スキマスイッチ インタビュー - チュ~モクARTIST|バイトル
人気アーティストの素顔に迫る特別企画。今回は、NEWアルバム『POPMAN'S ANOTHER WORLD』を発売するスキマスイッチが登場!高校時代&アルバイトのエピソード、アルバムの制作秘話など、たっぷり伺いました。
Profile
大橋卓弥(写真右)、常田真太郎(写真左)のソングライター二人からなる音楽ユニット。1999年に結成し、2003年にシングル『view』でメジャーデビュー。以降、『奏(かなで)』、『全力少年』、『ユリーカ』など、たくさんの心に響く名曲を生み出している。
大橋さんの高校時代は、バレーボール少年!
――大橋さんは、どんな高校生でしたか?
大橋:中学3年生までクラシックピアノを習っていて、ピアノを触るのが好きでしたね。うちはシンタくん(常田)がピアノを弾くので、今、弾く機会はないですけど。当時から、曲を作ったりもしていました。ただ、バンドには入りませんでしたね。ピアノをやっていたから、キーボードとして誘ってもらったことはありましたけど、あの頃は「クラシックとバンドは違うんだよ」という想いがありまして(笑)。
――なるほど(笑)。ちなみに、部活は?
大橋:中学から、ずっとバレーボール部でした。
――え、意外です!ピアノを弾く人は、つき指をしちゃうからNGなのかなぁと。
大橋:そうですよね。で、ピアノ教室の先生に「ピアノかバレーボールか、どっちかにしなさい」と言われて、選んだのがバレーボール(笑)。高校時代は、バレーボール少年でしたね。僕はキャプテンで、部員は少なかったけれど、県大会に出場するところまではいきました。振り返ってみると、いい思い出です。高校バレーを題材にしたアニメ『ハイキュー!!』の主題歌をやらせていただいた時は、嬉しかったですね。
常田さんは高校で、4つの部活を掛け持ち未遂!
――常田さんの高校時代は、いかがでしたか?
常田:中学まではサッカー部だったんですけど、高校では柔道部に入りました。バルセロナ五輪で大活躍した古賀稔彦さん、吉田秀彦さんに、完全に感化されまして(笑)。2年からは、軽音部と華道部にも入りましたね。僕の高校には、愛知県内でも有名な、大きな天文ドームがあるんですよ。その頃、観たかった彗星がちょうど日本に接近していて、「これは絶対に観たい!」と、天文部にも入部届を出したら「さすがに4つ掛け持ちはダメだ」と(笑)。
――あはは。じゃあ、観たかった彗星は観られず?
常田:特別に、彗星だけは観させてもらえました。その時のことが『SL9』という曲のもとになっています。
お互いの第一印象は……意外にも「最悪」!?
――お二人が出会ったのは、大橋さんが高校3年生の時なんですよね?
大橋:はい。僕は高3で、シンタくんは高校を卒業して、上京していました。僕の中学の先輩が、シンタくんと同じ高校だったんですね。それで、知り合うことになるんですけど。初めて会ったのは、名古屋のライブハウス。シンタくんが当時組んでいたバンドのライブを、共通の知人である先輩と観に行きました。まあ、とにかく第一印象が悪くてですね…。
常田:あはは。
――え、それは、ステージを観て?
大橋:僕はクラシックピアノを習っていたので、意外と弾けたんですよ。でも、シンタくんはピアノを始めて半年とか、そんなもんだったのかな。
常田:うん、まだ全然。
大橋:5本の指が動かずに、ひとさし指だけで弾いている感じで。
――それでステージに立つって、スゴイですね!
大橋:でしょう?僕もそう思ったんです。ほとんどが友達だったと思いますけど、そんなのでお客さんを入れてチケット代を取るなんて、本当に信じられなくて。「この人と何かをすることは、絶対にないな」って、その時は思いましたよね。
常田:あはは。
――では、常田さんの、大橋さんへの第一印象は?
常田:ライブが終わった後、共通の知人から卓弥(大橋)を紹介されました。もともと彼から「ひとりで歌を歌っているヤツがいる」とは聞いていたんですけど、現れた卓弥は…まあ、怖かったですよ(笑)。斜に構えて、睨みをきかせて。挨拶の時もサングラスを取らないし。
大橋:あはは(爆笑)。
――今の柔らかい雰囲気からは、想像できないですね。
常田:言葉も少なくて「チッス」のひとことで終わり。ライブでピアノを弾いている僕を見たからでしょうけど、ものすごく怖かったです。こんなにしゃべるコなんだっていうのは、あとあと知りました(笑)。
最悪の出会いから一転、スキマスイッチ結成!
