2021.02.15

【税理士監修】アルバイトでも確定申告は必要?確定申告をしないとどうなる?【税金Q&A】

アルバイトでも確定申告は必要?
確定申告をしないとどうなる?
アルバイトでも確定申告は必要?確定申告をしないとどうなる?

バイチュー 雇用形態に限らず収入がある方は、毎年1月1日から12月31日までの1年間の所得や所得税の納税額を申告し、納税を行う義務があります。これが確定申告です。しかし、会社員やアルバイト、パートなどの場合は、勤務先が源泉徴収を行っていれば、確定申告は不要です。ただし、アルバイトでも、勤務状況などによっては確定申告が必要になるケースもあります。
ここでは、アルバイトで確定申告が必要になるケースと、気づかず確定申告をしなかった場合どうなるのかについて解説します。

アルバイトで確定申告が必要なケースとは?

確定申告は、原則として収入を得ているすべての方に必要な手続きです。
ただし、会社がみなし年収で納税額の概算を出し、毎月の給与から天引きする形で本人に代わって手続きをしている場合は、確定申告を行う必要がありません。これを源泉徴収といい、1ヵ月の収入が8万8000円を超えた場合に行われます。

源泉徴収で毎月の給料から税金が天引きされた場合は、その年の年末頃に正しい所得を計算して、税金の過不足を調整する「年末調整」を行います。
一方、次に挙げるケースに該当する場合は、アルバイトでも確定申告が必要な場合があります。

会社で年末調整をしてもらえなかった場合

基本的に年末調整は、会社側の義務です。しかし、経営者がその重要性を把握しておらず、年末調整が行われなかったり、年末調整の提出期限に間に合わず年末調整をしてもらえなかった場合で、年収103万円を超す方は、個人で確定申告を行う必要があります。

年収が103万円以下で、もし1ヵ月の給与が8万8000円を超えた月があった場合は、所得税が徴収されているため、確定申告をすることで納めすぎた税金が還付金として戻ってくる場合もあります。

複数のアルバイトを掛け持ちしている

税金は、パートやアルバイトでもらった給与(収入)から給与所得控除などを差し引いた、年間所得をもとに計算します。年末調整を行えるのは1社のみのため、2つ以上のアルバイトを掛け持ちしている場合は、すべてのアルバイトの給与合計から年間所得を計算し、確定申告を行います。
ただし、すべての給与を合わせても、年収103万円を超えない場合は確定申告が不要です。

年末前にアルバイトを辞めている

会社側が行う年末調整は、12月31日時点に在籍している従業員のみが対象です。それまでにアルバイトを辞めた場合は年末調整をしてもらえないため、年収が103万円を超えた場合は、個人で確定申告を行う必要があります。

確定申告をしたほうがお得になるケースもある

すべての月のアルバイトの収入が8万8000円以下だった方で、株式や為替などを行っており、大きな損失が出た場合は、確定申告を行うことで翌年以降に所得控除が受けられる場合があります。
また、年間10万円以上の医療費を払った場合なども、医療費控除の対象になります。これは、確定申告をすることで支払った医療費に応じて課税所得が少なくなり、結果、税金が安くなるというもの。医療費は個人分だけでなく、お財布が一緒である(生計を一にしている)家族分も含むことができます。
参考)医療費控除の解説(国税庁公式サイト)

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アルバイトが確定申告をする際の流れ

確定申告をする際の流れ イメージ

アルバイトで収入を得ている方が確定申告を行うには、年間所得や所得税の納税額などを記載した「確定申告書」を、証明書類と併せて居住地を管轄する税務署へ提出します。確定申告書の様式はAとBがありますが、会社員やアルバイト・パートの方は基本的に確定申告書Aを、個人事業主やフリーランスの方は確定申告書Bを使用します。

確定申告ができる時期は、申告する年の翌年2月16日から3月15日のあいだで、納税期限である3月15日が土・日・祝日に該当する場合は、翌平日までとなります。還付申告の場合は、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。

限られた期限内に申告できるよう、必要となる書類やその方法について知っておきましょう。

確定申告に必要なもの

アルバイトやパートの方が確定申告する際には、次の書類などが必要になります。

・確定申告書A
確定申告書Aは、申請する者の氏名や住所、1年間の所得や控除額を記入する用紙です。用紙は管轄の税務署や役所で手に入りますが、e-Tax(電子申請)で行う場合は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」やパソコンの確定申告作成ソフトなどを利用すると簡単です。

