2024.01.18

「恐縮」の使い方完全ガイド!意味・使い方・言い換え表現を例文と併せて丁寧に解説

「恐縮」の使い方完全ガイド!意味・使い方・言い換え表現を例文と併せて丁寧に解説

「恐縮です」「恐縮ですが」は日常的な礼儀表現として便利なフレーズになっています。日本では謙虚さが美徳とされる文化があり、ビジネスシーンで口癖のように多用している方もいるのではないでしょうか。

この記事では、「恐縮」の意味・正しい使い方を例文と併せて丁寧に解説!強調表現や他の言い換え表現も紹介します。

ビジネスシーンで使い方に迷っている人や受け答えに困っている人必見です。

「恐縮」の読み方・由来・意味

「恐縮」の正しい読み方、由来、語句の意味について解説していきます。

「恐縮」の読み方は「きょうしゅく」

「恐縮」は「きょうしゅく」と読みます。
「恐」も「縮」もどちらも音読みです。

「恐縮」の由来

「恐」は「恐れる」、「縮」は「身を縮める」や「ちぢむ」を意味しており、直訳すると「心が縮む」や「心が恐れて縮む」といった意味合いになります。

つまり、相手に対して恐れ多く自分が小さくなる(つまり謙遜する)という意味が込められています。

「恐縮」の意味

「恐縮」は2つの意味を持っています。(参考:デジタル大辞泉

  • おそれて身がすくむこと。
  • 相手に迷惑をかけたり、相手の厚意を受けたりして申し訳なく思うこと。おそれいること。また、そのさま。

「恐縮」は他人に対して感謝や謙虚さを表したり、相手に軽い迷惑をかけて「申し訳ない」と感じたりしたときに使います。他にも、お願いする際のクッション言葉としても使います。

時代の変化に伴いこの言葉の重みは軽くなり「恐縮です」「恐縮ですが」などといった、日常的な礼儀表現として便利なフレーズになっています。

「恐縮」を使うさまざまなシーンと例文

「恐縮」について、大体の意味を理解できたでしょうか。より理解を深められるよう、ここからは「恐縮」を使ったさまざまな日常的なシーンと、例文をいくつか紹介します。

感謝を示す場合

「恐縮」は深い感謝の気持ちを伝える際にも使われます。

助けられて感謝を表すとき

  • このたびは、お気遣いいただき、お心遣いに恐縮しております。感謝の気持ちでいっぱいです。
  • お力添えを賜り、恐縮でございます。

意見や提案に対して感謝を表すとき

  • 貴重なご意見を賜り、恐縮の限りでございます。大変参考になりました。
  • 新しいアイデアをご提供いただき、恐縮です。これからのプロジェクトに役立てたいと思います。

相手の行動に対して感謝を表すとき

  • ご多用のところ、お電話いただきまして恐縮です。
  • 雨の中お越しいただき、大変恐縮です。

褒められて謙虚さや謙遜を示す場合

「恐縮」を使って謙虚さや謙遜を表現することで、相手への敬意を効果的に表現できます。

  • お褒めの言葉、恐縮です。チーム全員の努力の賜物です。
  • 過分なお褒めをいただき、恐縮しております。これからも精進いたします。
  • 昇進のお言葉、恐縮ですが嬉しいです。これからも頑張ります。

迷惑をかけて申し訳ない気持ちを示す場合

軽いお詫びをする際に「恐縮」を用いることで、謙虚さと真摯さを表現できます。

  • お待たせしてしまい、恐縮です。
  • ご面倒をおかけして大変恐縮ですが、明日の朝礼は欠席させていただきます。
  • 私事で恐縮ですが、明後日から休暇を頂戴いたします。

お願いや要求をする場合

クッション言葉として「恐縮」を使うことで、相手に配慮しながらお願いや要求を伝えられます。

何かをお願いするとき

  • 大変恐縮ではございますが、この件にご協力いただけないでしょうか?
  • 誠に恐縮ですが、明日の会議の時間を変更していただけないでしょうか?

ビジネスシーンで相手の時間や労力を要求するとき

  • 恐縮ですが、プロジェクトへのご参加をお願いできますか?
  • お忙しいところ恐縮ですが、この課題についてご一考いただけますと幸いです。

電話やメールで連絡するとき

  • 突然のお願いで恐縮ですが、書類の確認をお願いできますでしょうか?
  • 初めてのご連絡で恐縮ですが、△△に関するご相談がございまして、メールさせていただきました。

断りを入れる場合

クッション言葉として「恐縮」を使うことで、きつい印象を与えずに相手に対して敬意を払いつつ断ることができます。

  • 恐縮ですが、この件に関して当社ではお受けできかねます。
  • 大変恐縮ですが、今回はお取引きを見送らせていただくこととなりました。
  • 誠に恐縮ですが、今回は辞退させていただければと存じます。

