大企業と中小企業の違いは?働く上でのメリット・デメリットをわかりやすく解説

大企業と中小企業の違いは?働く上でのメリット・デメリットをわかりやすく解説

ニュースでもよく見かける「大企業」「中小企業」という言葉。
これはどのような基準による言葉なのか、きちんと理解している人は意外に少ないのではないでしょうか。
企業には、資本金の金額や従業員の人数などの規模に応じた特徴があります。
もし自分が働くなら、どちらのタイプの企業が合っているのでしょうか。
大企業、中小企業それぞれのメリット・デメリットが知りたいという人はぜひ参考にしてみてください!

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大企業と中小企業の違い

まず始めに、大企業と中小企業の違いについて解説します。
大企業の定義については、厳密に法律などで定められているものではありません。
ただし、中小企業については、法人税法による定義があります。
そのため、中小企業とされる基準より大きい規模の企業はすべて大企業ということになります。

大企業の定義や特徴について、より詳しく知りたい方は「大企業の定義とは?中小企業との違いや大企業の特徴、働く上での注意点には何がある?」もあわせてご覧ください。

大企業の定義

大企業は多額の資本金を有し、多数の従業員を雇用する大規模な企業、とされています。
ですが、資本金の金額や従業員の人数についての明確な基準はありません。
そのため、中小企業基本法で定義される中小企業より規模が大きい企業が大企業となり、法人税法の視点から、資本金1億円を超えるものについては大企業と考えて良いでしょう。
また、厚生労働省の賃金構造基本統計調査では、常用労働者が1,000人以上を大企業と定められています。
(参考:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」)

中小企業の定義

中小企業の定義については中小企業基本法によって定められています。
そして、資本金の額や常時使用する従業員数についての基準は、以下の表のように業種によって異なります。

業種 中小企業者
資本金 従業員
①製造業・建設業・運輸業
その他の業種(②③④除く)
3億円以下 300人以下
②卸売業 1億円以下 100人以下
③サービス業 5,000万円以下
④小売業 50人以下

小売業とサービス業ではどちらも資本金は5,000万円以下で、従業員の人数の基準も50人ほどの違いです。
しかし、卸売業と製造業・建設業・運輸業等では、資本金の基準が一気に跳ね上がっています。

これは、工場のような大規模な設備投資が必要な製造業などは基準値が高く、比較的設備投資の要らない小売業などは低く設定されているためです。
このように、中小企業については、一言で中小企業と言っても業種によってその規模には大きな差があることがわかります。

日本では中小企業が圧倒的に多い

中小企業・小規模事業者数については、中小企業庁が集計したデータがあります。

  人数 割合
中小企業・小規模事業者 357.8万者 99.7%
うち小規模事業者 304.8万者 84.9%
大企業 1万1,157者 0.3%

(参考:中小企業庁「中小企業・小規模事業者の数(2016年6月時点)の集計結果」)

この中小企業庁の分析によると、2016年では大企業は1万1,157者、中小企業は357.8万者で、圧倒的に数が多いのは中小企業となっています。
企業全体の割合においても、中小企業が99.7%ということから、日本は中小企業が圧倒的に多いことがわかります。
つまり「中小企業に勤めたら負け組」とは決して言い切れないのです。

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働き方に関する大企業と中小企業の違い

ここで、大企業と中小企業それぞれの働き方の違いについての一覧表を作りました。
社会的信用度については、金融機関におけるローン審査の際に加味されることがあります。
ただしこれはあくまでも、以下のような「傾向」にあるというだけで、もちろん例外もあります。
給与が年功序列のため新卒では給与が低めに設定されている大企業や、従業員を大切にしているため福利厚生が充実している中小企業もあります。
社風や転勤の多さなどもケースバイケースであるということは理解しておきましょう。

  大企業 中小企業
給与 平均的に多い 業績に大きく依存する
事業の安定性 安定している 比較的不安定
社会的信用度 高い 低いことがある
仕事のスピード感 決定まで時間がかかる 速い
社風 ドライ アットホーム
福利厚生 充実している 企業ごとでの差が大きい
教育制度 充実している 企業ごとでの差が大きい
出世しやすさ 出世しにくい 出世しやすい
転勤の多さ 多い 少なめ

大企業で働くメリット

大企業で働くメリット

 

誰もが社名を知っている大企業で働きたいと憧れる人は多いでしょう。
そこで、大企業で働くことのメリットについて解説します。
大企業は安定して収入が高く、福利厚生も充実しているため、安心して長く働ける環境が整っていることが多い傾向にあります。

収入が高い傾向がある

大企業では、年齢や勤務年数に応じた賃金テーブルや昇給についての審査基準が明確に設定されていることがほとんどです。
そのため、新卒での基本給が多少低くても、ボーナスの支給や年齢に応じた昇給などが期待できます。
また、給与と合わせて支給される各種手当についても、役職手当のほか、住宅手当や家族手当など充実しています。
このように、手当が充実していることや、ボーナスや昇給といった制度が整っていることから、大企業では給与水準は高い傾向にあります。

