2024.12.02

職場でのモラハラとは?具体例や対策を踏まえてくわしく解説

職場でのモラハラとは?具体例や対策を踏まえてくわしく解説

近年、同僚や部下に対する誹謗中傷や業務妨害など、職場内のモラハラが問題視されています。実際に、アルバイトで働きながら、職場でモラハラ被害に遭って悩んだ経験がある方もいるかもしれません。

モラハラの知識が乏しいと、自分が被害を受けるだけでなく、知らない間に加害者になってしまう恐れもあります。

本記事では、モラハラの概要や事例、モラハラが引き起こすリスク、具体的な対処法をくわしく解説します。

職場内のモラハラを防ぐには、正しい理解と具体的な事例を知ることが効果的です。自分がモラハラを受けないためにも、対処法や防止策も把握しておきましょう。

モラハラとは

モラハラは、「モラルハラスメント」を略した言葉で、道徳や倫理に反する行為によって相手に精神的ダメージを与えることを指します。「精神的DV」ともいわれ、夫と妻、彼氏と彼女などパートナー間のモラハラが問題になるケースが多くあります。

しかし、人間関係が発生する状況であれば、どこでもモラハラが発生する可能性があります。例えば、職場はモラハラが起こりやすい現場の一つです。同僚や部下に対するモラハラは多く、アルバイトが問題に巻き込まれるケースもあります。

職場におけるモラハラ

モラハラは、上下関係に関わらず特定の人物に精神的なダメージを与える行為です。職場では、同僚や部下、上司などの立場に関係なく発生する恐れがあります。

例えば、必要以上に叱責をしたり、無視をしたりして、相手を精神的に追い詰める行為はモラハラです。また、昇進や研修を妨害してキャリアアップの機会を奪う行為も職場でのモラハラに該当します。

その他、被害者が職場を辞めざるを得ない状況に追い込むような、ひどいモラハラも少なくありません。

モラハラとパワハラの違い

モラハラと類似したハラスメント行為に、パワハラがあります。パワハラは「パワーハラスメント」の略称で、上下関係や優位性を背景に精神的・身体的な苦痛を与える行為です。

職場では、上司から部下、社員からアルバイトに対してパワハラをするケースが多く見られます。優位性があれば同僚間で発生する可能性があるほか、顧客や取引先からパワハラを受ける事例も少なくありません。

一方で、モラハラは立場が関連しないハラスメント行為です。そのため、アルバイトがモラハラの加害者になる可能性もあります。

モラハラとセクハラの違い

セクハラは、「セクシュアルハラスメント」の略称です。モラハラと同様に、相手に不快感を与える行為ですが、セクハラには性的な要素が含まれます。

例えば、性的行為の強要や性別による差別などは、セクハラに該当する行為です。一方で、モラハラは倫理(モラル)に反する行為を指し、性的な要素は含まれません。

また、パワハラやセクハラが精神的・肉体的な苦痛を示すのに対し、モラハラは精神面の苦痛に特化しています。

職場におけるモラハラの具体例

職場でのモラハラのおもな具体例として、以下の4つが挙げられます。

職場におけるモラハラ例 具体的な内容
業務妨害 必要な連絡を故意に怠る
スキルに合わない業務を押し付ける
プライベートへの干渉 業務に関係のないプライベートに対する干渉
誹謗中傷 失敗に対して暴言や屈辱的な言葉を浴びせる
本人がいないところで陰口を言う
人間関係の切り離し 特定の人を仲間外れにする

続いては、上記のモラハラ事例をくわしく解説します。

業務妨害

業務上必要な連絡を故意に怠る、後輩や部下に教育をしないなど業務のスムーズな進行を妨げる行為はモラハラに該当します。

また、緊急性のない雑用を不適切なタイミングで押し付けたり、スキルに見合わない業務を無理強いさせたりする行為も相手に不快感を与えるモラハラです。その他、わざと仕事を与えないケースもあるでしょう。

こうした業務妨害が続くと生産性が下がり、経営自体に影響する恐れもあります。

プライベートへの干渉

家族や友人、恋人関係などの業務に関連性のないプライベートへの執拗な干渉もモラハラ行為とみなされます。

休憩中の何気ない会話で個人的な話題が出るケースもありますが、相手が不快に感じる内容であればモラハラになる可能性があるため注意が必要です。プライベートな内容を話したくない人もいることを理解したうえで、職場内の人間関係を構築する必要があります。

誹謗中傷

仕事を失敗した相手に対して「能無し」「仕事ができない」「バカ」などの侮辱的な言葉を吐いて人格を否定する行為もモラハラにあたります。冗談で言ったつもりでも、言葉を受け取った相手は精神的苦痛を感じる可能性があるでしょう。

