオークションなどの収益、家賃収入といった不労所得や親からの仕送りなどは対象になりません。

給与収入130万円以下で、勤労による所得以外の所得が10万円以下

勤労学生控除における条件には「合計所得金額が75万円以下で、勤労による所得以外の所得が10万円以下」というものがあります。合計所得金額が75万円以下とは、1月1日から12月31日までの1年間にアルバイトなどで得た収入から、基礎控除の55万円を引いた金額です。合計所得金額が75万円以下になる給与収入は、最高で130万円です。
つまり、1年間の給与が130万円以下であることが条件になります。ただし、不労所得など勤労による所得以外の所得がある場合、勤労による所得以外の所得が10万円以下で、その所得金額と給与の合計額が130万円以下であることが条件になります。

特定の学校の学生、生徒である

勤労学生控除の対象となる「特定の学校」は、次のいずれかになります。

<特定の学校>

  • ・学校教育法に規定する小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校など
  • ・国や地方公共団体、私立学校などが設置した専修学校や各種学校のうち、一定の課程を履修させるもの
  • ・職業能力開発促進法の規定による認定職業訓練を行う職業訓練法人で、職業に必要な技術を含む一定の課程を履修させるもの

勤労学生控除を受けられる学生に年齢制限はなく、専門学校生や大学院生でも、上記の3つの条件にあてはまれば勤労学生控除の対象になります。自身の通う学校が対象かどうかを知りたいときは、学校の窓口で確認できます。

なお、申告する年の12月31日時点で全ての条件にあてはまっている必要がありますので、卒業や退学で年末を迎える前に学生でなくなった年は、控除を受けることができません。

勤労学生控除を受ける際の注意点

勤労学生控除は、学びながら学費や生活費を稼ぐ学生にとってはうれしい制度ですが、注意しなければならない点もあります。

勤労学生控除を受けると親の扶養から外れる

親の扶養に入っている場合、勤労学生控除を受けることで扶養から外れて、親の税金が増えることになります。
16歳以上の子供を養う親は、扶養控除が受けられます。ただし、子供のアルバイトなど給与収入が103万円以下であることが条件となるため、子供が勤労学生控除を受ける場合は扶養控除が適用されなくなります。

扶養控除が適用されなくなったとしても、子供の収入が増えるので、家族全体の手取りは増える可能性があります。103万円以上の収入を子供が得ても問題ないか、事前に親と相談しておくことをおすすめします。

確定申告が必要になるケースもある

1年間の所得や納税額を申告するには、確定申告が必要です。ただし、多くの企業では、1年間のみなし給与から納税額の概算を出し、毎月の給与から天引きして本人に代わって税金を納めてくれています。そのような場合、年末に正しい所得で精算する年末調整を行うだけで、個々に確定申告をする必要はなくなります。

しかし、年末調整が行えるのは1社のみとなるため、2つ以上のアルバイトを掛け持ちしている場合などは、自分で確定申告を行う必要があります。また、給与以外の収入があった場合も、その収入についての確定申告が必要です。

【関連記事】
103万の壁とは?収入と税金、社会保険の関係について解説します
年末調整と確定申告の違いとは?それぞれの仕組みと手続きの流れ

勤労学生控除の申請方法

勤労学生控除の申請方法 イメージ

勤労学生控除は、年末調整と確定申告で申請方法が異なります。なお、どちらの方法でも専修学校や各種学校の生徒、職業訓練法人の認定職業訓練を受けている方は、その学校や法人から交付される証明書を添付する必要があるため、早めに準備しておきましょう。

年末調整をする場合

年末調整で勤労学生控除を受ける際には、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に必要事項を記入し、「主たる給与から控除を受ける」のC欄にある「勤労学生」のチェックボックスにチェックを入れ、専修学校や各種学校の生徒、職業訓練法人の認定職業訓練を受けている方は、その学校や法人から交付される証明書を添付在学証明書と併せてアルバイト先へ提出します。
勤労学生控除を受ける旨を、あらかじめアルバイト先に伝えておきましょう。

