2024.02.02

「できない」の敬語と言い換え表現|ビジネスシーンでの上手な断り方とポイントを紹介

「できない」の敬語と言い換え表現|ビジネスシーンでの上手な断り方とポイントを紹介

何かお願いした際に「NOです」「無理」「できない」と言われたら、あなたはどう思いますか?口頭やメールなどの手段を問わず、あまり良い気はしないのではないでしょうか。

会社やアルバイト・パート、日常生活のなかで断るシーンは多々あります。断りの表現は、人と関わりを持つうえで避けて通れない一つのコミュニケーションスキルです。

しかし、相手に不快感を与えずに「できません」と伝えるためには、敬語の使い方や状況に応じた言い回しが重要になります。

この記事では「できません」の敬語表現や、ビジネスシーンでの上手な使い方を、具体的な例文と共に解説。また、断る際の心がけるべきポイントや、類語・言い換え表現も紹介しています。

断るのが苦手な方や、より良いコミュニケーションを目指す方は必見です。

「できません」は敬語(丁寧語に分類)

「できません」は一見敬語ではないように感じられるかもしれませんが、敬語の一形態です。「できない」に「ません」を付けた否定形で、丁寧語に分類されます。

「できない」の敬語表現

「できません」の他にも「できない」の敬語表現には以下のようなものがあります。

「できない」の敬語表現

  • できません
  • できかねます
  • いたしかねます
  • ◯◯しかねます

これらの4つの表現にはそれぞれ異なる印象やニュアンスがあります。例文と合わせて以下で解説していきます。

できません

「できません」はとても直接的な表現です。丁寧ではあるものの、断固とした印象を与えます。ビジネスやフォーマルな状況で基本的な丁寧語として使用されます。

  • 例1)申し訳ございませんが、その日程では会議に参加できません
  • 例2)現在のリソースでは、そのプロジェクトを引き受けることができません
  • 例3)その時刻にオフィスに戻ることができません

できかねます

「できかねます」は「できません」よりやわらかい断りで、相手への配慮を示しつつも「できない」という意思を伝える表現です。

  • 例1)非公開情報についてはお答えできかねます
  • 例2)ご提案いただいた条件では、お受けできかねます
  • 例3)その価格では提供できかねます

いたしかねます

「いたしかねます」は「できかねます」よりもさらにフォーマルで丁寧な表現です。特に重要なビジネス関係者や上位の人物に対して使用され、最大限の敬意を示す際に効果的です。

  • 例1)貴社の提案に関しては、私どもではお受けいたしかねます
  • 例2)業務範囲外の作業には対応いたしかねます
  • 例3)貴社の提案に関しては、私どもではお引き受けいたしかねます

◯◯しかねます

「◯◯しかねます」は特定の状況や行為に対して「できない」という意思を伝える際に使用される表現です。特定の事柄に対して断る意思を示すことで、断りの理由がより具体的で分かりやすくなります。

  • 例1)現在のスケジュールでの急な変更には応じかねます
  • 例2)他人の代理での契約には同意しかねます
  • 例3)その要求には応じかねます

ビジネスシーンで「できません」を上手に伝えるには?

取引先や上司などに対し、断りをいれる場合に抑えておくと良いポイントを紹介します。

ビジネスシーンでは「いたしかねます」を使うのがおすすめ

ビジネスシーンで断る意思を伝える際には、相手に敬意を表すると同時に、自分の立場や制約を丁寧に伝えることが重要です。そのため、直接的な「できません」という表現よりも、よりやわらかく丁寧な「いたしかねます」「◯◯しかねます」という表現がおすすめです。

