面接の初めに面接官から名刺を渡されるのは、「今から面接を行う私は、この会社のこういう者です」という、いわゆる面接官の自己紹介のようなもの。

ビジネスの場で初めて顔を合わせるときは、お互いの身分や立場をはっきりさせるために名刺交換を行います。

例えば契約を結ぶか否かの話し合いをする際には、名刺交換は必須でしょう。

素性がわからない相手と取引することはできないからです。

しかし、転職の面接においては、名刺を渡されたとしても、自分の名刺は提出しなくて構いません。

応募者の経歴を含めた身分等は、履歴書や職務経歴書で提示するためです。

現職の名刺は、現在の会社の看板を背負ったあなたの肩書きになっています。

会社員ではなく個人として受ける面接で名刺を使うのは、ふさわしくありません。

また、すでに退職した前職の会社の名刺を持っていたとしても、それを渡すことはマナー違反になります。

よって、転職の面接での名刺交換は基本的にNGと覚えておくと良いでしょう。

なお、面接官は名刺を渡しながら、あなたの名刺の扱い方を見てビジネスマナーができているかをチェックしている場合があります。

この後説明する、面接で名刺を受け取る時のマナーを覚えておきましょう。

転職の面接では名刺交換をする必要はないとはいえ、名刺を渡されたあと、面接官から「名刺をお持ちですか？」や「名刺をいただけますか？」と聞かれたら、どうしたら良いのでしょうか。

面接官が応募者の名刺を求める理由としては、単純に応募者の名刺を集めているだけということがあります。

あるいは履歴書に書かれている内容の確認（在籍確認）や、不採用にしたあとも見込み顧客として名刺を持っておきたいなどの理由も考えられます。

名刺を渡したくないのであれば、断っても失礼にはなりません。

断る際は「本日は御社の面接で参ったため、名刺は持参しておりません。申し訳ございません」などの言葉を添えるようにしましょう。

ただし、もし現職の名刺を渡してもいいと考える場合、求められたときに限っては名刺を渡してもOKです。

面接の成り行きによっては、名刺を渡した方が良い状況になることもあります。

例えば現職に在籍している証明が有利に働く場合などです。

念のため、名刺を携帯して面接に出席するようにしましょう。

面接官から名刺を渡されたら、マナー違反をしないように受け取りたいもの。

受け取り方がチェックされているのならなおのこと、名刺を受け取る際のマナーを知っておきたいですね。

名刺を受け取る時の方法やマナーを手順ごとに紹介しますので、参考にしてください。

机などを挟まずに自分が移動する

名刺を差し出されたら、立ち上がって受け取るのがマナーです。

机などは挟まず、自分が面接官の近くに移動するようにしましょう。

両手で受け取り「頂戴いたします」と述べる

差し出された名刺は、両手で丁寧に受け取り「ありがとうございます。頂戴いたします」と述べましょう。

動作はなるべくゆっくりと、一礼をしながら、名刺を受け取った時に一旦静止するくらいでOKです。

せかせかと名刺を受け取ったのでは、乱暴な印象を与えてしまいます。

たとえ緊張のためだったとしても、面接官に悪い印象を与えかねません。

名刺に目を通してテーブルの左側へ置く

受け取った名刺には軽く目を通すようにしましょう。

一瞥もしないのは、マナー違反です。

もらった名刺は、自分から見てテーブルの左側に置くようにしましょう。

名刺の向きは、自分が読めるように置きます。

また、名刺に荷物などがかからないように気を付けること。

面接官が複数いる場合は、役職が高い人を自分の名刺入れの上に、その他の人の名刺を机の上に置きます。

ただし、見ただけでは役職の順番がわからないことがあるので、その際には面接官の座席順に並べるようにしましょう。

また椅子のみの面接で名刺を置く机がなかったら、「失礼いたします」と一言かけてから手帳や名刺入れにしまいましょう。

名刺は相手の顔ともいえます。

名刺を丁寧に扱うことは、相手に対して敬意を示すことでもあります。

カバンやスーツのポケットに直接入れるなどの乱暴な扱いは、相手を不愉快にしかねないことを覚えておきましょう。

渡された名刺を机に置いたまま帰ってしまうことも、絶対にしてはいけません。

面接が終わったら「失礼いたします」と言って、名刺入れにしまうか、手帳に挟み持ち帰りましょう。

転職の面接で面接官から名刺を渡されたら、ビジネスマナーを守って慌てずに受け取り、好印象を与えるように心がけましょう。
個人として面接に臨んでいるのですから、面接官から求められても現職の名刺を渡す必要はありません。
ただし、渡してもいいと思える状況になるかもしれませんので、念のため名刺は持っていきましょう。
転職の面接における名刺のマナーをしっかりとチェックしておけば、名刺を受け取る場面があっても不安なく対応できます。

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