マーケティングとはどんな仕事?定義や具体的な手法と成功の秘訣

2024.12.04

マーケティングとはどんな仕事?定義や具体的な手法と成功の秘訣

マーケティングとはどんな仕事?定義や具体的な手法と成功の秘訣

マーケティングに興味はあっても、具体的に何をするのか、どのような仕事なのかよくわからないという人も多いでしょう。

仕事の全容をとらえられているかどうかは就活の成否に関わってくるため、具体的な手法や成功のポイントは理解しておきたいところです。

そこで本記事では、マーケターの仕事内容がイメージできるように、マーケティングとは何なのか、定義や主なフレームワーク、スポーツ・化粧品・福祉業界の実施例をまとめました。

就職後の働き方までイメージし、適性を判断する材料にしましょう。

マーケティングとは?

ビジネスシーンでは「マーケティング」という言葉をよく耳にします。しかし、実際にマーケティングに関わっていないと、その本質を正しく理解することは難しいものです。そこでまずは、マーケティングの定義と目的を確認していきましょう。

マーケティングの定義

マーケティングの定義は、時代とともに変化してきました。『日本マーケティング協会』によると、2024年現在では以下のように定められています。

(マーケティングとは)顧客や社会とともに価値を創造し、その価値を広く浸透させることによって、ステークホルダーとの関係性を醸成し、より豊かで持続可能な社会を実現するための構想でありプロセスである。
(2024年1月25日改訂)

出典:公益社団法人 日本マーケティング協会「日本マーケティング協会の概要」

つまりマーケティングとは、顧客ニーズに応える商品やサービスを開発することで、顧客とともにより豊かな社会を作る手段と定義されています。

マーケティングの目的

マーケティングの目的は企業の戦略によってさまざまですが、大きく分けると以下の3点です。

  • 新しい顧客を獲得して売上をつくる
  • 既存の顧客を維持し売上を増やす
  • ブランドの価値を向上させる

新規顧客の開拓は、企業の成長を支えるために不可欠な要素です。加えて、既存顧客との関係を深め、リピート購入を促進することも重要になります。また、競争力を維持するには、企業のブランドイメージを高めていかなければいけません。

マーケティングとは具体的に何をするのか

マーケティングは、市場調査・マーケティング戦略設計・広告宣伝活動の流れで行われます。順を追って見ていきましょう。

市場・顧客ニーズの調査

市場において需要がない商品は売れません。そのため、新製品の開発や既存製品の改良を行うにあたって、まずは世間で需要があるのかを調べるための綿密な調査が行われます。

顧客ニーズを的確にとらえるために、アンケート・インタビュー・ITツールを活用して具体的なデータを収集。収集するのは、顧客の属性・購入タイミング・リピート要因・離脱ポイントなどの情報です。

スーパーマーケットや衣料品店などオフライン型のビジネスを展開している場合は、来店が期待できる地域の住民についても把握します。

環境分析

市場調査と同時に環境分析が行われます。外部環境・内部環境それぞれについて、自社の内外に影響を与える要素を精査し、最適な市場を見つけ出すプロセスです。

外部環境とは、企業が自分でコントロールできない外部的な要因のことで、競合他社のほか、経済動向、人口・自然環境など社会的な要素が挙げられます。

一方、内部環境とは、ブランド力・資金力・営業力などが挙げられ、これらの資源をどのように活用するかが分析のポイントです。両方の視点を持つことで、独自の市場機会を発掘し、自社の成長に結びつける戦略につながります。

商品やサービスの企画・宣伝

収集した情報をもとに、主要なターゲット層を明確化し、最適な集客方法とプロモーション戦略を決定します。

広告を掲載する媒体やイベント・キャンペーンの開催方法、さらにはSNSアカウントの運営方針など、競合他社を上回るための独自のアイデアを練らなければいけません。まさにマーケターの手腕が問われる重要な局面です。

しかし、戦略の実施はマーケターだけが担うものではありません。製品開発チーム・営業・カスタマーサポートなど各部署が連携を取ることで、より実践的で成果の上がるマーケティングが展開されます。

マーケティングに使用されるフレームワーク

マーケティングでは、各段階であらゆるフレームワークが利用されます。ここでは、企業の状況や市場の動向を評価する際に役立つ、代表的なフレームワークを詳しく見ていきましょう。

3C分析

3C分析は、環境分析に用いられる代表的なフレームワークです。3Cは、「Customer(顧客)」「Company(自社)」「Competitor(競合)」を意味し、ビジネスの状況を総合的に分析できます。

