もし、転職に迷いがあるなら、その原因を明確にして解決することから始めましょう。
自分が、なぜ迷うのか、どうしたらそれが解決するのかを具体的に考える必要があります。

希望に合う転職先が見つかるかどうか不安なら、まず自分の希望を整理し、自分の市場価値に見合う転職先について情報収集を行い、将来のビジョンを明確にします。そのうえで転職サイトなどで求人情報を探すなど行動してみましょう。

すでに転職先に目星がついているなら、迷う部分については面接で質問するか、職場見学を申し込んで解決することなのかよく考えてみましょう。

それでも迷いが残ったり、転職の決め手に欠けるような場合は、転職しないという選択もあります。

現在の状況から逃げ出したい、と焦ってしまって他に特別な理由もなく転職を考えていないか、冷静に考えることも大切です。

転職すること自体をゴールにしていると、転職できた時点で燃え尽きてしまう可能性や転職先でまた退職したい状況を繰り返す可能性もあります。
特に、今の会社に不満がある人や、すぐに環境を変えたくなるタイプの人は要注意です。

就業環境の問題は、上司に相談したり、会社に異動や転勤を申し出ることで、転職しなくても解決できる場合もあります。
転職はあくまでも自分のキャリアアップの手段であると考えましょう。

くれぐれも「転職すること」それ自体を目的にしてはいけません。転職後に何をしたいか、どうなりたいかを明確にしましょう。

転職後に起こりうるリスクについて、整理し、理解できているかどうかも重要です。

まだまだ日本は終身雇用が根強いため、近年になって転職歴が不利になりにくい業界が増えただけで、転職経験そのものが評価されるということはありません。
企業によっては、転職回数で書類選考が足切りされることもあるでしょう。

転職はギャンブルではありませんが、実際のところは働き始めてみないとわからない部分も多いものです。
理想通りにばかりは行かないこともあると理解しておきましょう。

自分のこれまでのキャリアについて見直せていない状態での転職は危険です。

その状態で転職活動を始めても、自身のアピールポイントが分からなかったり、マッチした会社を選べずに、内定がなかなか取れず転職活動が長引くなどうまくいかない可能性があります。

スキルや経験を整理して、「転職先で通用するものがあるのか」考えることが大切です。
また、未経験の業界に転職するという場合も、現在のキャリアを捨ててまで転職先へいくメリットがあるか、きちんと考えておく必要があります。

転職することに自信が持てない人や、次にやりたい仕事が何も思い浮かばない、という人も、キャリアの整理ができていない可能性があります。

転職後の自分がどうありたいのか、転職したら何がしたいのか、これらが明確でないと転職しても悩みは解決しない可能性があります。

転職後のビジョンがはっきりしないというのは、自分のキャリアの方向性がわかっていないということです。
そのため、安易に転職しても、結局、新しい職場でミスマッチが起こり新しい不満が生まれる可能性もあります。

新しい会社でどんな活躍ができるか、前の職場よりもキャリアアップできるのか、転職後の自分の働きや生活を具体的にイメージすること、目標を持つことが大切です。

転職後の自分をイメージできないのであれば、転職を繰り返す結果につながるかもしれません。
今の職場が嫌だ、仕事に飽きた、ということだけが転職の理由なら、もう一度転職するべきか立ち止まって考えましょう。

まず、仕事にやりがいを感じられない理由が、単に飽きたからなのか、スキルが十分備わっていて仕事に張り合いが無いせいなのかで、方向性が大きく変わります。

十分なスキルを得られていないまま、飽きたというだけで転職しても、転職先で同じような状況に陥る恐れもあります。

逆に、今より手応えのあるレベルが高い仕事に挑戦したいと思っているのであれば、早く転職をした方がキャリアアップ、年収アップにつながるでしょう。

ブラック企業で働いていたり、パワハラに苦しめられて、精神的な病気を発症している可能性のある人は、無理に急いで転職する必要はありません。

うつ状態では、通常の考え方や冷静でまともな判断ができなくなっている可能性もあります。
急いで退職して転職も出来ず、無職になって生活に困窮、というような最悪な状況を回避するためにも、今の会社で休職して、仕事から離れしっかり身体と心を休ませる期間を作りましょう。

