2023.08.30

【社労士監修】配偶者の扶養義務についてわかりやすく解説|履歴書の書き方

【社労士監修】配偶者の扶養義務についてわかりやすく解説|履歴書の書き方

履歴書に「配偶者の扶養義務」について記載する欄がありますが、配偶者や扶養義務について、普段はあまり聞かれることがないため、どのように書けばいいのか悩んでしまう人もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では配偶者の扶養義務」欄の書き方や、配偶者の範囲、扶養家族の範囲などを紹介します。
こちらに書かれている内容を理解すれば、今後履歴書を作成する際に迷わずスラスラ書けるようになりますので、ぜひ参考にしてください。

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配偶者の扶養義務とは

配偶者は、婚姻関係にある人のことで、夫や妻のことを指します。扶養家族とは、自分の稼ぎで生活できない家族に対し経済的援助を行うことで、自分の収入で扶養する家族のことをいいます。
つまり、配偶者の扶養義務とは「配偶者を養う義務があるか」を指しているのです。配偶者の年収が130万円以下や、配偶者が健康保険組合に加入していない場合などは配偶者の扶養義務」欄は「有」に◯をつけます。

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配偶者の範囲

法律上婚姻関係にあれば、妻や夫はそれぞれ配偶者となりますが、税法における配偶者と健康保険における配偶者は範囲が異なります。履歴書では、健康保険の定義で記載するのが基本です。

税法における配偶者

税法では、民法上の配偶者の概念が適用されるため、婚姻届を出している人でないと配偶者とみなされません。つまり、事実婚・内縁関係の相手は配偶者とはみなされないのです。

健康保険における配偶者

健康保険では、戸籍上の関係を問わないため、民法上の配偶者だけでなく事実婚・内縁関係の相手も配偶者として認められます。
事実上の婚姻関係が証明できる場合は「有」証明できるものがない場合は「無」に◯をつけましょう。

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扶養家族の範囲

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扶養家族とは、経済的に援助が必要な家族のことを指します。扶養家族の範囲も、税法と健康保険で範囲が異なるため注意しましょう。ここでは、税法、健康保険それぞれにおける扶養家族の範囲を紹介していきます。

税法における扶養家族

税法における扶養家族は、その年の12月31日時点で、下記の4つの項目すべてに当てはまる人を指します。

  • (1)配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族をいいます。)または都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。
  • (2)納税者と生計を一にしていること。
  • (3)年間の合計所得金額が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)であること。
    (給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
  • (4)青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと。

(参考:国税庁「扶養控除」)

(3)に関しては、子どもがアルバイトをして年間収入が103万円を超えると扶養から外れてしまうため注意が必要です。

健康保険における扶養家族

健康保険では、自分を「被保険者」、扶養家族を「被扶養者」と表します。被扶養者(扶養家族)に該当するのは、下記のどちらかに当てはまる人です。

  • 被保険者の直系尊属、配偶者(事実上婚姻関係と同様の人を含む)、子、孫、兄弟姉妹で、主として被保険者に生計を維持されている人
    ※これらの方は、必ずしも同居している必要はありません。
  • 被保険者と同一の世帯で主として被保険者の収入により生計を維持されている次の人
    ※これらの方は、必ずしも同居している必要はありません。
    • 1.保険者の三親等以内の親族
    • 2.被保険者の配偶者で、戸籍上婚姻の届出はしていないが事実上婚姻関係と同様の人の父母および子
    • 3.2.の配偶者が亡くなった後における父母および子
    ※ただし、後期高齢者医療制度の被保険者等である人は、除きます。

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履歴書の配偶者・扶養家族欄の書き方

ここまでの解説を踏まえた上で、履歴書の配偶者・扶養家族欄の書き方を紹介していきます。自分の家庭環境に当てはめて、実際に履歴書を作っていきましょう。

扶養家族数の書き方

扶養家族数の欄は、扶養している家族の人数を記載します。このとき、自分は人数に含めないよう注意しましょう。また、健康保険上75歳以上の人は被扶養者とならないため、扶養家族数には含めません。事実婚の場合は、事実婚を証明できる書類がある場合のみ扶養家族数に含むことが可能です。