社会的信用がある

大企業で働いていれば将来が安泰というイメージはありますが、そもそも大企業は簡単に倒産する恐れも無いことから、社会的な信用があります。
また、ビジネス面においても、企業名そのものにブランド力があり、知名度も高いため、営業や商談が有利に進められることもあります。
プライベート面でも、クレジットカードや住宅ローンの借り入れ審査が有利になるなど。
大企業というネームバリューそのものが自身のステータスとなります。

福利厚生制度が充実している

ほとんどの大企業では、福利厚生制度が充実しています。
企業ごとで制度は異なりますが、企業型確定拠出年金のような年金制度や法定福利のような保険制度以外の法定外福利が多く提供されています。
内容としては、メンタルヘルスのカウンセリングや、家賃補助、食事補助といった働いている本人の生活に関するものから、家族手当や出産お祝い金といった育児支援まであります。
経済的な負担を軽減するほか、プライベートを充実させることで、仕事のパフォーマンスを高められるよう、全面的なサポートを受けることができます。

研修制度が整っている

大企業では研修制度が整っていることも多いです。
新入社員研修に始まり、勤続3年目や5年目の節目には新任管理職研修のような階層別研修などがあります。
段階ごとの研修が多く用意されており、能力向上を会社がサポートしてくれます。
近年では集合研修の代わりに、オンラインで利用できるeラーニングを取り入れている企業もあります。
このように、大企業では就職さえできれば、スキルがない状態からでも、会社からさまざまな支援を受けて学んでスキルアップしていくことができます。

経営が安定している

大企業は経営が安定しています。
バブル崩壊やリーマンショックのような大きな経済情勢の悪化が起こっても、十分な内部留保があるため、経営が多少悪化することはあってもすぐに倒産することはほとんどありません。
中小企業であれば、リストラや倒産の可能性もありますが、大企業であれば、給与や勤務状況にはほとんど影響を受けない、ということもあります。
このように、職場を失いにくいというのは大きなメリットと言えるでしょう。

大企業で働くデメリット

ここまで大企業で働くメリットについて紹介してきました。
給与や手当が多く、社会的信用が高く、福利厚生も充実している、という良いこと尽くめに見える一方、やはりデメリットもいくつかあります。

出世のライバルが多い

大企業は会社の規模が大きいため、必然的に働いている社員の数も多くなります。
つまり、それに比例して、同期や同世代のライバルとなる社員も増える、と言えます。
倒産やリストラなどの危機感が薄いため、自主的に資格も取らずに漫然と過ごしていると、あっという間に優秀なライバルに先を越されたり、多くの社員の中に埋もれてしまう可能性があります。
そのため、大企業勤務では、中小企業より出世は難しい傾向にあります。

転勤が起きる可能性がある

大企業は会社の規模が大きいため、支店などが全国展開していることが多く、全国のさまざまな場所に転勤する可能性があります。
企業によっては転勤を断れる場合もありますが、人間関係や出世に響く恐れもあります。
引越しでは、私生活も含め、生活環境が大きく変化します。
子どもの転校など、自分自身のみならず家族が新しい環境に慣れるまでにも時間がかかります。
そのため、特に家族がいる方は心身共に大きな負担を強いられることになります。

現場の裁量権が小さい

中小企業より大企業の方が、小さな問題にも多くの時間を取られがちです。
これは、大企業では大勢の社員の統率を図るために、社内ルールや業務フローが事細かに決められているケースが多いためです。
ゆえに、現場での裁量権が小さくなるため、現場判断でのイレギュラーな対応は認められづらくなります。
何か問題が起こるたびに、全て上に確認、承認を取る必要があるため、仕事の進捗や対応にも余計な時間がかかるのです。

業務について保守的でチャレンジしにくい

大企業は、長い時間をかけて顧客からの信頼と実績を築いてきた歴史から、従来と異なる変化や考えには慎重になりすぎる傾向があります。
そのため、一つの小さな変化にも各部門・責任者の決済が必要になり、決定・実行を普及するにも多くの時間を要することになります。
このような保守的な社風は「大企業病」とも呼ばれ、問題視されています。
もっとスピーディーでフレキシブルな対応がしたい人にとっては、大企業の慎重で保守的な環境では、働きにくいと感じるでしょう。

中小企業で働くメリット

中小企業で働くメリット

 

大企業で働くことに無条件で憧れる人も多いですが、中小企業で働くという選択も間違いではありません。
中小企業には中小企業ならではの、大企業とは違う良い部分がたくさんあります。
ここからは、中小企業で働くメリットについて紹介していきます。

一人で幅広い業務を担当させてもらえる

中小企業では社員の人数が少ないため、1人で幅広い業務を担当することで、自身のスキルの幅を広げやすいというメリットがあります。
例えば、事務職でも、営業事務、経理、採用人事と、大手企業であれば担当が分かれている業務についても兼任するようなケースもあります。
そのため、若いうちからさまざまなスキル・知識を身につけられるチャンスがあります。
また、個人の意見を通しやすく、与えられる裁量権も大きいので、仕事にもやりがいや手ごたえを感じる事ができます。