「恐縮」を使用する場合の注意ポイント

「恐縮」を使用する場合は以下のポイントを踏まえ、相手に敬意を表しつつ失礼のないコミュニケーションを心がけましょう。

謝罪のシーンで「恐縮」は不十分

「恐縮です」という表現は、相手の行動や配慮に対して「感謝」や「申し訳なさ」を表す際に用いられますが、謝罪の気持ちを伝えるのには不十分です。

相手に迷惑をかけたり失礼を働いたりした場合は「すみません」「申し訳ございません」など、明確に謝罪の意を示す言葉を選びましょう。

相手との関係や状況に応じて、適切なレベルの敬語を選ぶこと

「恐縮ですが」や「恐縮ではございますが」といった形で使用する際には、相手との関係や状況に応じて、適切なレベルの敬語や言葉を選びましょう。

言葉遣いが硬すぎたり、ラフすぎたりすると、コミュニケーションの障壁を作ってしまう恐れがあります。

相手がお客さまや上司など目上の人に対しては「恐縮ではございますが」、丁寧語でも問題ない相手の場合は「恐縮ですが」を使うと良いでしょう。

親しい同僚や友人とのカジュアルな会話では「恐縮」を使う必要はありません。

「恐縮」を多用しすぎないように注意

日本では謙虚さが美徳とされる文化があり、特にビジネスシーンでは「恐縮」を過度に使う傾向があります。また、クッション言葉として使いやすい表現のため、口癖になっている人も一定数いるでしょう。

しかし、必要以上に「恐縮」を使うと「自信のなさ」や「過度な謙遜」と受け取られ、誤解を招いたり失礼にあたってしまう可能性があります。

時には別の表現に言い換えることも必要です。

「恐縮に存じます」は二重表現のため間違った言い回し

「恐縮に存じます」が口癖になっていませんか?一見、丁寧な表現に思えますがこれは「二重表現(重複表現)」と言われ、誤った表現です。

「二重表現(重複表現)」とは、同じ意味の言葉を重複して使うことです。よく例として「頭痛が痛い」が挙げられます。

「恐縮に存じます」の「二重表現(重複表現)」ですが、「思う」という意味が重複しています。「恐縮」は「思う(ありがたく思う、申し訳なく思う)」という意味が含まれており、「存じます」は「思います」の謙譲語です。

「恐縮」を強調するさまざまな表現・派生語

程度を表す言葉を付け加えることで、感謝や申し訳なさの度合いをさまざまな強さで表すことができます。文脈や相手に応じて選ぶと良いでしょう。

  • 大変恐縮
    【例】ご指導いただき、大変恐縮しております。
  • 心より恐縮
    【例】大変お世話になっており、心より恐縮しております。
  • 甚だ恐縮
    読み方:はなはだきょうしゅく
    【例】甚だ恐縮ですが、ご協力いただけますか?
  • 恐縮しきり
    【例】お忙しい中お時間をいただき、恐縮しきりです。
  • 恐縮至極
    読み方:きょうしゅくしごく
    【例】このようなご厚意を賜り、恐縮至極でございます。
  • 恐縮の限り
    【例】貴重なご意見をいただき、恐縮の限りでございます。
  • 恐縮の極み
    読み方:きょうしゅくのきわみ
    【例】あなたのご配慮には、恐縮の極みです。
  • 恐縮の至り
    読み方:きょうしゅくのいたり
    【例】こんなに丁寧に対応いただき、恐縮の至りです。
  • 誠に恐縮
    【例】誠に恐縮でございますが、少々お時間をいただけますでしょうか?
  • この上なく恐縮
    【例】この上なく恐縮しておりますが、ご検討いただければ幸いです。
  • ひとかたならぬ恐縮
    【例】そのようなご配慮をいただき、ひとかたならぬ恐縮を感じております。

「恐縮」の類語・言い換え表現

「恐縮」という表現は便利ですが、言い換えたほうが良い場合もあります。また、多用しすぎを回避するためにも、別の表現をいくつか覚えておくと便利です。

ここでは、「恐縮」と同じまたは似た意味を持つ類語や言い換え表現を紹介します。

感謝を表す言い換え表現

  • ありがたく思います
    ・相手の行動に対する深い感謝を表す。
    【例】このような機会をいただき、大変ありがたく思います
  • ありがたい
    ・相手の助けや配慮に対する感謝を表す。よりカジュアルな感謝の表現
    【例】ご親切にありがとうございます。本当にありがたいです。
  • お世話になります
    ・既に関係がある相手の支援や助けに対する感謝を表す。ビジネス関係でよく用いられる
    【例】いつもお世話になります。本当に感謝しております。
  • 痛み入ります
    読み方:いたみいります
    ・相手の特別な配慮や助けに対して深く感謝を示す、非常に丁寧な表現。
    【例】ご配慮いただき、深く痛み入ります
  • 恐悦至極に存じます
    読み方:きょうえつしごくにぞんじます
    ・自分が非常に光栄に思っていることを表す。感謝と喜びの両方を示す際に使う。
    【例】ご指名いただき、恐悦至極に存じます

