2024.03.08

【例文あり】「見る」の敬語「拝見する」の正しい使い方ガイド|敬語の種類・言い換えも

【例文あり】「見る」の敬語「拝見する」の正しい使い方ガイド|敬語の種類・言い換えも

目上の人と会話するときには、敬語を適切に使えると相手からの印象がよくなります。「拝見する」も敬語のひとつで、ビジネスシーンや日常生活におけるコミュニケーションでよく使われる表現です。

この記事では「拝見する」の意味と正しい使い方をご紹介します。すぐに使える「拝見する」を用いた例文もご用意したので、普段のコミュニケーションで活用してみてくださいね。

「拝見する」と「ご覧になる」の使い分けや、「拝読」「拝聴」「拝受」など似ている言葉との意味の違いについても解説しているので、正しい使い方を理解しましょう。

「拝見する」とは?

「拝見(はいけん)」の意味

「拝見」の「拝」は、「おがむ」「おじぎをする」という意味以外に「自分の行為に冠して相手に敬意を示す語」という意味も持っています。

つまり「拝見」は、「見る」という自分の行為をかしこまって相手に示すことです。

また、「拝見する」は「見る」という意味だけではなく、「会う」という意味合いで使われる場合もあります。

「お顔を拝見する」「お姿を拝見する」というフレーズは、自分が相手に「会う」ことをていねいに伝えられる表現なので、覚えておきましょう。

※参考:weblio辞書

「拝見する」は「見る」の謙譲語

「拝見する」は「見る」を敬語にした表現です。

敬語の種類には、謙譲語・尊敬語・丁寧語があります。「拝見する」は「見る」の謙譲語で、自分をへりくだることで相手に敬意を表せます

「見させていただく」という意味で使い、主語は自分になります。

<例文>

  • 「資料を拝見しました。」
    -相手が作成した資料を(私が)見させていただきました。
  • 「お手紙を拝見しました。」
    -相手から送られてきた手紙を(私が)見させていただきました。