3C分析のポイントは、あくまで事実のみを取り上げることです。顧客ニーズ・競合の売上と成功要因、自社の強みと弱みなど、すべて事実に基づいたデータを取り扱います。

3つの視点を深く掘り下げることで、自社の客観的な分析が可能です。マーケティングを成功させるために何が必要か明確になるため、競合他社と差別化した戦略策定の助けになります。

SWOT分析

SWOT分析とは、自社の強みや弱みなどを洗いだし、実現可能なマーケティング戦略を策定するためのフレームワークです。「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」の頭文字から取っています。

SWOT分析は昔から企業分析に使われており、現在でも変わらず重要視されている手法です。というのも、SWOT分析ではポジティブな面だけではなく、見落としがちな改善点や将来的なリスクも発見できるからです。

効果的に実施するには、目的・目標の明確化が欠かせません。また、主観により判断が分かれるケースもあるため、さまざまな職種やポジションから分析に携わるメンバーを選出することが重要です。

PEST分析

PEST分析は、「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」の、各要素の分析を行うフレームワークです。ビジネス環境に影響を与える外部要因を浮き彫りにして、戦略的な意思決定をサポートします。

ビジネスには、政治的安定性・経済状況の変動・社会的トレンド・技術革新など、さまざまな要因が絡んできます。企業が直接コントロールできないマクロ環境を評価することで、潜在的な機会や脅威の予測が可能です。

PEST分析により、企業は変化する環境に適応しやすくなり、リスクを避けてチャンスを最大限に活かす戦略を策定できるようになります。

STP分析

STP分析は、「Segmentation(セグメンテーション)」「Targeting(ターゲティング)」「Positioning(ポジショニング)」の3要素により、自社の商品やサービスの効果的な訴求方法を決定するためのフレームワークです。

セグメンテーションで市場を細かく分けたあと、ターゲティングで商品やサービスを販売しやすい顧客を選定。最終段階のポジショニングでは、市場での自社の立ち位置を踏まえ、何をどう訴求していくかを決定します。

ターゲットの解像度を上げ、企業やブランドの立ち位置を定めることにより、効果的なマーケティング戦略が可能となります。

4P分析

4P分析は、「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(プロモーション)」の4要素を通じて、ターゲット層に対して訴求力のある戦略を立てるためのフレームワークです。

まず品質・デザイン・機能など商品そのものの特徴や価値を分析します。次に競合やターゲットの収入レベルを考慮して価格を設定。続いてオンラインか実店舗かなどの流通経路と、最も効果的な宣伝方法を決定します。

4P分析の目的は、このように各要素が相互にどのように作用するのかを考え、全体として最も効果的なマーケティング戦略を策定することです。なお、4Pを適切に組み合わせて検討する際は、マーケティングミックスと呼ばれます。

マーケティングの手法と実行のポイント

企業はそれぞれの目的やターゲットに合わせて、効果を最大化できるマーケティング手法を選んでいます。ここでは、よく活用されているマーケティング手法と、実施する際のポイントを紹介します。

アウトバウンドマーケティング

アウトバウンドマーケティングは、企業サイドから働きかけるプッシュ型のマーケティング方法です。広告やプロモーションを通じて、商品やサービスの情報を広く伝えることを目的としています。

即効性があり、知名度を高めやすいことが最大のメリットです。不特定多数に向けてプロモーションするため、短期間で多くの人々にアプローチできます。一方で、タイミングが悪いとまったく見向きもされない可能性も否めません。

具体的な例として、マスマーケティング・ダイレクトマーケティング・テレマーケティングの3つの方法について見ていきましょう。

マスマーケティング

マスマーケティングとは、テレビ・ラジオ・新聞といったマスメディアを通じて、不特定多数の消費者に向けて画一的なメッセージを発信する手法です。一度に多くの消費者にリーチできるため、幅広い層に訴求したい大量生産の商品に適しています。

例えば、テレビCMは特定の歌やダンス、キャラクターを通じて消費者の関心を引き、話題性を持たせることが可能です。雑誌広告は、率先して情報を得ようとしている読者に働きかけられるので、広告の影響は大きいでしょう。

ただ、メディアによっては宣伝費用が高額になり、コストパフォーマンスが低くなるリスクがあります。

ダイレクトマーケティング

ダイレクトマーケティングとは、ターゲットとする顧客一人ひとりに向けた個別のアプローチを行う手法です。マスマーケティングとは異なり、個々の顧客のニーズや興味に基づいてコミュニケーションを取ります。

