まず、高卒女性の就職内定率はどのくらいなのか見ていきましょう。文部科学省の調査によると、令和5年3月高等学校卒業予定者の就職内定率は、女子の場合で89.5％です。

また、男女別にみた、令和5年3月高等学校卒業予定者と、令和4年度大学等卒業予定者の就職内定率を以下の表にまとめました。

＜性別・学歴別にみた就職内定率＞

※参考：文部科学省「令和4年度大学等卒業予定者の就職状況調査（4月1日現在）」
※参考：文部科学省「令和5年3月高等学校卒業予定者の就職内定状況（令和4年12月末現在）に関する調査について」

上記の表からわかるとおり、高卒であっても90％近くの就職内定率があることから、大卒・高卒の就職内定率に大きな差はないといえます。

就職を成功させるには、事前にしっかりと準備をして就職活動に臨む必要はありますが、「高卒だから」という理由だけで不利になることはほとんどないと考えられるでしょう。

したがって、負い目を感じることなく積極的に行動することが重要です。

次に、高卒女性の初任給を見ていきましょう。比較のため、性別・学歴別にみた初任給を以下の表にまとめました。

＜性別・学歴別にみた初任給＞

※参考：厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査結果（初任給）の概況：1　学歴別にみた初任給」

厚生労働省が発表している初任給に関するデータによると、令和元年の初任給は高卒女性に比べると高卒男性のほうがわずかに高い傾向にあります。

大卒初任給と高卒初任給を比べると数万円の違いがあり、その差は高卒男女間よりも大きいです。これは大学で学んだ専門知識やスキル、大学卒業資格を企業側が評価しているためと考えられます。

ただし、高卒からすぐに就職した場合、大学卒業後に就職する方と同じ年齢になる頃には給与がアップしているケースも少なくありません。

また、学歴が給与や仕事内容に影響しない仕事を選べば、大卒との差を感じることのない収入を得ることも決して不可能ではないでしょう。

高卒女子の平均給料を知るために、以下の表を見てみましょう。

＜性別・学歴別にみた平均給与＞

※参考：厚生労働省「令和４年賃金構造基本統計調査　結果の概況 学歴別」

上記の表からわかるとおり、厚生労働省の調査によると平均給与は学歴問わず男性のほうが高く、高卒女性の平均給与額はほかより低い傾向にあることがわかります。

ただし、上記の調査はあくまで平均額を算出したものです。仕事の内容や企業の待遇、持っているスキルや実績次第では、平均以上の給与を得られる可能性も十分にあるでしょう。

特に、正社員として雇用されていれば、バイトなどの非正規雇用と異なり昇給やボーナスが見込めます。収入を上げたい場合は、正社員を目指すことも手段の一つです。

また、就職後の評価は学歴よりも実務的なスキル、経験が重視される傾向にあります。早いうちに就職し地道にスキルを高めることで、平均以上に収入を上げることも不可能ではありませんよ。

高卒女性がフリーター・ニートを続けていくと考えられる懸念として、以下の3つが挙げられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

低収入のため、年齢を重ねても生活水準が上がらない

高卒女性がフリーターとして働く場合、若い年齢のうちは新卒で就職した正社員よりも1ヵ月の手取り額が大きくなるケースもあります。

しかし、フリーターは正社員のように昇給することが少なく、賞与もないことが多いです。そのため、何年働いても手取りは大きく変わらない可能性が高いでしょう。

雇用が不安定

業績悪化にともなう人員削減をする場合、最初に解雇されるのはバイトや契約社員といった非正規雇用の従業員です。そのため、来月には解雇されて収入が途絶えてしまうという可能性もゼロではありません。

正社員も会社都合による解雇がまったくないわけではありませんが、失業保険の受給があるように保障がある点でフリーターより雇用における不安要素は少ないでしょう。

社会的信用が低い

前述したように、フリーター・ニートは正社員よりも給与が低く、収入も安定していない傾向にあります。さらには解雇のリスクもあるので、社会的信用は低いと評価されてしまうのです。

そうなると、ローンが組めなかったり、クレジットカードを作れなかったりと、いざというときに支障をきたす恐れがあります。

昨今、少子高齢化が進みつつある影響から、企業は人材確保を目的に積極的な「ポテンシャル採用」に取り組んでいます。そのため、たとえ未経験であっても正社員として働くことは十分可能といえるのです。