また、本人がいないところで「役に立たない」「あの人とは付き合いきれない」などの陰口を言ったり、相手が不快に感じるあだ名をつけたりすることもモラハラの典型的な事例です。

人間関係の切り離し

特定の人物を仲間外れにして人間関係を切り離す行為もモラハラです。

例えば、社内の懇親会に誘わなかったり、メールを無視したりする行為が該当します。また、社員とは普通に会話をするのに、アルバイトからの挨拶や会話を無視するケースも少なくありません。あからさまに無視する行為は相手に精神的な苦痛を与えます。

なお、集団で仲間外れをする嫌がらせは、パワハラにあたる行為です。

モラハラによる職場へのリスク

モラハラは、嫌がらせを受けた人だけでなく職場にも悪影響を与えます。続いては、モラハラによる職場へのおもなリスクを3つ解説します。

損害賠償責任を問われる

厚生労働省では、2020年に「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)」を施行しました。通称「パワハラ法」と呼ばれる法律で、年々増加する職場内のいじめや嫌がらせの防止を目的としています。

当初は、大企業に向けて制定された法律でしたが、2022年4月からは 中小企業でもパワハラを防止する措置が義務付けられました。

優位性に関係なく相手を精神的に追い込むモラハラも、パワハラと同じハラスメント行為です。パワハラ法が施行された背景を踏まえても、職場でのハラスメント行為は、個人だけが抱える問題とは言えないでしょう。

モラハラ被害が拡大すると、職場環境に問題があると判断される可能性があります。個人間の争いだと放置してしまえば、損害賠償責任を問われるケースもあるでしょう。その結果、会社の評判が下がり、社会的信頼を失う事態にもなりかねません。

出典:厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)」

離職者が増える

モラハラに悩まされる従業員は、心に深いダメージを受けています。精神的なダメージが大きくなれば、職場に居られなくなり、退職に追い込まれることもあります。

また、直接的にモラハラ被害に遭っていなくても、嫌がらせ行為が横行している職場での勤務は不快なものです。職場に対する信頼も薄れてしまう可能性が高く、その結果、離職率も上昇します。

さらに、「モラハラが蔓延している職場」というレッテルが貼られれば、社内だけでなく外部からの印象も悪くなるでしょう。新たな人材確保にも影響が出るほか、顧客や取引先との関係も悪化します。

従業員の満足度が下がる

モラハラによる影響は、被害者本人だけの問題では済みません。特定の人物を攻撃するモラハラが目に余れば、周囲の従業員にも不快感を与えます。

日常的にモラハラが横行すると、職場環境が悪化して従業員の満足度が下がり、職場への信頼や愛社精神向上の妨げになりかねません。従業員のモチベーションや生産性の低下につながる恐れもあります。

近年は、SNSが浸透しているため、従業員によってモラハラが発生した事実が拡散されるケースも少なくありません。

一部の従業員間のトラブルであっても、世間的に見れば企業自体の問題です。拡散された内容によって企業の評判が下がれば、経営自体に影響を及ぼす可能性も考えられます。

職場でモラハラをしやすい人/モラハラを受けやすい人の特徴は?

モラハラに関与する人には、加害者、被害者ともに特徴があります。モラハラを防止するには、事前にそれぞれの特徴を把握することが大切です。ここでは、職場でモラハラをしやすい人と受けやすい人の特徴を解説します。

職場でモラハラをしやすい人の特徴

職場でモラハラをしやすい人は、以下のような特徴を持つ傾向があります。

  • 自意識過剰もしくは極端に自信がない
  • 他責思考が強い
  • 他人を支配したがる
  • 感情の起伏が激しい
  • プライドが高い

特に、他人より自分が優位に立っていると思い込む人は、相手を下げて見る傾向がありモラハラにつながります。

また、上記のようなタイプの人だけでなく、過去にハラスメントの被害者になった経験がある人も、仕返しをしたい気持ちから加害者に転じることがあります。

職場でモラハラを受けやすい人の特徴

職場でモラハラを受けやすい人は、以下のような特徴を持つ傾向があります。

  • 自己主張が少なく受動的
  • 頼み事や命令を断れない
  • 我慢強い
  • 場の空気を読むのが得意
  • 謙虚

多くの場合、自分に自信が持てず、自己主張ができないタイプの人はモラハラを受けやすい傾向があります。

また、こうしたタイプの人は、モラハラを受けても自分が悪いと思い込んでしまったり、無理に我慢したりするケースが少なくありません。その結果、モラハラが改善せず被害が拡大する恐れがあります。