例として、2つの異なる返答方法を挙げます。

A)その案件には対応できない(できません)。

B)残念ながら、その案件には対応いたしかねますが、他の方法でご協力させていただければと思います。

自身が断られる立場である場合、AとBを比較してみてどのように感じるでしょうか。

返答例Aの印象)直接的で断定的な印象です。この言い回しは、可能性の余地を残さず、一方的に閉じるような感じがあります。

返答例Bの印象)柔らかく、協調的な印象です。この言い方は、否定しつつも前向きな協力を示唆しており、受け手に対してより配慮が感じられます。

補足ですが、Aの返答が必ずしも悪いとは限りません。断りづらいと回りくどい表現になりがちですが、時にははっきりとした姿勢を示す必要があることもあるでしょう。直接的な表現は、誤解を防いだり、混乱を避けることにつながります。

断る際は相手の気持ちを損ねず、失礼にならないようにしたいものです。このように、伝え方によって受ける印象が異なるため、状況に応じて使い分けるようにすると良いでしょう。

上司との関係性によっては「できません」を使った方が良い場合もある

上司に対して何かを断る際、「できかねます」や「いたしかねます」といった表現でも問題はありません。しかし、身近な上司の場合は堅苦しく、過度にかしこまっていてよそよそしいと捉えられる場合があるかもしれません。

自分の職場環境や上司との関係を考慮し、適切な表現を選ぶことが大切です。

「できません」「難しいです」「厳しいです」などと伝え、必要に応じてその理由を付け加えることで、スムーズに意思疎通できるでしょう。

「できませんでした」はビジネスシーンでも使える

「できませんでした」という表現はビジネスシーンで使用して問題ありません。

伝える際は、ただ「できませんでした」と伝えるのではなくクッション言葉をつけると良いでしょう。また、可能な範囲で理由や今後の改善策を提案するなど、建設的なアプローチをすることが望ましいです。

ネガティブな内容は、少し伝え方を工夫することで受ける側の印象が変わります。

「できかねません」は意味が変わってくるので注意

「できかねます」と「できかねません」では意味が大きく異なるので注意してください。

「できかねません」は「できかねない」を丁寧語にした表現で、直訳すると「できるとはいえないわけではない」という意味です。ちょっとややこしい表現ですね。

何か望ましくない事態が起こるかもしれない」というニュアンスを含んでおり、別の表現にするならば「できてしまいます」です。
例を挙げるとすれば「このままだと虫歯ができかねません」など。

断る際に心がけるポイント6つ

伝え方ひとつで印象が悪くなってしまうことも。ここでは、上手に断るポイントを紹介します。

関係性に応じて配慮のある言葉遣いを心がける

先輩社員や上司、取引先など、自分の立場や相手との関係性に応じて配慮のある言葉遣いを心がけましょう。

クッション言葉を使う

断る際は相手を不快にさせないよう配慮することも大切です。「クッション言葉」を使うことで、断りのメッセージを角を立てずにやわらかく伝えることができます。

【クッション言葉】

  1. 1. 申し訳ございませんが
  2. 2. 申し上げにくいのですが
  3. 3. ご期待に添えず申し訳ございませんが
  4. 4. 誠に恐縮ですが
  5. 5. 勝手を申して恐縮ですが
  6. 6. あいにくですが
  7. 7. 検討の結果、残念ながら
  8. 8. 心苦しいのですが
  9. 9. せっかくではございますが
  10. 10. 身に余るお話ではございますが

断る理由は明確かつ簡潔に伝える

断る際には長々とした説明は避け、明確かつ簡潔に理由を伝えることが重要です。断りづらさや申し訳なさを感じることがあっても、曖昧な返事は避け、トラブルの原因となる誤解を生まないようにしましょう。

しかし、理由を詳しく伝えてしまうことでかえって相手に失礼になってしまう場合もあるので注意が必要です。ビジネスでは、契約に関する返答の場面でよく直面するでしょう。

例えば「検討の結果、御社は3位でA社やB社の方が良かったので~」と伝えてしまうのは失礼です。このような場合は、「検討の結果、残念ながら~」など特に詳しい理由は述べない方がベター。