・マイナンバー
確定申告では、マイナンバーの記載が必要です。e-Taxで電子申請を行う場合、マイナンバーカードがあると便利です。

・控除証明書
生命保険などの保険料の控除を適用する場合は、控除証明書が必要となります。

・銀行口座の情報
還付金がある場合は、振込先となる銀行口座の情報が必要となります。そのため、通帳やキャッシュカードを準備しておくと記入がスムーズです。

・源泉徴収票
給与所得者の場合は、アルバイト先から発行される源泉徴収票が必要です。アルバイト先に源泉徴収票が必要であることを事前に伝えて、入手しておきましょう。

・印章
電子申請する場合は、確定申告書に捺印するための認印が必要です。
 

確定申告の提出方法

確定申告書の提出方法は、税務署に直接持ち込むほか、郵送や電子申告でも可能です。

・郵送の場合
確定申告書などの必要書類一式は、信書にあたります。そのため、郵便または信書便で送りましょう。その場合は、郵便局で押された消印の日付が提出日となります。確定申告書の控えが必要な場合は、重量に応じた切手を貼り付けた返信用の封筒も同封します。

・直接提出する場合
管轄の税務署に直接持ち込む場合、確定申告の時期は混雑が予想されるため、時間に余裕を持っておくといいでしょう。e-Taxシステムで確定申告書をプリントアウトして直接提出する場合で、確定申告書の控えが必要な場合は、控えも一緒にプリントアウトし、持参するようにしましょう

・電子申告の場合
納税システムのe-Taxを利用して、電子申告をすることができます。パソコンで行う場合は、マイナンバーカードと専用の読取ICカードリーダライタの準備が必要です。マイナンバーカードがなければ、事前に税務署で発行してもらったIDとパスワードがあれば利用できます。
また、2020年1月からは、スマートフォンからの電子申告も可能になりました。
電子申告はコチラ→e-Tax 国税電子申告・納税システム(国税庁)

【関連記事】
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確定申告しないとどうなる?

確定申告が必要なことに気づいていなかったり、うっかり忘れたりして確定申告をしなかった場合、どうなってしまうのでしょうか。

所得税の還付が受けられなくなる

たとえば、年収103万円以下で確定申告が不要な方の場合でも、確定申告をすることで納めすぎた税金が戻ってくることがあります。確定申告を行わないと所得税の還付が受けられず、損をしてしまうこともあるのです。

無申告加算税や延滞税がかかることも

確定申告が必要にもかかわらず、期限である3月15日までに手続きをしなかった場合は、納付する税金の額に対して50万円までは15%、50万円を超えると20%の割合を乗じた無申告加算税が課せられます。

なお、納付を忘れていたことに気がつき、自主的に期限後申告をした場合には、無申告加算税は5%となります。法定申告期限から1月以内に自主的に申告すれば、無申告加算税は課されません。

さらに、法定納期限の翌日から完納する日までの日数に応じた延滞税を、無申告加算税と併せて納付する必要があります。

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学生でアルバイトをしているなら勤労学生控除が受けられることも

アルバイトの年収が103万円を超える場合、所得税の課税対象となりますが、一定の条件を満たす学生の場合は、「勤労学生控除」を受けることで、所得税は27万円、住民税は26万円がそれぞれ控除されます。

所得税は年収130万円未満(基礎控除48万円+給与所得控除55万円+勤労学生控除27万円)、基礎控除が43万円の住民税は124万円未満(43万円+55万円+26万円)まで非課税にすることができます。

勤労学生控除を受けるには、確定申告書や年末調整の該当欄にチェックを入れ、指定された学校の学生であることを証明する在学証明書を添付します。

ただし、親の扶養に入っている場合は、年収103万円を超えると親の扶養控除がなくなり、税金が上がってしまう可能性がありますので、事前に相談しておいたほうがいいでしょう。

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アルバイトの方が確定申告を回避するポイント4つ

アルバイトの確定申告は、還付される可能性がある一方で、手間と時間がかかり、忘れてしまうと追加で課税されるおそれもあるため、できることなら避けたいと考えている方も多いでしょう。
アルバイトの方が確定申告を回避するには、次のようなポイントを意識してみましょう。

ポイント1:年末調整のある勤務先を選ぶ

年末調整を行ってくれる会社でアルバイトをすれば、在職中は会社が代わりに手続きを行ってくれるため、個人で確定申告をする手間が省けます。

ポイント2:年の途中で辞めない

アルバイトを年の途中で辞めてしまうと、その年の年末調整が受けられません。退職の予定がある場合は、12月31日を待ってアルバイトを辞めると、個人で確定申告を行わずに済みます。

ポイント3:年収103万円以下に収める

給与収入が所得税非課税となる103万円以下に収まるように働くことで、確定申告の必要はなくなります。

ポイント4:アルバイトは確定申告の有無や納税額を意識した働き方をしよう

アルバイトは正社員などに比べて、働き方や労働時間を調整しやすい雇用形態です。
確定申告が必要ない働き方をすることも可能なため、収支のバランスや納税額などを考慮しながら、家族や自身の納得できる働き方を検討しましょう。

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記事監修
増田 浩美

増田 浩美

増田浩美税理士事務所所長

女性ならではのきめ細やかな視点を強みに、企業から個人まで幅広い税務のサポートを行う。
ホームページ:http://www.zeimukaikei.jp/

※2020年10月に記載した記事です。

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