敬意や尊敬を表す言い換え表現

  • 恐れ入ります
    ・相手の行為や言葉に対して深い敬意や感謝を表す。特に相手の好意や助けに対して使う。現代のビジネスシーンや日常会話で広く用いられている。
    【例】そのようなご厚意をいただき、恐れ入ります
  • おそれいります
    ・「恐れ入ります」と同様に敬意や感謝を表す表現だが、若干の格式を帯びた、やや古風なニュアンスを持つ。
    【例】お忙しいところをおそれいりますが、ご対応いただけますか?
  • 恐れ多いです
    ・相手を非常に尊敬していることを表す。特に立場の高い人や尊敬する人に対して使う。
    【例】そのような大役を仰せつかり、恐れ多いです。

謝罪や申し訳なさを表す言い換え表現

  • 申し訳ありません
    ・過ちや不手際に対する直接的な謝罪を表す。
    【例】遅れてしまい、申し訳ありません
  • お手数をおかけして
    ・相手に手間をかけたことに対する謝罪を表す。謝罪する際に手間をかけさせたことを強調する。
    【例】お手数をおかけしてしまい、申し訳ございません。
  • ご迷惑をおかけして
    ・相手に迷惑をかけたことに対する謝罪を表す。特に迷惑をかけたことを強調する際に使う。
    【例】ご迷惑をおかけして、大変申し訳なく思っております。
  • 心苦しい
    ・相手に負担をかけることへの申し訳なさを表す。謝罪と同時に、自分の心情を伝える。
    【例】このようなお願いをして、心苦しいのですが..
  • 汗顔の至りです
    読み方:かんがんのいたりです
    ・自分の不甲斐なさや恥ずかしさを表す。
    【例】私の初歩的なミスが多く、汗顔の至りです。

謙虚な断りや提案を表す言い換え表現

  • 失礼ですが
    ・何かを始める前に謝罪や断りの意を示す。謙虚な姿勢を示しつつ、要件を伝える際に使う。
    【例】失礼ですが、もう少し詳細を教えていただけますか?
  • 僭越ながら
    読み方:せんえつながら
    ・自分の立場が低いことを認識しながら意見を述べる。
    【例】僭越ながら、先生のご著書について、私なりの感想をお伝えしたいと思います。
  • あいにくですが
    ・残念ながらという意味で、自分の意向や状況が相手の期待に沿わない場合に使われる。謙虚かつ丁寧に断る際や、望ましくない事態を伝える際に用いる。特にビジネスシーンやフォーマルな場面で、相手に不快感を与えずに柔らかく断る必要がある場合に適している。
    【例】あいにくですが、その日は都合が悪く...
  • 重ね重ね
    読み方:かさねがさね
    ・同じことを何度もお願いしたり、感謝を表したりする際に使用する表現。何度も繰り返し述べることに対する謙虚さや申し訳なさを示し、相手への敬意を保ちながら依頼や感謝を伝える際に用いる。
    【例】重ね重ねのお願いで恐れ入りますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

まとめ

  • 「恐縮」の読み方は「きょうしゅく」
  • 「恐縮」は他人に対して感謝や謙虚さを表したり、相手に軽い迷惑をかけて「申し訳ない」と感じたりしたときに使う
  • 謝罪のシーンで「恐縮」は不十分。謝罪の際は「すみません」「申し訳ございません」など、明確に謝罪の意を示す言葉を選ぶこと
  • 相手との関係や状況に応じて、適切なレベルの敬語を選ぶこと(二重表現に注意)
  • 「恐縮」を多用しすぎないように注意
  • 程度を表す言葉を付け加えることで、感謝や申し訳なさの度合いをさまざまな強さで表すことができる(例:大変恐縮です。恐縮至極でございます。)
  • 「恐縮」という表現だけでなく、別の表現もいくつか覚えておくのがおすすめ(例:恐れ入ります。僭越ながら~。)

本記事では「恐縮」の意味、使い方、由来に加えて、さまざまなシーンでの使用例や注意点を紹介しました。

日本では謙虚さが美徳とされる文化があり、「恐縮です」「恐縮ですが」は日常的な礼儀表現として便利なフレーズになっています。そのため、なかにはビジネスシーンで口癖のように多用している方もいるのではないでしょうか。

「普段、無意識に使っていた」と感じるのであれば、この機会に意味を理解し、使い分けることを心がけましょう。また、類似の表現をいくつか学び、言葉のバリエーションを増やすこともおすすめします。

一方で、これまでこの表現をあまり使ってこなかった方は、例文から使いやすいと思うフレーズや、よく遭遇するシチュエーションに合う表現を選んでみると良いでしょう。これらのフレーズを日常的に使うことで、徐々に習慣化し、自然に使えるようになるはずです。

この記事を参考に、適切な言葉選びでより円滑なコミュニケーションを心掛けていきましょう。


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