2024.03.04

「敵に塩を送る」とは?正しい意味と由来・使い方を例文で解説!似た意味を持つことわざも

「敵に塩を送る」とは?正しい意味と由来・使い方を例文で解説!似た意味を持つことわざも

「敵に塩を送る」ということわざをご存じですか?戦国時代のある出来事が由来とされるこのことわざは、直接的な表現ではないため意味や使い方が分からないという方も多いのではないでしょうか。

この記事では、ビジネスシーンやスポーツ・政治の世界などでよく用いられる「敵に塩を送る」ということわざの意味と正しい使い方をわかりやすくご紹介します。

いつ・どんなシーンで使われる言葉なのかを知り、例文を参考にしながら実際に使ってみましょう!

「敵に塩を送る」とは?|意味を解説

「敵に塩を送る」とは、敵の弱みにつけ込まず、逆にその逆境から救うことを指すことわざです。争っていることの本質とは異なる部分において敵を支援し、勝利よりも大切な価値を追求することが結果的に自分のメリットになるという教えとして使われます。

単に「敵を助けてあげた」という情話としても用いられ、どちらにしても敵に手を差し伸べたことが最終的には自分に返ってくると考えられています。

ここでいう「敵」とは、かつて行われていた争いにおける「敵」だけではなく、現代に置き換えると、ビジネスシーンにおけるライバル会社や、スポーツの世界におけるライバル選手を指すことができます。
※参考:コトバンク「敵に塩を送る」

ことわざ「敵に塩を送る」の由来

「敵に塩を送る」ということわざの由来となった戦国時代の出来事をご紹介します。

戦国時代の武将「上杉謙信」の行動から生まれたことわざ

戦国時代、日本では多くの武将による権力争いが激化していました。そんな時代に上杉謙信が敵の武田信玄にした行動が「敵に塩を送る」ということわざの元になっています。

上杉謙信と武田信玄は、当時熾烈な戦いを繰り広げていました。そんな争いの渦中、武田信玄の領地である甲斐は塩の不足に苦しんでいました。しかし、それを知った上杉謙信は相手の弱みにつけこんで勝利しようとはせず、武田信玄に塩を送ったのです。

上杉謙信は、単に戦術的な計算で敵に塩を送ったのではなく、敵である武田信玄への尊敬の念と、戦時下であっても保たれるべき人道的な配慮から塩を送ったとされています。

この出来事が由来となり「敵に塩を送る」ということわざは、敵の弱みを利用して追い打ちをかけるのではなく、それを逆境に救うことという意味で使われるようになりました。

「塩留めの太刀」は「敵に塩を送る」話に出てくる有名な刀

上杉謙信の名刀のひとつに「塩留めの太刀」があります。これは、上杉謙信が武田信玄に塩を送ったときのお礼として贈ったとされています。

現在は、国の重要文化財に指定されている貴重な刀です。

上杉謙信の「敵に塩を送る」話は嘘?

「敵に塩を無償で送るなんて、本当の話?」と、長年多くの人が疑問を持ってきました。実際、このことわざは明治から昭和の時代に定着したものと言われており、戦国時代当時に使われていた形跡はないそうです。

また、上杉謙信が武田信玄に塩を送った話は史書に残されているわけではなく、ことわざの由来として定着していったものなので真実かどうかは定かではありません。

歴史の奥深いところまでは詳しく解説できませんが「敵に塩を送る」という言葉の意味は覚えておきましょう。

「敵に塩を送る」はいつ・どんなシーンで使う?

「敵に塩を送る」は、現代においてビジネスシーンやスポーツの世界などでよく使われます。「敵に塩を送る」のイメージが湧きやすいように、2つの事例を用意しました。

<ビジネスシーン|「敵に塩を送る」のイメージ>
常にライバル関係にある競合が震災の被害を受け、困っているようだった。普段は競争する関係性だが「困っているときはお互い様」精神で支援物資を無償で提供した。
ライバル企業を単なる敵とみなすのではなく、困難な時期には支援を提供することで長期的な信頼関係と相互利益を築こうとする気持ち。

相手への支援によって得られた良好な関係性が、結果的に自社のブランドイメージを高めたり、ライバル会社のみならず消費者や投資者からの信頼を深めることにもつながる。
<スポーツ|「敵に塩を送る」のイメージ>
運動会の短距離走で、隣の友人が転んでしまった。もう少しで自分は1位になれそうだったが、転んでしまった友人に手を差し伸べた。勝つことはできなかったが、運動会のあと友人からは感謝され、周囲の人からも賞賛を受けた。
勝利にこだわるのではなく、それよりも大切な友情関係を重視した行動。

結果的にこの行動が周りから自分に対するイメージを変え、プラスに働くこととなった。

「敵に塩を送る」行動は、人によっては「きれいごとだ」と内部から批判されることもあります。そのためこのことわざは、必ずしもポジティブな意味で使われるとは限りません。

それでも、勝つこと以上の価値を重要視した思いやりが隠された行動をすることには意味があるとされています。

「敵に塩を送る」を使った例文をご紹介!

