「人手が不足している」「中長期的に働ける人材を求めている」といった理由で、未経験者を積極的に採用している業界があります。たとえば、建設業の場合、若年層が特に不足していることから、未経験者の採用にも積極的な傾向にあるのです。

また、製造業に関しても業界全体で人手不足が課題となっていることから、未経験者の転職ハードルは低めだとされています。製造業の仕事では、作業工程がマニュアル化されている場合が多く、未経験でも仕事に取り組みやすいでしょう。

また、異職種・異業種の経験やスキルを、転職先で活かすことを期待して採用してもらえるケースもあります。未経験から異業種転職を目指すなら、未経験歓迎の業界や異業種での経験がアピールポイントになる業種を選んでみてください。

未経験で転職するうえで、業界の将来性があるかもしっかりとチェックしておきたいところです。特に、市場規模が拡大しつつある業界であれば、中長期的に安定して働けることが期待できます。

たとえば、IT業界はサイバーセキュリティやサプライチェーンに関するシステム導入の活発化により、市場規模は拡大傾向にあります。よって、IT業界は将来性のある業界といえるでしょう。

気になっている業界があれば、過去の市場規模の推移を確認してみるのもおすすめです。未経験から転職する際は、将来性のある業界かどうかも視野に入れましょう。

ホワイト業界とは、競合が少なく、生産性・利益率の高い業界のことを指します。具体的な特徴としては、以下の通りです。

ホワイト業界では、労働環境が整っている傾向にあります。働きやすさを重視した転職を目的としているなら、ホワイト業界かどうかを確認しておくことが重要です。

これらのホワイト業界の特徴にあてはまれば、未経験からの転職でも働きやすい業界であることが期待できるでしょう。

年収の高さにこだわりたい場合は、年収相場の高い業界であるかを調べておくことが重要です。年収が比較的高い業界として、コンサルティング業界が挙げられます。

たとえば、IT業界のエンジニアの平均年収は557.6万円であるのに対し、ITコンサルタントの平均年収は684.9万円となっています。前職で磨いたスキルを活かした異業種転職のため、転職の成功率がアップするうえに収入アップが目指せるでしょう。

このように自身の強みやスキルを洗い出したうえで、適切な業界を選定すれば、未経験であっても高年収を狙えます。

IT業界は、AIやIoT、クラウドといった技術を活用したサービスを提供する業界です。未経験でも転職しやすい理由は、技術革新にともないIT人材のニーズが高まっている一方、現状では必要な人材の確保が間に合っていないためです。

経済産業省の調査によると、2030年には最低でも41万人ものIT人材不足に見舞われると予想されているほどなのです。業界の動向から、採用したい企業が多く未経験からでも挑戦しやすいといえます。

IT業界の具体的な職種として、以下が挙げられます。

IT業界は未経験からでも挑戦可能ですが、長期的に働くには専門スキルや知識が必要です。入社前の学習や転職後のスキルアップで、専門性を高めるよう意識することが重要といえます。

運輸・配送業界は、食品や日用雑貨、大型貨物などを運ぶ物流サービスを中心とした業界です。未経験者が運輸・配送業界で歓迎されている理由として、近年の宅配需要の増加による人手不足が挙げられます。

また、2024年4月1日より、働き方改革にともなう時間外労働の上限規制が運送業界で適用されたことも、人材確保に力を入れている背景といえるでしょう。

運輸・配送業界の具体的な職種として、以下が挙げられます。

配送ドライバーやトラック運転手として働くなら、自動車運転に関する免許の取得が必須です。ただし、自転車で配送する「メッセンジャー」など免許が不要の職種も選べます。

製造業界は、自動車や電気機器などに関する素材の加工、組立を行い、製品販売まで手がける業界を指します。

製造業における就業者が減少傾向にあることに加えて、加工・組立・検査などは基本的に同じ作業の繰り返しのため、未経験からでも転職しやすい業界です。

特に将来性が期待できるのは、各業界におけるDX推進に不可欠な半導体や電子部品の製造を行っている企業です。

製造業界の具体的な職種として、以下が挙げられます。

製造スタッフやライン作業員は基本的に資格は不要ですが、溶接スタッフとして働く場合は「アーク溶接作業者」などの資格を取得する必要があります。

介護・福祉業界は、日常生活での支援が必要な高齢者や障害を持つ方に対し、心身の状況に応じた支援サービスを提供する業界です。国内の高齢化にともない、介護・福祉サービスの需要は高まっている一方、同サービスの担い手は不足している状況です。

そのため、意欲があれば業界未経験でも転職できる可能性は十分にあります。介護・福祉業界の具体的な職種として、以下が挙げられます。

なお、介護の仕事は、おもに家事に関するサービスを行う「生活援助」と、利用者の排泄介助や入浴介助などを行なう「身体介護」に大別されます。介護職員初任者研修などの資格がない場合は、生活援助の業務を中心に取り組むことが一般的です。

不動産業界では、土地や建物などの不動産に関する開発・販売・流通・管理といった業務に取り組んでいます。不動産業界のなかでも、不動産仲介業は徐々に仕事を覚えていけるため、未経験者でも転職しやすいでしょう。

