2020.12.16

【税金Q&A】【税理士監修】住民税はいくらからかかる?パート、アルバイトの課税について解説

住民税はいくらからかかる? パート、アルバイトの課税について解説
住民税はいくらからかかる?

バイチュー 「パートやアルバイトでも住民税がかかるの?」「そもそも住民税は年収いくらから課税されるの?」といった疑問を持っていませんか?できれば、税金が発生しない範囲で働きたいと思っている方は少なくないはずです。
そこで、年収がいくらから住民税が発生するのかについて解説します。住民税の控除額を引き上げる学生向けの制度もご紹介しますので、パートやアルバイトとして働く方は参考にしてみてください。

住民税とはどんな税金?

住民税は、その人が住んでいる市町村や都道府県などの自治体に対して納める税金です。
住みやすい街づくりのためには、医療や福祉、教育、ごみ処理、道路整備など、様々な行政サービスが必要になります。住民税は、これらの行政サービスの費用として使われます。

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住民税と所得税の違い

所得税は、労働者の所得に応じてかかる税金で、国に納めるものです。一方、住民税は前述したように、市町村や都道府県などの自治体に対して納める税金です。納める先が違うため、別々に計算され、別々に徴収されています。

どちらも所得に応じて課税されるという点では同じですが、まったく別の税金であることを理解しておきましょう。

【所得税について詳しく知りたい方はコチラ!】
アルバイトが所得税で損しない年収額は?103万を超えたらどうする?

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住民税は年収がおよそ100万円を超えると発生する

住民税は、単身世帯や控除対象配偶者、扶養親族の場合、年収が約100万円を超えると発生するのが一般的です。その金額は世帯数や自治体によって変動がありますが、93万~100万円を超えると住民税が発生しますので、目安として100万円と覚えておくといいでしょう。
では、なぜおよそ100万円となるのか、その内訳を解説します。

住民税には非課税限度額がある

収入が給与所得の場合、住民税には55万円(2019年分までは65万円)の給与所得控除と、43万円(2019年分までは33万円)の基礎控除額が適用されます。

なお、住民税には非課税限度額(非課税措置や課税基準など)というものがあります。これは、給与所得控除を除いた金額が、非課税限度額以下であれば課税されないというものです。住んでいる自治体によって変動はありますが、多くは45万円(2019年分までは35万円)が非課税限度額となっています。

■住民税の内訳(給与収入)

確定申告イメージ

<住民税が発生しない計算の内訳>
100万円=給与所得控除55万円+非課税限度額45万円

給与所得控除の55万円と非課税限度額45万円を足した合計100万円以内であれば、課税対象となる所得は0円ですので、住民税はかからなくなります。
給与所得が100万円を超えた場合は、非課税限度額ではなく、基礎控除が適用されます。たとえば、収入が110万円の場合は、給与所得控除55万円と基礎控除43万円を合計した98万円が控除額になり、12万円が課税対象となります。

住民税は、前年(1月1日~12月31日)の所得に対してかかる所得割と、所得にかかわらず均等に課税される均等割の合計で算出されます。

所得割と均等割、それぞれに非課税限度額があり、どちらも45万円(自治体による)ですので、給与収入が100万円以下であれば住民税がかからないと解釈できます。

均等割は住んでいる都道府県や市町村によって異なる

非課税限度額が自治体によって変動があるのと同様に、均等割も都道府県や市町村ごとに異なります。そのため、住んでいる地域によって税額に差が出る場合があります。

たとえば、愛知県名古屋市に住んでいる場合、愛知県の県民税2000円と名古屋市の市民税3300円を合わせた5300円が均等割の税額です。東京都23区の場合、都民税1500円と特別区民税3500円(2014~2023年まで)を合わせた5000円が均等割の税額となります。

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100万円を超えても住民税がかからない場合がある

住民税は、給与収入が100万円超えると、超えた分から課税されると解説しましたが、100万円を超えても課税されない場合があります。

未成年の場合は年収が約204万円まで非課税

住民税の所得割・均等割ともに、未成年のパートやアルバイトの方は、合計所得金額が年間135万円以下(給与収入の場合は204万3999円以下)の場合、住民税がかかりません。
ただし、未成年であっても、婚姻している場合は成年とみなされますので注意しましょう。

勤労学生控除を受けると126万円まで非課税

学生のアルバイトであれば、「勤労学生控除」を利用するのもおすすめです。勤労学生控除を利用すれば、住民税の控除額に26万円を上乗せすることができます。
また、この制度を利用すると、所得税にも27万円の控除が追加されます。そのため、年収がおよそ126万円以下であれば、住民税と所得税の両方を納めずに済みます。

<勤労学生控除の条件>
12月31日の時点で、次の3つの条件のすべてにあてはまる人が対象です。

  • (1)給与所得など、勤労による所得があること
  • (2)合計所得金額が75万円(給与収入130万円)以下で、しかも(1)の勤労にもとづく所得以外の所得が10万円以下であること
  • (3)特定の学校(※)の学生、生徒であること
※特定の学校とは、「学校教育法に規定する小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校など」「国、地方公共団体、学校法人などにより設置された専修学校又は各種学校のうち一定の課程を履修させるもの」「職業能力開発促進法の規定による認定職業訓練を行う職業訓練法人で一定の課程を履修させるもの」のいずれかです。

なお、勤労学生控除を利用していても、所得が103万円を超えれば親の扶養から外れてしまいます。学生が納める税金は低く抑えられますが、扶養控除がなくなった分、親が納める税金は高くなる可能性があります。勤労学生控除を利用する場合には、家族とよく相談することが大切です。

【勤労学生控除について詳しく知りたい方はコチラ!】
勤労学生控除で所得税や住民税の負担減!控除の仕組みや条件とは?

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住民税が発生するラインは住んでいる地域によって変動する

今回は、住民税が発生する年収について解説してきました。住民税は100万円を超えると発生するケースが多いとはいえ、自治体によって多少の差がある点に注意しておきましょう。また、未成年であれば、年収約204万円までは非課税です。

ただし、住民税の負担を減らそうとするあまり、無理に年収100万円のラインを守ることはおすすめしません。収入が103万円以下であれば、住民税の負担は年間で数千円から1万円程度で済みますし、所得税はかかりません。

また、配偶者がいれば、配偶者控除や配偶者特別控除が受けられ、収入が150万円未満であれば38万円の控除によって配偶者の所得税を低く抑えられます。無理やり収入を100万円に抑えるよりは、150万円までを目安に働いたほうが良いとも考えられるでしょう。

パートやアルバイトとして勤めている方も、住民税や所得税について理解し、家族構成などを考慮して働き方を考えるようにしてみてください。

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記事監修
増田 浩美

増田 浩美

増田浩美税理士事務所所長

女性ならではのきめ細やかな視点を強みに、企業から個人まで幅広い税務のサポートを行う。
ホームページ:http://www.zeimukaikei.jp/

※2020年10月に記載した記事です。

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