2024.12.03

インバウンドとは?観光業界との関係性やインバウンド施策も解説

インバウンドとは?観光業界との関係性やインバウンド施策も解説

近年、各メディアで「インバウンド」という言葉をたびたび見聞きします。

「言葉の意味を詳しく知りたい」「さまざまなシーンで登場するが、どういう意味なの?」など、疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。

インバウンドは「外から内へ入ってくる」という意味で、特に観光業界で「訪日旅行」や「訪日外国人」を指す言葉として使われています。ただし、使用する業界によって意味が変わる場合があるため、使用の際は注意が必要です。

そこで本記事では、インバウンドの概要と業界別の意味を解説。さらに観光業界におけるインバウンドの歴史や施策についてもご紹介します。インバウンドの意味や観光業界との関係性に対する理解が深まり、日常生活やこれからの仕事選びでも役立つ知識になるはず。ぜひ最後までお読みください。

インバウンドとは?

インバウンドは、日本語に訳すと「外から内へ入ってくる」「内向きの」という意味を示す言葉のこと。観光業界でよく登場する言葉であり、おもに「訪日旅行」「訪日外国人」を指して使われています。

ただし、他の業界でも異なる意味合いで使われているため、観光業界特有の用語ではありません。

【対義語】アウトバウンドとは?

インバウンドの対義語で「アウトバウンド」もよく使われます。アウトバウンドは日本語に訳すと「内から外へ出ていく」「外向きの」という意味で、インバウンドと正反対です。

アウトバウンドも観光業界でよく使われますが、この言葉も同様に他の業界では異なる意味を持つことがあるので注意しましょう。

インバウンド・アウトバウンドの代表例

インバウンドの代表例としては、「インバウンドビジネス」が挙げられます。

インバウンドビジネスは、訪日外国人を相手にするビジネス活動全般のこと。観光業界の場合、翻訳ガイド付きのツアーや、日本文化に触れられる茶道体験、陶芸体験を組み込んだツアーなどがあります。

また、飲食店や商業施設でAlipayやWeChatPayといった海外のQRコード決済やクレジットカード決済を導入したり、メニューや案内板を多言語対応にしたりするケースも同様です。

一方、アウトバウンドは、日本から海外への旅行や、海外を旅行する日本人などを表します。観光業界以外としての代表例としては、以下の2つが挙げられます。

  • アウトバウンド営業:企業から顧客に積極的にアプローチする営業手法(テレアポ・飛び込み営業など)
  • アウトバウンド広告:一般大衆や特定のターゲット層に向けた広告・マーケティング施策(YouTube広告・テレビCMなど)

代表例を押さえておけば、両者の違いも理解しやすいでしょう。

【業界別】インバウンド・アウトバウンドの意味

インバウンド・アウトバウンドという言葉は、おもに次のような業界で使われています。

  • 観光業界
  • コールセンター業界
  • マーケティング業界
  • IT業界

そこで、インバウンド・アウトバウンドの意味を業界別にまとめました。

観光業界

先述したように観光業界のインバウンドは、「訪日旅行」「訪日外国人」を意味します。その対義語となるアウトバウンドは、一般的に「日本からの海外旅行」や「日本人海外旅行客」を指して使われる言葉です。

近年、訪日外国人の急激な増加にともない、インバウンドが注目を集めています。それに関連してインバウンドビジネスだけではなく、次のような言葉も各メディアで頻繁に取り上げられています。

  • インバウンド観光:外国人が観光目的で日本へ訪れる旅行、あるいは訪日外国人自身のこと
  • インバウンド市場:インバウンドビジネスが展開されている市場
  • インバウンド施策:訪日旅行および訪日外国人の消費を促すための施策
  • インバウンド消費:訪日外国人による日本国内での消費活動
  • インバウンド需要:訪日外国人の日本国内で展開される商品・サービスに対する需要
  • インバウンド集客:日本に訪れている外国人を集客すること
  • インバウンド効果:訪日外国人が日本経済にもたらしてくれる恩恵や影響

なお、以降は、本記事内で特筆がない限り「インバウンド=観光業界のインバウンド」として解説しています。

コールセンター業界

コールセンター業界の場合、インバウンドは「企業が顧客から問い合わせを受けること」を意味する言葉です。いわゆる「カスタマーサポート」のことであり、具体例として以下のようなケースが挙げられます。

  • 質問・相談・クレームなどの電話に応対する
  • メールやチャットで顧客とメッセージのやり取りを行う
  • 商品・サービスの申し込み(購入・更新など)を受ける

インバウンド業務では、実際に連絡が来るまで「誰が」「いつ」「何のために」問い合わせをするのかわからないため、臨機応変な対応と、要件を聞き出すコミュニケーション能力が必要不可欠です。

一方、アウトバウンドは「企業から顧客にアプローチすること」を意味する言葉です。顧客へのテレアポや商品購入後のアフターフォロー、アンケート調査などが該当します。

マーケティング業界

マーケティング業界では、おもに「インバウンドマーケティング」「アウトバウンドマーケティング」という用語の一環で使われています。

インバウンドマーケティングとは、PR活動によって自社を見つけてもらい、見込み顧客(リード)を育成することで顧客を増やす手法のこと。ホームページ・SNS・ブログ・ホワイトペーパーなどでリードを獲得し、メールマガジンやセミナーなどでリードの関心を高めます。