出世しやすい

中小企業は企業の規模が小さく、従業員全体の人数も少ないため、ライバルとなる同世代の社員というのがあまりいない環境です。
それに加えて、全体の売上に対する個人の活躍や実績が会社に与える影響は大きくなります。
そのため、企業の業績に目に見えて貢献できることから、個人の功績が評価されやすい傾向にあります。
結果として、企業そのものの発展や事業拡大につながれば、役職がついて、出世したり、昇給したりするため、大企業より出世しやすいと言えます。

経営層と近い距離で仕事ができる

人数が少ない中小企業は、人間関係が密接で、チームワークを大切にする職場が多いことも特徴です。
経営陣に承認を得る手続きもシンプルで、許可も取りやすいため、会社全体の行動が大企業と比べるとスピーディーです。
個人が提案したアイデアもすぐに会議にかけられて、採用されることもあります。
まずはやってみてから考えよう、というチャレンジ精神旺盛な中小企業も多く、経営者との距離も近いことから、間近で経営のノウハウを学ぶこともできるでしょう。

転勤が少ない(無い)

中小企業はそもそも会社の規模が小さいので、複数の支店や事業所がある企業も多くありません。
そのため、引っ越しを伴うような転勤や異動をさせられる可能性は低いでしょう。
一方の大企業はジョブローテーション制度によって、教育や昇進のために異動するというケースもあります。
急な転勤が決まれば、引っ越しで長年住み慣れた土地を離れることになります。
「地元をどうしても離れたくない」という人にとっては、中小企業の方が同じ場所で長く働くことが出来る可能性が高いです。

職場がアットホームな雰囲気

大企業では、社員数が多いため、社員同士のつながりも希薄です。
仕事とプライベートは別物と割り切ったドライな人も多く、人間関係でトラブルを抱えてしまうことも。
一方、中小企業では社員が少ないので、必然的に会社内での社員同士の交流が深まりやすい傾向があります。
そのため、社内の風通しも良く、職場でも和気あいあいとした雰囲気が生まれやすいでしょう。
アットホームな環境で働きたい人には中小企業の方がおすすめです。

中小企業で働くデメリット

ここで、中小企業ならではのデメリットについて解説します。
中小企業には、大企業ではあまりないデメリットが存在します。
勤務時間が長くなる、給与が低い、経営が不安定、など、場合によってはブラック企業にあてはまるようなケースもあります。

労働時間が長くなりやすい

中小企業では限られた人数で仕事を回さなければならないため、1人当たりの業務量が多くなりやすい傾向があります。
仲が良い同僚やチームメンバーも同じような状況にあるため、仕事を代わってもらいづらく、休暇が取りにくいことも。
それは結果的に休暇制度にも影響を及ぼし、休日出勤の振替ができない、有給休暇が消化できないといった不満につながることになります。
このように、業務量と労働人数のバランスが崩れている状況が改善されなければ、労働時間はどうしても長くなり、残業も増えることになります。

年収が低い傾向にある

厚生労働省の調査によると、平成30年における男性の平均年収は、大企業では38万7,000円であるのに対し、中企業は32万1,500円、小企業は29万2,000円です。
女性も同様で大企業27万700円、中企業24万4,400円、小企業22万3,700円となっています。
(参考:厚生労働省「平成30年賃金構造基本統計調査の概況」)
そして、過去数年で比較しても中小企業が大企業の平均月収を超えたことはありません。
給与制度は企業によっても大きく異なるため一概には言えませんが、同じような業務内容でも、中小企業は大企業に比べて平均的な月収は低い傾向にあると言えます。

経営の安定性が心配

経営が安定しにくいことも、中小企業のデメリットのひとつです。
会社の業績を安定して伸ばしていくためには、常に新しい設備や人材を投入していく必要があります。
当然、大企業は資金力も豊富なため、常に投資を行っており、事業も安定しています。
しかし、中小企業は投資に充てる資金が不十分なため、人材を思うように育成することや、設備投資が難しいことも多くなります。
その結果、事業が安定せず売上も下がり続け、あっという間に倒産といったことも少なくないのです。

教育制度が整っていない

近年ではOJT(On the Job Training)体制と呼ばれる育成手法を選ぶ会社も増えてきているため、研修がしっかりしている企業も増えています。
大企業は、採用や社員教育に十分なコストがかけられるため、新卒採用から教育制度までのノウハウが体系的に整っています。
一方、中小企業では教育・研修制度が整っておらず、新入社員は不安を抱えたまま仕事をしなければならないことも珍しくありません。
社員の研修に資金を回せないため、即戦力となる人材を優先して採用する企業が多いのも現状です。

まとめ:大企業と中小企業の違いを理解し、自分の望む企業へ就職しよう!

給与面や知名度、福利厚生での恩恵が大きい大企業で働くことは個人のステータスにもなります。
ですが、大企業で働くことは、決してメリットばかりではありません。
大企業、中小企業で働くことには、それぞれの違いによるメリット、デメリットがあります。
そのため、企業選びで自分が優先したいことが給料なのか、人間関係なのか、スキルアップなのか、明確にすることが大切です。
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今回の記事を踏まえて、ぜひバイトルNEXTで自分にぴったりな企業を見つけてください!

 

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