フリーターで何が悪い?無理に就職する必要性はあるの?

フリーターで何が悪い?無理に就職する必要性はあるの?

フルタイムで働き、それなりの収入があったとしても、フリーターというだけでネガティブな印象を抱かれてしまうことがあります。なかには「フリーターで何が悪いの?」と思う人もいるかもしれません。
ただし、フリーターは雇用が安定していなかったり、社会的信用が低かったりというデメリットがあります。自立できていないフリーターの方もいるため、どうしてもフリーターの印象は悪くなってしまいがちです。

この記事では、フリーターの世間一般のイメージやフリーターでいることのメリット・デメリット、就職するべきかどうかについて解説します。

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フリーターは決して悪いことではない

結論からいうと、フリーターは悪いことではありません。たしかに、フリーターに対する印象はあまりよいものではありません。
しかし、フリーターをしている理由は人によってさまざまで、何らかの目的があってフリーターをしている人も大勢います。

フリーターになりたくてなった人は少ない

厚生労働省が公開した資料によると、フリーターになった理由として最も多かったのが「つきたい仕事のための勉強や準備、修業期間として」、その次が「学費稼ぎなど、生活のために一時的に働く必要があったから」となっています。

  フリーターになった理由のうちもっとも重要な項目 割合
1位 つきたい仕事のための勉強や準備、修業期間として 17.2%
2位 学費稼ぎなど、生活のために一時的に働く必要があったから 14.8%
3位 自分に合う仕事を見つけるため 13.5%
4位 仕事以外にしたいことがあるから 12.8%
5位 正社員として採用されなかったから 11.6%
6位 なんとなく 10.4%
7位 自由な働き方をしたかったから 9.2%
8位 家庭の事情で 3.6%
9位 その他 3.5%
10位 正社員はいやだったから 3.2%

(参考:厚生労働省「正社員?フリーター?何が違うの?」)

なぜフリーターのイメージ・印象・世間体は悪い?

なぜフリーターのイメージ・印象・世間体は悪い?

 

目的があってフリーターをしている人も多くいる一方で、世間でのイメージはあまりよくないのが実情です。これには、以下のような理由が考えられます。

「フリーターもニートも変わらない」という誤った認識

「フリーターもニートも違いはない」と認識している人は一定数いるようです。しかし、この二つは明確に違うものとらえるほうが適切です。

総務省統計局が実施する「労働力調査」では、便宜上フリーターを以下として調査しています。

若年のパート・アルバイト及びその希望者
年齢が15~34歳で、男性は卒業者、女性は卒業者で未婚の者のうち次の者をいう。

  1. 雇用者のうち勤め先における呼称がパート・アルバイトの者
  2. 完全失業者のうち探している仕事の形態がパート・アルバイトの者
  3. 非労働力人口で、家事も通学のしていないその他の者のうち、就業内定しておらず、希望する仕事の形態がパート・アルバイトの者

(参考:総務省統計局「フリーターの人数」)

便宜上の定義ではありますが「パート・アルバイトの者」もしくは「パート・アルバイトを希望する者」としていることがわかります。

一方のニートは、総務省統計局ではニートに近い概念として「若年無業者」という言葉を使用しています。若年無業者の定義は以下の通です。

  • 15~34歳
  • 家事や通学をしていないかつ、働いていない人

(参考:総務省統計局「ニートの人数」)

15~34歳で働いておらず、パート・アルバイトでの勤務を希望している人がニートにあたるのか、フリーターにあたるのかは明記がありません。ただし、少なくともパート・アルバイトとして働いている人はニートとは呼びません。

フリーターのなかには、明確な目的をもってフリーターをしている人もいるため「フリーターもニートも変わらない」という認識は誤っているといってよいでしょう。

「就職していない=遊んでいる」という風潮

フリーターは定職に就いていないことから「働く気がない」「責任感がない」などと思われがちです。また、働いているという点で正社員と比較されやすく「なぜ正社員で働かないのか」と思われることも少なくありません。

特に親世代にはフリーター=遊んでいるという印象が強く残っているため、きちんとした目的があったとしてもマイナスにとらえる傾向にあります。
なかには自由度が高く、気楽に働けるフリーターを妬ましく感じている人もいるかもしれません。

事実、自立できていないフリーターもいる

フリーターのなかには、特に目的を持たず、なんとなくフリーターになった人もいます。もちろん、なんとなくフリーターになるのが悪いことではありませんが、自立できていないフリーターがいるのも事実です。

例えば、アルバイトの収入が少なく、親の仕送りがないと生活ができない、実家暮らしで家事から生活費の負担まですべて親に頼っているといったケースは、自立ができていない典型モデルです。
身近にこのようなフリーターがいたり、人伝いに話を聞いたりすることで、フリーター全体の印象が悪くなっていると考えられます。