ポテンシャル採用に取り組んでいる企業は、おもに20～30代前半当たりを目安に人材を募集している傾向にあります。

30代でもポテンシャル採用を受けられる可能性は高い一方、企業としては育成にかけられる時間が多く将来の戦略にしやすいことから、若ければ若いほど採用は有利になるでしょう。

未経験を含めて正社員を目指すのであれば、少しでも早い就職・転職を目指すことが大切といえるのです。

女性が活躍しやすい社会に変わりつつある

少子高齢化の影響もあり、女性の正社員雇用の促進が進められつつあります。そのため、男女関係なくさまざまな業界・職種の幅広い選択肢から、希望の就職先を比較的選びやすいのが現状です。

また、2022年には「女性活躍推進法」が改訂 され、女性社員の積極採用・管理職への登用など、女性がより働きやすい環境に整える動きが広がっています。たとえば、育児や介護への支援、休職後の復帰サポートなどが挙げられるでしょう。

これらの理由から、高卒女性にとっても働きやすく、活躍しやすい社会になってきている現在が、就職・転職を考えるうえでよいタイミングであるといえるのです。

介護職は、老人ホームやデイケアなどの介護施設、もしくは家庭を訪問し、高齢者の生活を支えるのがおもな仕事です。たとえば、食事や排せつ、入浴などの介助やレクリエーションの実施などが挙げられます。

介護職では、学歴よりコミュニケーション能力や実務能力が重視される傾向にあるため、未経験でも挑戦しやすいのが魅力です。

また、「同性に介護を任せたい」と考える女性の高齢者からの需要も高く、高卒女性が活躍しやすい環境といえるでしょう。資格を取得すればキャリアアップも目指せるため、長期でキャリアを形成したい方にもおすすめですよ。

IT関連職も、高卒女性におすすめの仕事の一つです。たとえば、システムエンジニアやプログラマー、Webデザイナーなど職種は多岐にわたるため、自身の適正や希望に合わせて選べます。

また、IT関連職は学歴ではなく実力主義の傾向が強いため、スキルや実績を積むことで収入アップやキャリアアップを目指しやすいのも魅力といえます。

加えて、リモートワークがしやすい分野のため、ITに興味がある方はもちろん、在宅で仕事がしたい方、ライフスタイルの変化に対応できる仕事がしたい女性にもおすすめです。

事務職はどの業界の企業でも必要な仕事であり、学歴や経験を問わず採用活動を行っている企業が多いです。

仕事内容としては、文書・資料作成、電話対応や来客対応、データ入力、ファイリング、備品管理など、所属部門の幅広いサポート業務を担当します。ただし、サポートをするのがおもな仕事なので成果が目に見えにくく、年収が上がりづらいというデメリットも。

しかし、定時で帰宅しやすく、土日休みで働きやすいことから、特にプライベートと仕事を両立させたいという女性からは人気の職種となっています。また、どの業界でも必要な仕事であるため、興味のある業界を選ぶことも可能です。

ルーティンワークも多いため、細かい作業を正確にコツコツと続けられる方が向いているでしょう。

営業職は、自社の製品やサービスを取引先の企業や顧客に売り込み契約を交わすのがおもな仕事です。

コミュニケーション能力や自社商品の知識が必要な反面、特別な資格は必要ないケースが多いため、未経験でも営業スキルを磨けば活躍できるのが魅力のひとつでしょう。

また、女性ならではの感性を活かせば、顧客の需要や課題を把握し信頼関係が築けると重宝されることも少なくありません。

たとえば、コスメや下着などの女性向け商材は、同性である女性の営業職が活躍しやすい傾向にあるとされています。

飲食店での料理の提供や接客、アパレルやコスメの販売などの接客・販売職も、高卒女性におすすめの仕事といえます。

接客や販売の仕事では、顧客が何を望んでいるのかを正確に把握し、需要に合ったサービスや商品を提供することが求められます。そのためには学歴よりもコミュニケーション能力が重視されるため、学歴を気にせず働ける環境といえるのです。

また、接客・販売職では、店舗や個人の売上といった実績をもとに評価される傾向にあります。そのため、未経験でも成果を出すことで高い評価を受け、キャリアアップを目指すことが可能です。

建設分野に興味があるのなら、施工管理職もおすすめの仕事の一つです。

施工管理職は、おもに現場で工程表をチェックしながら機材や材料、職人の手配をする工程管理や、製品の品質をチェックする品質管理などを行います。また、事故を予防するための環境を整える安全管理も業務内容の一つです。

