アメリカのコンサルティング会社「マッキンゼー・アンド・カンパニー」では、1996年～2012年生まれの人をZ世代と定義しています。英語圏では「ジェネレーションZ（Generation Z）」と呼ばれていることから、「Z世代」という呼称になりました。

Z世代は一般的な傾向として、コストパフォーマンスやタイムパフォーマンスを重視し、社会的な意義にもこだわる人が多いといわれています。インターネットやデジタル機器に囲まれて育ったため、スマートフォンやSNSを自然に使いこなせる方が多いのも特徴です。

Z世代は少子高齢化や終身雇用の崩壊、SNSを通じたデジタルコミュニケーションの増加など、日本社会の大きな変化とともに成長してきました。そのため、ほかの世代と比べて価値観や仕事観に大きなギャップがあると考えられています。

Z世代のひとつ前には「Y世代」があります。明確な定義はないものの、一般的には1980年代前半～1990年代前半に生まれた人を指します。2024年時点では、29～44歳くらいの年齢層にあたります。

Y世代はデジタルパイオニア世代として、若い頃にインターネットやデジタル機器が普及し始めた時期。スマートフォンやSNSを使いこなせる一方で、それ以前に流行したテレビや雑誌といったアナログな情報源にも慣れ親しんでいるのが特徴です。

X世代もY世代と同様、明確な定義はありませんが、一般的には1960年代半ば～1970年代後半に生まれた人を指しており、2024年時点で45～59歳程度の年齢層にあたります。

英語圏では「ジェネレーションX（Generation X）」と呼ばれ、Y世代・Z世代の名称の由来になっています。

X世代はZ世代の親世代で、幼少期に高度経済成長期（1955～1973年）やバブル期（1986～1991年） を経験している世代です。テレビや雑誌をおもな情報源として育ちましたが、現在ではインターネットやスマートフォンを活用している方も少なくありません。

デジタルネイティブとは、デジタル機器、インターネット環境が常に身近にあった状態で育ってきた人を指します。

Z世代は、パソコン・スマートフォン・タブレットの使用や、インターネットでの検索が当たり前であり、テクノロジーへの高い親和性を持っている傾向にあります。

また、SNSの運用やWebサイトでの情報収集が得意な人も多く、このスキルはビジネス面でも役に立ちます。例えば、公式SNSアカウントやオウンドメディアを活用したデジタルマーケティングを担当する際は、スムーズに業務を習得できる人が多いでしょう。

また、Z世代は、テクノロジーの変化・進化に対する順応性も高い点も特徴です。他世代に比べると、新しいシステムやツールにも難なく対応できるでしょう。

ネットリテラシーとは、インターネット上にあふれる情報の真偽や精度を正しく理解し、その情報を適切に判断・運用できる能力のことです。

Z世代は子どもの頃からスマートフォンやSNSを活用している人が多いため、他世代と比べるとデジタル機器をスムーズに使いこなせるだけではなく、インターネット上でのプライバシー管理やセキュリティ意識が高いとも言われています。

Z世代全体に共通するものではなく、個人によってスキルや意識に差があることも留意すべき点ではありますが、ひとつの特徴・傾向として言えるポイントです。

X（旧Twitter）やInstagramといったSNS、あるいはLINEやSNSのDMなどのメッセージアプリを活用し、オンラインで自分の意見を発信することに慣れているのも特徴です。世代や国籍を問わず、インターネット上で他者と交流するのも抵抗なく行えるでしょう。

また、インターネット上でどのような表現が注目されやすいのかといったコツを自然に習得している傾向にあります。YouTubeやTikTokなど動画を通したコミュニケーションも活発に行っているため、動画編集に慣れている方も少なくありません。

インターネットでの情報収集やコミュニケーションを通じ、さまざまな価値観に触れやすいのもZ世代の特徴です。人種や環境に関する社会問題への関心が高く、学校でもLGBTQやSDGsに関する教育を受けている場合が多いため、他世代より多様性を重んじる傾向にあります。

自分と価値観が異なる人を受け入れると同時に、自分らしさを重視する傾向にあります。自分の個性を表現しながらも、他者を尊重したコミュニケーションが得意なので、仕事でも柔軟な対応ができるでしょう。

Z世代は仕事だけの人生ではなく、プライベートも充実させたいと考える傾向にあります。仕事を決める際には、「残業は少ないか」「有給休暇を取得しやすいか」といった点にこだわり、出世よりワークライフバランスを重視する方が多いようです。

家庭や趣味との両立を図れるような条件を探し、健康的に働きたいと思うのがこの世代の特徴でしょう。

Z世代は、コストパフォーマンスやタイムパフォーマンスを重視する傾向があるため、勤務時間内にきちんと仕事を終えるなど、積極的に業務の効率化を進める傾向があります。

無駄なミーティングや非効率的な作業手順を嫌い、デジタル化やデータの管理方法に関する判断基準もシビアです。古いシステムやツールを使っていたり、ペーパーレス化が進んでいなかったりすると、企業に対して不安や疑問を感じることもあるでしょう。

幼いころに東日本大震災や同時多発テロ事件などが起こった時代を生きているZ世代は、仕事から社会に対する意義や貢献を見出す人が多い傾向にあると言われています。

環境やSDGｓへの意識も高く、地球にやさしい配慮した資材を活用したり、ペーパーレス化を図った企業を好んだりするようです。社会への貢献や環境への配慮といったキーワードで仕事を探す人もいるかもしれません。