扶養家族数は、独身の場合や配偶者が専業主婦(夫)の場合などで書き方が異なりますので、後ほどそれぞれの状況別に詳しく紹介していきます。

配偶者の書き方

配偶者の欄は、婚姻関係にある人(夫や妻)がいる場合は「有」で、いない場合は「無」に◯をつけます。内縁関係や事実婚の場合、税法上では配偶者とみなされませんが、内縁関係や事実婚を証明できる書類があるなら「有」に◯をつけて、事実婚である旨を記載する必要があります。

配偶者の扶養義務の書き方

配偶者の扶養義務欄は、配偶者が扶養家族となっている場合は「有」で、なっていない場合は「無」に◯をつけます。
配偶者の扶養義務の有無は、配偶者の年収によって異なります。配偶者の年収が130万円未満(60歳未満)、180万円未満(60歳以上、または障害厚生年金受給者)の場合は、扶養義務が発生し、履歴書の配偶者の扶養義務欄は「有」となります。
扶養家族数の考え方については、次の章で詳しく解説します。

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扶養家族数の考え方

扶養家族数の考え方は、独身や配偶者が専業主婦(夫)の場合などシチュエーションによって異なります。ここでは、シチュエーション別の扶養家族数の考え方を紹介していきます。

独身の場合

独身の場合は配偶者「無」とし、配偶者の扶養義務「無」と記載します。独身でも、同居している家族や親族を扶養している場合は配偶者「無」で、扶養義務「無」となり、扶養家族数を記入する必要があります。

また、同居していなくても仕送りをして生計を支えている親族がいる場合、扶養家族に含めることが可能です。例えば、別居する弟に仕送りをしている場合などは、扶養家族「1」人となります。

配偶者が専業主婦(夫)の場合

結婚をしていて、パートナーが専業主婦(夫)の場合は配偶者「有」、配偶者の扶養義務「有」となります。扶養家族数は、配偶者を除き、配偶者が養っている収入が基準以下の親族の人数を記載しましょう。

例えば、夫(扶養者)、専業主婦の妻、小学生の子ども1人の家庭の場合は、扶養家族数は「1」人となります。夫(扶養者)、専業主婦の妻、バイト収入が年間130万円以上の大学生の子どもが1人いる家庭の場合は、扶養家族数は「0」人です。

共働きの場合

共働きの場合は、配偶者の年収が130万円以上あれば、扶養家族としてカウントされないため、配偶者「有」、配偶者の扶養義務「無」に〇をつけ、扶養家族数は「0」人となります。

配偶者の年収が130万円未満の場合は、配偶者「有」、配偶者の扶養義務「有」に◯をつけ、扶養家族数は「0」人となります。共働きで収入のない子どもがいる場合は、扶養家族数に人数を記入しましょう。

配偶者あり・子どもありの場合

配偶者あり・子どもありの場合は、配偶者と子どもの年収が130万円未満なら、配偶者「有」、配偶者の扶養義務「有」、扶養家族数「1」人となります。
配偶者の収入が130万円以上あり、子どもは収入なしの場合は、配偶者は「有」、配偶者の扶養義務は「無」、扶養家族数は「1」人です。

配偶者あり・子どもあり・同居の親族ありの場合

配偶者と子どもがいて、同居する家族(60歳未満)もいる場合は、配偶者・子ども・同居の親族の年収が130万円未満であれば、扶養家族数にカウントされ、配偶者「有」配偶者の扶養義務「有」となります。
同居の家族が60歳以上または障害厚生年金を受けられる障がい者の人は年収180万円未満であれば、扶養家族にカウントされます。

例えば、夫(扶養者)、妻(年収130万円未満)、子ども2人(どちらも収入なし)、妻の母(収入なし・62歳)の場合、配偶者「有」配偶者の扶養義務「無」扶養家族数は「3」人となります。

配偶者なし・子どもありの場合

離婚をしていて配偶者はおらず、子どもがいる場合は、子どもの年収が130万円未満であれば扶養家族にカウントされます。例えば、扶養者、子ども(収入なし)のケースだと配偶者「無」偶者の扶養義務「無」扶養家族数は「1」人となります。