「拝見する」と「ご覧になる」の違い

上記で、敬語の種類には謙譲語・尊敬語・丁寧語があると解説しました。「見る」の敬語表現を一覧にしたので、それぞれの違いと正しい使い方を理解しておきましょう。

拝見する 「見る」の謙譲語
  • 主語は「自分」
  • 自分をへりくだって相手を立てる

ex)資料を拝見しました。

ご覧になる 「見る」の尊敬語
  • 主語は「相手」
  • 目上の人を敬って相手を立てる

ex)資料の1ページ目をご覧ください。

見ます 「見る」の丁寧語
  • 主語は文脈によって変わる
  • 聞き手/読み手にていねいに伝える

ex)資料を見ました。

「拝見する」は「自分が見る」ときに使う表現です。一方で「ご覧になる」は「相手が見る」ときに使います。

「拝見する」と「ご覧になる」は主語が異なるため、誤って目上の人に「資料は拝見しましたか?」とは言わないようにしましょう。

正しくは「資料はご覧になりましたか。」となります。

【関連】【敬語変換表あり】尊敬語・謙譲語・丁寧語の基礎

「拝見する」の正しい使い方と注意点

「拝見する」は職場の上司や取引先など、ビジネスシーンにおける目上の人にも使える表現です。「拝見する」の注意点を押さえて、正しい使い方を知っておきましょう。

「拝見いたします」「拝見させていただきます」はNG表現

「拝見します」の「拝見」だけで謙譲語として使えます。

そのため、「拝見いたします」「拝見させていただきます」という表現は二重敬語になるため適切な表現ではありません。

「いたします」も「させていただきます」も謙譲語なので、ビジネスシーンでの対話やメールを作成するときは、2つ謙譲語を重ねて使わないように注意しましょう。

取引先との対話では謙譲語と尊敬語の使い分けに注意する

取引先との対話では、謙譲語と尊敬語の使い分けに細心の注意を払う必要があります。

例えば、自社の上司が取引先から提供された資料を見た場合、取引先に対しては「上司がご覧になりました」と表現するのではなく「上司が拝見しました」と言うのが適切です。

取引先との対話で敬う相手は「上司」ではなく「取引先」なので、「上司がご覧になりました」と取引先に伝えるのは違和感があります。

「拝見する」を使うときは、敬う対象が誰になるかを考えたうえで用いるようにしましょう。

「拝見する」を使った例文をシーン別にご紹介

「拝見する」を使った例文を「ビジネス編」と「日常編」に分けてご紹介します。すぐに使える例文もあるので、ぜひ普段の対話やメールの文章に取り入れてみてくださいね。

【ビジネス編】「拝見する」の例文

書類やメールを見たとき

ビジネスシーンでは、書類やメールの確認を依頼される機会が多いかもしれません。

「見ました」という表現を「拝見した」に言い換えて、ていねいに伝えるときの例文をご用意しました。

1. 「いただいた企画書を拝見しました。非常に興味深く、具体的な提案についてさらに議論を進めさせていただきたく存じます。」
2. 「先日送信いただいたメールを拝見しました。ご指摘の点につきまして、改善策を検討中です。」
3. 「添付ファイルでいただいた報告書を先ほど拝見しました。今後のプロジェクト進行で参考にさせていただきます。」

プレゼンの資料やスライドを見たとき

プレゼンのスライドや流れをチェックしてほしいと言われたときや、プレゼンに対して受け取ったフィードバックを確認したときなどにも「拝見した」という表現を使えます。

相手を敬いつつも自分が確認したことを伝える際に活用してみてください。

1. 「先週、皆様からいただいたフィードバックを拝見し、本日のプレゼンテーションを準備いたしました。」
2. 「スライドを拝見しましたが、いくつか質問がございます。詳細について、後ほどご説明いただけますか?」
3. 「プレゼンのドラフトを拝見しました。話の流れが分かりやすく、スムーズに読み進められました。」

【日常編】「拝見する」の例文

日常生活でも、目上の人との会話では敬語で話すことが多いですよね。何気ないコミュニケーションの中で「拝見する」を使った例文をご紹介します。

SNSの投稿やチャット・作品を見たとき

自分より立場が上の人のSNS投稿・作品を見たときや、目上の人からチャットが送られてきたときにも「拝見する」を使えます。

「見た」ということをただ単に伝えるだけではなく、それに対する感想や次のアクションにつなげるための話の話題として使うことが多いです。

1. 「〇〇さんの最新のポストを拝見しました。美しい写真にとても感動しました。」
2. 「昨夜、お送りいただいたチャットを拝見しました。もう少し詳しいお話を伺いたく、お電話させていただきました。」
3. 「美術館で〇〇さんの作品を拝見しました。その繊細で力強い表現に深い感銘を受け、作品の背後にあるメッセージを深く考えさせられました。」

目上の人に会ったとき/姿を見かけたとき

上記でも解説した通り「拝見する」は「見る」という意味以外に「会う」という意味合いでも使われます。

目上の人に会ったときや、姿を見かけたとき、それを伝える際に「お顔を拝見した」「お姿を拝見した」と言うのが適切です。

1. 「先日、イベント会場でお姿を拝見しました。大変お忙しいところ、足をお運びいただきありがとうございます。」
2. 「久しぶりに〇〇さんのお顔を拝見でき心より嬉しく存じます。」