代表的な手法は、ダイレクトメールや電子メール、SNSなど。メルマガやSNSであればターゲットとした個々の顧客の反応を直接測定できるため、特定顧客に対して効果的にアプローチできます。

また、電子メールやLINEでは1to1のコミュニケーションが可能です。比較的低コストで運用できる点がメリットですが、潜在的な興味を持つ層に対するアプローチには限界があります。

テレマーケティング

テレマーケティングは、企業が電話を使用して顧客と直接コミュニケーションを図る手法です。訪問の手間を省いてコストを抑えられることから、多くの企業で実施されています。

最大のメリットは、直接対話ができるため、メールなどの手法よりも顧客の反応や感情をダイレクトに感じ取れること。顧客のニーズを的確に読み取り、最適な提案や解決策を提供することができます。

同じく電話で顧客とコミュニケーションを取る仕事にテレフォン・アポイントメント(テレアポ)がありますが、こちらは面会の約束を取り付けることが目的であり、テレマーケティングとは本質的に異なります。

インバウンドマーケティング

インバウンドマーケティングとは、ニーズに合ったサービスで顧客を呼び込むプル型のマーケティング方法です。商品やサービスに興味を持った見込み客がターゲットとなり、企業は顧客が求める知識や解決策を提供します。

自社の商品に興味を持ってくれた顧客と信頼関係を築くことが大きな目的です。顧客に寄り添い、その視点を重視することで、長期的な関係を構築することを目指します。

具体的な例として、SNSマーケティング・Webマーケティング・イベントマーケティングの3つの方法について見ていきましょう。

SNSマーケティング

SNSマーケティングとは、ソーシャルメディアプラットフォームを活用して、商品やサービスの認知を広げ、販売を促進する手法です。代表的なSNSには、Facebook・Instagram・X(旧Twitter)・YouTubeなどがあります。

顧客との距離の近さが特徴で、より精緻なターゲティングが可能なことから、もはやその重要性は無視できません。うまくいくと費用対効果が高く、多くの企業が公式アカウントを運営し、積極的に戦略を展開しています。

近年ではSNS上で影響力を持つインフルエンサーを活用したインフルエンサーマーケティングが増加。インフルエンサーの意見が重視される傾向があり、SNSマーケティングの重要な一部を成しています。

Webマーケティング

Webマーケティングとは、インターネットを活用してユーザーをWebサイトに集客し、最終的に商品やサービスの購入へと導く手法です。デジタルマーケティングの一部であり、WebサイトやWeb広告を活用します。

Webマーケティングでの施策は、ほぼすべてのデータを数値で得られるのが特徴。オフラインマーケティングでは難しかったユーザー行動の追跡や効果の定量化も、Webマーケティングでは可能です。

例えばWebサイト運営では、魅力的なコンテンツを提供することによってユーザーの訪問を促進する働きを持っています。

イベントマーケティング

イベントマーケティングとは、企業がセミナーなどの参加者から見込み顧客を獲得する手法です。自社の商品やサービスを直接売り込むことが可能で、ブランドの認知度向上や既存顧客との関係強化にもつながります。

近年ではコロナ禍の影響により、Web上で行われるウェビナーが普及しました。ウェビナーには場所を問わず気軽に参加できるというメリットがあり、広範囲の潜在顧客にリーチできます。

参加申し込みの際には、氏名・年齢・興味などの顧客情報を効率的に取得することが可能で、イベント後のアンケートにより意識調査ができる点も重要です。

アカウントベースドマーケティング

アカウントベースドマーケティング(ABM)は、おもにBtoBマーケティングで利用される、優良顧客となる可能性がある企業を選定してからアプローチするマーケティング手法です。

なお、BtoB(Business to Business)とは、企業対企業の取引を指します。一般の顧客が対象となるものは、BtoC(Business to Customer)といいます。

ABMは、その企業に適したアプローチを深めていく、徹底したターゲット中心の戦略です。ターゲットが求める限定的な価値を提供し、企業との長期的かつ戦略的な関係構築を目指します。

マーケティング戦略を成功させる3つの秘訣

マーケティングの世界は、日々変化し続けています。そのなかで長期間にわたって成功を収める企業には、共通している秘訣があります。ここでは、マーケティング戦略を成功させるための3つの重要なポイントを確認していきましょう。