フリーターは就職して正社員になるべきなのか

フリーターは就職して正社員になるべきなのか

 

フリーターには、世間体がよくないということだけでなく、ほかにもさまざまなデメリットがあります。もちろん、正社員にはないメリットもありますが、トータルで考えると正社員よりも不利になる場面は多くあります。

フリーターのメリット・デメリット

フリーターの大きなメリットのひとつは、働く日数や時間が比較的自由に選べる点です。また、仕事に対する責任も軽く、気楽さを魅力としている人も多いようです。しかし、その分雇用や収入は不安定で、年齢を重ねるごとに正社員との差が広がる傾向にあります。

フリーターの時給は10代も40代もさほど変わりませんが、正社員の1時間あたりの収入は年齢とともに高くなっていく傾向があります。厚生労働省の調査によると、高卒者・大卒者ともに40代フリーターの平均年収は200万円以下ですが、大卒者の40代正社員は600万円以上となっており、その差は3倍以上です。

その他にも、福利厚生が受けられない、社会的信用が低いといったことから、フリーターはライフプランが立てづらいといえます。

(参考:厚生労働省「正社員?フリーター?何が違うの??」)

<メリット>

  • シフト制で融通がきく
  • 仕事に対する責任が軽い
  • 仕事とプライベートを両立しやすい
  • 働いた分だけ稼げる
  • 転勤や異動がない
  • 辞めやすい

<デメリット>

  • 解雇されやすい
  • 収入が低い・安定しない
  • 福利厚生が受けられない
  • 社会的信用が低い
  • 世間体がよくない
  • もらえる年金が少ない

正社員のメリット・デメリット

正社員のメリットは、フリーターのデメリットである、収入、安定、社会的信用度の高さです。正社員の年収は年齢とともに上がっていく傾向があり、よほどのことがない限り解雇になることはありません。

転職の際も、正社員で働いた経験や実績を評価してもらえるため、フリーターより断然有利です。また、福利厚生や適用される制度も多い場合があり、ライフプランの選択肢も広がります。

一方、デメリットは仕事に対する責任が重いことです。正社員はやりたくない仕事もしっかりとこなす必要があり、やりたくない、苦手な人がいるなどの理由で仕事を放り出すことはできません。

異動や転勤の可能性もあるため、引越しが多くなることもあるでしょう。会社によっては長期休暇が取りづらく、仕事とプライベートの両立が難しい場合もあります。

<メリット>

  • 収入が増える、安定する
  • 解雇のリスクが少ない
  • 社会的信用が高い
  • 福利厚生や手当などが受けられる
  • 適用される制度が多い
  • 転職しやすい

<デメリット>

  • 長期休暇を取りづらい
  • 異動や転勤の可能性がある
  • 自分のやりたい仕事ができるとは限らない
  • 仕事に対する責任が重い

フリーターはいつまで続けていい?就職するなら何歳まで?

「フリーターは〇歳まで続けていいのか」に対する問いに明確な答えはありませんが、一般的には20代のうちに就職するのがよいとされています。

30歳が一つの目安

フリーターの就職では、20代が最も採用されやすい傾向にあります。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構の2017年の調査結果によると、非典型雇用(フルタイム以外)から正社員になった割合は男女ともに20代が最も多く、30代から大幅に減少していくことがわかります。

  男性 女性
15~19歳 37.3% 29.9%
20~24歳 38.4% 32.7%
25~29歳 40.1% 25.5%
30~34歳 34.3% 18.1%
35~39歳 29.8% 15.5%
40~44歳 27.1% 15.6%

(参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状③」)

少子高齢化が進む現在では、若い労働力の確保と育成を目的に採用を行なっている企業も少なくありません。こうした企業ではスキルや経験よりもポテンシャルや人間性を重視する傾向があることから、スキルや経験がないフリーターの就職は30歳が一つの区切りになると考えられます。

35歳を過ぎるとハードルがかなり高くなる

30代からの就職では、即戦力になる人材が求められるようになります。採用ではスキルや経験が重視されるようになり、ポテンシャルや人柄だけでは評価を得られにくいのが現状です。さらに35歳を過ぎると採用の対象がマネジメント経験のあるリーダーや管理職へと変わりやすく、フリーターの就職は一気にハードルが上がります。

30代まで定職に就いたことがないフリーターは「責任感がない」「すぐに辞めてしまう」といった印象を抱かれる可能性もあります。
「なぜ30代までフリーターをしていたのか」と質問をされて、面接官に納得してもらえる回答ができればよいですが「どの会社にも採用されなかった」「なんとなく」といった回答では即、落とされてしまうでしょう。