病気で疲弊したまま無理に動いても、転職活動もうまく進まないかもしれません。
転職については、病状が落ち着いてから考えると良いでしょう。

今の会社で自分がキャリアアップできない理由を、もっぱら会社や上司、周りの環境のせいだと思い込んでいる人にも転職はおすすめできません。

不満を他人や環境のせいだと考えやすい人は、自身で起業するか、フリーランスにでもならない限り、どこで働いても不満は解消されない可能性が高いためです。

会社員として組織の中で働くとなれば、上司や同僚と合わないことは、誰しも起こりうることです。

転職後にもまた同じ理由で転職を繰り返すことにもつながります。

自己分析や企業研究が足りていないままでは、結局転職しても悩みが解消されない場合もあります。
また、会社での人間関係なども同様で、実際に働いてみなければわからないものです。

他人や会社など、自分以外のことを転職理由にすると、転職しても同じことの繰り返しになる可能性があります。
転職すれば何でも解決すると安易に考えるのは危険です。

転職先では、職場の人間関係をまた最初から築かなければいけません。

人間関係を再びイチから構築することはメリットでもありデメリットでもあります。
すぐに良好な関係が築ければ良いですが、そうでない場合や、コミュニケーションが苦手な人は苦労するかもしれません。

もちろん、転職先でも自分と性格の合わない人と仕事をしなければならない場合もあります。
求人からイメージしていたものと違う仕事に、頼れる上司や信頼できる同僚、部下もいない状態で取り組むことも最悪覚悟しておく必要があります。

転職直後は、賃貸契約やクレジットカード、住宅ローンなどの審査に通りにくくなる可能性があることも頭に入れておきましょう。

理由は、社会的信用があると見なされる勤続年数が2～3年以上とされているためです。転職すれば勤続年数がリセットされるため、社会的信用も低下します。

そのため、家や車の購入といった大きなローンを組む予定がある人や、引っ越しを考えている人にとって、転職のタイミングはかなり重要です。

上司は自分で選ぶことができません。そのため、転職した際は、自分より年齢が下の人が上司になる可能性もあります。

年下の上司はその職場での経験やキャリアはあっても社会経験が浅く、やりづらい部分が出てくるかもしれません。

設立して日の浅い会社や、業界・業種によっては、管理職の年齢層が若いということもあり得ます。
年下上司から親しげな対応をされると、人によっては仕事がしづらいと感じることもあるでしょう。

年下の元では働きたくない、と感じてしまう人は、そういったリスクも考えておきましょう。

転職活動には意外と費用がかかります。
面接に行くための交通費や宿泊費、新しいスーツ代、面接までの時間調整で入ったカフェでの飲食代など、細かなところで出費がかさむものです。

また、退職するタイミングが悪ければ、ボーナスをもらい損ねたり、給与の支給に空白期間ができることもあります。

そのため、転職を考えている場合は、転職活動中や退職後のお金のことも考えておかないと、生活が困難になるリスクもあります。

信頼できる第三者に悩みを聞いてもらうだけでも、頭の中を整理できることがあります。
転職に迷っている時は、一人で考えすぎて客観的な判断が出来なくなっている場合も考えられます。

そこで、親友や家族など、身近な人に話を聞いてもらうのも良い対処法です。
きちんとした相談ではなくても、誰か人と話すことによって考えが整理され迷いも解決するかもしれません。

自分の性格などをよく理解している人から、自分では気が付かなかった的確なアドバイスがもらえることもあるでしょう。

ただし、現在の職場の同僚などに相談する場合は、相談内容やその話が上司などに伝わってしまうリスクなどにも考慮が必要です。転職の相談ではなく、今後のキャリアの相談とするほうがよいでしょう。

迷いや悩みがあるときは、問題を書き出して可視化することで、考えが理解しやすくなります。
そのため考え事をするときは、頭の中だけで考えるのではなく、実際に書き出してみましょう。

転職に迷っている人も、思いつくメリットやデメリットを表や箇条書きに書き出して整理しましょう。
なぜ転職したいのか、その理由は何か、やりがいを感じること、自分の出来ること、やりたいことなども書き出してみるとよいでしょう。

また、同じようにしてキャリアの整理をするのもおすすめです。
今までのキャリアを時系列でまとめて、業務内容や、身に付いたスキルや、取得した資格などを挙げていくことで、自身のキャリアが整理できます。