Z世代は、多くの選択肢が用意された環境で育ってきたため、仕事でも1つの職場にこだわらず、転職をためらわない傾向があります。転職して幅広いスキルや経験を身につけたいという考え方をするのも、この世代の特徴です。

また、収入やスキルの向上を目指して、ダブルワークを希望する方も多くなっています。働き方も多様性を求めているといえるでしょう。

Z世代はSNSに慣れ親しんでいるため、職場でも周囲からの承認を求める傾向があります。上司や同僚から称賛されたり、誰かに頼られたりすることに喜びを感じやすく、仕事のモチベーションにもよい影響を与えているかもしれません。

しかし、業務上のミスを指摘されたり、仕事ぶりへの注意を受けたりすると、過度に落ち込むこともあります。周囲の評価を気にするあまり保守的になってしまうこともあるでしょう。

Z世代の特徴として、「失われた30年」という経済的に低成長の時代を生きてきたことが挙げられます。冒険やリスクよりも安定や堅実を取る傾向にあり、全体的に何かに挑もうとする方が少ないといえるでしょう。

また、SNSでは「炎上」や「叩き」を頻繁に目にしてきた世代です。そのためか、失敗に対する恐怖心が必要以上に植え付けられたことも要因といえそうです。

コストパフォーマンス・タイムパフォーマンスを重視するZ世代は、とにかく無駄を排除する傾向にあります。仕事の場合も、決められた範囲の業務をいかに効率よくこなしてプライベートを充実させるか考える方が多いでしょう。

その考え自体は問題ないのですが、いわれたことしかできない人材と評価されると、何年経っても昇給も昇格もできない可能性があります。

自分の仕事が終わったら「何かできることはありませんか？」と先輩社員に聞いたり自分で仕事を見つけたりする姿勢を見せることで、評価があがるうえに社内でも働きやすくなるでしょう。

ワークライフバランスを重視したい人は、勤務時間をある程度自由に設定できるフレックス制度や、育児や介護との両立がしやすい時短勤務を導入している職場がおすすめです。自分のライフスタイルに合わせて働けるため、プライベートの時間も確保しやすくなります。

また、リモートワークに必要な環境が整っている職場なら、在宅勤務ができるかどうかも選択肢の一つです。通勤時間がなくなる分、時間的な余裕が生まれるでしょう。

デジタルネイティブの強みを活かすためには、以下のようなシステムやツールを積極的に導入している職場を選びましょう。テクノロジーを最大限に活用している企業であれば、業務の効率化も進めやすくなるはずです。

また、X（旧Twitter）やinstagramなどのSNSツールを業務で使用している企業であれば、Z世代の強みを活かせるかもしれません。SNSマーケティングに興味がある方は、ぜひ探してみてください。

企業の評価制度は大きく分けると、以下の3種類があります。

自分の努力がダイレクトに反映される公平性のある評価を求めるなら、成果主義・能力主義の職場がおすすめです。ただし、後から入ってきた後輩に追い抜かれる可能性もある点も考慮しておきましょう。

また、定期面談などのフィードバックの制度が整っているかもチェックしておくとよいです。自分の意見が発信できる場所がなければ、正当な評価が受けられない恐れもあります。

Z世代はインターネットやデジタル機器に親しんで育ったため、IT系の職種に適性を持つ人が多いとされています。ITエンジニアにはさまざまな職種があり、以下のように自分に合った分野を見つけやすいのが特徴です。

ITエンジニアは専門知識が必要な職種であるものの、文系出身の方も多く活躍しています。

現代社会におけるIT化の進展に伴い、IT系職種のニーズは高まっており、特に人材不足が指摘されている分野でもあります。そのため、未経験者でも学習やスキル習得によって多くのチャンスが得られる可能性が高い職種です。

日頃から動画の撮影・編集や動画コミュニケーションに慣れているなら、その経験やスキルを活かせる動画クリエイターもおすすめです。

動画クリエイターには、制作プロデューサーやカメラマン、編集者といった職種があり、これらを兼業するケースも多いため、さまざまな仕事に携われます。また、将来的にはフリーランスとして独立する道もあります。

自己発信力を活かしたいなら、商社やメーカーの営業職もおすすめです。この仕事では、顧客や取引先に対して商品・サービスの魅力を伝えたり、契約内容を説明したりすることが求められます。雰囲気にのまれず自分の意見をしっかり伝えられる人に適しているでしょう。

営業は、さまざまな仕事の基礎となる職種ともいえます。たとえば、商品企画をするにしても現場の声を知っているほうがより消費者に刺さる企画を考えられるでしょう。まだやりたいことが固まっていない方は、まずは営業で地盤固めをするのもおすすめです。

保育士は、保護者から感謝されたり、子どもたちの成長を見ることで大きなやりがいを感じられたりする職種です。そのため、仕事に意義を求めるZ世代にも向いています。

保育業界は人手不足に陥っているため、比較的採用されやすい点もメリットでしょう。ただし、その陰には労働環境の悪化などが挙げられるので、ワークライフバランスを重視する方は募集要項や保育園の評判を事前にチェックしておいてください。