子どもが一人暮らしをしていて収入を得ている場合は、扶養家族数にカウントできない場合があります。

別居している家族がいる場合

別居している家族がいる場合は、仕送りなどをして親族の生計を支えているのであれば、配偶者・子・父母・孫・兄弟姉妹などの直系親族(年収130万円未満、60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)は扶養家族にカウントすることが可能です。

例えば、配偶者(年収100万円)と2人暮らしをしていて、別居する子ども(年収40万円)に仕送りをしている場合は、配偶者「有」、配偶者の扶養義務「有」、扶養家族数は「1」人となります。

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履歴書の配偶者・扶養家族欄を書くときの注意点

履歴書の配偶者・扶養家族欄を書くときは、事実婚の場合はそれを証明できる書類があるか、高齢者と同居している場合は、年金収入を加えた年収に気をつけなくてはいけません。それぞれ詳しく解説していきます。

事実婚の場合

事実婚の場合は、事実婚を証明できるのであれば、役所に届出をしていない場合でも配偶者欄に「有」と記載できます。
税制上の配偶者控除を受けられないため配偶者欄を「無」にしても問題ありません。
また、配偶者欄は「無」にして、社会保険の手続きの際に直接事実婚であることを担当者に伝えるという方法もあります。

しかし、社会保険上では事実婚を証明できるものがあれば結婚と同様の状態として扱われるため「有」にしておくのがいいでしょう。

高齢者と同居している場合

同居の扶養家族で年間収入が60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満であって、かつ被保険者の年間収入の2分の1未満である場合は被扶養者となります。
なお、上記に該当しない場合であっても、同居の扶養家族で60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満であって、かつ、被保険者の年間収入を上回らない場合には、その世帯の生計の状況を果たしていると認められるときは、被扶養者となる場合があります。

例えば、同居している65歳の母のパート収入と年金収入が合せて180万円未満なら扶養に入れるということになります。

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履歴書の配偶者・扶養家族欄の記載内容は選考に影響するのか

履歴書の配偶者・扶養家族欄の記載内容は選考に影響するのか

履歴書の配偶者・扶養家族欄は、選考に影響するのか気になる人もいるのではないでしょうか。ここでは、配偶者・扶養家族欄が与える影響について紹介していきます。

健康保険や手当支給手続きのためのもの

履歴書の配偶者・扶養家族欄が選考に影響することはほとんどありません。履歴書に配偶者・扶養家族欄があるのは、企業が健康保険や手当支給手続きの有無を確認するためです。企業側は、配偶者や扶養家族の有無を確認できれば、入社後の保険手続きなどの事務作業が必要かどうかを判断できます。

そのため、履歴書の配偶者・扶養家族欄は間違いがないよう、ルールに則って正しく記載する必要があります。

正確に記載することが大切

履歴書の配偶者・扶養家族欄が選考に影響することはありませんが「扶養家族が多いと落とされるんじゃないか…」と心配して虚偽の申告をすると、虚偽申告罪に問われる可能性があるため要注意です。
また、間違って記入してしまうと採用担当社にマイナスのイメージを与えてしまいかねないため十分に注意しましょう。
配偶者と扶養家族の有無は間違えのないよう、正確に記載することが大切です。

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まとめ:配偶者の扶養義務とはどういう意味なのかがわかったら、企業にどんどん応募しよう!

配偶者は夫や妻などのパートナーのことを指し、配偶者とは経済的に援助が必要な家族のことを指します。配偶者や扶養について理解しておくと、履歴書を書く際に便利なので、ぜひ覚えておきましょう。
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記事監修
荒武慎一

荒武 慎一(あらたけ しんいち)

社会保険労務士、中小企業診断士

昭和53年同志社大学卒業、富士ゼロックス株式会社を経て平成27年アラタケ社会保険労務士事務所を開設。助成金セミナーを各地で開催し、難解な助成金をわかりやすく解説することで高い評価を得ている。(連絡先:0422-90-9990)

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