このように、思考やキャリアの方向性を書いて整理することで、自分のスキルが活かせる転職先が見えてくるでしょう。

年収アップや人間関係の改善、部署の変更など会社に求める希望条件を書き出して、優先順位をつけるのもおすすめです。

書き出すことで、自分の中で絶対に譲れない条件とそれほど重要視していない条件というのが浮き彫りになるでしょう。

転職に迷うときも、今の会社の、給与や仕事内容、職場の雰囲気の、良いところと悪いところをざっくり書いて、自分にとっての絶対に譲れない条件とこだわりの無い条件を見極めましょう。

仕事を選ぶときの優先順位が定まっていないと、転職してから同じように後悔する可能性があります。
上司や職場の環境は自分で選べない部分なので、希望条件は欲張りすぎず、許容範囲をある程度広げておくことも大切です。

転職することと、転職活動をすることは同じではありません。

悩んでいて何もしないより、まずは試しに情報収集したり、職務経歴書を書いてみたりすることで、自分の現状を理解することにつながるかもしれません。

逆に、今の会社に不満があるからと、転職先を見つける前に安易に退職するのは避けましょう。
ほとんどの場合、転職にはある程度の時間と費用がかかります。

退職すれば転職活動の時間は作りやすくなりますが、経済面や精神面での余裕がなくなることも考えられます。

そのため、今の会社で働きつつ転職活動を始めるほうが、経済面でのリスクは回避できると言えます。

20代の転職は、初めて入社した会社からの転職で不安に思う人も多いのではないでしょうか。
ですが、育てがいがある20代は企業からのニーズも高く、転職には最も有利な世代です。

20代は、スキルや経験より、モチベーションやポテンシャルを重視した、いわゆるポテンシャル採用が多いため、現職とのミスマッチに悩んでいる方も比較的スムーズに転職できるでしょう。

転職原因が、就職前のイメージと違っていた、やりたい仕事ではなかった、という人は、就活時の自己分析や企業研究が間違っていた可能性があります。
同じことの繰り返しで早期離職をしないで済むよう転職活動では、どんなところが自分と合わなかったのか、ミスマッチの要因を探ることが大切です。

30代は、家族の生活を支えたり、そこそこのポジションを任されたり、社会的な責任を負っている人も多くなる年代です。
そのため、転職が何かのチャンスだったとしても、若さや勢いだけですぐに動けない場合もあるでしょう。

ですが、将来のことを考えないまま年齢を重ねて、40代になってから転職活動を始めても、30代の時以上に苦労することは明らかです。
「35歳限界説」とも言われますが、転職という選択肢を選ぶなら、できるだけ早く転職活動を始めた方が良いでしょう。

実務経験もあり、ある程度のポジションも経験している30代の転職活動では、培ったスキルやキャリアで即戦力として企業に貢献できることをアピールしましょう。

また、車やマイホームの購入を検討している人は、退職と転職のタイミングの調整にも注意が必要です。

40代の転職における最大の問題は年齢です。しかし、転職活動では、この年で転職は無理だろうという固定観念やプライドにはとらわれ過ぎないことが大切です。

40代の転職では、30代以上にこれまで培った経験やスキル、即戦力となることが求められます。
スキルやキャリアが豊富な人ほど過去の経験やプライドにこだわる傾向がありますが、転職すれば誰しもゼロからスタートする、という謙虚な姿勢で転職活動に臨みましょう。

40代は、過去の職務経歴における専門性の高さや人材育成能力、人脈、マネジメント能力を活かした転職活動を進めることが大切です。

学生時代からやりたい仕事があった人や、大きく年収をアップさせたい人にとっては、40代の転職がこれらの実現に向けた最後のチャンスかもしれません。

近年、50代の転職者数も増加傾向にありますが、50代は求人の絶対数が少ないため難易度が高く、若い世代より時間もかかります。
加えて定年に近い年齢であり、採用後も若い世代より人件費がかかるといった企業側にとってのマイナス要素もあります。

また、50代で転職を検討する人の中には、家族の介護を理由とする人もいます。
このようなライフステージに対応した労働条件を備えている企業は少ないため、労働条件を重視すると転職活動も難航します。

そのため、50代の転職では、キャリア整理や自分の市場価値の分析、企業分析など、特に入念な準備が必要です。

企業が50代に期待していることは、30代や40代と同様、これまでのキャリアで培ってきた豊富な経験や人脈ですが、50代と他の年齢層では異なる点があります。
それは、この転職を最後にしたいという、他の世代には見られない意欲の高さです。
即戦力となれる能力以上に、柔軟性や謙虚さ、適応力をアピールすることが大切です。

長期戦になることも覚悟して、転職活動へ挑みましょう。