一方、不動産販売業などは一定の経験が求められるケースもあるので、求人をしっかりと確認しておきたいところです。

不動産業界の具体的な職種として、営業職や事務職などが挙げられます。別の業界で培ったスキルを活かせる職種で転職活動を行うことで、採用活動が円滑に進む可能性が高まるでしょう。

建設業界は、住宅やビルなどを建てる「建築」、道路やトンネルなどのインフラ整備を担う「土木」に関する業務に取り組むことが特徴です。人材の高齢化にともなって若手人材のニーズが高まっているため、未経験者でも転職しやすくなっています。

特に、工事現場作業員として働く場合は、特別な資格やスキルは問われないので、未経験者がチャレンジしやすい職種といえるでしょう。

建設業界の具体的な職種として、以下が挙げられます。

なお、近年は建設従事者の能力が適切に評価される「建設キャリアアップシステム（CCUS）」という仕組みも普及しており、安定的に働ける環境が整いつつあるのも魅力のひとつです。

食品業界とは、加工食品や清涼飲料水、食品原料などを製造・販売している業界を指します。食品業界は、製造・販売への設備投資に膨大なコストと時間がかかり参入障壁が高いため、ホワイト企業が多い傾向にあるのです。

他社との競争が激化しづらい分、経営が安定しており、労働環境が整備されているケースが多くなっています。

食品業界の具体的な職種として、以下が挙げられます。

たとえば、食品の製造スタッフとして働く場合、工程ごとにマニュアルが準備されていることが多いので、未経験の方でも働きやすいでしょう。

化学業界は、製造業のなかで「化学工業」を担う業界です。化学工業では、石油製品や医薬品、ゴム製品などに関する中間材料や、最終製品を製造します。

化学業界に属する企業は、BtoB取引をメインとする企業が多く、安定的な企業運営を実現している傾向にあります。そのため、給与設定は高めで、福利厚生も充実しているケースが多いでしょう。

化学業界の具体的な職種は以下のとおりです。

未経験で化学業界への転職を目指す際は、前職で培ったコミュニケーションスキルや、業務の効率化に貢献した実績などが特に求められます。前職での経験を振り返り、アピールポイントになるか確認しておきましょう。

医薬品業界は、医薬品の研究開発や販売を手がける業界です。医薬品業界でホワイト企業が多い理由として、新規参入のコストと時間がかかり、競合他社が少ない点が挙げられます。

そのため、利益率が安定しており、働きやすい労働環境が整備されている職場も多いです。医薬品業界の具体的な職種として、以下が挙げられます。

上記のうち、薬剤師や登録販売者として働くには資格が必要ですが、調剤事務は資格がなくても働くことが可能です。専門性の高い業界のため、資格や事前知識が必要かどうか事前にチェックしておくとよいでしょう。

情報・通信業界とは、電話会社やケーブルテレビなどの「通信業界」と、ネットワーク回線事業者が属する「インターネット業界」の2つをまとめた総称です。

厚生労働省の資料によると、令和5年における情報・通信業界の平均年収は605.4万円です。全産業の平均年収が506.9万円なので、約100万円も高いという結果になっています。

高年収になりやすい理由として、情報・通信業界は参入障壁が高く、経営の安定性も高いことが挙げられます。

情報・通信業界の具体的な職種は以下のとおりです。

情報・通信業界のなかでも、特に子会社や関連会社は未経験者でも転職しやすいでしょう。

金融業界の業種には銀行や証券会社、保険会社などが含まれていることが特徴で、いずれもお金に関する事業を展開しています。

厚生労働省の資料によると、令和5年における金融業界の平均年収は659.2万円です。全産業の平均年収が506.9万円なので、平均年収が150万円以上も高いことがわかります。

利益の安定性が高い企業も多いため、福利厚生の充実も期待できるでしょう。金融業界の具体的な職種として、以下が挙げられます。

保険領域の営業職は、未経験者でも転職しやすいでしょう。歩合給を採用している場合は、実力に応じた給与アップも目指せます。営業職に関するスキルを持っている方は、狙い目といえそうです。

商社業界とは、他企業で製作された製品・サービスを仲介販売する業界のことです。厚生労働省の調査によると、商社業界における営業職の平均年収は579.5万円とわかりました。

前述のとおり、全産業の平均年収は506.9万円のため70万円ほど上回っており、高年収が狙えそうです。

商社業界の具体的な職種として、以下が挙げられます。

海外と取引する商社も多いため、貿易事務などで働く場合は英語力を活かせるでしょう。

コンサルティング業界は、広報や経営、ITなどの領域で企業が抱えている課題の解決を支援する業界です。業界に従事する職種としては、主にコンサルタントが挙げられます。厚生労働省の調べによると、コンサルタントの種類別の平均年収は以下のとおりです。

上記のとおり、コンサルタントのなかでも平均年収が高いのは経営コンサルタントです。全産業の平均年収506.9万円と比べると、270万円ほども高い平均年収となっています。