参考:税務署 [手続名]給与所得者の扶養控除等の(異動)申告

確定申告をする場合

確定申告で勤労学生控除を受けるには、「確定申告書」を自身で作成し、特定の学校の場合は必要となる在学証明書やアルバイト先が発行した源泉徴収票などと併せて、居住地を管轄する税務署へ提出します。
確定申告書を作成する際には、「確定申告書A 第二表」の「本人に関する事項」にある「勤労学生」欄に〇を記入し、専修学校や各種学校の生徒である場合や職業訓練法人の認定職業訓練を受けている場合で、年末調整でこの控除の適用を受けていない場合は、「□年調以外かつ専修学校等」をチェックします。

また、「確定申告書A 第一表」の「所得から差し引かれる金額」にある「勤労学生、障害者控除(11)」に、27万円と記入しましょう。

参考:税務署 確定申告書A記入例

勤労学生控除の計算方法

勤労学生控除を受けることでメリットが得られる税金は、所得税と住民税です。1社からの給与所得のみの場合、それぞれどれくらい納税額が減るのかがわかる、計算式も知っておきましょう。

<所得税の計算式>
所得税の課税対象額=年収-(基礎控除48万円+給与所得控除55万円+勤労学生控除27万円)

控除額を全て足すと、130万円です。給与収入が130万円以下であれば、所得税の課税対象額はゼロですので、所得税は課税されません。

<住民税の計算式>
住民税の課税対象額=年収-(基礎控除43万円+給与所得控除55万円+勤労学生控除26万円)

住民税の基礎控除額は43万円、勤労学生控除は26万円ですので、控除額を全て足すと124万円です。給与収入が124万円以下であれば、住民税の課税対象額はゼロになります。

なお、住民税は、所得割と均等割という2つの計算方法で算出されます。上記の計算は、所得割の部分についてですので、収入が93万~100万円(自治体によって変動)以上の場合は、均等割部分の納税が発生します。均等割の金額は、自治体によって変わりますが、年間5000円ほどの納税が必要です。

また、学生が未婚で未成年であれば、合計所得金額が135万円以下(給与収入の場合204万3999円以下)の場合、住民税がかかりません。

【関連記事】
年末調整の対象となるアルバイトやパートの働き方と条件とは?
アルバイトでも確定申告は必要?確定申告をしないとどうなる?
アルバイトが所得税で損しない年収額は?103万を超えたらどうする?
住民税はいくらからかかる?パート、アルバイトの課税について解説

学生のあいだは勤労学生控除で税金負担を軽くしよう

勤労学生控除は、学業とアルバイトを両立させる学生の税負担を軽減する制度です。所得税は27万円、住民税なら26万円の控除を受けることができます。つまり、控除分までなら収入を増やしても、税金はかからないということです。所得税であれば給与収入が130万円以下、住民税であれば124万円以下であれば課税対象になりません。
ただし、親にとっては扶養控除が受けられなくなるなど、家族の家計にはデメリットもあるため、勤労学生控除を受ける場合は家族で検討してから利用することが大切です。

【関連記事】
知っておきたい税金まとめ
学生必見!アルバイトでいくら稼ぐと税金がかかる?
103万円と130万円、どっちが得?働き損にならない収入とは?
扶養控除の金額とは?配偶者控除や扶養控除のメリットについて解説

【その他 税に関する記事はコチラ!】
源泉徴収はアルバイトにも関係がある?源泉徴収票の見方を解説
アルバイトの掛け持ちでかかる税金と正しい申告方法とは?

記事監修
増田 浩美

増田 浩美

増田浩美税理士事務所所長

女性ならではのきめ細やかな視点を強みに、企業から個人まで幅広い税務のサポートを行う。
ホームページ:http://www.zeimukaikei.jp/

※2020年10月に記載した記事です。

バイトルに会員登録して
自分にピッタリのバイトを選びましょう!

カテゴリ一覧