まず、面接でのメイクは、普段のメイクとは視点が異なる点を押さえておきましょう。日常的なメイクでは、「トレンドを意識する」「華やかにする」「遊び心を加える」など、自由にテーマを決められます。しかし、面接用のメイクでは、「見られること」「印象を与えること」を意識しなければなりません。

面接で見られるといっても、美しさやかわいらしさではなく、「人材として自社に適当か」が重視されます。面接は、今後企業と個人が労働契約にいたるビジネス上のプロセスかつフォーマルな場となるため、華美であったり目立ったりする必要はありません。

大切なのは、「清潔感」「誠実さ」「意欲」「健全さ」といった印象です。「メイク＝おしゃれ」というイメージを持っている人もいるかもしれませんが、先述したように面接の際は身だしなみの位置づけとなります。そのため、常識的に考えて必要最小限に留める程度が望ましいでしょう。

遊びに行くときと同じメイクでは、信頼のできる人材と見なされない可能性もあります。企業に、しっかりと貢献してくれそうな人材と認められるためにも、カラフルな色味を施すのではなく、明るくさわやかな雰囲気を出すためのメイクを心がけることが大切です。

面接のメイクは、ナチュラルメイクが基本です。ナチュラルメイクとは、自然な雰囲気を感じさせながら、血色が良く健康的で、目鼻立ちがきちんとわかるメイクです。「ナチュラル」という言葉を取り違えて、素肌のまま何もしない人もいそうですが、もちろんそうではありません。

ベースをしっかりとつくり、ナチュラルなつやのある肌に自然な陰影を加えます。実は、自分にあったナチュラルメイクは難しく、時間をかけて丁寧に行なうことが必要です。本来持っている自分の魅力を、より一層際立たせるには、自分の顔立ちを十分に理解しなければなりません。

いかにもメイクをしていると感じさせないためには、それなりのテクニックが求められます。ナチュラルメイクをうまくできるようになれば、色や大げさなラインづかいに頼らずに自分の良さを引き立たせることが可能です。

業界によっても好まれるメイクは異なります。同じ企業内でも接客、オフィス、営業など配属先の部署によって、向き不向きの印象がメイクで左右される可能性もあるため、注意が必要です。自分が希望する業界や業種の特徴を確認し、どのようなメイクがマッチするのか事前にしっかりとリサーチしておきましょう。

例えば、事務系・オフィス系の仕事の場合は、ベーシックかつきちんと仕事がこなせる誠実さを感じさせるメイクがおすすめです。ポイントメイクには、肌なじみの良いブラウン系を選び、眉をシャープに整えて信頼感のある印象をアピールします。

営業系や接客系であれば、ワントーン明るく、元気な印象をプラスすると、面接官からの好感度が得られるでしょう。

コロナ禍にともないオンライン面接も多くなりましたが、画面越しで対面するときのメイクでは、リアルな会場の面接とは異なる点に注意をしなければなりません。

ライティングの仕方によっても異なりますが、多くの場合、顔がくすんでしまったり暗く映ってしまったりする傾向があります。ベースメイクのトーンを間違えてしまうと、想像以上に暗い印象を与えかねません。もちろん、派手なメイクはNGですが、ナチュラルメイクを基本とするにしても、やや明るめを意識することが大切です。また、ディスプレイを通して見ると、どうしても平面的に見えてしまうため、立体感とメリハリを意識したチークやシェイディング（陰影）を行なう必要があります。

事前に面接用のメイクをして、画面で自分の顔をチェックしておくようにしましょう。

肌を美しく見せるベースメイクは、ポイントメイクよりも丁寧に仕上げることが大切です。清潔感のある印象にするためには、ファンデーションの重ねすぎに注意しましょう。

ポイントは、化粧下地の使い方です。自分の肌の色にあわせて補正効果のあるカラーを選ぶと、ファンデーションに頼りすぎることなく、明るさやなめらかさを表現できます。また、汗や皮脂によるメイク崩れを防ぎ、さわやかな印象を持続させる効果も期待できるでしょう。
ファンデーションは、全体を均一にせず、濃淡を考えながら肌にのせていくと厚塗りに見えません。表情筋によって大きく動く部位は、薄目にすると崩れにくくなります。

一般的な面接用メイクには、肌なじみの良いブラウン系が最適です。おしゃれメイクのときのように目を大きく見せるのではなく、知性を感じさせることを意識してみましょう。

ブラウン系は、落ちついて見える一方で目元がくすみがちです。クリーム色、ベージュなどの同系色でグラデーションをつくりながら、明るさを加えていきます。パールが入っていてもかまいませんが、ギラギラせず、かすかに光を感じさせる程度の控えめなタイプを選ぶようにしましょう。

ラインを入れるときは、まつ毛のきわに足すような気持ちでさします。目尻はあまり長くならないように注意しましょう。マスカラのカラーは、黒か茶でダマにならないように、薄づきが基本です。くれぐれも塗り過ぎに注意し、引き算メイクを心がけましょう。

眉毛は、意志的なイメージや知性を表すパーツです。ただし、あまり気合いを入れて濃くしすぎると、不機嫌な印象となる恐れがあるため、注意しましょう。以下のポイントを押さえれば、バランスの良い眉の形となります。

・眉頭：目頭の上
・眉山：白目の外側の終点の上
・眉の長さ：小鼻と目尻を結んだ延長上
・全体の形：眉頭と眉の終わりは同じ高さ

眉を描くときには、はじめに自分の眉の毛流れを十分に整え、足りない部分を一本ずつ加える意識で入れていきます。必ず、顔全体を見てバランスを確認するようにしてください。

チークは、顔色の印象に影響しやすいアイテムです。ピンク系はかわいらしい印象となるため、ブラウン系・オレンジ系・ベージュ系などが向いています。ただし、人によって肌の色が異なるため、顔映りの良い色を選ぶことが大切です。

リップは、自分の肌から浮かない色で、グロスのようなテカリのないマットタイプを選びます。口元だけが目立つ色は避けるようにしましょう。ベージュ系や薄づきのリップの場合でも、全体的なメイクのバランスを見て、自然な印象になっていることを確認します。

また、唇が荒れていると不健康なイメージにつながりかねません。目立つ部位となるため、日頃からのケアが大切です。

面接時のロングヘアは、うしろで一つに結ぶのが無難です。丁寧にとかしたあと、耳のラインの高さでまとめます。低すぎると落ちつきすぎて元気のない印象になり、高すぎるとカジュアルに見えます。また、ほつれ毛があるとだらしなくなるため、黒ピンやヘアケア剤できちんと整えましょう。

ショートは、若々しく清潔感があります。ただし、あくまでノーマルなヘアスタイルを心がけ、モード感を持たせないようにします。ショートは風などで乱れやすいため、ボサボサな印象とならないよう、面接前にしっかりとチェックしておきましょう。

ミディアムは、やわらかさを感じさせるフェミニンな印象の長さです。しかし、面接時には清潔感を重視し、ハーフアップにするか、目立たないクリップなどでサイドをまとめるようにします。お辞儀をしたときに、両サイドの髪の毛が顔にかかるのは好ましくありません。

パーマヘアの場合も、カールをあまり目立たせず、タイトに仕上げるようにしましょう。

ボブは、理知的な印象を与えやすい長さです。ショートと同様に、風などで乱れやすいため、注意しましょう。顔回りをかくさずに、耳にかけるようにするとすっきりとした印象になります。