――そこから、どういう経緯でスキマスイッチが結成されたのでしょう?
大橋:高校卒業後に僕もバンドを組んで上京し、シンタくんも別のバンドで活動していました。一緒に名古屋でライブをしたり、ライバル的な関係ではありましたね。
常田:やっぱり負けたくないと。
大橋:低いレベルながらもね。で、僕のバンドが先に解散しまして。それでも歌うことは好きでしたから、ひとりで街へ出て、ストリートライブをやっていました。もちろん、最初は誰も集まりませんでしたけど、ちょっとずつ聴いてもらえるようになって。せっかくだから、自分の作品をCDにして持って帰ってもらえたらいいなと。でも、CDの作り方なんてわからないじゃないですか。
常田:カセットテープの時代ですからね。今でこそ簡単ですけど、当時は自分の曲をCDにするって結構大変でしたから。
大橋:当時、シンタくんは、アマチュアバンドのレコーディングやアレンジをして、CDを制作する活動をしていたんです。「知り合いだし、友達価格で作ってもらおう」と、1曲だけ、レコーディングとアレンジをお願いしました。で、ちょうどその頃、シンタくんに売り込みの機会があって、作品集の最後に二人で作った曲を入れて、持って行ったんですって。そうしたら、その曲だけがプロデューサーさんの目に留まったらしく。「一緒にやってるの?」と聞かれて、シンタくん、しれっと「やってます」と答えて帰ってきたんですよ(笑)。
常田:「やってるか?」と聞かれたら、やってますよね~。僕ひとりで作ったわけじゃないですから。
――えー!でも、大橋さんにそのつもりないですよね?
大橋:ないです、ないです(笑)。第一印象も悪かったし、一緒にやる気はなかったですけど、1学年先輩だから断りづらくて。まあ、ソロ活動と並行してやればいいかと思っていました。はじめの頃、よくできた曲はソロ活動用に取ってありましたし(笑)。でも、シンタくんとやっているのが、だんだんおもしろくなっちゃって。お互いに曲を作る人だったから、ソロの時よりも世界が広くなった感がありましたね。気づいたら、ソロでは何もやらなくなって、シンタくんとの活動がメインになっていました。
常田さんのコミュ力は、飲食店バイトで磨かれた!?
――下積み時代を含め、たくさんのアルバイトをされたと思いますので、ここからはアルバイトの思い出について振り返ってもらいましょう。まず、常田さんのアルバイト経験は?
常田:引っ越し屋さん、積み荷下ろし、事務作業…。いろいろやりましたが、印象に残っているのは、飲食店のホールスタッフです。入口から入って右が喫茶店、左がステーキレストランという変わった造りのお店でした。その日、忙しいほうに配属されるんですが、レストランになると、制服の上にジャケットを羽織って「きれいめ」に変身するんです(笑)。注文を取ったり、料理を運んだり、喫茶店ではパフェなどの軽食も作りましたね。お店のメニューにはない、まかないのドライカレーが異常にうまくて。「まかない、今日はドライだよ」と言われると、ものすごく嬉しかったのを覚えています。
――どんなところにやりがいを感じましたか?
常田:お客さんとのコミュニケーションが楽しかったです。バイト歴が長くなるにつれ、常連さんにしゃべりかけてもらえるようになるんですよ。僕、中学までは引っ込み思案で、人と話すのが得意じゃなくて。高校生になったら、そういう自分を変えようと思っていたんです。だから余計に、お客さんとのコミュニケーションが楽しかったのかもしれません。
――ちなみに、バイト内ラブはありました?
常田:短大生だったのかな、すごくかわいい先輩がいて、僕と同い年のバイト仲間、みんなの憧れでした。こっそりシフトを合わせたかったぐらい(笑)。先輩は気さくに話しかけてくれるんですけど、緊張してこっちからは話しかけられず…憧れのまま終わりましたね。
大橋さんは音楽の現場をめざし、コンサート警備!
――大橋さんはいかがでしょう?