施工管理の仕事は現場に出る必要があるため体力が必要になる反面、無資格未経験からでも就職しやすい点が魅力といえます。

加えて、働きながら施工管理技士の資格を取ることでキャリアアップも目指せるでしょう。

工場作業員の仕事は、食品や機械の部品などの製造ラインにおいて、食品の加工や部品の組立などを担います。

業務はルーティンワークがメインのため、資格や経験は必要ないほか、黙々と作業をこなすことが苦にならない方におすすめの仕事です。

また、残業が少ない工場や24時間稼働の工場の場合、自身の都合に合わせてシフトを組むこともできるため、ワークライフバランスを重視している方にも適しているといえます。

「警備員は男性が多い」というイメージを持つ方もいるかもしれませんが、警備員も高卒の女性におすすめの仕事です。おもな仕事内容は、オフィスやマンション、商業施設などの警備を行う施設警備や常駐警備業務、イベント会場での交通誘導警備などが該当します。

女性の警備員の需要が高い理由としては、きめ細かな対応により現場のお客様とのコミュニケーションが取りやすい点や、女性専用の設備の見回りができる点などが挙げられます。

未経験から始める場合、一定の期間までは体力が必要となるケースが少なくありません。一方で、責任者へとキャリアアップすれば、ゆくゆくは体を動かさない働き方を実現することも可能でしょう。

正社員としてネイリストになるのも、おすすめの働き方といえます。ネイリストの仕事内容は、お客様の要望に応えてネイルカラーやネイルアート、ネイルケアなどを施すことです。

ネイリストの仕事は、学歴よりも技術力が評価されるのが特徴といえます。そのため、高卒であってもネイルに対する意欲や熱意があれば挑戦できるのが魅力です。

また、独学や通信などでネイルに関する基礎知識を学ぶことで、より技術を向上させることもできます。ネイルアートが好きな方やお客様の喜ぶ顔が見たい方、努力を評価されたいと考える方におすすめの仕事です。

公務員も、高卒の女性におすすめの仕事の一つです。試験に合格し採用となれば、学歴にかかわらず定年まで長く働くことができるため、安定した仕事がしたいと考える方に適しています。

高卒および未経験で目指せる公務員の仕事は、おもに以下の通りです。

ただし、公務員試験のなかには受験条件や年齢制限が設けられているケースがあるため注意が必要です。公務員を目指す場合は、事前に年齢や受験条件について調べておくとよいでしょう。

普通自動車免許は、社用車の運転や荷物の運搬などで欠かせない資格のため、求人の応募条件に含まれているケースも少なくありません。取得しておくことで求人の選択肢がより広がるメリットが期待できるでしょう。

普通自動車運転免許を取得するには、教習所に通い取得する方法と、合宿に参加して取得する方法の2種類に分けられます。できるだけ早く取得したいと考えるのであれば、合宿に参加するのがおすすめです。

介護職員初任者研修は、介護の基礎から応用までを学べる、介護において入門となる資格の一つです。初任者研修を取得していると、さまざまな介護施設・介護関連企業への就職・転職活動を有利に進めやすくなるメリットが期待できます。

介護職員初任者研修に特別な受験資格はなく誰でも受験可能です。資格を取得することで介護職への就職活動を有利に進められるだけでなく、無資格よりも給与アップが期待できる場合がある点も魅力的といえます。

事務職のようにパソコンスキルが必要になる仕事を目指している場合は「マイクロソフトオフィススペシャリスト（MOS）」の取得を検討してみましょう。

MOSはその名のとおり、WordやExcel、PowerPointなどのマイクロソフトオフィスが使えることを証明する民間資格です。取得によりこれらの操作スキルが一定以上あることの証明となるため、就職活動の際にアピールポイントとなります。

また就職後も、マイクロソフトオフィスを使う機会が多い業務内容であれば、資格の知識を活かしてスムーズに作業を進められるメリットも期待できるでしょう。

日商簿記検定は、おもに経理事務の仕事を希望している高卒の女性におすすめの資格です。 企業の経営に関する財務諸表を作成するのに必要な知識やスキルを証明できるため、企業はもちろん、会計事務所などの求人でも有効なアピールポイントとなるでしょう。

日商簿記検定は1～3級まで階級が分かれており、1級が最も難易度が高くなっています。簿記について初めて勉強する場合は、まずは3級の取得から目指してみましょう。

日本化粧品検定はおもに美容関係の職業を目指したい方に適した資格です。資格の取得により、コスメやメイクをはじめサプリメントまで、美容に関するさまざまな化学的な知識を習得できます。

たとえば、化粧品を取り扱うメイクアップアーティストはもちろん、ネイリストやエステティシャンなど、美容に関する幅広い職業で役立つ知識やスキルが身につけられるのが資格取得のメリットです。