何歳になっても就職できるチャンスはある

フリーターの就職難易度は30歳を境に高くなりますが即戦力になれるスキルや経験があれば、35歳を過ぎても40代になっても、就職できるチャンスはあります。
また、営業職や飲食業、福祉・介護職などであれば、未経験者を積極的に採用しているため、スキルや経験がなくても比較的採用されやすくなります。

<フリーターでも採用されやすい業界・職種>

  • 営業職
  • 接客・販売職
  • 福祉・介護職
  • 事務職
  • 飲食業

就職活動を効率的に進めるためには、就職までの正しい道のりを知っておくことも重要です。

フリーターが就職する5つの方法

フリーターが就職する方法は大きく分けて5つあります。それぞれ特徴や受けられるサポートが異なるため、自分に合った方法を選ぶようにしましょう。

求人サイト・アプリから応募する

求人サイトにはさまざまな求人が掲載されており「未経験可」「正社員」などと条件を絞ることで、自分に合った求人を探すことが可能です。

ただし、条件を絞り過ぎると求人がなかったり、よい求人を見逃したりする可能性があるため、絞り込みによる結果を見つつ、徐々に絞り込んでいくのがおすすめです。求人サイトは誰でも手軽に利用できる分、応募者数も多くなります。
そのため、採用されるまでにたくさんの求人に応募する必要があります。

現在のアルバイト先に就職する

アルバイト先に正社員登用制度がある場合は、アルバイト先に就職するという方法もあります。すでに業務内容や職場の雰囲気を知っているうえ、ある程度の人間関係も構築できており、知らない会社に就職するよりも安心感があります。

ただし、正社員登用制度が設けられているからといって、必ず正社員として就職できるわけではない点に注意しましょう。一方、正社員登用制度を設けていなくても、登用実績がある場合もあります。気になっているのであれば、一度上司などに確認してみるのも手です。

社員登用制度のあるアルバイト先に変える

今のアルバイト先で正社員登用の見込みがない場合は、正社員登用制度があるアルバイト先に変えるのもよいでしょう。ただし、必ず正社員として就職できるわけではないため、正社員になれる条件や、正社員雇用までの流れ、今まで何人くらいの人が正社員登用制度で就職したのか、なるべく詳細を確認しましょう。

正社員登用制度は、仕事内容や職場の雰囲気を知ってから就職できるというメリットがありますが、万が一就職できなければ、アルバイトとして働いていた期間が無駄になってしまいます。
別の会社に就職するとしても、年齢によってはハードルが上がってしまうため、よく考えたうえで選択する必要があります。

ハローワークで職業紹介を受ける

ハローワークは全国500ヵ所以上にある公共職業安定所で、幅広い年齢層の就職支援を行なっています。ハローワークで扱っている求人はほとんどが正社員案件で、専用端末から自分で求人を探すことが可能です。

就職に関する相談や、カウンセリングの内容をもとに自分に合った求人を紹介してもらえる点もメリットです。応募書類の添削や面接対策もサポートしてもらえるため、就職に不安がある人も利用を検討してみましょう。

なお、ハローワークの求人はその地域、もしくはその地域近郊のものが多いため、希望勤務地のハローワークを利用するとスムーズです。

就職支援サービスを利用する

就職支援サービスは、希望条件に合った求人をピンポイントで紹介してもらえるのが大きな魅力です。利用する会社によっては自己分析や心理テストなどがあり、自分の強みがわかったり、求人のマッチング精度を高めたりすることができます。

就職支援サービス会社は、求人を掲載している企業と定期的にやり取りを行なっており、多くの人材を紹介しています。そのため、業務内容や社風、実際に就業しているスタッフの声なども教えてもらうことができ、不安がない状態で求人に応募することが可能です。

まとめ:フリーターは悪くないが正社員になるメリットも多い

フリーターは決して悪いことではありませんが、正社員に比べると収入、世間体、社会的信用といった面でどうしても不利になります。

若いうちはフリーターと正社員の違いが見えづらいですが、結婚、子育て、住宅購入など、ライフステージが変わるごとにその差は大きくなります。また、正社員は福利厚生や受けられる手当が充実していることも多く、収入面以外でも恩恵を得やすい働き方です。

フリーターの就職は20代がピークとなり、30歳を境にハードルが上がっていきます。30代、40代でも就職することは可能ですが、年齢が若ければ若いほど採用されやすくなるのも事実です。フリーターの将来に少しでも不安を感じている場合は、一日でも早く就職活動をスタートさせましょう。

 

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