大橋:僕もいろいろやりましたけど、コンサート警備のバイトが思い出深いです。警備と聞くと、ライブの本番中だけ働けばいいって思うかもしれないですけど、場合によっては、ステージがない会場もあるんですよ。そうすると、ステージを組まないといけないので、早い時は朝5時に集合して、ステージの設営から始まります。大きな会場だと、ライブの2,3日前から配属されることもありました。それで、ライブ中は自前のスーツに着替えて警備をして、終演後にステージをばらす…という一日がかりの仕事でしたね。
――重労働なんですね。
大橋:そうですね。でも、楽しかったですよ。警備も、はじめは入り口とか楽屋口に回されるんですが、続けているうち、会場内を任されるようになりました。登録制だったので、スケジュールの融通が利いて自分の活動と並行してできましたし、好きなアーティストのライブがあるって情報が入ると、そこにシフトの希望を出せるのがよかったですね。警備中はステージのほうを向いちゃいけないんですが、見えなくても歌は聴こえますから(笑)。ずっと音楽に携わる仕事がしたかったので、現場に音楽があるのは大きなやりがいでした。
――バイト内用語はありましたか?
大橋:「上手(かみて)」「下手(しもて)」ですね。ステージに立った時、左側が「上手」、右側が「下手」になるんですけど、「バイト、上手!」と言われても、最初は何を指しているのかわからなくて。ステージのどちら側という意味じゃなく、「上手」「下手」という場所が、ほかにあるのかと思っていましたから。
常田:あはは。わかるわー。
大橋:今、この仕事をしていると、「上手」「下手」って、ステージでもテレビでもよく耳にするんですよね。このバイト経験があったから、ごっちゃにならずに済んでいるのかもしれないです。
初対面の人とは、共通の話題を探すべし!
――新入生をはじめ、春から新生活を始めた人も多いと思いますが、初めて会う人と仲よくなるために実践していることってありますか?
常田:僕は、中学時代まではしゃべらなかった質で。なんでだろうと考えたら「失敗したくないから」、究極は「嫌われたくないから」だったんですよね。高校に入学して環境が変わった時に意識したのは、自分からしゃべりかけることと、もしトラブルが起きても、その場でちゃんと解決すること。最初の友達作りでは、共通のネタを探すようにしていました。
――探すと、意外と見つかりますよね。
常田:特に男子は、マニアックな人が多いでしょう?東京に来てから感じたのは、知っていることをお互いに伝え合うと、おもしろく話せるなぁと。今まで興味がなかったことも好きになりましたし、いろんなところにアンテナを立てておくのは、友達作りでも大事だなと思います。
大橋さんが「ライブ、明日にならないかな…」と思う理由とは?
――初ライブのことは覚えていますか?
大橋:ストリートライブをやっている頃、東京で最初に歌ったのは渋谷でした。「渋谷で歌おう」と決めて、場所を探して歩いたんですけど、人の流れがありますから、大きなギターケースを持って立ち止まるのが怖いんですよ。ぶつかってこられそうだし、ジャマだって怒られるかもしれないし。それで、覚悟を決めて緊張しながらギターケースを開けるんですけど、最初の一声を出すのが、まためちゃくちゃ怖くて…。
――最初の一声、どうするんですか?
大橋:いきなり歌い始めずに、最初は小さな声でしか歌えなかったです。本当は、いきなり「演奏始めるぞ!」ってやりたかったですけど、結局、最後までできなかったですね。つまびいて、鼻歌っぽく歌って、だんだん音量を上げていくというか。
常田:あはは(爆笑)。なるほどねー。
大橋:僕、それぐらい「緊張しい」なんですよ。路上だからとか、初ライブだからとかではなく、未だにかなり緊張するんです。今でもライブの当日は、「ライブ、明日にならないかなぁ…」と思ってますから(笑)。
――あはは。そんなスキマスイッチさん、4月13日にカップリング曲を集めた新アルバム『POPMAN’S ANOTHER WORLD』をリリースされますが、この作品のコンセプトを教えてください。
常田:僕らにとってカップリングは、「実験できる場所」なんです。アイデアが浮かんだら、まずはデモでやって、そこでおもしろいことになったら、当然リリースしたくなりますよね(笑)。でも、アルバムだと全体のコンセプトがありますし、ほかの曲とバランスが取れなかったりする。その点、カップリングは自由な気がするんです。激しい打ち込みがあったり、シンセサイザーがバンバン入ったり、「スキマスイッチとしてはどうなのかな」ってことも、カップリングだとできる。そういう意味で、スキマスイッチの「端っこフレーバー」がふんだんに盛り込まれたアルバムだと思います。
――アルバム、楽しみにしています。本日は、ありがとうございました!
スキマスイッチにとってアルバイトとは?
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