モラハラを防ぐ3つの対策

モラハラを事前に防ぐには、適切な対策を講じる必要があります。

ハラスメント研修を実施する

モラハラやパワハラという概念は、2000年代に入ってから広く知られるようになりました。特に、近年はハラスメントに対する社会的な意識が高まり、世間の目も厳しくなっています。しかし、比較的新しい概念であり、モラハラの概要を把握していない人も少なくありません。

こうした状況を踏まえて、モラハラを未然に防ぐには、職場全体でモラハラに関する基礎知識を学ぶことが大切です。継続的にハラスメント研修を実施し、具体的な事例やリスクを踏まえて周知させる必要があります。

社内ルールを作成する

就業規則に、モラハラに関するルールや処分についてまとめた項目を設けることも重要なポイントです。ルールを作成する際は、禁止する行為の内容やモラハラが発生した場合の処分などを具体的に定める必要があります。

決定した方針やルール、処分を社内全体に周知するだけでも、モラハラに対する抑止力につながるでしょう。

相談窓口を設置する

モラハラ被害が発覚した場合は、早期解決が肝要です。モラハラを受けた被害者が、速やかに相談できる窓口を設けましょう。これにより、モラハラの悪化や心身のダメージを軽減できる可能性があります。

また、定期的な個人面談や外部機関との連携も効果的です。社内の人には相談しにくい内容も、客観的に判断できる外部の専門機関であれば打ち明けやすく、的確なサポートを受けられることがあります。

モラハラが発生した場合の4つの対処法

モラハラが起こってしまった場合に、速やかなサポートをするためには対処法を把握しておくことが大切です。ここでは、モラハラが発生した場合の対処法を4つ解説します。

ハラスメント研修を実施する

まずは、モラハラの内容を具体的に把握する必要があります。被害者の同意を得たうえで、モラハラの加害者や関係者に対して事実確認を行いましょう。

双方の意見に相違があると適切な対応ができません。そのため、複数の関係者から丁寧にヒアリングを行い、当時の情報を集める必要があります。また、メールや現場を記録した映像、音声などがある場合は提出を促しましょう。

なお、ヒアリングを行う担当者は、あくまでも中立な立場を保つことが肝要です。

メンタルケアを行う

モラハラを受けた被害者に対しては、十分なメンタルケアが不可欠です。在籍中であれば、業務に支障をきたさないように安心して働ける職場環境を整えるほか、カウンセリングも役立つでしょう。

休職している場合は、職場復帰に向けたサポートが求められます。専門家の意見を聞きながら、適切な方法でケアしましょう。

また、加害者に対するケアも大切です。モラハラを起こす人は、嫌がらせをしている自覚がないケースも少なくありません。カウンセリングを実施して、モラハラにつながる心理を改善する必要があります。

加害者に対する措置をとる

モラハラの事実が明らかになった場合は、就業規則に沿って加害者に対する措置をとる必要があります。万が一、事実関係に誤解があると、適切な処置ができないため、事前のヒアリングは丁寧に行いましょう。

また、モラハラの内容によっては、処分や罰則に該当しないケースもあります。この場合は、被害者に対する謝罪をする機会を設けるほか、加害者の配置換えを実施して対応するとよいでしょう。

被害者と加害者、双方のケアを行ったうえで、互いの関係性改善に向けたフォローも肝要です。

なお、モラハラにつながる行為があったにも関わらず、加害者がその事実を認めなかった場合は、裁判に発展する可能性があります。どのようなケースでも、職場側が毅然とした態度をとり、将来的なモラハラの発生を防ぐことが重要です。

再発防止策を立てる

モラハラが発生し、被害者や加害者のフォローを行った後は、再発防止に向けたフォローアップを実施します。

職場全体に対し、モラハラが与える影響やハラスメント行為を防ぐ重要性を周知したうえで、定期的に研修を実施しましょう。

また、こまめにアンケートをとり、モラハラに発展しかねない事案を速やかに察知するためのモニタリングもしておきましょう。

まとめ|モラハラのない安心して働ける職場を見つけよう

モラハラは、家庭やパートナー間だけでなく、職場でも多く発生する問題行為です。モラハラに該当する行為を把握しておくと、万が一の際に速やかな対応がしやすくなります。また、知らないうちにモラハラをしないためにも、具体的な事例を知ることも重要です。

モラハラ対策が十分か入社前に判断することは困難ですが、アルバイト先を探す際は、口コミ情報をチェックしたり、店舗であれば実際にお店の様子を見に行ったりしてみましょう。

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