可能な範囲で代替案を提案する

単に断るだけでなく、可能であれば代替案や他の解決策を提案すると良いでしょう。代替案を提示することで、相手に配慮を示し、ポジティブな印象を与えることができます。

「~できませんが、代わりに~はいかがでしょうか?」など、他の解決策を提示することで相手に対して前向きな姿勢を示すことができ、良好な関係を保つことにつながります。

感謝の気持ちを忘れない

断る際でもまず「感謝の気持ち」を伝えることは、相手への配慮を示し、相手が受ける印象を和らげることができます。

たとえば、「ご依頼いただきありがとうございます」や「このような機会をいただき、ありがとうございます」のような表現です。

このように感謝を示すことで、断ってもなお良好な人間関係を保つことにつながります。

なるべく早く返答する

メールでも口頭でも、オファーや依頼を受けた場合はなるべく迅速に返答するように心がけましょう。

お断りする状況においても、これは変わりません。可能な限り迅速にお断りの返答をすることが望ましいです。速やかに返信することで、相手に余計な心配や手間をかけさせてしまうのを防ぐことができます。

「できません」の類語・言い換え表現

ここでは「できません」と同じまたは似た意味を持つ類語や言い換え表現を紹介します。

【「できません」の類語・言い換え表現】

  1. 1. 難しい
  2. 2. 厳しい
  3. 3. お受けできません
  4. 4. お役に立てません
  5. 5. ◯◯いただけません
  6. 6. ◯◯なれません
  7. 7. ご遠慮申し上げます
  8. 8. 見送る
  9. 9. お断りせざるを得ない

以下で使い方や例文を紹介します。

1. 難しい
・直接的な断りよりも柔らかく、できない理由を含めることが多い

例)ご依頼の締め切りまでに完成させるのは難しいです。

2. 厳しい
・状況の困難さを強調する際に使用する

例)その予算では要望を満たすのは厳しいです。

3. お受けできません
・断る理由を含めず、単純にできないことを礼儀正しく伝える

例)申し訳ありませんが、その案件はお受けできません

4. お役に立てません
・助けやサービスを提供することができない場合に使う

例)申し訳ありませんが、今回はお役に立てません

5. ◯◯いただけません
・特定の行動や提案を受け入れられないことを明示する

例)現在メンテナンス中のため、お取引いただけません

6. ◯◯なれません
・特定の行動や提案を受け入れられないことを明示する

例)この件に関しては、残念ながらお力になれません

7. ご遠慮申し上げます
・非常に丁寧な断り方で、相手に配慮を示す

例)ありがたいお誘いではございますが、今回はご遠慮申し上げます

8. 見送る
・柔らかい表現で断り、将来的な再検討の余地を残す

例)ご提案は魅力的ですが、今回は見送らせていただきます。

9. お断りせざるを得ない
・選択の余地がなく断る状況を表す丁寧な表現

例)現在のリソースではお断りせざるを得ないと判断しました。

まとめ

  • 「できない」の敬語表現は「できません」「できかねます」「いたしかねます」「◯◯しかねます」
  • ビジネスシーンでは「いたしかねます」を使うのがおすすめ
  • 上司との関係性によっては「できません」を使った方が良い場合もある
  • 「できませんでした」はビジネスシーンでも使える
  • 「できかねません」は意味が変わってくるので注意
  • 断る際は、クッション言葉を使い、理由は明確かつ簡潔に伝える
  • 「できません」の類語・言い換え表現は「難しい」「厳しい」などがある

本記事では「できない」の敬語表現に焦点を当てました。

「できません」は一見敬語ではないように感じられるかもしれませんが、丁寧語です。他にも「できかねます」「いたしかねます」「◯◯しかねます」の表現があります。

断る際は相手を不快にさせないよう配慮することが大切です。ネガティブな内容は、少し伝え方を工夫することで受ける側の印象が変わります。「クッション言葉を使う」「断る理由を簡潔に伝える」「可能な範囲で提案を添える」「直接的な表現ではなく、言い換える」などがおすすめ。

断り方が悪いと今後の関係にも差し障ることもあるため、注意したいものです。

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