覚えておきたい!「拝見する」に似た言葉

「拝見」の「拝」は、自分の行為に冠して相手に敬意を示す語として使われるため「拝〇する」という表現はほかにもたくさんあります。

似ている表現ではありますが、それぞれ意味は異なるので違いを理解しておきましょう。

「拝読(はいどく)する」

「拝読する」は「読む」の謙譲語です。文章を読んで理解するというニュアンスが強く、ただ見て確認する「拝見」とは少し意味が異なります。

<例文>

  • 「先生の著書を拝読し、多くの気づきを得ることができました。」
  • 「先日いただいたお手紙を拝読しました。」

「拝聴(はいちょう)する」

「拝聴する」は「聞く」の謙譲語です。「聴」は意識的に耳を澄まして聞くことなので、目上の人の話をありがたく聞くというニュアンスが含まれています。

音楽を聴いたときにも使える言葉です。

<例文>

  • 「先日の講演会で〇〇先生のお話を拝聴しました。」
  • 「著名なバイオリニストの演奏を拝聴し、その美しさに感動しました。」

「拝受(はいじゅ)する」

「拝受する」は、相手への敬意を示しつつ「受け取る」ことを示す謙譲語です。

ビジネスシーンでもよく使われ、目上の人から資料や書類・メールなどを受け取ったときに「拝受しました」と言います。

<例文>

  • 「先日ご連絡いただいていた資料について、昨夜拝受しました。」
  • 「新商品のサンプルを拝受しました。」

【関連】「拝受しました」の「拝受」の意味とは?ビジネスで使える例文付きで詳しく解説!

「拝謁(はいえつ)する」

「拝謁する」とは、身分の高い人に面会することをへりくだって言う謙譲語です。特に、天皇皇后両陛下にお会いすることを「拝謁する」と表現します。

ほかにも、何かしらの功績を残した人と面会するときにも使われますよ。

日常生活ではあまり使う機会はありませんが「つつしんでお目にかかる」という意味を持つので、覚えておきましょう。

<例文>

  • 「特別に天皇皇后両陛下への拝謁を許された。」
  • 「皇室の方々を拝謁する機会に恵まれ、大変光栄に思っております。」

「拝観(はいかん)する」

「拝観する」とは、神社や宮殿、芸術品、国宝などを見るという意味で使われる謙譲語です。つつしんで観覧するというニュアンスが含まれています。

ちなみに「拝覧する」も、神社仏閣や仏像や美術品などを見る際に使える言葉ですが、日常生活ではあまり使われません。

<例文>

  • 国宝展を拝観し、我が国の歴史と文化の豊かさを改めて感じました。」
  • 「昨年、京都の古刹を拝観した際、その荘厳な美しさに圧倒されました。」

「拝見する」の類語表現

「拝見する」には「見る」と「会う」の2つの意味があります。
ここでは、それぞれの意味での言い換え表現をご紹介します。

「確認する」|「見る」の意味で使う

「確認」には、はっきりと確かめるという意味があります。「拝見します」と同じように自分をへりくだって使うときは「確認いたします」と使うのが適切です。

相手に確認をお願いしたいときは「ご確認よろしくお願いいたします」「ご確認ください」といった言い方ができます。

「お目にかかる」|「会う」の意味で使う

「お目にかかる」は「会う」の謙譲語です。
「拝見する」の「会う」と同じ意味で使われます。

「お目にかかることができて光栄です。」「お目にかかれることを楽しみにしています。」と、自分をへりくだって相手に会うという行為についてどう思っているか伝えるのに便利な表現です。

「拝見する」を英語に訳すと?

「拝見する」は英語で「見る」という意味を持つ「see」や「look」を使って表現します。

英語には敬語がありませんが、形式ばった表現で「have the honor of seeing」という言い方もできます。

また「お手紙を拝見しました」と伝えたいときは「Thank you for your letter.」と言えば、手紙を受け取ったことを伝えると同時に、それに対するお礼を述べることもできますよ。

※参考:weblio英和辞典・和英辞典

まとめ

「拝見する」の意味と正しい使い方をご紹介しました。

目上の人に対して「見る/見た」ことを伝えるときや、場合によっては「会う/会った」ということを伝える際に使えるので、ビジネスシーンや日常での対話で活用してみてくださいね。

また「拝読」「拝聴」「拝受」といった表現もよく使うので、併せて覚えておきましょう!


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