逆にアウトバウンドマーケティングは、企業からの一方的な情報発信によって顧客を増やす手法です。おもにテレビCMやWeb広告、ダイレクトメールなどが該当します。

IT業界

IT業界のインバウンドは、おもに「インバウンド通信」「インバウンドリンク」のことを指します。

インバウンド通信とは、外から内へ向かってデータを受信することです。逆に内から外へデータを送信することは「アウトバウンド通信」と呼ばれています。

インバウンドリンクは、自社のWebサイトが他のWebサイトからリンクされることです。「被リンク」「バックリンク」とも呼ばれ、インバウンドリンクの数が多いほど、検索エンジンから高評価を獲得しやすい傾向にあります。

逆に自社のWebサイトから他のWebサイトへリンクすることは「アウトバウンドリンク」「発リンク」と呼ばれています。

【観光業界】インバウンドの歴史

インバウンドへの理解を深めるためには、過去の施策や動向を知ることも大切です。

そこで、観光業界におけるインバウンドの歴史を「明治~昭和」「平成」「令和~現在」に分けて解説します。

明治~昭和

インバウンド施策のルーツはかなり古く、明治時代まで遡ります。1893年(明治26年)に日本初の民間インバウンド専門機関「喜賓会」が誕生し、訪日外国人をもてなすための取り組みが行われていました。

1912年(明治45年、大正元年)には、株式会社JTBの前身となる「ジャパンツーリストビューロー」が創設され、鉄道省とともに訪日外国人の誘致をさらに進めていきました。明治中期から大正、昭和へと続いた日本のインバウンド施策は、当時の世界の名だたる観光立国と比べて遜色ありません。

戦後も外資獲得に向けてインバウンドビジネスが活性化しましたが、1970年(昭和45年)の「海外渡航自由化」などの影響を受けた結果、勢いは鈍化。代わりにアウトバウンドが増加し、1971年(昭和46年)にはインバウンドを上回っています。

平成

1971年以降もアウトバウンド市場は拡大し、年号が平成に変わってからも勢いは止まりません。1995年(平成7年)には、アウトバウンドの人数がインバウンドの5倍近くまで増加しています。

参考:日本政府観光局「年別 訪日外客数、出国日本人数の推移(1964年‐2023年)」

この状況を重く見た政府は1996年(平成8年)、2005年(平成17年)までに訪日外国人客数を700万人に増やす「ウェルカムプラン21」を策定。さらに、2003年(平成15年)には「観光立国」を目指す政策を実施し、訪日外国人客数は増加傾向に転じたのです。

想定以上のペースで増加したこともあり、2016年(平成28年)には訪日外国人客数の目標が上方修正されています。

参考:国土交通省「第2節 環境変化に対する国土交通省の取組み」

令和~現在

2020~2021年(令和2~3年)は新型コロナウイルス感染症が世界的に流行し、訪日外国人客数も激減しました。しかし、入国制限の緩和やパンデミックの収束により、少しずつ訪日外国人客数は増加し、2023年(令和4年)にはコロナ禍前の8割程度まで回復しています。

なお、日本政府観光局の「報道発表資料」によれば、2024年(令和5年)8月時点における訪日外国人客数は2,933,300人。前年同月比で36.0%増、2019年同月比で16.4%増を達成しており、7ヵ月連続で同月過去最高の記録を出しています。

参考:日本政府観光局「訪日外客数(2024 年 8 月推計値)」

観光業界の主要なインバウンド施策

観光業界の主要なインバウンド施策としては、以下のような取り組みが挙げられます。

  • 多言語対応
  • 決済サービスの充実化
  • SNSによる情報発信
  • 体験型コンテンツの提供

それぞれ詳細を解説します。

多言語対応

訪日外国人が旅行中に困ることの代表格は、日本人とのコミュニケーションです。言葉がうまく通じないと、訪日外国人に悪い印象を与えてしまいかねません。

そのため、Webサイトやアプリ、施設の案内表示などを多言語化して、やり取りや誘導をスムーズにすることが大切です。また、多言語を話せるスタッフを雇うと、さらに質の高い対応が可能になるでしょう。

顧客層にもよりますが、英語と中国語をカバーしておけば、大半の訪日外国人とコミュニケーションをとることができます。

決済サービスの充実化

インバウンドビジネスを展開するなら、海外のQRコード決済やクレジットカード決済にも対応したいところです。海外は日本と比べると、キャッシュレス決済が普及している傾向にあり、自国と同じようにキャッシュレス決済を行いたい人が多いためです。

日本でもキャッシュレス決済は普及しつつありますが、今も現金払いのみ対応という店舗や施設は少なくありません。このような店舗が決済サービスを充実させれば、訪日外国人を集客しやすくなります。

SNSによる情報発信

訪日外国人の多くは、旅行前の情報収集ツールとしてSNSを活用しています。画像や動画で直感的に情報が得られることと、リアルタイム性に優れていることが理由でしょう。

また、集客する企業から見ると、SNSプラットフォームのターゲティング機能を使い、特定の年齢、性別、居住地、興味関心などを持ったターゲットに訴求しやすいことがメリットです。SNSを積極的に活用すれば、効率よく集客でき、費用対効果を高められます。

体験型コンテンツの提供

近年、観光業界では訪日外国人向けの体験型コンテンツが注目を集めています。例えば以下のようなものがあります。

  • 茶道体験
  • 陶芸ワークショップ
  • 農業体験
  • スポーツツーリズム(スキー・サーフィンなど)
  • 日本酒体験ツアー

体験型コンテンツは地域特有の観光資源を活かしやすく、非日常的な体験をつくりやすいといった強みがあります。

まとめ|インバウンドの意味を一般的な知識として理解しよう

インバウンドはおもに観光業界で登場する言葉ですが、コールセンター業界やIT業界などでも使われています。業界によって言葉の意味が変わるため、まずは業界別の違いを把握したいところです。

インバウンドという言葉の意味を正しく理解して、日常生活や今後のキャリア選択に活かしましょう。

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