3級ならオンラインでの受検もできるほか、1級、2級の試験は併願での受検も可能なため、柔軟に挑戦しやすい資格でもあります。美容関連の仕事に就職したい女性は、資格取得を検討してみましょう。

高卒女性のなかには学歴を気にするあまり、理想の業界・業種にチャレンジしない方もいるでしょう。大学在学中の就職活動、つまり新卒時であれば、学歴が有利に働くのは事実です。

しかし一度社会に出てしまえば、高卒も大卒もあまり大きな違いはないといえます。企業が求めるのは「学歴」ではなく、「能力」や「キャリア」、「人柄」の比重が大きい傾向にあるためです。

仕事において重要なのは、自分の能力を生かして成果を出すことといえます。過度に学歴を気にすることなく、自信をもって就職活動に臨みましょう。

自己分析をして、自分の強みや才能のある分野を明らかにしておくことで、自分にはどのような企業が合うのかがわかります。

強みを生かせる仕事とそうでない仕事とでは、就職後の仕事の生産性やモチベーションが大きく変わってきます。能力や強みに見合わない企業に応募してしまうと、なかなか採用に至らず、就職活動の期間が長くなる恐れも。

理想のキャリアと照らし合わせながら、理想の企業を絞り込んで応募していきましょう。

「キャリアアップしやすい企業・業界かどうか」も、就職を成功させるためには重要なポイントといえます。自身のキャリアが年収や昇進に反映されやすい企業や業界であれば、より満足度の高い働き方の実現にもつながります。

キャリアアップしやすい企業・業界の特徴はさまざまですが、たとえば「専門知識やスキルが重視されること」が挙げられるでしょう。IT業界や建設、販売・接客分野などが該当します。その他、営業も実力やスキルが重視される傾向にあります。

実力を認められキャリアアップを達成するには、就職後の資格取得も含め、専門知識やスキルをしっかり身につけることが大切です。

また、会社によっては資格取得により資格手当が支給されるケースもあるため、キャリアアップだけでなく収入アップを目標にする場合も、スキルの習得は重要といえるでしょう。

収入や働き方を重視して就職先を探す場合は、女性が活躍しやすい業界や企業に注目するのも大切なポイントです。

前述のとおり、たとえば営業職であれば、女性向けの商材や保険などの無形商材のように、女性の適正が高い業界があります。そのほか、女性としての強みを活かしやすい業界としては以下が挙げられます。

また、女性が活躍しやすい企業を探す際は、「えるぼし認定」を参考にするのがおすすめです。えるぼし認定は、女性活躍推進法に基づいた基準を一定以上満たした優良企業を認定する制度のことです。

えるぼし認定企業をはじめ、女性が活躍しやすい企業を選ぶことで、育休が取得しやすいなど、より働きやすい環境でやりがいを感じながら働けるメリットが期待できます。

就職を成功させるためには、企業や業界の選び方に気をつけるだけでなく、履歴書の書き方や面接対策を重視することも重要。ここからは、それぞれのポイントを紹介します。

履歴書の書き方のポイント

原則として、履歴書では経歴などを偽らず、正直に記載することが大切です。嘘の記載だと志望先に発覚した場合、不採用の可能性が高くなるだけでなく、経歴詐称と取られかねないため注意しましょう。

また、志望動機では「この会社に就職したい」という意欲を伝えることが重要です。どの会社でも当てはまるような内容ではなく、志望先の特徴などに特化した内容にできるとベストです。

そして、自己PRでは自分の強みを伝えるのはもちろんですが、その強みを志望先の企業でどのように活かせるのかをセットで伝えられるように考えておきましょう。これも、志望先の業務内容や社風などに特化した内容にするのがおすすめです。

面接のポイント

面接では、「よくある質問」としてどの企業の面接でも共通した内容を聞かれることが少なくありません。事前によくある質問をチェックし回答を考えておくと、当日も慌てずに答えることができるでしょう。

また、高卒女性の需要が高いポテンシャル採用では、意欲の有無が特に重要視されます。そのため、前向きな姿勢を示すという意味でも、入社後の目標や将来的なキャリアなどを具体的に説明できるように考えておくことが大切です。

面接では、履歴書と同様に、自己PRや志望動機を答える場面があります。履歴書に沿った内容でも問題ありませんが、履歴書にはないエピソードを交えるなど、内容をさらに深堀りして具体的に説明できると、アピール力が高まるでしょう。

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