目的と目標を明確にする

マーケティング戦略を成功に導くための第一歩は、目的と目標を明確に定めることです。誰に向けてどのような広告や営業を行うのかを先に決めることで、1本の軸に沿ったマーケティング戦略を立てられます。

例えば、新しい商品を若い人たちに知ってもらいたいとしましょう。この場合、若者がよく使うSNSを選び、彼らに響くメッセージを考えることが大切です。

SNSなら、画像を効果的に使えるInstagramやTikTokなどが定番です。こうしたプラットフォームで共感を得られるコンテンツを作ると効果的です。

目的と目標を明確にすることは、どのような手段で何をすべきかを決めるうえで重要です。

マーケティングツールを活用する

マーケティングを効率的に行うには、さまざまなソフトウェアやアプリなどのマーケティングツールの利用が不可欠です。マーケティングツールとは、マーケティングをサポートする支援ツールのことをいいます。

例えば、顧客管理システムを使うことで、顧客に関する情報を整理し、どのように顧客と関係を築いているかを可視化できます。また、マーケティングオートメーション(MA)を使用すれば、メール送信や広告出稿作業の自動化が可能です。

節約できた時間で、顧客ニーズの分析や効果的なアプローチ方法の策定など、マーケティング効果を最大化する施策に集中できます。

効果検証と改善を繰り返す

マーケティングには、学校のテストのように、あらかじめ決まった正解はありません。そのため、毎回PDCAサイクルを通じて改善に向けて行動する必要があります。

「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(確認)」「Action(改善)」で一回りとなっており、計画を立て、それを実行し、実施後に結果を評価し、次に取るべき行動を決定するというプロセスです。

はじめは芳しくなかったマーケティング施策も、PDCAサイクルを繰り返し行うことで徐々に改善され、効果を発揮するケースは少なくありません。

業界ごとのマーケティング実施例

ここでは、具体的な業界別のマーケティング事例を紹介します。スポーツ業界・化粧品業界・福祉業界での具体的な取り組みを通じて、その特徴と効果を探ってみましょう。

スポーツ業界のマーケティング

野球・サッカー・ラグビーなどのスポーツ業界は、マーケティングとは切っても切れない関係にあります。

例えば、最近ではプロ野球のセントラル・リーグに所属する球団がゲームキャラクターとコラボしたグッズを販売したり、Jリーグで人気漫画とコラボし、グッズやLINEスタンプをリリースしたりするといった事例があります。

また、一般企業がCMにスポーツ選手を起用する手法は、昔から行われています。

このような手段により、そのスポーツのファンや一般視聴者をターゲットにしたマーケティングは日々活発に行われているのです。

化粧品業界のマーケティング

化粧品業界は常に新しいトレンドが生まれる、流行り廃りが激しい市場です。このようななかで成功するためには、素早い対応力が求められます。そこで活用されるのがWebやSNSを活用したデジタルマーケティングです。

WebやSNSを活用したデジタルマーケティングでは、消費者の声をリアルタイムでキャッチし、新商品の情報やトレンドを即座に発信することが可能です。

特にインフルエンサーを通じて口コミ効果を狙った広告を出したり、オンラインキャンペーンを実施して話題を作ったりする手法が効果的です。

福祉業界のマーケティング

福祉業界のマーケティングは、ターゲットとなる層に応じたアプローチが重要です。高齢者をターゲットにした場合、顔を見て話ができるダイレクトマーケティングや、イベントマーケティングが効果的。

一方で、ケアマネージャーや企業を対象としたマーケティングでは、FAXや電話を使ったテレマーケティングが向いています。口頭や文書を通して詳細な情報を直接届けることができるので、効率的にビジネス関係を築くことが可能です。

このように福祉業界ではターゲットの特徴をよく理解し、それに合った細やかなマーケティング手法を選ぶことが重要とされています。

まとめ|マーケティングは市場や顧客を理解し成果を出すために分析力が求められる

ほんの十数年前までは売り手となる企業が主導権を握っていました。しかしデジタル化が進むにつれて、消費者が商品を選ぶ「買い手主導」へと変化しつつあります。

近年のマーケティングでは、言葉巧みに顧客を引きつける技能ではなく、顧客ニーズに対応することが求められています。

マーケターはトレンドに敏感で、分析が得意な方が活躍できる職種です。デジタルマーケティングはもちろん、幅広いマーケティングの知見を持った人が重宝されるでしょう。

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