なお、コンサルタント業界への未経験者の転職は、第二新卒から30代の年齢層が多い傾向となっています。公認会計士の資格やビジネスレベルの英語力を備えていると、転職活動で有利になりやすいでしょう。

販売職は、家電量販店や商業施設などで商品を販売する職種です。未経験者でも転職しやすい理由は、業務内容がマニュアル化されていることが多く、初めてでも業務に取り組みやすいためです。

必須資格はないものの、商品知識や接客マナーを身につけていることを証明できる「販売士」などの資格を持っていると、採用される確率はアップするでしょう。

なお、販売職に向いているのは、基本的なコミュニケーション力や傾聴力、商品の提案力などのスキルを持っている方です。これまでの経験をもとに活かせるスキルがあれば、転職先の職種として候補にしてみてはいかがでしょうか。

営業職は、顧客の課題を解決に導けるような商品・サービスを提案、販売する職種です。

未経験でも転職しやすい理由として、多くの業界で営業職が必要なことや、働きながら成長することを念頭に置いている企業が多いことが挙げられます。

顧客のニーズに寄り添った提案ができるコミュニケーション力がある方や、掲げた目標に向かって邁進する成長意欲がある方なら、未経験でも採用してもらいやすいでしょう。

事務職は、書類の作成・処理や、データ入力などの仕事を担うことが特徴です。特別な資格は不要なため、未経験の方でも転職を目指せる職種といえます。

デスクワークが中心の職種であり、WordやExcelなどのソフトを扱える基本的なパソコンスキルを備えている方が採用されやすいです。また、業務内容は多岐にわたることから、臨機応変な対応力を備えていると働きやすいでしょう。

20代の未経験転職ではポテンシャル採用が狙いやすく、転職のハードルは低めといえます。ただし、20代後半になるとコミュニケーションスキルや課題設定スキルなど、業種を問わずに活用できる「ポータブルスキル」が求められる傾向があることを留意しておきましょう。

20代は社会人経験が浅いため、第2新卒と同じように扱われることも。面接では入社後のビジョンを明確に伝えることが求められます。また、将来性への期待に加えて、リーダーとしての素質も求められやすいです。

これまでの経験を踏まえて、発揮できるポータブルスキルはないか、一度洗い出してみましょう。

30代で未経験転職する際は、20代のときよりもハードルがややアップします。なぜなら、30代ではポテンシャルの有無よりも、即戦力となる知識・スキルを持っていることが求められるためです。

また、30代ではマネジメントスキルやこれまで培った汎用的なスキルも重視されます。自身のスキルや経験を、転職先でどのように活かせるのか伝えることを意識しましょう。

40代では、未経験の業界・職種への転職難易度が高まる傾向にあります。そのため、「転職して新たな環境にチャレンジしたい」と考える場合も、同業種あるいは同職種での転職を狙うほうが採用に至りやすいでしょう。

また、40代は30代よりもさらに高いレベルのマネジメントスキルや経験を求められやすくなります。企業が求める人物像を把握したうえで、的確にアピールすることが重要です。

転職する際は、キャリアアップやキャリアチェンジといった転職の目的を明確化させることが重要です。たとえば、キャリアチェンジが目的であれば、「新たなスキルを身につけて新しい職種で働きたい」といった目的を設定できます。

あわせて、給与や業務内容など、転職先に求める条件を2～3個ほどに絞って優先順位をつけておくことも大切です。あらかじめ転職の条件を決めておけば、数ある求人のなかから興味を引くものをスムーズに探せるうえ、転職後のミスマッチも防げるでしょう。

前述のとおり、20代の未経験転職では、ポテンシャル採用してもらえる可能性が高いため、仕事に対する意欲や持ち前のポータブルスキルなどを積極的にアピールすることが効果的です。

一方、30代以降は即戦力を求められることが多いため、これまでの仕事で培ったスキルや実績をアピールする必要があります。たとえば、売上やコスト削減幅のような具体的な数字や、社内外での表彰歴などを盛り込んで伝えるとよいでしょう。

企業側が求める情報を的確に伝えられるよう、アピールポイントをまとめておくと採用活動がスムーズに運ぶ可能性が高まります。

企業が求める人物像とマッチしている人材であることをアピールするためにも、面接対策を徹底することが重要です。面接では「転職理由」についての質問がよく聞かれます。

この質問へ回答する際は、転職を決意した具体的な理由を約2割、転職先で成し遂げたい目標を約8割盛り込むとよいでしょう。

また、「志望動機」について質問されることも一般的です。この質問へ回答する際は、企業の仕事内容や理念と、自身の経歴の接点を探してアピールするのがおすすめです。

求人サイトを活用すれば、条件検索から未経験者に適した転職先を効率的に見つけられるので仕事探しの方法としておすすめです。正社員・契約社員の転職・求人情報を掲載している「バイトルNEXT」なら、幅広い職種から未経験でも挑戦しやすい求人をスムーズに探せます。

また、自身の持ち味を設定して仕事を探したり、働きたい企業の社風を設定して仕事を探したりできるのも、バイトルNEXTならではの魅力です。さまざまな条件での求人探しができるので、ぜひ自分に合った仕事を探してみてください。