「敵に塩を送る」ということわざは、普段は競争や対立の状況にあるにも関わらず、相手に対して慈悲心を持ち、支援や援助を行う際に用います。

人間関係や社会全体の調和を重視し、困難に直面している他者への思いやりを表現するときに役立つフレーズです。

ビジネスシーンや政治、スポーツなどの世界でよく使われます。いくつか例文をご紹介するので、ぜひ参考にしてくださいね。

<例文>

1. 競合他社が資金繰りに苦しんでいると聞き、敵に塩を送ることにはなるが、短期ローンを提供した。
2. 地域のスポーツチームが設備不足に悩んでいたので、敵に塩を送る精神で必要な機材を寄付した。
3. 政治的見解が異なるにも関わらず、彼は敵に塩を送る姿勢を見せ、対立する党のイベントをサポートした。
4. 業界内で厳しい競争が続いていたが、災害時には敵に塩を送る精神で、互いに復旧作業を手伝った。
5. 競合企業の製品がリコールになった時、市場を独占するチャンスだったが、公平な競争を促進するために敵に塩を送り、安全基準の情報を共有した。
6. 選挙戦で競り合った相手がスキャンダルに巻き込まれた際、人格攻撃を避け、敵に塩を送る形で彼の公正な対応を支持する声明を発表した。
7. 意見の相違から距離を置いていた同業者が事業で困っていると聞き、敵に塩を送るようにアドバイスを提供した。
8. 敵に塩を送る行為ではあるが、相手チームのライバルが熱中症で倒れているのを見て塩分補給のドリンクを提供した。

「敵に塩を送る」の類語・反対語

「敵に塩を送る」の類語

「敵に塩を送る」と似た意味で使える言葉をご紹介します。

「呉越同舟」

「呉越同舟」の読み方は「ごえつどうしゅう」です。

意味は、仲の悪い者同士や敵味方が同じ境遇にいるとき、同じ困難な状況を敵と一緒に協力して乗り越えることをたとえています。

中国春秋時代、呉と越の戦いの中でお互いを助け合った出来事から生まれた言葉です。

「相手を利する」

「相手を利する」とは、相手を有利な状態にさせることです。

「敵に利する」とも言い、相手に利益をもたらしつつも、自分のメリットのために上手く利用するというニュアンスが含まれています。

「ハンデを与える」

「ハンデを与える」も「相手を利する」と同様、競争相手をあえて優位な状態にすることを指します。

スポーツの世界では、同等の戦いをするために、あえて強者に不利な条件を付けたり、弱者に優位な条件を与えたりします。

「敵に塩を送る」の反対語

「敵に塩を送る」とは逆の意味で使われる反対語をご紹介します。

「傷口に塩を塗る」

「傷口に塩を塗る」とは、他人がすでに苦しんでいる状態にさらに痛みを加える行為のことです。傷口に塩を塗るとよりしみて痛くなることから、悪いことにさらに悪いことを重ねて辛さの度合いが増すことをたとえています。

誰かが困難な状況にあるとき、その人の悩みや問題を悪化させるような行動や言葉を投げかけることで、意図的にダメージを与えることを指すときに使われます。

「弱り目に祟り目」

「弱り目に祟り目」は、既に不運な状況にある人が、さらに追い打ちをかけるような災難に見舞われることを指すことわざです。

不運が重なることのたとえとして使われ、「泣き面に蜂」も同様の意味です。

「人の弱みにつけ込む」

他人の脆弱性や弱点を利用して、自分の利益のために利用することを「人の弱みにつけ込む」と言います。

「敵に塩を送る」とは逆の意味で、相手が困っていることを捉えて自分の勝利や有利な状態に持っていくことを指す言葉です。

「敵に塩を送る」は英語でどう訳す?

「敵に塩を送る」を英語で表現すると「show humanity even to one's enemy」となります。

日本語のことわざよりも直接的な表現で、敵に対しての思いやりを見せることという意味です。

「show humanity」...人間らしさ(思いやり)を見せる
「to one’s enemy」...(誰か)の敵に対して

まとめ

「敵に塩を送る」ということわざの意味と使い方をご紹介しました。

普段はライバルとして争っている間柄でも、時に手を差し伸べることで結果的に自分にとってもメリットになることはあります。そんなとき「敵に塩を送る」という表現を使って、相手への思いやりの気持ちを示すことができます。

ビジネスシーンでも使える言葉なので、覚えておくとよいでしょう。

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